何の世界でもそうですが、同じことを繰り返していると惰性になり、何か突破口のようなものが欲しくなり別のことを考えるようになります。
そこに大きな「創意」が必要になり、いろいろなことを試してみたくなります。
この方もその一人ですが、「視点を変えて」描いているのがよくわかります。
「バレリーナ」の足の部分でしょうか、「つま先」で立つ「バレリーナ」の足には「ダンサー」の全神経が集中され、どこか「神秘的な世界」さえ感じられます。
常識では考えられないこうした行為に対して、作者は「驚き」をもってみているようにも思えます。
「バレリーナ」の全身を描くのではなく、一部を描いてその「ダンサー」の「緊張感」や「臨場感」のようなものを表現しています。
「単に足を描いているだけではないか」と思われる方がいるかも知れませんが、まず「なぜ作者は足の裏をかいているのだろうか」と疑問を持って欲しいと思います。
「人の背中」でもそうですが、「正面」から描いた絵よりも表現したいことがたくさん見えることに気づくと思います。
それと同じで、「赤ん坊」の全身や顔を描く以上に、見る人にとってはいろいろなイメージを膨らますことができるものになっています。
見る人も様々ならば、そのイメージが様々になったほうが絵の広がりとしては出てきて、たくさんの人の共感を得えることができます。
この「足の裏」から、あなたは何をイメージすることができるでしょうか?
「白樺」という題名のこの作品は、「白樺の森」に住む「カップルの小鳥」を描いています。
「仲のいい小鳥たち」に目が行く人もいるし、「小鳥たちがすむ穏やかな空間」を感じることができる人もいます。
また、「白樺の模様」と「小鳥たちの模様」の美しさに目がいく人もいるかも知れません。
このように見る人の立場になると、様々な解釈ができる作品になっています。
「小さな劇場」という題名のこの作品は、ある種の「イメージ画」になっていて、いろいろな想像ができる作品になっています。
どんなことがこの絵からイメージできるか、やってみてください。
理路整然とした生活の中で、こうした瞬間を見るとそこにある種の「違和感」が生じ、やがてそこに何らかの意味づけをしたくなります。
この絵からは「年月」や、「風化」のようなものが感じられ、いつしか「過ぎた記憶」のようなものまで追いかけている自分の姿に気づくのではないでしょうか、
いつも見ている「庭」でしょうか、そこに「赤い存在」に気づき、「季節」の変わりを認識し、改めて今の季節を味わっているような作品になっています。
「視点を変える」と言うことは、「直接的」な伝達でなく、「間接的」に物事の本質のようなものが伝わってくる世界だとも言えます。
それは絵画をより深く味わい、楽しむことができる幅広い創作だとも言えます。
「続ける」ことの大切さは、そうした「違うことへの遭遇」をも意味し大きな飛躍につながると言うことになります。
皆さんも何かやっている方があれば、是非続けて欲しいと思っています。