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『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

ごんぎつね

2006年09月30日 02時59分38秒 | かぁちゃんにまつわる話
                  

「私、彼岸花は嫌いなの!」
田んぼのあぜ道に、一面に深紅の彩を添えるこの花の咲く頃、いつもかぁちゃんは言っていた。
「ごんが可哀相よ!」

・・・椋鳩十の「ごんぎつね」のお話。←新美南吉の誤りでございまする~!(お詫びと訂正)
確かに、読み終わった後には、彼岸花の赤い色が悲しく残るのだけれど・・・。
けど、小学生の我が子を洗脳?する程言い続けなくてもよかったんじゃぁないのかいな?
なんて事を、苦笑混じりに懐かしく思い出した。

昨日、薬屋からの帰りに、何でこんな所に?と思わず自転車を停めてしまった程
辺りの風景とは、あまりにも似合わない場所で見つけた彼岸花。
もしかしたら「これ、嫌い!」なんて言いやしないかと、今日かぁちゃんを連れて見に行った。
・・・全く、私ときたら、何を期待してるんだろう。

かぁちゃんは裏表がない性格で、嘘もつけないし上手も言えない人だった。
純粋で、まるで少女のよう・・・と言えば聞こえがいいけど、
そのおかげで随分誤解もされたし、結果的にトラブルメーカーだったので、
間に入ったり、足りない言葉を補ったり、複雑な人間関係の渦に巻き込まれたり、
何度と無く、とばっちりを受けたのが嫌で嫌でどうしようもなかったのだけれど、
今となってはそれすらも懐かしい・・・と、思えるようになったって事かな。

「彼岸花が咲いてるよ、こんな所に・・・真っ赤だねぇ。」
と話しかけても、やっぱり何も言わずに、無表情のまま。
かぁちゃんの目を覗き込んで、瞳の中に彼岸花がある事を確かめて、黙って帰って来た。

あ~ぁ、ごんが撃たれてしまう場面を思い起こして、私が寂しくなってしまった。

夏の間に、足が随分弱くなったと思ってたけれど、ちゃんと歩けて良かったね。
けれど、黙ったままで手をひかれるがままに、歩き続けて、
赤信号で立ち止まらせるのに、ひしっと腕を抱え込まないと、そのまま歩き続けてしまう。
腕を引く私の手が重くなった時が、かぁちゃんの体力の限界。
「疲れた。」とか「休もうよ。」とか言えればいいけどさ・・・。

公園の中を♪もそっと歩け~、もそっと歩け~♪と耳元で歌にしながらの帰り道。
鳩がばさばさっ!と飛んで来たので、思わず「ひえ~っ!」と奇声を発してしまったら、
やっとこさ「うふふふっ」と笑顔が漏れた。

・・・ちゃんと歩かないと、放っておいて逃げてしまうぞ~!!

私、彼岸花は好きだけど、鳥は嫌い!・・・あら、私も「これ、嫌い」って言ってるなぁ。
似たくはないけど、もしかしたら私、似てる所があるのかもしれないね、かぁちゃん。
ん?・・・嫌だ!そんなのは絶対に嫌だ~っ!!




コメント (8)
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