こんにちは、毎回毎回、ワインに関わることを書こうとして自分の首を絞めている那岐です。
今回はいろいろ考えた結果、知られてそうで意外に知られていないことの多いドイツワインのエチケットに書かれた情報の意味に触れてみたいと思います。
まず、エチケットを見ると一番に目に入ってくるのがぶどうの品種名ですよね。
例えば、この2本では両方ともにRieslingという品種を使っていることが書かれています。
このような表記を見ると、あ、このワインはリースリングで作られているんだ、ということはすぐに分かると思います。ただそんな場合でも、このワインがリースリング100%だと思ってしまうことはありませんか?
こんな風に話を振ると、勘のいい方はすでにお気付きかもしれませんが、実はエチケットにRieslingのような品種名が書いてあったとしても、そのワインがエチケットに書かれた品種100%から作られているとは限らないんです。これ、意外と知られていないですが、本当のことです。
ドイツではブドウ品種をはじめとして、エチケットに書くことのできる情報についてはかなりの部分がワイン法と呼ばれる法律で決められています。このワイン法によると、85%以上を単一のブドウ品種を使って作ったワインであれば、そのブドウ品種をエチケットに記載していいことになっています。つまり、15%は別の品種のブドウを混ぜていてもいいのです。ただ、ここでもう一つルールがあって、白ワインは白ワイン用ブドウのみ、赤ワインには赤ワイン用ブドウ品種のみしか使ってはいけないことになっています。このため、85%をリースリングにして、残りの15%を何か別の赤ワイン用ブドウ、例えばシュペートブルグンダーを混ぜる、というようなことは出来ません。
つまり、今回例に挙げた2つのワインはエチケットだけを見れば、少なくとも85%以上がリースリングの果汁から作られたワインだ、ということが分かるわけです。もっとも、ここであげた2本はどちらもリースリング100%のもので、ドイツのリースリングに典型的にみられる、ふくよかで青い果実を連想させる香りと酸がありつつもバランスのとれたフレッシュな味を表現したとてもクオリティーの高いものですが。
このワインに関してはこちらから、詳しい商品説明をご覧いただけます。
2013年 ラインガウ産 Oestrch Doosberg Riesling G.G F.B.Schönleber - シェーンレバー醸造所 (上記写真左)
2013年 ラインガウ産 Riesling QbA trocken Weingut Wegeler - ヴェーゲラー醸造所 (上記写真右)
ちなみに、ドイツにおいては上記のワイン法によってロゼは赤ワイン用のブドウ品種しか使ってはいけないことになっています。他国では赤ワイン用ブドウと白ワイン用ブドウを混ぜて作る場合もあるのですが、これはドイツではロートリングと呼ばれます。
そして、そのロゼのエチケットで見かけるものにWeissherbstというものがあります。実はこれも、使っているブドウの品種に関わる情報なんです。
ヴァイスヘルプストとは、95%以上を単一ブドウ品種から作っているロゼに対して記載することが出来る名称です。ドイツではロゼのほか、スパークリングワインであるゼクトに対してもこの名称が使われることがあります。こちらの名称のついたワインは、上記に書いたように単純にぶどう品種が書かれたものよりも10%以上、単一ぶどう品種を増やさなければいけませんので、より使われているブドウ品種独自の香りや風味がワインに表現される、という特徴があります。
面白いのは、このヴァイスヘルプストという名称は赤ワインには使うことが出来ないことです(もちろん、白ワインにも使えません)。ですので、仮に赤ワインで単一ブドウ品種100%で作っていたとしても、そのワインのエチケットにはシュペートブルグンダーとか、ポルトギーザーとかというブドウ品種名は書くことが出来ても、それと一緒にヴァイスヘルプスト、と書くことは出来ないんです。ロゼよりも普通の赤ワインの方が単一のブドウ品種を使っていることをアピールしたいワイナリーさんが多いと思うんですが、赤ワインではブドウ品種をエチケットに書くこと以上にそのための手段がない、というのは不思議ですよね。
今回、例にしたワインはポルトギーザーを95%以上使用して作られたロゼとなります。少し甘口のモノですが、その分飲みやすく、これからの暑い季節に良く冷やして飲んで頂くのに最適な1本です。BBQなどのお供にも最高ですよ。商品の詳細は以下でご確認いただけます。
2016年 ラインヘッセン産 Portugieser Weissherbst Gutswein feinherb Weingut Rusbach - ルスバッハ醸造所
ドイツワインのものをはじめ、ワインのエチケットには知らないとまったく意味の分からない情報が書かれています。これは分からないうちは本当になんのこっちゃ、という感じになると思いますが、ちょっとでも知るとワインを選ぶのにもとても役立ちます。ぜひいろいろ調べてみて下さい。
那岐でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます