国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

5重の壁は既にほどんど失われてしまっている様だ

2011年03月15日 | 日本国内
私は一つ疑問を感じている。海水注入が実行されているにも関わらず、水位が安定しないのは何故かという素朴な疑問である。核燃料の熱で蒸発しているのか、あるいは圧力容器(内釜)に亀裂が生じて冷却水が漏れているのかのいずれかしか考えられない。私が引用した二本の記事「武田邦彦 (中部大学): 原発 緊急情報(5)」と「すでに格納容器(外釜)も圧力容器(内釜)も破れているのではないか-正確な情報を出せ!決死作業の方々の無事を祈りつつ。 一隅より」を見る限り、後者の可能性が高い。更に「福島第1原発2号機で格納容器が損傷し、大量の放射性物質が漏れ出した恐れがある」との報道もある。原子炉には放射線・放射性物質漏洩を防ぐ5重の壁がある。燃料ペレット、燃料被覆管、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋である。このうち、燃料ペレットと燃料被覆管は冷却水喪失による加熱で溶解し失われている可能性が高い。水素爆発の原因となった水素は水蒸気が850度以上となった被覆管の材料であるジルコニウムと反応して生まれたものである。既に核燃料は摂氏850度を確実に超えているのだ。また、水素爆発によって一号炉と三号炉の原子炉建屋は吹き飛んでいる。海水注入にも関わらず水位が上がらないことから圧力容器が損傷している可能性が高い。15日早朝に爆発があった福島第1原発2号機で格納容器が損傷している可能性が高いとの報道もある。もはや5重の壁はほとんど失われ、穴の開いたバケツに硼素を含んだ海水を必死で注ぎ込んでいるというのが現状だと思われる。今後の問題は、この海水注入作業をいつまで継続すべきかという点である。現場の放射能レベルによっては、作業員に骨髄死や腸死による死者が出る危険性もある。そのコストと、海水注入作業を停止して核反応をなりゆきにまかせ、危険地域の住民を全員退避させる(原発放棄)のとどちらが賢明かという判断を近日中に日本政府は迫られることになると思われる。原発20km圏内の住民の全員避難は、後者のシナリオを実行するために必要不可欠である。もしそれが実行されたなら、原発周辺区域はチェルノブイリ周辺の死の町と同様の状況になることだろう。 . . . 本文を読む
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近づきつつある最悪の事態:首都圏も危ない?

2011年03月15日 | 日本国内
どうやら福島の原発で大量の放射性物質が漏れ始めているようだ。「3号機の原子炉が入っている建物の上部に蒸気のようなものが漂っている」という情報は、これが死の灰を含んだガスであることを示唆している。2号機でもサプレッションプールと呼ばれる原子炉を覆う格納容器につながる設備に損傷があることが指摘されている。午前8時31分には原発の正門付近で1時間当たり8217マイクロシーベルトの放射線が観測されているが、これは安全と思われる上限の100ミリシーベルトを12時間で超過し、骨髄死の死亡率が50%となる4グレイ≒4シーベルトに480時間≒20日で達する事態である。放射線は距離の二乗に反比例して減衰するので、原子炉近辺でははるかに高い放射線が観測されている可能性が高い。菅総理大臣の東京電力の関係者に対する、「あなたたちしかいない。覚悟を決めてください」との発言は、これ以上の放射性物質の漏れを防ぐために、東京電力従業員に対して、骨髄死や腸死を含めた重大な放射線障害を覚悟して決死の冷却作業を継続することを求めたものと考えられる。 現在、福島県東部から関東地方にかけては北ないし北東の風が吹いており、4000万人の居住する関東地方は福島原発の風下に相当している。茨城県東海村の基準超放射線観測は、この北風によって福島原発からの放射性物質が運ばれてきたことを示していると思われる。ただし、その最高値は毎時5マイクロシーベルトに過ぎず、安全と思われる基準値の100ミリシーベルトに達するには二万時間、つまり五年弱かかることになる。むしろ、問題になってくるのは放射性ヨード等による体内被曝であろう。 いずれにせよ、事態は間違いなく悪化している。天気予報で福島県東部の風向きが北風から西風に切り替わる明日16日昼までは首都圏も危険に晒される。首都圏の住民は、箱根以西へ新幹線や飛行機や高速道路で脱出するか、あるいは家に閉じこもって空調を切り明日昼までの危険時間帯を乗り切るかの二つの選択枝しかない。脱出してしまえば危険は減るが、脱出の過程で外気に接触することは危険を伴う。私は首都圏に居住しているが、幸い食料も水も蓄えがあるので、家に閉じこもって過ごすつもりである。 . . . 本文を読む
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