キャットファイト

先日何ともまあ珍しいケンカを見ました。

商店街で歩行者と自転車がお互いの進路をふさぐ形で立ち止まり、
お互いが道を譲らず口論となり、最終的にはつかみ合いになったのです。
（この時道は空いており、歩行者はこの2名だけ。）

まあ状況でいうとそのような感じだったのですが、
何とも珍しいと思ったのは、その当事者がどちらもおばあさん、
しかも、かなり高齢のおばあさん同士だったのですよ。

一方は手押しのいわゆるシルバーカーを押しながらよちよち歩くおばあさんで、
もう一方は、これまた三輪の年寄り自転車をきこきこ漕ぐおばあさん。

だからはた目には、「大丈夫かな？」と思えるほどのこの二人が、
何とも勢いよく口論をし始め、一旦落ち着き分かれたかと思ったら、
再度口論を始め、最終的にはつかみ合うところまで！

そんなことして怪我でもしたら大事なので、私は慌てて止めに入ろうと店を出たのですが、
幸い、そのつかみ合いはすぐに収まり、お互いに捨て台詞を吐き合いながら分かれてゆきました。

しかし、まあ元気があるというかなんというか…

お互い若いときはもっと血の気があったんだろうなとか思っていたとき、
ふと、ある単語が頭に浮かびました。
「ＣＡＴ　ＦＩＧＨＴ（キャットファイト）」
そう、直訳すると「猫のケンカ」ですが、英語でこれの意味することは「女性同士のケンカ」。
男性同士の殴る蹴るといったそういったものと違い、
つかみ合いひっかきあうその様子を猫のケンカに例えたんでしょうね。

で、私がこの言葉を知ったのは、今からずいぶん昔の高校時代。
とあるテレビ番組でのこと。
当時は野球中継などが、雨天のため試合途中で中止になってしまったりした際に、
残った半端な時間帯を埋めるために適当な、アメリカの短い番組が放送されており、
その中でたまにとんでもないものがあったのです。
内容的には、セクシーなビキニ姿の金髪ねえちゃんたちが、
オイルや泥にまみれてつかみ合いの戦いをするもので、
当時いわゆる泥レスと呼ばれるものでした。

当初は、「プロレスのおねえちゃん番か？」とそう思いながら見ていましたが、
すぐにいわゆる女子プロレスとは明らかに違うその内容に気づき、
「これはこの時間に放送してはいけないものなのでは？」
と思いつつも、その刺激的な画面から目を離すことができず食い入るように見つめ、
結局その後は野球中継を見ながらも、
「あ～、雨降って中止にならんかな～。そしたらまたあの番組が…」
とまで思うほどに！

ですがその後そういう放送はほとんど見かけることがなく、
代わりに、同じようにアメリカの番組でも、でっかい車が車を踏み潰すショーや、
バイクがぴょんぴょん飛び跳ねるそういったものばかりになっておりました。

その後数年経ち、大学生になった私が友人の下宿で野球中継を見ていると、
いきなりの雨で試合が中止になり、余った時間に別の番組が始まりました。

それこそが例のアレ！

そこで私は思わず友人に、
「これ！これを見ろ！」
と。

そして、今度はその題名を見逃すまいと、していたら番組の終わりしなに英語でこのような文字が。
「ＴＨＥ　ＣＡＴ　ＦＩＧＨＴ！」
そうか、この番組はそういう名前なのか…

で、のちに女性同士のけんかのことを「キャットファイト」と呼び、
ひいては興行として行いそのようなショー全般をそう呼ぶのだと知りました。（Wik　キャットファイト）

とはいえ、先ほどのおばあさん同士のケンカも、確かに猫同士のそれに似てるっちゃあ似てたけど、
もはやあれは化け猫同士の戦いだよな～。





さてさて、実はその同じ日のこと。
ご近所で野良猫の世話をされている方がうちの店に来られ、
野良猫捕獲用のわなを盗まれたので貸してほしいと言ってこられたのですのです。
（この方は捕獲後去勢手術をし再度放しておられます）
聞けば、どうもこの方のご近所にたいそう猫嫌いのおばあさんがおられ、
猫用の敷物や餌などを捨ててしまったりするだけでなく、
保護活動をしているところを見つかったら、ものすごい剣幕で追いかけてくるのだとか。
もうすでに90も越しているそうなのになんて元気な！

というわけで、大変ですねと話を聞きながらも、
私は頭の片隅で、
「うわぁ～、これこそほんまのキャットファイトやん！」
と、そう考えてしまっていたのです。

（=^^=）ゞ




さてさてさて…

ちなみにというか、蛇足というか、ついでというか…

そんなわけで、実は前述の友人御下宿での時に、
その番組を私はしっかり録画することができていたので、そのビデオはしばらく私のお宝に♪

で、その後見返していてふとあることに気づいたのです。

「これって、トレイシー・ローズやん！」

そう、めちゃくちゃ勢いよく相手にとびかかり、
試合後も思いっきりエキサイトし大騒ぎているおねえちゃんをよく見ると、
それは紛れもなく、あのトレイシー！

そんなわけで、なおさらそのビデオは私のお宝になったのですよ。

多分捨ててはいないから、今もまだどこかにあるはず。
見たい人おる？