国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

コソボ問題の謎:セルビア民族主義という毒をもって、バルカン半島のイスラム教徒という毒を制する戦略?

2007年12月15日 | 欧州
私が不思議に思うのは、ロシアと良好な関係にあると想像される独仏両国(特に仏)がコソボ問題ではロシアと対立しており結果的に緊張を激化させていることである。また、セルビアの大統領選挙という重要な時期に敢えてコソボ独立問題をぶつけて選挙の争点にしてしまっていることも謎である。もし本当にコソボ問題を平和的に解決したいならば、独仏連合はコソボ独立を先延ばしにすると共に、セルビア側が妥協できるような大きな譲歩(例えばコソボ共和国の領土縮小など)をコソボ側に飲ませるべきだろう。それをせずに一方的にコソボ側の独立の意向を丸飲みしてセルビアに無理強いするのは、故意に対立を激化させているようにしか感じられないのだ。では、その裏に存在する独仏連合+ロシアの真意は何だろうか? コソボに住むアルバニア系住民はアルバニア人、ボスニア・ヘルツェゴビナのボスニア人と同様に欧州内のイスラム教徒として異端者的存在である。その裏には、彼らをイスラム化させたトルコの強い影響力が存在すると想像される。独仏連合としては、コソボやアルバニア、ボスニアをEUに統合する際に可能な限りトルコやイスラムの影響力を排除していきたいと考えている筈だ。その為に、彼らはセルビア民族主義という毒を用いてバルカン半島のイスラム勢力というもう一つの毒を制することを目指しているのではないかと私は想像する。 この私の想像が正しいならば、1月20日のセルビア大統領選直後からコソボで軍事衝突が開始され、ロシアがセルビア側を支援して紛争は一気に国際問題化するだろう。そして、1990年代にはコソボ独立を支持してセルビアを空爆した欧米諸国は一転して傍観姿勢に廻り、苦境に陥ったコソボはトルコに支援を求めて露土戦争が再現されることになると想像する。事態は東方正教会とトルコの間の宗教戦争に突入し、ボスニアやアルバニア、キプロス、トルコ本土などにも戦火が及ぶことだろう。その戦争はトルコの敗北・ロシア側の勝利に終わり、バルカン半島のイスラム勢力はトルコとの絆を失って欧州キリスト教文明の中で細々と生き長らえることになると想像する。松藤民輔氏は来年は株安・金高・ドル高になる、戦争か革命が起きると主張している。マーク・ファーバー氏も来年はユーロ・ポンド売りを推奨している。その理由が、来るべきバルカン半島での大戦争によるユーロの下落なのかもしれない。 . . . 本文を読む
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