国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

民主党の対中政策について考える

2009年08月05日 | 中国
民主党の岡田幹事長が新対中政策を打ち出した。首相の靖国神社公式参拝や中国への内政干渉は行わないという対中迎合ぶりであり残念なのだが、現実主義の立場から私はこの政策を支持する。ワシントンで開かれた米中戦略経済対話で、米国は中国の人権問題やチベット・ウイグル問題を取り上げなかった。米国は中国による米国債買い支えに依存しており、中国を刺激することが出来なくなったのだ。これは米国の弱体化の象徴とも言える。米国の属国である日本は米国の政策転換に足並みを揃える必要がある。私が岡田幹事長を支持する理由はもう一つある。近い将来に米国政府は破綻し、東アジアに駐留する米軍も全て、または大部分が本国に引き揚げることになる。恐らくその直後に北朝鮮あるいは韓国による統一戦争が勃発し、朝鮮半島の国境線が書き換えられるだろう。その様な不安定な東アジア情勢で、日本が戦争に巻き込まれない為にも、日本と中国の間の緊張要因を一時的に可能な限り少なくしておく必要があるのだ。既に台湾は親中政権が樹立されており台湾海峡の対立は緩和されている。日本も台湾に倣って一時的な親中政権を作るべきである。そして、東アジア情勢が落ち着いたところで再度靖国参拝を堂々と実行してゆけばよい。チベットやウイグルについては、既に欧州が中心となって中国批判を繰り広げている。ドイツの外交政策情報のウェブサイトであるgerman-foreign-policy.comは「北京に対抗する同盟」という刺激的な記事を掲載しているし、世界ウイグル会議も本拠地ミュンヘンを中心に欧州・トルコ・米国などで活動している。チベットについても、亡命政府のあるインドや欧州のダライラマ支援活動が盛んである。日本政府がチベットやウイグルへの公式支援活動を一定期間行わないとしても、これらの活動が廃れることはないと思われる。近未来の中国で富裕な沿海部の独立運動が始まれば、チベット・ウイグルも独立運動を起こせるだろう。日本政府がチベット・ウイグルの独立を支援することは、日中戦争の引き金になりうる。欧州の反中国活動は、地理的疎遠さ故に中国-欧州戦争が起こりにくいからこそ実行できているとも言える。日本がわざわざ欧州のバックパッシングを受けて対中戦争を起こさねばならない必要性はない。近未来の不安定な東アジア情勢の中で、日本にとって最も重要なのは、日中戦争を回避することである。 . . . 本文を読む
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