「花」は我々の生活の中で大きな役割を果たしていますが、絵の世界でも題材としてその魅力を我々に表現しています。
「ガーデニング」や「生け花」という世界では、「花」は人の生活に溶け込んでいます。
そうした「花」をパステル画で描いている人の作品を紹介したいと思います。
このパステル画は日本人の最も愛する「桜」だと思うのですが、その存在が作者のとってはとても身近なような存在としてうつります。
私は、はじめて「舞子さん」を描いた時気づいたのですが、あの化粧の仕方は実はこの「桜」が原点になっているのではないかと言うことです。
顔につける「おしろい」も「頬紅」も顔全体が「桜」で覆われ、着ている服はその季節を表現する色合いで飾られています。
そうした「花」を使った伝統品が多く残り、我々の心に「花」の存在がいかに深いものであるか教えてくれます。
この作品を見ていると「すがすがしい気持ち」になる人が多いのではないでしょうか。「白」と「青」で描かれたこの作品から、どこか「クール」な世界を連想します。
現在、「クール」という言葉が流行していますが、「知的」とか「かっこいい」という意味で使われます。
どこか「日本画」の世界を思わすこの作品は、「花」という題材に飽き足らず、そこからイメージできる自分の世界を創ろうとしていることがわかります。
非常に繊細な方の作品ではないかと思われるのですが、これからの作品がどう展開するかとても楽しみです。
色とりどりの「花」を見るのはとても楽しく、我々の気持ちを心地よいものに変えてくれます。
「花」を描く場合も、そうしたねらいがあり「いろいろな色の花」があると、絵がとても豊かなものになってきます。
「いろいろな自然の色や形」が私たちに「絵を描かせる」という現象が起きてくるのもわかるような気がします。
こうした作品は、見ているだけで楽しくなり、作者の気持ちがじかに伝わってくるようです。
「花」という題材が発する「色や形」がいつの間に我々の目にとまり、お互いに「意志伝達」しながら作品が出来上がってくる過程がわかるようで、とても参考になります。
「人」が何かを感じ取り、それを他の人に伝えるためには「技術」でなく、その「伝える要素」が濃い作品ほど我々の心を動かすものとなるのではないでしょうか。
「いい作品だな」と思う時、必ずそこには作者の「思い」が凝縮していることを、忘れてはいけないと思います。
そこが「写真」の世界とは違うところで、人の手によって創られた「芸術空間」につながる大きな要因だと思っています。