国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

南北連絡鉄道vs大運河:韓国の再ランドパワー化を拒否する象徴的事業としての韓半島大運河計画

2007年12月23日 | 韓国・北朝鮮
日本でかつて田中角栄首相によって提唱された列島改造論では新幹線と高速道路の建設が中心であったことからもわかるように、経済的合理性を考えるならば韓国での大規模公共事業としては道路建設や鉄道整備が最も適している。運河建設はどう考えても合理的でない。 ここで注意すべきなのは、盧武鉉大統領が推進してきた南北間の鉄道連絡である。鉄道という長距離貨物輸送に適した交通機関のレールが韓国から北朝鮮を介して中国やロシア、更には遠く欧州や中東まで結ばれることは、伝統的にランドパワーであった韓国を再びランドパワーとして発展させる事に繋がる。李明博新大統領は盧武鉉大統領のランドパワー的政策を中止して、韓国を海運・水運を通じて日本や米国と結びつけるシーパワー的政策に転換することを狙っていると思われる。結果的に李明博新大統領は南北朝鮮の統一には否定的であり、軍事境界線を維持していきたいと考えていることだろう。 この政策の背景には、韓国の発展は軍事境界線によって大陸と切り離され事実上島国となったことが起爆剤であったというハンナラ党及び韓国保守層の認識(それは真実であると思われる)が存在すると思われる。彼らにとっては南北統一や南北の鉄道連結は悪夢以外の何者でもなかったのだろう。李明博新大統領は今後、南北朝鮮の鉄道連絡を衰退させると想像される。彼らにとって大運河とは、韓国の再ランドパワー化を拒否するための象徴的事業なのではないかと想像する。 運河建設は明らかに南北連絡鉄道に対する対案として準備されている。ソウルから北へ向かう鉄道と南へ向かう運河、ランドパワー的交通機関の鉄道とシーパワー的交通機関の運河は全く対照的である。大統合民主新党とハンナラ党はランドパワー指向とシーパワー指向という全く異なる性格を持つ政党であり、それが韓国政治の世界で激突し続けているのだ。 . . . 本文を読む
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