先端技術とその周辺

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「ビッグブルー計画」日立が次世代車で反転攻勢

2019年11月22日 14時12分04秒 | 日記

 

日立とホンダが傘下の自動車部品会社を統合し、日本第3位の自動車部品会社を設立すると数週間前にニュースで報じられていたが、その会社の狙いを日経が報じていた。これからの車は、CASE(ネット接続、自動運転、シェアリング、EV)であらわされるように、コンピューターが主軸になり、日立が得意とする分野。新しい会社は、自動車部品ではなく、CASEを狙って、それを意識した自動車部品会社はまだ、存在しないので、ブルーオーシャンという「競争のない市場や業界」の経済用語をもじって、ビッグブルー作戦となずけたと言う。尚、対比する言葉にレッドオーシャンと言うのがあるがこれは地を地で争う競争業界を指すと言う事である。

以下、日経の記事の引用::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

傘下の部品メーカーの統合を発表し握手する日立製作所の小島啓二副社長(左)ら(10月、東京都台東区)

傘下の部品メーカーの統合を発表し握手する日立製作所の小島啓二副社長(左)ら(10月、東京都台東区)

日立製作所ホンダとの間で進めていた極秘プロジェクトがついに実を結ぶ――。両社傘下の自動車部品4社を統合した国内3位の新会社が2020年秋にも発足する。世界で自動車販売が低迷する中、日立は利益率の低い自動車部品の事業売却に動かず踏みとどまった。モーター制御やブレーキから膨大なデータを収集できる立場を確立し、次世代の運転支援システムや電動系ソフト開発で覇権を握る。こんなシナリオの反転攻勢が始まる。

■相次いだ懸念の声

「不確定要素が多い。本当にハンドリングできるのか」。今年3月末、日立の取締役会で議題に上がった計画に、役員から懸念の声が相次いだ。日立の完全子会社である日立オートモティブシステムズと、ホンダが筆頭株主のケーヒン、ショーワ、日信工業の自動車部品4社を統合。日立が新会社の過半株式を取得し、経営権を握る点に質問が集中した。

日立はもともと日産自動車と関係が深かった。ともに日産コンツェルンを源流とする会社だ。だが17年7月、日立オートとホンダが電動車両用のモーター合弁会社を設立。その縁で18年2月、日立の東原敏昭社長はホンダの八郷隆弘社長と会い、統合話を持ちかけられた。

 

 

「ビッグブルー」。極秘扱いされた同計画は日立社内でこう名付けられた。日立オートのある東京・大手町と、ホンダが本社を置く青山の一文字目を合わせた符丁だが、別の意味もあった。

自動運転や電動化など次世代技術「CASE」開発に向け、独ボッシュなどメガサプライヤーは買収で経営規模を拡大。同時に年数千億円に上る研究開発費を投じる。足元では世界の新車販売が低迷し、採算悪化にあえぐ部品業界。競合がひしめき利益を伸ばしにくいレッドオーシャンだが、やり方を工夫すれば「巨大なブルーオーシャン」に変わり得る――。

 

新型「FIT(フィット)」を発表するホンダの八郷社長(10月、東京都江東区)

新型「FIT(フィット)」を発表するホンダの八郷社長(10月、東京都江東区)

■車部品からの膨大なデータ

狙うのは車部品から上がってくる膨大なデータだ。CASEに直結するパワートレインや安全システムなど制御系に絞り、自社が強みを持つIoT事業と組み合わせれば、次世代車開発で優位に立てる。そんな勝算があった。

ビッグブルー計画に合わせ、日立はスイス重電大手、ABB副社長だったブリス・コッホ氏を日立オート最高経営責任者(CEO)に就け、コア事業の選別に動いた。18年10月、カーナビゲーションを手掛けるクラリオンを仏自動車部品フォルシアに売却すると発表。12月には車載用リチウムイオン電池事業の売却も決めた。

判断基準はCASE対応で膨大なデータが必要になる部品であるか否か。そして世界シェア3位以内に食い込めるかだった。例えば、サスペンションは統合で4位(11.1%)から1位(19.2%)に上昇する。カーナビもデータ収集できるが、「情報系はグーグルなどGAFAにかなわない」と判断し切り出した。

 

 

今年4月、自動車部品など3事業を統括する副社長に小島啓二氏が就任し、ホンダとNDA(秘密保持契約)を締結。ビッグブルー計画は仕上げの段階に入った。同業他社が需要減で苦戦する中、19年7~9月期の営業利益率は前年同期比3.1ポイント増の5%。構造改革の効果が現れ、取締役会で異論が出なくなった。

■買収先のつまずき乗り越える

ただつまずきもあった。日立が今年6月に発表したオランダのシャシー・ブレーキ・インターナショナル(CBI)買収。交渉過程で同社がホンダ向けに納入する電動駐車ブレーキで不具合が発覚し、次期「フィット」の発売延期が決まった。社内ではホンダとの関係悪化を危惧する声が上がったが、逆に日立の果たせる役割が際立つ結果となった。「CBIとの折衝がうまくいかなかったホンダが日立の買収を歓迎した」(日立幹部)という。

 

 

ホンダにとっても、今後CBIは戦略的に重要な会社になるという認識があった。CBI買収にはブレーキのシェア拡大に加え、欧州販路と高度人材を獲得する狙いがある。今回の統合新会社でホンダがマイナー出資にとどまるのはホンダ以外の自動車メーカーの販路を拡大させるためで、CBIが先兵を担う。CBI買収完了後の10月末、ホンダと日立の取締役会で、ビッグブルー計画は正式にゴーサインが下された。

小島副社長は「自動車は業界構造が変わる。コンピューターのようにハードとソフトが分かれるかもしれない。その中でいかにデータを取れる位置にいるかが勝負を決める」と語る。

データ志向というかじ取りで波高い"大海"を渡りきることができるかと記事は締めくくっていた。


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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本の自動車の趨勢 (ビジネストレンドウォッチャー)
2024-06-16 17:29:33
やはり世界を引っ張るハイブリッド日本車の技術力の前に、EVシフトは不調をきたしていますね。特にエンジンのトライボロジー技術はほかの力学系マシンへの応用展開が期待されるところですね。いくらデジタルテクノロジーを駆使しても、つばぜり合いは力学系マシン分野がCO2排出削減技術にかかってくるのだとおもわれます。
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夜明けのミュー (東京ララバイ)
2024-05-12 00:59:34
ショーン・スタックさんはEVずっこけ続きで大丈夫かな?
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グローバルサムライ (CO2排出削減プラント関係)
2024-04-04 11:40:43
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズムにんげんの考えることを模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本の独創とも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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グラファイト層間化合物 (玉軸受ストライベック)
2023-06-19 14:25:13
ラマン分光法で劣化具合計れば早く済むよ。
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ボールオンディスク (東京ララバイ)
2023-06-10 23:24:20
そりゃあ、トライボフィルムだったらハガレンわな。夜明けのミュー。
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遅ればせながらAI勉強 (ひやごん)
2023-05-25 12:28:13
材料物理数学再武装読ませていただきました。トレードオフを全体最適化するという意味、本質的なところが理解てきました。
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Unknown (金型屋)
2023-05-20 13:29:04
工具鋼のマルチスケール合金設計ですね。
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グリーン経済 (見事な材料開発力)
2023-05-20 05:23:10
最近では冷間のハイテン成形プレス技術でGPa越えが相次いで報告されていますね。翻って考えてみるとやはり、プロテリアル(旧日立金属)製のマルテンサイト鋼の頂点に君臨する高性能冷間ダイス鋼SLD-MAGICの登場がその突破口になった感じがしますね。今ではよく聞く人工知能技術(ニューラルネットワーク)を使ったCAE合金設計を行い、熱力学的状態図解析によって自己潤滑性を付与したことが功を奏した話は業界では有名ですからね。CAE技術もさらなる可能性に満ち溢れているということでしょうね。
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グリーン経済 (エキソエレクトロン)
2023-05-14 02:39:29
なんか、ボールオンディスク試験流行っているみたいだな。SLD-MAGICのCCSCモデルの影響か?このトライボ理論は応用範囲が広いからな。
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