懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

ラブホ街の映画館ユーロスペースと「牡牛座」

2008-03-06 00:38:53 | Weblog
円山町に行き、カップル2組とすれ違う。二人の女の子が超カワイイ。そして、幸せそうな顔をしている。青春だなあ~。ほのぼの。

この、明るいトーンの建物の多いラブホテル街に映画館がある。妙なとりあわせだ。ナンパをやりすごし、映画館に入る。

せんだっての映画館「シネマライズX」よりは、ユーロスペースの方が中は「映画館らしい」つくりだった。椅子も良い方。

客層は、年配が多いが20代女性も見かけた。席は埋まってる方。

映画「牡牛座ーレーニンの肖像」ソクーロフ監督。

素晴らしかった!無理して行って良かった!

とにかく、ものすごく巧い人が作ってる映画。

内容以前に、もう、映画を作る技術の水準の高さに圧倒された。
俳優も、とても巧い。

始まってから長い間、上に薄い膜がかかったような映像の質感が、ずっと気になっていた。どうやったらあんな風に撮れるのだろう。自然も人も室内の机も、全ての映像が、一見、自然ながら品があって格調高く見える。

パンフによると、この映画のために軍関係の人に頼んで、特注レンズを作ってもらったのだという。どうりで。同じ質感の映像は見たことがない。(似たのはあるけど)

文章で書けることでなく、「映像で全てを語る」手法は、「ザ・映画」と思わせた。
万人受けする娯楽映画ではないが、映画通(含文芸映画)を持って任じる人は、絶対行くべき映画だと思う。
レンズにこだわるカメラ好きの人にも、一見の価値アリ?

自分は映画マニアじゃないけど、中身よりまず、映画作りの巧さに感嘆させられながら、ごく私的には思ったより眠くならずに見た。

ボキャ貧で、具体的な感動が書けない。

実用的な映画ではない、つまり「スカッとして次の生活の活力にしたい」なんて効用なら「パッチギ!」の方が遥かに上だ。けど、しばし日常の時間を遮蔽して、純粋に映画を見るための時間が、あってもいいと思った。

もっと顕在化して「映像美」「映像詩」や、一見しての派手な才気煥発さを意識する映画は、他にいくらもあるだろう。

一見自然で、何の変哲もないかのような室内や自然の光景の中に、監督が語りたいことを、さりげなく自然に、観客の心に近づけていく作為が潜む。

キスの巧い男は、間合いを取るのが巧い。

この映画の「リアルもどき」な映像は、例えていうならキスの巧い男のように、違和感なく観客に近づいていく。

「その技術力は凄い!」と思うけど、どうやったら、こういう風に映画が作れるのか全くわからない。そういう意味で、久々に極めて例外的な水準の高い「プロの仕事」を見た。この作品の生みの親、レンフィルム所長の芸術的教養に拍手!でした。

7日16時が最終上映らしい。興味ある人は行って正解!

(って強気すぎ?)

P.S.年譜によれば、レーニンは牡牛座ではなく牡羊座生まれらしい。

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