ロシア人風に言うと、まず、音楽:ハチャトリアンの「スパルタクス」なんでしょうけど。
でも、今回来日のバレエ公演「スパルタクス」の真の主役は、なんといっても、振付のグリゴローヴィチ、andボリショイ管弦楽団!
あとは、今時の若者たちのハチャメチャな奮闘を、好意的な目で、それなりに楽しむしかないかと。今のダンサーしか知らない人には、凄く見えると思うけど、やっぱムハメドフ位まで遡ると、頭切り替えないと・・・。
コールドは昔と違って、昔ほど揃わないけど、無軌道さに魅力?
そろって踊る気迫のシーンよりも、悪女エギナの活躍する、酒池肉林シーンとか、アナーキーな場面の方が、今の若者は得意に見える。
【座付きオケの魅力】迫力のサウンド、ボリショイ管弦楽団も帯同で、さらにパーヴェル・ソロキンの指揮が売りの、今回の来日公演「スパルタクス」なのだけど。
バレエ見始めた頃、私はクラファンではなかったバレエファンだったので、「座付きオケの魅力」については、劇場である時隣に座った人や、サイン待ってた時そこにいた人とお話していて、劇場でお話したクラシックファンの人々から、異口同音に解説していただいた。
劇場に付いてるオケ、座付きオケの場合、バレエとの一体感について、つぼを心得ているプロ集団なので、クラシックファンから見ても、答えられない魅力があるんだそう。
言われてみれば、なるほどと思って、その後、バレエと音楽の関係にも、意識が行くように自分も少し変ったみたい。
あの、イワン君でも、或いは私の見に行く1日のタトゥーの青年でも、それなりに見えるのは、一つには、オケが、主役を助ける演奏をしてる部分があるから。音楽・演奏の力は大きい。
もちろん、ハチャトリアンの曲も、グリゴロの振付、総指揮に統合されて、その一部として優れたオケ集団もあって、いっそう音楽の感動が観客に伝わりやすくなってると思う。
★ただ、後半の酒池肉林シーンが、ちょいエロいので、02年の来日公演の時、グラチョーワのエギナの時は、私は免疫が無くて、「バレエでこんなシーンが、東京文化会館であってい~のだろ~か???」と当惑幻惑しなくもなかった。(そういう風に、意識が振り回されるのは、自分には、半分楽しかった(?)けど。ちょっとびっくりした。)当時劇場で、2,3感想拾ったら、キモいという女性の意見と、エロいという意見と、面白いという意見(男性客)に分れた。
(でも、今は時代が違うから、今同じのを見ても皆、当時ほど驚かないかも。)
今回は、そこまでエロいエギナ役は出ないと思うので、同じようには思わないかもしれないけど。
このシーンのハチャトリアンの音楽も、とりわけ好印象。
★なお、素晴らしかった昔のダンサーによるスパルタクスについて、ネット画像検索したら、
MYスパルタクス、ムハメドフ様は、残念ながら、いいのがあんまりアップされてない。
以前ビデオで出てたのが、91年頃のが良かったのだけど。
●ユーチューブで見たら、84年べスメルトノワ、ガボービチとの共演が少し。
Spartacus_Mukhamedov_1984 Split
Spartacus 1984 The Bolshoi Irek Mukhamedov Gladiator's fight Swearing
●スターのセメニャカのフリギアとのつかの間の愛のアダージョ。
Spartacus Act III - Spartacus and Phrygia (Bolshoi)
等のタイトルで出ていた。いい踊りをしても、後世に画像が残らないと、今の時代は厳しいかも。
【巨匠グリゴローヴィチの若者指導力】
この人については、別で書こうかと思ったけど。一時期ボリショイを出て、他でいい仕事をして戻ってきて、岩田守弘さんや、ワシリエフ、ドミトリチェンコ、ボルチコフ、アレクサンドロワ、皆が彼について興味深い話をしてる。
一番愉快なのは、前に、総裁イクサノフ氏が語ってた、グリゴロ氏を使う理由。
グリゴロさんが来ると、「今時の若者たち」が、皆まじめに働く、とか。
バレエの話としては愉快だけど、視点変えて、今時の企業経営者から見たら、羨ましい話なんだろうね。
私はバレエ界の偉い人、というだけなら興味ないけど、グリ氏が稽古場に来ると、それまで普通だったダンサーたちが、ぴしっとなって、皆一生懸命やるって。
岩田さんのブログでの話が、状況が一番わかりやすい。
いわく、「遊びたい若手も、ふだんさぼってる中堅も、(え?さぼってる??でも、ボリショイのダンサーは一番まじめとも聞いたことあるのだけど・・。昔の話?)引退前のベテランも、」グリゴロ氏が部屋に入ってくると、誰がそれを告げたわけでもないのに、(まとうオーラみたいなものか?)皆が精いっぱい稽古してた、そして終わった後は満足げな感じだった、とか、不正確な再現だけど、そんなようなお話だった。
ロシア舞踊界の場合、権威のある人の前では、ふだん流してやりそうな人でも、真面目にコールドがそろうとかは、もともと聞いてたのだけど、グリゴロ氏の場合は、そういうのとは違うように思った。
グリ氏は、一度、「ボリショイの皇帝」の地位を持ってて、そうでなくなってから、却って、磨かれたのかもね、と私は思う。肩書きが昔程でなく、何もかも一から指導しなきゃいけない、格下バレエ団の色々なダンサーを相手に世界で仕事して、苦労もあったと思うけど、自分を曲げずに誠実に、或いは頑固に芸術職人をやってて、こうなったのかもね、と。(?)
皇帝の肩書を失っても、彼と仕事した人たちは、氏を尊敬し慕ってるみたいな様子は、その後のボリショイ以外の来日公演の客席で、私も見てきた。(自分のような観客にとっては、お金払って見るのだから、いい舞台を見せてくれるかどうかがキーで、人格とかは、半分どっちでもいいんだけど。)
それで今、若者たちを相手にして、芸術の深さを教えてゆけているのだけど、それ以前に、日本もロシアもさほど変わらないのかもしれない、「今時の若者たち」に、人生が輝くような、仕事へのよろこびに向かう気持ちに素直にさせてしまえる所は、どうやってるのかしらないけど、バレエ以外の話としても、上司たちも私の彼氏も、或いは中小企業の経営者さんとかが、おお~、と思いそうな話だと思った。
岩田さんの話は、ご本人の人柄を反映して、すがすがしく感動的だけど、語り手の個性で、色合いも変わり、ダンマガのアレクサンドロワのインタビューだと、もう少し厳しいトーンになっていた。「グリゴローヴィチは、とても厳格な方です。」「でも私は、その厳格さに感動すら覚える」(Me too)「人に対して、というより、時代の変化に対して、厳しい」だそうで、なるほどです。
ちなみに彼女、「私が観客や批評家の感想に、心を動かされる事は、ありません。」だって。
い~こと言うぜ、ね~ちゃん。
なお、そう言うアレクサンドロワの白鳥は、前回4人のプリマの中で、お客さんたちには、最低評価だったんだけど。
ちなみに前回順。1ザハロワ、2ダークホースのアントニーチェワ 3クリーサノワ、4アレクサンドロワ
’08年には、彼女は、ハンサムなシュピレフスキーと組んで、私の友人たちには、姫も王子もそこまで言うかと気の毒になるほど、酷評だった。今回スクボルツォフに相手を変えて、前回の雪辱なるか、の立場の人。(私は白鳥マニアなので、白鳥向きの人しか見ないので、パス。友人が誰か見るかどうか。)
前に、ダンチェンコで白鳥にはキャストされない、レドフスカヤの白鳥というのを、他バレエ団ゲストで見て、「白鳥」って、残酷な演目だと知った。ある程度、白鳥向きの資質というのも厳然とあって。レドフスカヤの場合、体型的にも難があったかなと。手脚がながく、すら~としていて、できれば首が細長いとか、頭小さいとか、なで肩、細肩、可憐、たおやか女らしく見えるとか、白鳥姿が似合うとか。色々と、いやらしい位、チェック項目があって。アプロンあっても、鋼鉄のようには見えないで軽みがあるとか。出来れば白のプリマで、という演目。
グリおじいさんの話から、それちゃったけど。今回、ご高齢の為か、さすがに来日は、されてないようで、残念。ベジャールもプティらも亡くなった今、氏には今少し、できればお元気で、若者たちを目を輝かせて生き生きと踊るダンサーに育てて行って欲しいと、願ってる。ご年齢的には、求めすぎかもしれないけど。まだまだ精力的だそうで、なによりです。85歳。
でも、今回来日のバレエ公演「スパルタクス」の真の主役は、なんといっても、振付のグリゴローヴィチ、andボリショイ管弦楽団!
あとは、今時の若者たちのハチャメチャな奮闘を、好意的な目で、それなりに楽しむしかないかと。今のダンサーしか知らない人には、凄く見えると思うけど、やっぱムハメドフ位まで遡ると、頭切り替えないと・・・。
コールドは昔と違って、昔ほど揃わないけど、無軌道さに魅力?
そろって踊る気迫のシーンよりも、悪女エギナの活躍する、酒池肉林シーンとか、アナーキーな場面の方が、今の若者は得意に見える。
【座付きオケの魅力】迫力のサウンド、ボリショイ管弦楽団も帯同で、さらにパーヴェル・ソロキンの指揮が売りの、今回の来日公演「スパルタクス」なのだけど。
バレエ見始めた頃、私はクラファンではなかったバレエファンだったので、「座付きオケの魅力」については、劇場である時隣に座った人や、サイン待ってた時そこにいた人とお話していて、劇場でお話したクラシックファンの人々から、異口同音に解説していただいた。
劇場に付いてるオケ、座付きオケの場合、バレエとの一体感について、つぼを心得ているプロ集団なので、クラシックファンから見ても、答えられない魅力があるんだそう。
言われてみれば、なるほどと思って、その後、バレエと音楽の関係にも、意識が行くように自分も少し変ったみたい。
あの、イワン君でも、或いは私の見に行く1日のタトゥーの青年でも、それなりに見えるのは、一つには、オケが、主役を助ける演奏をしてる部分があるから。音楽・演奏の力は大きい。
もちろん、ハチャトリアンの曲も、グリゴロの振付、総指揮に統合されて、その一部として優れたオケ集団もあって、いっそう音楽の感動が観客に伝わりやすくなってると思う。
★ただ、後半の酒池肉林シーンが、ちょいエロいので、02年の来日公演の時、グラチョーワのエギナの時は、私は免疫が無くて、「バレエでこんなシーンが、東京文化会館であってい~のだろ~か???」と当惑幻惑しなくもなかった。(そういう風に、意識が振り回されるのは、自分には、半分楽しかった(?)けど。ちょっとびっくりした。)当時劇場で、2,3感想拾ったら、キモいという女性の意見と、エロいという意見と、面白いという意見(男性客)に分れた。
(でも、今は時代が違うから、今同じのを見ても皆、当時ほど驚かないかも。)
今回は、そこまでエロいエギナ役は出ないと思うので、同じようには思わないかもしれないけど。
このシーンのハチャトリアンの音楽も、とりわけ好印象。
★なお、素晴らしかった昔のダンサーによるスパルタクスについて、ネット画像検索したら、
MYスパルタクス、ムハメドフ様は、残念ながら、いいのがあんまりアップされてない。
以前ビデオで出てたのが、91年頃のが良かったのだけど。
●ユーチューブで見たら、84年べスメルトノワ、ガボービチとの共演が少し。
Spartacus_Mukhamedov_1984 Split
Spartacus 1984 The Bolshoi Irek Mukhamedov Gladiator's fight Swearing
●スターのセメニャカのフリギアとのつかの間の愛のアダージョ。
Spartacus Act III - Spartacus and Phrygia (Bolshoi)
等のタイトルで出ていた。いい踊りをしても、後世に画像が残らないと、今の時代は厳しいかも。
【巨匠グリゴローヴィチの若者指導力】
この人については、別で書こうかと思ったけど。一時期ボリショイを出て、他でいい仕事をして戻ってきて、岩田守弘さんや、ワシリエフ、ドミトリチェンコ、ボルチコフ、アレクサンドロワ、皆が彼について興味深い話をしてる。
一番愉快なのは、前に、総裁イクサノフ氏が語ってた、グリゴロ氏を使う理由。
グリゴロさんが来ると、「今時の若者たち」が、皆まじめに働く、とか。
バレエの話としては愉快だけど、視点変えて、今時の企業経営者から見たら、羨ましい話なんだろうね。
私はバレエ界の偉い人、というだけなら興味ないけど、グリ氏が稽古場に来ると、それまで普通だったダンサーたちが、ぴしっとなって、皆一生懸命やるって。
岩田さんのブログでの話が、状況が一番わかりやすい。
いわく、「遊びたい若手も、ふだんさぼってる中堅も、(え?さぼってる??でも、ボリショイのダンサーは一番まじめとも聞いたことあるのだけど・・。昔の話?)引退前のベテランも、」グリゴロ氏が部屋に入ってくると、誰がそれを告げたわけでもないのに、(まとうオーラみたいなものか?)皆が精いっぱい稽古してた、そして終わった後は満足げな感じだった、とか、不正確な再現だけど、そんなようなお話だった。
ロシア舞踊界の場合、権威のある人の前では、ふだん流してやりそうな人でも、真面目にコールドがそろうとかは、もともと聞いてたのだけど、グリゴロ氏の場合は、そういうのとは違うように思った。
グリ氏は、一度、「ボリショイの皇帝」の地位を持ってて、そうでなくなってから、却って、磨かれたのかもね、と私は思う。肩書きが昔程でなく、何もかも一から指導しなきゃいけない、格下バレエ団の色々なダンサーを相手に世界で仕事して、苦労もあったと思うけど、自分を曲げずに誠実に、或いは頑固に芸術職人をやってて、こうなったのかもね、と。(?)
皇帝の肩書を失っても、彼と仕事した人たちは、氏を尊敬し慕ってるみたいな様子は、その後のボリショイ以外の来日公演の客席で、私も見てきた。(自分のような観客にとっては、お金払って見るのだから、いい舞台を見せてくれるかどうかがキーで、人格とかは、半分どっちでもいいんだけど。)
それで今、若者たちを相手にして、芸術の深さを教えてゆけているのだけど、それ以前に、日本もロシアもさほど変わらないのかもしれない、「今時の若者たち」に、人生が輝くような、仕事へのよろこびに向かう気持ちに素直にさせてしまえる所は、どうやってるのかしらないけど、バレエ以外の話としても、上司たちも私の彼氏も、或いは中小企業の経営者さんとかが、おお~、と思いそうな話だと思った。
岩田さんの話は、ご本人の人柄を反映して、すがすがしく感動的だけど、語り手の個性で、色合いも変わり、ダンマガのアレクサンドロワのインタビューだと、もう少し厳しいトーンになっていた。「グリゴローヴィチは、とても厳格な方です。」「でも私は、その厳格さに感動すら覚える」(Me too)「人に対して、というより、時代の変化に対して、厳しい」だそうで、なるほどです。
ちなみに彼女、「私が観客や批評家の感想に、心を動かされる事は、ありません。」だって。
い~こと言うぜ、ね~ちゃん。
なお、そう言うアレクサンドロワの白鳥は、前回4人のプリマの中で、お客さんたちには、最低評価だったんだけど。
ちなみに前回順。1ザハロワ、2ダークホースのアントニーチェワ 3クリーサノワ、4アレクサンドロワ
’08年には、彼女は、ハンサムなシュピレフスキーと組んで、私の友人たちには、姫も王子もそこまで言うかと気の毒になるほど、酷評だった。今回スクボルツォフに相手を変えて、前回の雪辱なるか、の立場の人。(私は白鳥マニアなので、白鳥向きの人しか見ないので、パス。友人が誰か見るかどうか。)
前に、ダンチェンコで白鳥にはキャストされない、レドフスカヤの白鳥というのを、他バレエ団ゲストで見て、「白鳥」って、残酷な演目だと知った。ある程度、白鳥向きの資質というのも厳然とあって。レドフスカヤの場合、体型的にも難があったかなと。手脚がながく、すら~としていて、できれば首が細長いとか、頭小さいとか、なで肩、細肩、可憐、たおやか女らしく見えるとか、白鳥姿が似合うとか。色々と、いやらしい位、チェック項目があって。アプロンあっても、鋼鉄のようには見えないで軽みがあるとか。出来れば白のプリマで、という演目。
グリおじいさんの話から、それちゃったけど。今回、ご高齢の為か、さすがに来日は、されてないようで、残念。ベジャールもプティらも亡くなった今、氏には今少し、できればお元気で、若者たちを目を輝かせて生き生きと踊るダンサーに育てて行って欲しいと、願ってる。ご年齢的には、求めすぎかもしれないけど。まだまだ精力的だそうで、なによりです。85歳。