◎杜鵑(ホトトギス)の一声が、孤雲を切り裂く
道元の正法眼蔵第43巻諸法実相から、天童如浄がある夜、弟子たちを方丈に集めて言った。
『【訓読】
天童今夜牛児あり
黄面の瞿曇(ゴータマ)実相を拈ず
買わんと要するに、那(なん)ぞ定価無かるべき
一声の杜宇、孤雲の上
【大意】
わしのところに今夜牛の児がいる
黄金の釈迦は、あらゆる真理を手でひねっている
それを買おうとするが、定価がないはずはない。
(その定価は、)杜鵑(ホトトギス)の一声が、一片の雲の上を行く』
牛の児は、十牛図の牛のイメージであり、あらゆる真理。最後にホトトギスの一声が世界を切り裂くが、これは、チベット密教のpatoの一声と同じ。これで目覚めるのだ。