「白」という色をみていると、とても広がりのある色に見えます。また、とても包容力のある色でもあります。
「白」や「黒」はいわゆる「無彩色」と呼ばれ、「有彩色」という「彩度」を持った色と分けて考えられています。
「有彩色」を人にたとえると、「個」というものがあり、それぞれが「自己主張」しているところが似ていると思います。
これに反して「白」や「黒」という「無彩色」は、他の「個」を吸収する性質があり、こうした色彩を見ていると何の違和感も生じません。
それどころか、その色にどこか「癒し」の効果が見えます。
もっとわかりやすく言うと、「虹」を見てください。実は「虹」は、「白光色」の「白」が分離してできたもので、様々な色に分かれています。
と言うことは、「視覚」を使う世界では、「白」と言うものは様々な色の寄せ集めということもできるわけです。
この画像に見れる「白」でも「光」があたることにより、そこにいろいろな色が生まれていることがわかります。
そうした「他の色」を「包み込む力」を、ここでは「癒し」という言葉に置き換えることができます。
そうしたことを考えながら、大野さんのパステル画を見ると、どこかその源流に近づくようなものが感じられます。
思い出に残る「風景」を思い出すことが「癒し」の効果があるように、そこに「白い花」を持ってくることにより、その思いを強くしようとする試みが見られます。
ある意味では「白」は「浄化作用」をもっているのかも知れません。
また、この作品は「バラ」をテーマにしたものですっが、とても「気品」のある作品になっています。
「赤いバラ」をあえて「紫」で統一したところが、作者の大きなねらいになっているようです。
「紫」という色は、とても「気品」があり、歴史的に見ても「位の高い人」の服に使われていたことのある色として、知られています。
見ているだけで、どこか「貴族的」な香りがするこの色は、世界のいたるところで「ブランド」を示す色として使われています。