またまたまた、広島県呉に行ってまいりました。
前回は、前々回見学しそこなった大和ミュージアムと、どちらかというとこちらがメインだった、
海上自衛隊の資料館「てつのくじら館」を西日本行脚のついでに観る、という目的がありましたが、
今回は最初から呉が目的地。
話せば長いことなので話しませんが、少しだけ仕事がらみです。
今回は、海軍の町呉をどっぷりと探訪するための強力な案内人を得ての旅行。
その案内人とは、呉在住、元海上自衛官の今悠々自適、某艦船の艦長を最後に退職された方。
これはもう、行くしかないでしょう。
今回は新幹線ではなく、羽田から広島空港までANAを利用しました。
そしていきなりびっくり!
地方行きなのに、使用機がボーイング社の新型旅客機、ボーイング787だったんです。
それがどうした、と普通なら思うわけですが、この機体の最も画期的なのがウィンドウシールド。
普通の機体にある、シャッと手で降ろす日よけではなく、下のダイヤルを操作すると、
窓ガラスが暗くなって日差しを遮ってくれますが、外の視界を遮りません。
「なにこれ~!どうなってんの?」
13歳の息子とこの仕組みによって討論したのですが、息子の考えは
「温度が変わると二重ガラスの中の色が変わるんだと思う」
「でも、夏の日差しで温度が上がったらどうするの?」
飛行機から降りてさっそく調べたところ、正解は
2枚の薄いガラスの間にジェルの層が挟まれていて、
電流がジェルに加えられると化学変化によってジェルが暗くなる
というもの。
この説明では化学変化が温度の関するものかどうかは分かりませんが、少なくとも
二重ガラスの中の物質の変化によるもの、という息子説は正しかったようです。
前回新幹線から在来線に乗り換えての呉行きが結構大変だったので、
今回は空港からレンタカーを借りました。
移動だけが目的なので、究極的に燃費の良い車を指定したら、アクアになりました。
空港から往復して、買い物にも出かけ、満タンにしたらガソリン代が900円。
このガソリン高のご時勢に、これはすごいですよね。
高速道路も整備されたばかりで、途中のドライブインなど、綺麗で至れり尽くせり。
レストランがあり名産品は勿論、近くの農場の産である乳製品などを買うこともできるのです。
大和ラムネ見っけー!
大和では圧力装置を利用してサイダーを製作することができる、という話を以前
「海軍おやつ」という項でお話したことがありますが、まさにこんな瓶で売られていたのでしょう。
右の「平家物語絵巻」のレリーフは、なんとドライブインのトイレの壁の飾り。
用を済ませてドアを開ければ、そこにはこの作品がどーんと飾ってあるわけです。
日本人でも軽くビックリするのだから、外国人観光客は日本の底力?にさぞ驚くであろう。
なんでトイレにこんな渾身のアートが?って。
しかも、ここのトイレですが、広大な広さの全てのブースが洗浄器、暖房付き。
極寒の頃訪れても、寒さ辛さで震え上がることは無いわけで、全く日本って国は・・・。
こういう面のこだわりって、もう文字通りの「ヘンタイ」ですわ我が国ながら。
ドライブインで隣に泊っていた大学のバス。
IPU。環太平洋大学。International Pacific Univercitiy。
どうも体育系の大学のようですが、初めて知りました。
「ん~、『イプ』か・・・」と息子。
「『アイプー』じゃない?」と母。
広さ偏差値で言うと、日本大学の上、亜細亜大学と同レベルってところでしょうか。
こうなると次は『東半球大学』ついで『世界大学』の出現が待たれますね。
一時間後に呉到着。
もうすっかりおなじみになったyoume、「ゆめタウン」で夜ごはんを買ってチェックインしました。
たかがスーパーとはいえ、結構美味しいんですよ。お寿司とか。
部屋は、前回と全く(号数も)同じ部屋。
謎のトマソン椅子の付いているスィートルームです。
今回もホテルの御好意により、謎のアップグレードをしていただきました。
泊ったホテルは呉の駅前にあります。
この駅ビルは「クレスト」と言います。
昔、何もなかった戦中の呉駅前には「海兵団子」という広告塔がぽつんと立っていましたが、
今立っているのはこのようなもの。
ゆうわくをふりきる心 強い意志。
うーん、深い。あらゆる年齢層の、あらゆるシチュエーションに通じる標語ですね。
しかしなぜ五七五なのかとか、ここに看板を立てて人心に与える効果があるかとかは考えるまい。
この次の日から怒涛の「海軍ツアー」が始まるのですが、それは別の日にお話しするとして、
その元自衛官ご夫妻が、山の中の「趣味の自家菜園&泊りこみ小屋五右衛門風呂付き」
にご案内して下さいました。
そこに行く途中に通ったのが、ここ。
音戸の瀬戸でございます。
先日観た映画「太平洋の嵐」で、ミッドウェイに出撃する聯合艦隊がここを通るとき、
「狭いので単縦陣になって通る」
と主人公の偵察将校中尉が言うのですが、元艦長によると、
「ここは狭いうえに底も浅く、掃海艇のような小さい艦艇でもよほどの注意が必要だった」
というほど厳しい海峡だそうです。
当然のことながら、大和、武蔵などはここを通ることができず、回り道をしました。
その回り道をしたのがこちら。
ご夫妻の(というより奥様の)隠れ家から海峡を望む。
「ここを大和が通るときはすごかったでしょうね」
「ええ、まあそのころこの橋はありませんけどね」
隠れ家には電気が通じており、テレビは勿論電子レンジも使えます。
NHKの朝ドラをやっています。(観てませんが)
この後の「平清盛」には、元艦長も文句言い放題。
わたしはこのドラマの不調の原因として「王家問題」、ひいてはNHKの歴史認識問題に
注目しているのですが、インターネットなどせず、そんなことなど全く知らない艦長氏にとっても
「面白くない」ことは明確のようですね。
なぜ面白くないか、ということは全く解明できなくとも。
ここに来て初めて気づいたのですが、このあたりは清盛ゆかりの地でもあります。
地元は盛り上げようと記念館などを作り、企画を立ち上げ、一生懸命でした。
大河ドラマが「地元起こし」になるって、本当だったんですね。
かなりの観光客が臨めるというのも、どうやら本当だった模様。
奥様が
「今このあたりに来る人らって、みんな『清盛』目当てなんだけど、清盛はいいんですか」
「はあ、全く興味ありませんから」
「ふーん、変わっとるねー。なんで海軍なの」
「はい・・・。話せば長いのですが・・・」
なぜエリス中尉が海軍に興味を持つにいたったか、そう言えばここでもお話したことはありません。
ブログ開始当初、そういうことにしておいた方が気が楽?というか、それがタイトルでもあるので
海軍の誰かのファンになったから、ということにして今日まで来たわけですが、本当のところ
それはあくまでも「派生的なもの」かつ、「キャッチーなタイトルとしての理由」にすぎません。
実はたどっていけばそこには「自分が生まれた国、日本が好き」という原初的な理由、
しかし、知れば知るほど不思議な「国を愛させまいとする勢力による政治に対する不信」、
そして「日本の現状に対する不安と不満」があります。
いきなりこういう理由でブログを始めても、誰も読んでくれないと思ったものですから、
まあ、カルいところから語りだしてみた、というわけです。
カルい部分や表面的な部分も、わたしにとって語るべき重要さを持っていることに
違いは無いのですが。
雨が降っていなければここでサンドイッチの昼食を戴くはずでした。
奥の小屋は五右衛門風呂。
ここで採れた無農薬の野菜を、知り合いのレストランにおろしているそうです。
仲間が集まって星を見ながらワイワイやるのだそうで、理想のカントリーライフですね。
奥様はピザ焼きがまを作る計画をしていて、それが完成したらまたお邪魔する約束をしました。
この後見学などをすませて、もの凄い豪雨の中、お好み焼きを食べに行きました。
ところでエリス中尉、こころから広島県民に謝らなければいけないことがあります。
前回「そばと入れてソースで食べさせる広島風お好み焼きは下品」
などと断言してしまったことです。
すみませんでした。(AA省略)
お好み焼きと言えば「粉の塊り」
この思いこみと先入観すら覆してしまう広島風お好み焼きが存在することを知らなかったための、
全く失礼な暴言であることが判明したのです。
元艦長夫人が連れて行って下さった「呉で一番おいしいお好み焼き屋さん」それがここ。
どう美味しいのかが、目の前で焼いてくれる過程で少し分かりましたので分析してみます。
まず、薄いクレープを土台として製作。
そこにもやし、キャベツなどの具を載せてしばらく焼きます。
この後、ここにほんの少し溶いた粉をたらすのですが、粉はこれだけ。
ほとんどが野菜と好みで選べる肉、魚介類です。
「粉っぽい」という独特なチープな食感は、ここで払しょくされるのです。
ここからが問題。
一旦このように、お好みを二層に分けて各々しばらく焼きます。
店主に聞いてみると「これをやっているのはうちだけ」その理由は
「キャベツを直にじっくり焼いた方が美味いんじゃないかと思って」
そうですよねー!
玉ねぎのスープなんかでもそうですが、先にそれだけ炒めた方がずっと野菜のうまみがだせる。
よくわかってるじゃないかご主人!
山芋も、いきなり混ぜないでまず鉄板に落としてじっくりと焼いてから重ねます。
そして、奥に見えている蓋でしばらく蒸すように火を通すのですね。
因みに、この納豆の乗っているのはエリス中尉の注文なのですが、
このお好み焼きに何となく納豆をトッピングしたことを無茶苦茶後悔しました。
粉の少ない「そば無し」を頼むと、「そばの無いのを頼んでも意味が無い!」などと宣言され、
「どこの一流料理だよ」と文句の一つも言いたくなるようなお好み焼き屋ばかりではありません。
ここではそば無しも快く作ってくれます。
つまり広島で味わえる炭水化物の最も少ないお好み。
ああそれなのに、たっぷり入れた野菜の味が
みんな納豆の味と食感のせいで分からなくなってしまったからです。
やっぱり、一党独裁、全体主義というのはお好みにおいても駄目ですね。
あまりに個性の強すぎるリーダーがいると、その思想が全体を覆い隠してしまうという・・・。
何の話だ。
黄身が異常なくらい盛りあがっている、新鮮な卵を使っているのでこの状態。
お好み焼きというB級グルメでありながら材料に手を抜かない、これも美味しさの秘密でしょうか。
完成。
この後、本体が見えなくなるほどネギをかけられます(笑)
皆さん、呉にお立ち寄りの節には、呉市三条の「ポパイお好みハウス」へどうぞ。
広島式お好みが好きでない方も目からうろこが落ちることでしょう。
開けて次の日、呉最後の食事には、艦長夫人が作った野菜を卸している料理屋さんへ。
「たかだ」といいます。
奥さんは非常にこだわって手間暇かけた料理を出すのを喜びとしているような、
「料理人の鑑」。
自然食、という気負いもなく、しかし究極の新鮮な野菜と食材を使って、実に手のかかった、
しかも素朴でありながら美味しい料理を出してくれるお店でした。
アジの開きに、名前は忘れたけど特別な大根おろし。
問題の卵。
先日、新さんへのコメントで思わず自慢してしまいましたが、この卵を、アツアツのご飯にかけ、
極上醤油をたらしていただく卵かけご飯(TKG)。
日頃生卵などとんでもない、という息子がお代わりまでして平らげました。
シンプルなものほど素材の良さが問われますが、これなどその典型。
「卵って、生で食べても美味しいんだ」
あらためて知った気がいたします。
というわけで、呉にお越しの節にはぜひ中通り三丁目、三楽ビル一階の「たけだ」へ。
熱烈お薦めです。
というわけで、呉紀行、いよいよ海軍特別編に突入!