というわけで一年を待たずしてに二回呉に来ることになりました。
ホテルの部屋が何故スイートになっていたのかは・・・分かりません。
普通と言えば普通のスイートなのですが、寝室の隅に何の役にも立ちそうにないトマソン椅子が。
「何この椅子」
「なんでくぼみが・・・」
「わかった、病気になった人を看病する人が座る」
「高貴なお方が泊ったときのボディガードの待機場所」
「寝るときこんな近くに座られたらいやだってば」
「あ、どっかにボタンない?座ってボタン押したら非常時にベイルアウト」
「それかシューターみたいに下に落ちる」
さんざん楽しませていただきました。
もしかしてそれが目的かも。
ちょうど呉に来る車中で「スペースカウボーイ」を観たばかりだったので、
冒頭のベイルアウトシーンが浮かんでしまったのですが、この映画について少し。
「グラン・トリノ」といい、この映画といい、
クリント・イーストウッド監督は「イケてるジジイ」を描くのを最近のテーマにしているようです。
イケてる老人そのものであるCEですが、かれのように特にイケてるわけではない、
普通の中高年層にも夢を与えようとしていると思うんですね。
このスペース・カウボーイは全部で4人。
映画終盤、着陸困難な機から「本来のメンバー」の若いもの二人は離脱してしまいますが、
爺さんたちは全員が機を無傷で着陸させるために最後まで機内に留まります。
トミー・リー・ジョーンズの「ホーク」は、地球とスペースシャトルのメンバーを救うため、
わが身を呈して核弾頭を積んだ衛星と共に月に「特攻」。
(最後のシーンは荒野の用心棒のパロディ?自分の映画をパロるとはさすがC・E)
誰にも若いはつらつとしたときがあるわけで、その輝きのような生命力を、
たとえ外見は老いても持ち続けることは可能だというメッセージ。
エリス中尉が搭乗員に興味を持って以降、世の中のお爺さんを観る目が変わったように(笑)
イーストウッド監督のこれらの作品には「かっこいいジジイって、いるよな」と思わされます。
「老人が行かなきゃいけないなんてこんな設定おかしすぎる」
なんて映画評もありましたが、わかっていないなあ。
これは「お爺さんのためのおとぎ話」なのに。
さて、映画はともかく、呉に来た目的は皆さまご想像の通り
「大和ミュージアム」と「海上自衛隊資料館、てつのくじら」。
こういうものに興味を持ち過ぎの母親の反動でこういうものにあまり興味を持たない息子は、
YOU‐ME(ユウミー)というこの辺りに多くあるモールに行くことを餌に連れてきました。
なぜか前に行ったときおもちゃのフロアーが気にいったみたいです。
この「工廠」っぽい景色が呉ならでは。
大和ミュージアムでは、海軍整備の時代、鎮守府の設置から呉の街における文化、スポーツ発展の歴史、
さらに大和建造に至る歴史の流れの間に市民生活の様子を紹介しています。
ミュージアムについてはまた別の日にお話しするとして、
この広大なスペースには子供を対象にした学習コーナーが備えられています。
船の操舵シミュレーターとか、コンピュータを使ったクイズ、
波のガブリを体験するセット。
波を起こす機械。
などなど。ボランティアらしいリタイア組が説明をしてくれます。
ここには大きな映画上映コーナーもあり、はやぶさの帰還をドキュメンタリーでやっていました。
画像が見えたとき科学者たちが叫ぶ、心からいとしげな
「はやぶさー、お帰りー!」
と言う言葉につい涙が・・・。
ご存じと思いますが「最後に地球を見せてあげたかった」と言う理由で、
かれらははやぶさに地球の写真を撮らせたのですってね。
ちっ、とんでもないロマンチストだぜ、日本の科学者たちって奴らは・・・(ぐすっ)
ところで今やっている竹内結子のはやぶさ映画、キャストは錚々たるメンバーなのに大コケしているとか。
そりゃーはやぶさが「ただいまー」(かどうかは知りませんが)なんてリアルにしゃべる映画、
誰も観たくないわ。
擬人化に萌える科学者の姿が感動的だからって、擬人化を本当にやってしまうなんて。
感動の本質ってもんをわかっとらん。
映画と言えば出口近くのコーナーでは「ロケを呉でしましたよ!」と大きく謳って、
年末の映画「山本五十六」の予告をがんがんと流していました。
はやぶさ映画の失敗ではないですが、最近の戦争映画の流れを観ていて、この五十六ものが
「良かれと思って」変な解釈や演出をした結果とんでもないことになるのではないかと、
一抹の不安にかられて仕方ないのはわたくしだけでしょうか。
やたら「戦争反対していた」ってことを前面に押し出して、
五十六が平和主義者だった、ってことばかり強調したりー。
「だから五十六は偉大だったんだ」って方向で、推進派を徹底的に悪者にしたりー。
なんか、観る前にそう言う流れが見える気がするの。
きっとこの予感当たると思います。
てつのくじら館はなんと無料。
就役を終えた「あきしお」の中に入れるというのが売りのミュージアムです。
ここにもリタイアしたおじさんたちが解説員として詰めていますが、
他と違うのは彼らは「元自衛官」であるということ。
なんでも「あきしお」の最後の艦長さんもいるというではありませんか。
スペースカウボーイではありませんがかつて厳しい訓練に耐え、掃海活動をしたかもしれない、
そう、爺さんは爺さんでもタダものではない爺さんたちなわけです。
海自の資料館についても日を改めます。
出てきたらちょうどお昼タイム。
前回火曜日でこの辺の施設が全て閉まっていて(T_T)
行けなかった海を望むレストラン「ビーコン」に行ってみました。
くじらの手前に見える丸い看板と水色のひさしがそれ。
前回仕方なく探索した大和公園(大和実物大体験公園)を望む場所にあります。
ただ地の利のいいお洒落なレストラン、という認識で味に全く期待せず入ってみたのですが、
どっこい、ここがなかなかのちゃんとしたレストランであるのにびっくり。
わたしは1600円のランチ、魚のコースを頼んでみました。
野菜はこだわりの取り寄せ、新鮮で盛りつけも行きとどいています。
テリーヌのようでテリーヌにあらず。
サトイモのマッシュをベーコンで巻き、上にはキャビアをのせた前菜。
パンは自家製でアツアツでした。
白身魚の料理には東京のレストランで(ロビュション、フォーシーズンズ含む)
なんども失望しているのですが(素材次第なのでシェフの腕ではカバーしきれない)、
ここのは、不味くて当たり前のタラを使ってカリッとした外側、ふわっとした身、ソースはかけずに味を押し付けず。
完璧です。
パンナコッタは、息子と争って食べました。絶品です。
そして、息子の頼んだ海軍カレー。
カレーは「士官用」と「兵用」があり、その違いは
「ローストビーフが付いているかどうか」
息子はご飯をお代わりして完食しました。
ちゃんと軍艦旗をつけてくれるのが嬉しい。
ちなみにこの旗、もらって帰りました。
もし呉を訪れたらぜひ立ち寄ってみてください。
フォーシーズンズホテルにも伍する腕利きのシェフ(とエリス中尉勝手に認定)の料理が、
リーズナブルなお値段で楽しめること請け合いです。
明日また移動なのですが、ホテルをチェックアウトしてからもう一度江田島行ってみようかな。
(さらに収拾がつかなくなって続く)