経済産業省は2018年4月4日、自動車メーカーやサプライヤーでのモデルベース開発(MBD)(※)の活用に関する今後の活動方針を示した。
同省は2016年10月からモデルベース開発を活用した開発手法の普及に向けて、自動車業界と研究会を発足して検討を進めてきた。日本の製造業が強みとしてきた「すりあわせ」を深化させる手段としてモデルベース開発を用い、サプライチェーン全体に普及させて競争力を高めることが狙いだ。この構想は「SURIAWASE2.0」として発表している。
しかし、これまでモデルベース開発は、企業ごとに独自の手法が取られていたためデータの互換性がなく、活用できているのも一部の大手企業に限られていた。そのため、普及しているとはいえない状況だった。そこで、企業間および産学間でモデルを共通で使えるよう“流通”させるため、モデル間のインタフェースを定義したガイドラインを発表。また、このガイドラインに基づく車両性能シミュレーションモデルも公開した。
研究会にはトヨタ自動車や日産自動車、本田技術研究所、マツダといった自動車メーカーの他、サプライヤーのアイシン・エィ・ダブリュやデンソー、ジヤトコ、パナソニック、日立オートモティブシステムズ、三菱電機、デロイトトーマツコンサルティング、AZAPAといった企業が参加している。
対象はガソリンエンジンから電動車、自動運転へ
2017年度からガイドラインや、ガイドラインに準拠したモデル(以下準拠モデル)を統一的な考え方として普及に取り組んでおり、2018年度はドイツやフランスの標準化団体とも連携を取り始めた。
自動車メーカーは2017年度以降、社内外でのモデルの流通や、中小部品メーカーに対するシミュレーションを活用した開発効率化の浸透、産学連携に積極的に取り組むことが注力課題となる。また、2020年までに民間企業が主体となって、ガイドラインや準拠モデルを維持管理、拡張する仕組みを構築するという目標に向けた活動も進めていく。
政府は、人材育成や部品メーカーの支援、産学連携などを後押しする役割となった。「第4次産業革命スキル習得講座」の活用による人材育成支援を行っている他、2018年度はさらにガイドラインやモデルの拡充をはじめる。
具体的には、これまでガソリンエンジン車を対象としていたガイドラインと準拠モデルを電気自動車にも拡大する。さらに、モデルベース開発をガソリンエンジン車や電動車以外に自動運転などにも拡大するため、協調領域の検討も進めていく。
日産自動車やマツダ、日立オートモティブシステムズは、今回の経済産業省の発表に賛同し、積極的に協力していく旨のコメントを発表している。