- 日経によると、携帯価格破壊は菅氏が提起、 楽天動きアップルも相乗りだと言う。携帯電話の料金は高すぎるので、なんとかセイと思っていたが、これは良い政策であると思う。ただ、その背景にはGAFAの圧力が有ったとも読み取れる。
菅義偉官房長官が提唱してきた「携帯電話の利用料の4割下げ」が実現に向けて動き出した。3日には楽天が大手3社の半額以下の料金プランを打ち出した。米アップルも高額な通信料金の背景にあった端末価格の引き下げに乗り出した。背景には、「GAFA」と呼ばれる巨大IT(情報技術)企業と政治の間に生じ始めた世界的な関係変化の流れがある。
菅官房長官は巨大IT企業を規制する新法の議論でも先頭に立つ
楽天の料金プラン発表を目前にした2月下旬。菅氏のもとに1本の電話が入った。「携帯の価格破壊をしますよ」。声の主は楽天の会長兼社長の三木谷浩史氏。
菅氏は2018年8月、札幌市の講演で4割下げを打ち上げた。楽天が大手3社が9割を握る市場シェアを崩せば価格競争が進み利用者負担が減ると期待をかけていた。
3日に楽天が発表した料金プランはデータ通信量の上限のない月額2980円。菅氏は記者会見で「海外の主要事業者と比べても相当に安い」と評価した。
日本の携帯市場が動き始めた背景には、GAFAが政治に接近し始めた事情もある。
19年12月。菅氏は衆院第2議員会館の自室でアップルのクック最高経営責任者(CEO)と向き合い、こう語りかけた。「どこをいじめるということでない。しっかり意見を聞きながら公明正大な形でやっていく」
菅氏はGAFAを念頭に巨大IT企業を規制する新法を議論するデジタル市場競争本部の本部長を務めている。新法にはスマートフォンのアプリストアの運営事業者とアプリ作成事業者との契約の情報開示を求めるなどの規制を検討していた。
菅氏が新法の構想を説明すると、クック氏はこう答えた。「アップルは横浜にも拠点をつくり日本に貢献してきた。法案にも協力したい」
19年末の都内には菅氏のもとをもう一人のCEOが訪ねた。米グーグルのピチャイ氏だ。「日本にはさらに投資をするつもりだ」。ピチャイ氏は菅氏が手掛ける規制の新法に協力する姿勢を示した。「日本の携帯電話事業にもさらに力を入れていきたい」とも語った。
GAFAはこれまでシリコンバレーの自由な空気のもと、法規制に反発し、各国政府との関係構築に熱心ではなかった。だが世界市場で独占的な地位を占めるようになると事情は変わった。消費者や関係事業者に対する彼らの地位は強大なものとなり、各国で規制を求める声が高まった。
危機感を高めたGAFAは政府や法制度への配慮を前面に出し始めた。個人情報の流出で米議会の公聴会に呼ばれた米フェイスブックのザッカーバーグCEOが、トレードマークのTシャツを脱ぎ、スーツ姿で議会入りしたのもその表れだ。
クック氏はトランプ米大統領との距離を縮めており、蜜月関係を隠さない。「米国経済はいま世界で最も強い」。クック氏は19年11月、南部テキサスのアップル工場を視察したトランプ氏を持ち上げた。日本でもクック氏やピチャイ氏は、菅氏を規制強化のキーマンとみて関係構築を急いだ。
菅氏はこうした機運をとらえた。携帯料金が高い要因をアップルのiPhoneにみていたためだ。iPhoneは日本市場で5割超のシェアを維持してきた。菅氏はからくりをアップルと携帯3社との契約と見た。本来通信料の割引に充てる原資を端末割引に充てる契約となっているとの情報を得ていたためだ。
「要はアップルとの戦いだ。アップルにこれ以上搾取させるな」。菅氏は総務省に指示し、改正電気通信事業法が5月に成立した。通信契約を条件とした端末値引きに上限を設け過度に値引きしないようにする内容だ。
米アップルは9月、日本市場に向けた低価格のiPhone3機種を発表した。高額化路線の事実上の転換だ。日本で生じた小さな変化は、今後の世界におけるGAFAと政治の関係をも占う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます