先日徳山に行き、若い人の「個展」を見てきました。
「仁賀井さん」という方で、東京芸大の「デザイン科」を卒業して、光市に帰って制作をしているようです。
会場に入ると、「赤」を中心にした作品が多く、本人に聞くと「赤」という色にとても関心があるようなことを言っていました。
この「りんご」の作品もそれぞれが違う種類の「りんご」で、その違いを描き分けていました。
とても繊細な作品で、一つ一つに手を抜かない描写がとても魅力的で、その水彩のもつ透明感と一体になり、どこか「ピュアな世界」を創りあげているのがわかります。
絵ハガキからの画像ですが、「イチゴ」が持っているみずみずしさを、とてもよく表現しているように思えます。
また、この方は大きな作品は描いてなく、一つ一つの単一の絵を描いていたのがとても印象的でした。
その中にあって、こうした「風景画」の中には、彼女の「澄んだ目」を感じることができます。
これは「絵ハガキ」を抜粋したものですが、輪郭線を残し下地にある紙の色を使うことにより「木漏れ日」の感じがとてもよく出ています。
こうした作品を見ると、彼女の目の中には「透明感」に対するとてつもない「こだわり」がよく表れているように思えます。
こうした風景画を見ていても、独特の世界を感じてしまいます。
こうした絵を見ると、すぐに「アンドリュー・ワイエス」の絵を思い出しますが、「ワイエス」とは違い、空気の中が光を含んでいてとてつもなく澄んでいるのがわかります。
会場に少し異質な作品があり、作者に聞きましたが、これからは「こうした画法に向かって行きたい」という言葉がかえってきて、自分の型を破りたい心境にあるのがよくわかりました。
この絵は「水彩」ではなく、「アクリル」のようなもので描かれていますが、その目はどこか共通したものが感じられます。
それは「光」というものを常にとらえて、それを前面に出していこうとしているところだと思います。
人にはそれぞれ、描く根底になる部分があり、それを常に追求している姿がよく理解できます。
若い人は、このように簡単に自分のスタイルを変えていけますが、だんだんとそれがおっくうになるのが本音ではないでしょうか。
常に違う側面を見て、いろいろと試してみるそうした「柔軟性」を持ちたいとつくづく思うこの頃です。