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横須賀軍港めぐりツアー~「ひゅうが」甲板のキリン

2013-04-13 | お出かけ


右 こんごう型ミサイル護衛艦「きりしま」DDG-174

左 あすか型試験艦「あすか」ASE-6104

横須賀軍港めぐりツアーもいよいよ終盤です。
この「あすか」ですが、去年の観艦式でお見かけしました。



この実験艦についてはこの時もお話ししましたが、
一番特徴的なのはシャープに突き出した艦首の形。
これは、艦首から錨をおろすときに、艦底に備えてある
バウソナーに間違っても当らないように。



向こうが「あすか」。
艦首のシャープさが良くわかりますね。

ってことがとても印象的なフネです。



実験艦は観測艦と違って武器を載せます。
ただしそれは艦のための装備ではなく、あくまでも
正式にどこかの艦に搭載するまでの一時的なもの。

「ひゅうが」が就役するまで、この「あすか」には
FCS-3(正式名00式射撃指揮装置)が搭載されていました。
「あすか」で実験したこの装置、今は「ひゅうが」に移され、
現在は基台だけが残っているそうです。




「ひゅうが」のどこかに写っていないかと調べたら、
ありました。
艦橋の上、大小のFCS-3のアンテナが写っています。
大きい方がC型のレーダーバンド面、
小さい方がX型のバンド。



はたかぜ型ミサイル護衛艦「はたかぜ」DDG-171

この「はたかぜ」にも観艦式で遭遇しました。



「しらね」と一緒に、祝砲を撃つ係。
ところで、この「はたかぜ」についている黒い大きな
スクリーン状のものにご注目ください。



はい、これですね。

これはSPS-52C三次元レーダーと言いまして、
この「はたかぜ型」に搭載されているアンテナです。

こう見えても幅が4.2メートルありますから、
「今いる部屋より広い」とおっしゃる人もいるかもしれませんね。

これはもともとアメリカ海軍が開発したものです。
最初のSPS-39型はいわゆるレーダーらしい曲面アンテナのもので、
1960年ごろに配備されていましたが、
この平面アンテナはその二代あとの後継型です。

この「はたかぜ」にはIFFアンテナも搭載しているそうです。
IFF即ち「敵味方判別装置」

これ、英語で言うとすごいんです。

Identification Friend or Foe
「友達か敵か認識する」

ってそのままやないかい!
なんというか、米海軍のネーミングもアツいわね。

昔、東急ハンズで買った「ポテトチップス用マジックハンド」

NBCS  No Broken Clutch System 
「対象物破損防止クラッチ機能」


NTTS   No Touch Table System
「指先机上非接触機構」


FECS  Finger Easy Cleaning System
疑似指先クリーニング機構


って説明書がついていたのを突如思い出しましたわ。



・・・で、これどうやって「友達か敵か見分ける」のかというと、

「電波を発射し、対象物に返信を要求する装置で、
電波を発射して既定の返信があれば友軍、
規定の返信がなければ敵軍と判別する」

相手が不幸にして所定の返信を忘れてしまったら敵認定で、
その時には容赦なくハープーンミサイルがぶち込まれます。

・・・っていうかこのシステム、
「アナタハワタシノトモダチデスカ~?」って相手に聞くだけで、
別に独自の認識機能があるわけではないじゃないような・・・。
「山!」と言って「川!」と返してこなければ敵、ってことでしょ?


ポテチハンドより内容に偽りありだ!





非常に特徴的な艦首のこれ、なんですか?
カメラ?



「むらさめ」型護衛艦「むらさめ」DD-101


「Destroyer」を駆逐艦と呼んで何が悪い!
と、わたしかつて実際にある護衛艦勤務の士官に
(もう少し違う言い方で)言ったことがあるのですが、
そのときこの自衛官はこともなげにこう言いました。

「言いますよ、駆逐艦」

あ、自衛隊の中の人は「駆逐艦」って使うんだ。
拍子抜けするとともに
「やっぱり軍か自衛隊かなんてしょせん言葉だけの問題だなあ」
と実感したわけですが。

因みにわたしはシステムの問題なら軍への変更賛成。
でも、「自衛隊」という言葉がかっこいいので、痛し痒し。
だって、たとえば「自衛隊員」。
これ、軍に名称変更になったらなんていうの?
やっぱり、軍人?

そちらはそのままにして、どちらかというとわたしは階級の
「三尉、一佐」を「少尉、大佐」に変えてほしい。



閑話休題、
この「むらさめ」は実になんというか、個人的感想ですが
「駆逐艦らしい駆逐艦」という気がします。


リムパックに3回参加。

国際観艦式で先導艦。

トラファルガー海戦200周年記念観艦式に参加。

イラク復興、インド洋、ソマリアと立て続けに派遣。


全く、八面六臂の大活躍とはこのことでしょう。
もっとも「むらさめ」型の駆逐艦はどの艦も、
かわるがわると言った感じで派遣されているのですが、
とくにこの「むらさめ」は一番艦らしく活躍の場が多い気がします。



ここにいた護衛艦の甲板で乗組員が
何やら整列しています。
この日は日曜でしたが、勤務があってそれが終了したのでしょうか。
後ろに立っている士官がこちらを見ていますが、
ここにいた2,3人の士官だけがこちらに向かって
「帽振れ」してくれました。

やっぱり士官には「帽振れ推奨」されてるみたいですね。



そうそう、言い忘れましたが、冒頭写真の「きりしま」、
これはイージス艦です。



174番の艦体には先日も説明した「イージス艦の印」
オクタゴンのアンテナがついていますね。(復習)

ちなみに、このイージス艦がSPY送信中は甲板に人は出られないとか。
というくらい強力な電波だそうで・・・。

怖い。
というか、もし甲板に出たらどうなるの?

これほど強力な電波でデータリンクをすることが即ち「楯」なので、
肝心の艦の装甲そのものは結構ヤワだと言う話です。

至近戦には弱いってことですかね。

しかし、すごい映像を見つけてしまいました。
この「きりしま」が、6発放たれた大陸間弾道ミサイルを、
1発残らず全てをハワイ沖の大気圏外で撃破して海に沈めるシーン。


http://www.youtube.com/watch?v=_pr9WY2Xyj0&feature=player_embedded

練度が半端じゃありません。
やはり海軍の系譜という感がありますね。



「むらさめ」のアンテナをうしろから。

ところで、こうやって海自のフネをいろいろと見てくると、
どの艦も・・・退役する「さわゆき」ですら、

どこにも全くサビが見当たらない

のに少し驚きませんか?
出港してすぐ、米海軍のイージス艦を少しアップにしてみたら、
そこら中が錆びだらけだったの、覚えてますよね?

アメリカは「問題なく運用できればOK」って感じですが、
なにしろ海自のフネは、今まで何度か内部を見た経験からも

「本当に本当にクリーン」(『バトルシップ』の監督談」

なのは間違いないのかも。
そういえば「日本海海戦『海ゆかば』と言う映画で、
日本海対戦前、「甲板洗い」「全員が入浴」「持ち場の大掃除」
そして、大砲には清酒をかけてお浄めまでしてましたっけ。


こういう明治時代からの「海軍精神」が、
結局海自になった今も受け継がれてるってことなんでしょうね。

少年工科学校などの教育課程でも、防大でも、「掃除」を
非常に重視しますが、少なくともアメリカは違うでしょうね。

掃除は掃除人の仕事、って思ってそう。




とかなんとかいろいろ見ているうちに、
最初の「ひゅうが」停泊地に戻ってきました。
これは出発前の写真。



この写真をアップしてみました。
YO36。
これは支援艦で、艦艇用の「油船」(ゆせん?)です。

つまり・・・・「ひゅうが」お食事中。

たしかにホースみたいなのが「ひゅうが」に挿入されてます。
そして、絶対に油船の船体が「ひゅうが」に当らないように
大きな丸いボールを間に挟んでいるのが興味深い。

しかし、この巨大な「ひゅうが」のタンクを満タンにするのに
こんな小さなフネで補給するんですか?

それから!よくよく海面を見てください。
うっすらと赤っぽいフロートで囲まれています。

これ、件のオイルフェンスですよね?!

わーい、大型艦でのオイルフェンスの使い方がこれでわかったぞ。




帰りに通りかかったら、「ひゅうが」ではこんな作業をしていました。
何をしているかさっぱりわかりませんが、
こんな小さなボートでもちゃんと自衛隊旗をつけているのが
なにやら微笑ましい。
たくさん垂れ下がっているのはホース?
それともボートを降ろしたロープ?





電話で上と連絡を取りながら。
これも、携帯が普及しているからこそ。
携帯以前のこういう作業はどうやって意志を確認したんでしょうか。
やっぱり手旗かな。



この作業の上部の様子。
6人もの作業員が仕事しています。

右から二番目の隊員が被っているのは
「ひゅうが」のキャップです。

ツアーも終わりに近づき、ガイドさんは最後のフネの説明。

「わたしは『ひゅうが』が一番好きなんですよ。
その理由は・・・・」




「甲板にキリンがいるからです!」




「ひゅうが」のの上のCIWSがカバーをかけられてお休み中。

こちらは子供のゾウさん?


というわけで、横須賀軍港ツアーは終わりました。
その日その日によって軍港は少しずつその顔を変えます。

今回とは違った何かが見られることを期待して、
またしばらくしたらここを訪ねてみるつもりです。



次回横須賀探訪シリーズ最終回。

「横須賀海軍カレー」の巻、こうご期待。