しかし性格はおとなしそうで、人を寄せつけないような態度ではあったが、利発そうであった。金髪で顔立ちはびっくりするほどド・コラルト氏に似ていた。
シュパンは子供を膝に抱き上げ、隣室に続くドアがきちんと閉まっていることを確かめてから尋ねた。
「名前は何ていうんだい?」
「ポール」
「パパのこと、知ってる?」
「ううん」
「ママはパパのこと何も言わないの?」
「ああ、言うよ!」
「どんなことを言ったの?」
「パパはお金持ちだって、すっごくお金持ちだって!」
「それから?」
その子は返事をしなかった。母親がそれ以外のことは何も言わないのか、夜が明けはじめる前の曙光のように、分別に先立つ本能が見知らぬ人間の前で喋ることを制止しているのか、どちらとも分からなかった。
「パパは君に会いに来たりしないの?」とシュパンは尚も尋ねた。
「ううん、全然」
「どうして?」
「ママがとても貧乏だから!」
「君はパパに会いに行きたいと思わないの?」
「わかんない……でもパパはいつかやって来て、僕たちを大きなおうちに連れていってくれるんだ……いつかきっとそうなるってママは言ってる。ママにどっさりお金と綺麗なお洋服をいっぱいくれるんだって。僕は玩具をたっくさん貰えるんだ……」
話を現実に戻そうと、シュパンは続けて尋ねた。
「あの年寄のおじさん、今あっちの部屋で君のママと一緒にいる人、あの人が誰か知ってる?」
「知ってるよ! ムションのおじさん」
「ムションのおじさんって?」
「綺麗なお庭を持ってる人、ほら、あのリケ通りの角っこに。すごく美味しいブドウがなるんだ。僕、おじさんと一緒に食べに行くんだ……」12.22
シュパンは子供を膝に抱き上げ、隣室に続くドアがきちんと閉まっていることを確かめてから尋ねた。
「名前は何ていうんだい?」
「ポール」
「パパのこと、知ってる?」
「ううん」
「ママはパパのこと何も言わないの?」
「ああ、言うよ!」
「どんなことを言ったの?」
「パパはお金持ちだって、すっごくお金持ちだって!」
「それから?」
その子は返事をしなかった。母親がそれ以外のことは何も言わないのか、夜が明けはじめる前の曙光のように、分別に先立つ本能が見知らぬ人間の前で喋ることを制止しているのか、どちらとも分からなかった。
「パパは君に会いに来たりしないの?」とシュパンは尚も尋ねた。
「ううん、全然」
「どうして?」
「ママがとても貧乏だから!」
「君はパパに会いに行きたいと思わないの?」
「わかんない……でもパパはいつかやって来て、僕たちを大きなおうちに連れていってくれるんだ……いつかきっとそうなるってママは言ってる。ママにどっさりお金と綺麗なお洋服をいっぱいくれるんだって。僕は玩具をたっくさん貰えるんだ……」
話を現実に戻そうと、シュパンは続けて尋ねた。
「あの年寄のおじさん、今あっちの部屋で君のママと一緒にいる人、あの人が誰か知ってる?」
「知ってるよ! ムションのおじさん」
「ムションのおじさんって?」
「綺麗なお庭を持ってる人、ほら、あのリケ通りの角っこに。すごく美味しいブドウがなるんだ。僕、おじさんと一緒に食べに行くんだ……」12.22
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