ゆずりは ~子想~

幼い葉が成長するのを待って、古い葉が譲って落ちることから名付けられた「ゆずり葉の樹」。語りつがれる想いとは・・・

再会~34年ぶりに会う母(草稿2)

2009年11月26日 | 手放す~しがみつくのをやめる時
直江津駅は、横殴りの雨だった。

細かい雨が、駅や駅前広場をはげしくなぶる。

私は小さなスーツケースをゴロゴロ引いて、

駅レンタカーへ向かった。

お借りする車についてと、糸魚川方面への道順について伺い、

案内の方と一緒に外へ出ると、

さっきまでの激しい雨は止み、

曇り空へと変わっていた。

これで濡れずに済みました、ありがとうございます、という気持ちを

空を仰いでお伝えした。


小さなナビ付きの車に乗り、行く先をナビに入力。

海沿いの道を選択して、さっそく走行してみると、

見えてきた日本海は大荒れだ。

波は、私の目線と同じくらいに、いやきっともっと高く、

その大きな手を岸辺へサバンと振り下ろした。

海沿いの道は、通行止めになっていた。

高速道路の方へと道を戻る途中、親鸞上人ゆかりの公園を通った。

綺麗なところだな、と感じた。

雨がまた降ってきた。


到着したところは、晴れたら美しいであろう日本海と、

小さな神社のある弁天島が目の前の漁村だった。

道に迷い、入ったところには、白山神社という美しい神社があった。

もうすぐ着く。


ほんとうに海のそばに、そこはひっそりと建っていた。

小料理屋の看板と布がかかった小さな家、そこに母はいる。


小さな玄関のベルを鳴らし、出てきたのは21年ぶりに再会する母だった。

瞳の大きく、きりっとした顔立ちはそのままで、

だいぶ年をとった感じがするが、以前と変わらぬ様子の母だった。


「よく来たねぇ。さぁ上がって。」

嬉しそうな母は、私を抱きしめたかったに違いない。

私は応じる余裕はなかったから、抱き合いはしなかったが。


「来る前に、すんごく雷が鳴ってさぁ、すごかったんだよぉ。

大丈夫か心配だった。」と、お茶を準備しながら話す母の声は、

気持ちが高鳴っているのがわかった。

「そうでしょ、きっと雷さまが挨拶にきたんだよ。」って言ったら、

笑ってた。


到着したのが3時頃。

そのまま夕飯の時間6時くらいまで、ひっきりなしにしゃべっていた母。

何 か を 、必 死 に 、しゃべっていた。

うんうんと聴き続ける私。

私は、今日のこの日のために、カウンセリングの技術を学んだんじゃないか?と

思わずにはいられなかった。

そして、この技術はとても役に立っていた。





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