![]() | 東京島桐野 夏生新潮社このアイテムの詳細を見る |
ねっとりとまとわりつくような湿気のある熱帯夜の日に読んだ。
桐野さんの本はどれもジメジメした船底で読むのがふさわしいような内容である。
この本は、まさか人を喰ったりする本じゃないだろうな、とおそるおそる読みすすめた。
無人島に漂着した1組の夫婦と20数名の若者、そして中国人。
そこに決死のサバイバルが始まると思ったら、なんだか、東京の街の名前なんて付けちゃって、仲良し同士で固まる日本人、
生活力があり、船まで作ってしまう中国人。
この無人島においても、今の日本と中国の関係とシンクロしている。
リアルで、これでもか、というくらいの人間の負の部分を描き出している。
最後はなんだかきれいに終わってしまって、自分も風呂に入ってこざっぱりしたような気分になってしまったが、
果たしてこんな終わり方でよかったのか?
こんな終わり方しかなかったんだろうな。