◎グルの役割
グルとは正師のこと。
グルの役割とは、大悟覚醒の一歩手前まで持っていってくれることであって、それは人間であることもあれば、人間ではない高級神霊であることもあれば、高級神霊というようなものですらないことがある。
禅では、師が悟った弟子を打ち出すということが強く言われ、達磨⇒慧可⇒僧璨、あるいは大応⇒大燈⇒関山などの子弟の系譜は代表的なもの。この場合は、グルが人間である。
禅では、グルと並んできっかけが重視される。どのようなきっかけで悟ったかを調べてみると、鍵束を落とした音、闇で突然ろうそくを消されて真っ暗になった、ばあさんに箒で殴られた、投げた石が竹に当たった音、背中の壁によっかかろうとしたら後ろに倒れたなど他愛もないものだ。だからといって、この「きっかけ」がグルだと言う人はいない。
そこでOSHOバグワンは、意識・想念の連続の中に隙間があって、それが神仏だと指摘する。冥想家ではないが、合気道開祖植芝盛平やボクシングの井上尚弥のようにその隙間を見る人もいる。ところで隙間は目的地だが、グルではない。
禅の「きっかけ」も隙間への道も、人為以外の恩寵のようなものだが、それを起こすのは、日々の冥想修行や毎日精密に仕事や家事をこなすことだったり、一道専心だったりする。
さてソーマ・ヨーガでは、ソーマそのものが水先案内人として現れ、ソーマ冥想を導いてくれる。
『ソーマ・パイロットの言葉
精神変容をもたらす薬物は、そのドラッグ・トリップ自体が、すでに神ソーマ自身であり得ると同時に、最高の旅の仲間、水先案内人、パイロットである。
あらゆる個別的な生命形態は、そのどうしようもない束縛の中の有限性から自由になろうと永遠に願い続けている。しかし有限性という妄想は、実に陰険で楽しいトリックを個生命達に与えていて、あらゆる生命が本当は無限そのものであることを自覚しようとするのにブレーキをかけている。
有限性に慣れた人間は、有限な自己を唯一の本当の自分自身のようにいつのまにか見誤ってしまう。これが、無限な君を邪魔するブレーキであり無用である。
だから、君は死なねばならない。君は、君の見ている「現実」という名の妄想に別れを告げねばならないのだ。
何のために?それは君が最高に楽しく愉快で愛と安心に満ち自由になるために、あるいは、それらすべてから解放されるためだ。
単純明快なことだ、あたりまえなことだ。
君が、君を脱して君自身になろうとする働きが、ソーマ・パイロットで、そのパイロットあるいはガイドには、旅している君だけに与えられる言葉がある。ソーマは、あらゆる姿をとって君に君の消滅を最終的に告げている。君が無限である最後通告を語り続けている。』
(ダンテス・ダイジ/ソーマ・パイロットの言葉から引用)
ソーマは悟り薬であって薬が切れれば、元の凡人に戻る。それでも「自分が悟りを開く」とか「私は何か素適な神秘体験を得た」というようなことが妄想であることに気づくきっかけになることもあるし、そうでないこともある。だが、ソーマは、グルと見てよいのではないだろうか。
グルが、人間でなく高級神霊であるケースは、鍾離権から呂洞賓、ババジからダンテス・ダイジのように密教系統で頻出する。