アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

被災地でのオープン・マインド

2022-11-27 14:51:25 | 時代のおわりneo
◎人間の現実と救い

『リフトンはdeath in lifeの中で被爆初期の状態を「被爆直後の経験で心理学的に最も重要なことは普通の生活体験から急激に、しかも完全に驚くべき死と遭遇したことである。死そのものを想像すること以外に生と死が交錯し、転倒し、もはや区別できないという感覚に襲われた被爆者も数多くあった。

生と死の交錯に深い関係のあることは、個人的社会的秩序の崩壊すなわち人間関係の喪失と物理的環境の喪失である。秩序の突然の崩壊は人の心に深い影響を及ぼした。」』
(原爆放射線の人体影響1992/放射線被曝者医療国際協力推進協議会編/文光堂P146から引用)

これは原爆の被爆者についての記載である。だが、この状態は、今般津波の被害で家を失った人も同じである。帰って安らぐ家を失い、家族、隣人が亡くなったからである。

伝統的な心理学では、被災者は「心理的閉め出し」とよばれる、心の扉を閉ざし意図的に無感覚となる状態に入り、やがて徐々に旧知の人との人間関係を復活させながら社会性を回復していくものとされる。

現代アメリカの覚者ケン・ウィルバーは、この初期段階で、あえてオープン・マインドにすることが大切であると説く。

この残酷で、非人間的な光景にさらされた、人間にとって最も先入観が揺らいだ心理状態において、心を開いて見よと、ケン・ウィルバーは勧めるのである。
昨日までの社会性が、突然崩壊した中で、あえて正気でいなさいと言う。

NHKの番組の被災者からのビデオ・レターで、何人もの被災者が「私は、生き残って元気です。」と語った後に、被災者はまず泣くものだ。

不条理に直面せよ、人間の現実を直視せよ、と言うは易いが、残酷なものだ。でもそこを越えていかないと、人間のあらゆる苦悩を超克するなんてのは夢物語なのだろうと思う。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 冥想する気分にならなくても坐る | トップ | クリシュナムルティが潔癖性... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

時代のおわりneo」カテゴリの最新記事