国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロシアの極東軍備拡大、標的は日本ではなく中国

2011年03月10日 | ロシア・北方領土
森野榮一氏がブログで要約したアジアタイムズの記事は、米ドルが近未来に世界基軸通貨の地位を失うことを予想している。その時、米国は膨大な経常赤字をファイナンスできなくなり、軍事支出を維持できなくなる。在日米軍・在韓米軍・第七艦隊は維持できなくなるのだ。日本が第七艦隊などの米軍を支援して傭兵として雇ったとしても、やはり軍事力の縮小と後退は避けられない。一方で中国は経済力・軍事力を日に日に増している。米国が退いた後の軍事力の空白を埋めるのは中国になってしまう。 この場合、最も重要なのは台湾と南沙諸島が中国の勢力圏に転落するか否かである。もし転落すると日本は自動的に中国の衛星国になる。ロシアは4000kmの陸上国境で、単独で13億人の中国の強大な国力と対決することを迫られる。勝利はまず不可能であり、ロシアはシベリア全体を中国に乗っ取られることになるだろう。 この様に考えるならば、ロシアにとって、シベリアやロシア極東、特に1855-1860年に清から奪った沿海州とアムール川北岸を死守するためには、台湾・ベトナム・フィリピンなどを海軍力で支援するのが最も有用で効果的である。また、中国から米国西海岸や北極海~欧州に至る海運路を防衛するためにも北方領土への軍隊配備は有用である。米国の没落と中国の隆盛という現状を客観的に眺めれば、ロシアの極東での軍事力増強は表向きは対日行動であるが、本音では中国を最大の仮想敵国と考えていると思われる。 . . . 本文を読む
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