国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

とうとうトルコ陸軍が国境を越えてイラク領内に侵攻:ルビコン川を渡ったトルコ

2007年12月20日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
トルコ陸軍がとうとう国境を越えてイラク領内に侵攻し始めた。以前から空爆は継続されており、国境を越えた陸軍の行動も未確認ではあったが報道されていた。しかし、今回はイラク領内への陸軍の侵攻が公式に認められた。更にクルド自治政府系テレビの報道によると、トルコ軍はイラク側の村幾つかを基地にしているとのことで、それが真実であるとすればトルコ軍がイラク領土内に駐留する体制、即ち占領体制が開始されたと想像される。人数・作戦行動範囲ともに小規模ではあるが、トルコ軍はとうとうルビコン川を渡って後戻りのできないイラク北部占領作戦に突入した様に思われる。このトルコ軍の作戦を米国が容認していることも注目される。米国がイラク占領でわざと負けようとしているのと同様に、トルコもまたクルド人及びクルド人居住地域という不良資産を一挙に切り捨てるために泥沼のイラク北部占領作戦を実行して敗北しようとしているのではないかというのが私の想像である。現在のトルコの行動は第二次大戦での日本の作戦にも似通っていると思われる。第二次大戦で日本は米国・英蘭連合・中国の三カ国を敵に回したが、現在のトルコはイラク・北キプロスの二正面作戦であり、近未来にはコソボを巡ってセルビア・ロシア連合をも敵に回す可能性がある。また、日中戦争が宣戦布告なしに拡大し泥沼化したのと同様に、トルコの対イラク軍事活動は宣戦布告なしに空爆→陸軍の侵入・占領と拡大しつつある。日中戦争で重慶の蒋介石政府が停戦交渉対象から外されて停戦できなくなったのと同様に、トルコ政府はバグダッド政府のみを交渉相手としてクルド自治政府をPKK関連交渉の相手として認めておらず、停戦交渉の相手がいなくなっている。私の想像が正しいならば、トルコ軍は今後イラク北部での占領地域を徐々に拡大し、クルド自治政府を「PKKを支援している」との理由で激しく非難して軍事攻撃して泥沼のゲリラ戦に突入することだろう。そして、北キプロスやコソボの紛争にも介入して二正面・三正面作戦に突入し、敗北して国土を切り刻まれることだろう。トルコ政府はその敗北によって不良資産を切り捨てる事に成功し、第二次大戦後の日本のように急速に先進国化することを狙っているのではないだろうか。JJ予知夢のいう「2035年のトルコ大国化」はその様なシナリオが国際社会で既に合意されていることを示している様に思われる。 . . . 本文を読む
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