珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

へびのまくら

2012年05月15日 | 日々のこと

石狩のマクンベツ湿原へ、水芭蕉を見に行った。

マクンベツ湿原は、水芭蕉の群生地として知られている。

我が家から車で30分ほどだ。

時期的にはかなり遅くて、花は(正確には葉が変形したものだそうだけれど)

終わっているかもしれないと思いつつ、ダメもとで行ってみた。

行ってみると、 寒い日が続いていたせいか、思ったよりも花が残っていた。

茎が長く伸びて、カーラーのようだ。

それに、葉が驚くほど大きく茂っている。

花の見ごろの時期には、こんなに大きくないような気がするけれど、

花が終わる頃に葉が伸びてくるのだろう。

 

子供のころ、琴似駅の近くに住んでいた。

家がまばらで、谷地のような原っぱがあちこちに残っていた時代だ。

水芭蕉は、線路の傍に群生していたし、家から少し歩いた原っぱの中にもたくさん咲いていた。

母と買い物にでも行った時だろうか、道端に咲いていたこの花に触ろうとしたら、

「へびのまくらだから、さわっちゃダメ」と、母が、私の手を引っ張りながら言った。

どうしてへびのまくらなのだろう?

「蛇が寝てるかもしれないから」と、母が言ったように思う。

それ以来、大きな葉の陰に蛇が潜んでいるようで、近づいたことがなかった。

友人に訊いて見ると、みんな、

「そうそう、へびのまくらって呼んでたよね」と 懐かしげにいっていたけれど、

蛇がいるから触っちゃいけないとは、言われたことがないそうだ。

山深い母の故郷では、きっと、 ほんとうに、花を枕に蛇が寝ていたのかもしれない。

 

「夏がくれば思い出す はるかな尾瀬 遠い空~

水芭蕉の花が咲いてる 夢見て咲いている水のほとり~」

で、有名なこの歌の中に出てくる水芭蕉が、あのへびのまくらのことだと知ったのは

恥ずかしながら、大人になってから。

水芭蕉と呼んだだけで、へびのまくらが綺麗に見えてくるから不思議だ。

そもそも、へびのまくらという呼び名では、歌にはならなかっただろう。

シクラメンのかほりだって、豚饅頭では、ヒットしなかったよね。