
イライラしたときに甘いものを食べると、ほっとしませんか? あるいは、イライラすると甘いものを無性に食べたくなりませんか?
「はい」と答える人は多いと思いますが、「イライラすると甘いものを食べたくなる」のは、脳の研究からも明らかになっているそうです。
ただ、イライラしたときに甘いものを食べると、後にさらなるイライラをつくります。
なぜ甘いものがイライラにつながるのか?
というのは、イライラは、自律神経のうちの交感神経が高まって闘争ホルモンのアドレナリンが出ている状態です。そういうときには血糖値も上がっているので、そこに甘いものを放り込むのは、火に油を注ぐようなもの。血糖値スパイクをつくりだす最悪の行為なのです。
しかも、血糖の変動は心を落ち着かなくさせます。イライラしているところに甘いものを食べて血糖値をさらに上げると、インスリンが大量に分泌されて、しばらくすると急激な血糖値の低下が起こる。その落差が、メンタルを不安定にして、さらなるイライラにつながるのです。
お腹が空くとイライラしたり機嫌が悪くなったりするというのは、誰もが思い当たることでしょう。これは正確に言えば、「お腹が空くから」ではなく「血糖値が急激に下がったから」なのです。
また、血糖値の落差は、イライラだけではなく、空腹感も生みます。食欲を生み出すのは血糖値だけではありませんが、血糖値という観点では、落差が空腹感を生み出すことがわかっています
「果汁100%の果物ジュースならヘルシーに違いない」と思うかもしれませんが、ここにも落とし穴があります。果汁100%で、原材料名を見ても砂糖も異性化液糖も使われていないとしても、そもそも甘い果物は糖質でしたよね。その果物を使ったジュースなので、当然、糖質量は多いのです。
リンゴジュースもオレンジジュースもグレープフルーツジュースも、ヘルシーなイメージはありますが、コップ1杯(200mℓ)に20g前後の糖質が入っています。しかもジュースにすることで食物繊維がほとんど失われてしまうので、果物をそのまま食べるよりも、血糖値を上げやすいのです。
ヘルシーなジュースを飲みたいなら、果汁の入っていない野菜ジュースを選びましょう。たとえばトマトジュースは、トマトに含まれているリコピンが血糖値を下げる働きがあると言われています。
また、身近な飲み物でおすすめなのが、コーヒーです。コーヒーに含まれている「クロロゲン酸」には、血糖値の上昇を抑えたり、脂肪の燃焼を促したりという、うれしい作用があるのです。ミルクや砂糖を加えず、ブラックで飲めば、食後高血糖予防になります(ただし、飲みすぎには注意してください)。
糖の依存度は麻薬よりも強い
糖には依存性もあります。依存度は麻薬よりも強いという研究結果さえあります。糖は脳の報酬系をダイレクトに刺激するため、甘いものを食べると幸せな気分になるのですが、その反動で「もっと」と欲してしまい、止まらなくなるのです。
食後や間食に甘いものを食べるのが習慣になって、食べないと気がすまない、食べずにはいられない状態になっていませんか? そういう人はすでに糖依存ができつつあるのかもしれません。血糖の変動があまりない人、糖依存のない人は、イライラしてもそんなに糖分を欲しません。
イライラすると甘いものがほしくなる、何かと理屈をつけてお菓子を食べてしまう、ちょっと口寂しくなると甘いものに手が伸びる人は、口にする量にかかわらず、「かくれ高血糖」が潜んでいると考えたほうがいいでしょう。