懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

2/8「ライモンダ」アラシュ&ヴォルチコフ 第一幕

2012-02-25 18:42:04 | バレエ
2月8日、東京文化会館。

2003年の改訂版。振付・構成の骨子は、1幕の白い貴婦人の削除以外は、大きな改変は感じず。ただ、作品の意味する所は、印象変わった。夢の場の照明が'88年来日公演よりは明るくなっていた。

音楽:アレクサンドル・グラズノフ 原振付:M.プティパ/ゴルスキー 改定振付:Y.グリゴローヴィチ

ライモンダ姫:マリーヤ・アラシュ
婚約者ジャン・ド・ブリエンヌ:アレクサンドル・ヴォルチコフ
アブデラフマン:ユーリー・バラーノフ
指揮:パーヴェル・ソローキン 演奏:ボリショイ劇場管弦楽団

【第一幕】
幕が開くと、スパルタクスのアースカラーとは一転。白い舞台に明彩色のドレスの色彩美。

≪冒頭≫ 中世の貴族の男女十数名が、調和のある配列で優雅なポーズ。白と青や茶のアシメトリーの貴婦人のドレス、袖の裾、男性のマントが、白い舞台の床の上に、花を散らしたよう。一瞬の静止画。動き出すと、上体を傾ける角度、腕の動き、洗練され優雅で見とれる。ゆったりしたダンス。女性たちのプロポーションの良さ。

―わー、きれい!
ちょっと舞台の上が、名パティシエの作るスイーツみたい、とふっと思った。白い皿の上に、おいしそうなものが・・。
この幕開きの一瞬で、舞台に引き込まれた。

(第一幕:あらすじと流れ)

舞台は中世のフランス,ドリス伯爵夫人の城。
伯爵夫人の姪ライモンダと、その婚約者の騎士、ジャン・ド・ブリエンヌの物語。

1.城の大広間:十字軍の遠征で、ジャンは国王アントラーシュ2世に伴って出征する為、許婚のライモンダに別れを告げ、白いスカーフを渡して去ってゆく。一人残ったライモンダを、友人女性2名と、吟遊詩人の青年2名が、慰めて踊る。ライモンダは竪琴(リュート)を弾き、また、ジャンの渡したスカーフを持って舞う。

2.ライモンダの夢の場面:ここで白に紺の柄のチュチュのコールドが登場。バレリーナたちが一服の絵のように一瞬の静止を見せた時の美しさ。そして踊りだす。やや暗い青い照明の中、ひたひたと広がる静けさの中の躍動。これは、ライモンダの夢。

・恋人ジャンの幻影が現れて、姫と甘くロマンティックに踊る。
・友人二人のヴァリアジオンを踊り(現実のシーンとは別のバレリーナが踊っている)
・ライモンダのソロも導入。

⇒ジャンが去った後、舞台中央に、四角い黒い布の囲いから、見知らぬ異邦人が現れ、ライモンダの意識を脅かす。彼はライモンダに迫り、ライモンダは気絶して倒れる。⇒目が覚めたライモンダは、不吉な夢を見たと感じる。(何かの予兆?と、余韻を残して、幕。)

雑ですが、大まかに言って、こんな感じでした。

(客入り)まあまあ。
(観客)バレエに詳しい人や、今のボリショイ、主役のアラシュらを知ってそうなお客様が入ってる様子。1幕前半、舞台中央後方に、白騎士服,白マントに兜を被ったジャンが颯爽と登場すると、拍手。その後、ライモンダが舞台下手後方から登場し、ブーレで斜め前方に進むと、自然に拍手。といった調子で、安心して見ていられた。

(プリマ)褐色の肌に黒髪のアラシュは、フランスの姫の役より、中近東の姫でも通りそうな風貌。円熟期の発展を期待したが、それはなく、舞踊正味は、可もなく不可もなく。だが、リフト以外は終始笑顔。微笑ましかった。ディテールの繊細さは感じられなかったが、大崩れのない踊り。大バレエ団はコールドに認められた主役が入ることも大事で、その意味で今日の主役二人は良かった。年齢を重ねたチュチュ姿で、ウエスト僅かに緩め。リフトで笑顔が消えるのはそのせい?でも客席から見て、ヴォルチコフのリフトは、さほど不安定に見えず。

観劇中、私は不満はなかった。が、セメニャカの踊りを見ると、もっとクラシックのパが華麗に一つ一つくっきりと浮かび上がる。「ライモンダ」特有のポールド・ブラも、あまり印象に残らなかったが、これはこれで。

(ヴォルチコフ)踊りの光り方は、以前の合同ガラでの、ステパネンコとのパドドゥの方が印象上。だが全幕で、このスケジュールでよく頑張ってくれてた。ところでバレリーナが、ザハロワ等を除いて、他の人も、「リフトにはもう少し体重落とした方が」と思う体型なのは、なぜ?。

(アラシュ&ヴォルチコフ)大人のいい男といい女のコンビで、愛し合った雰囲気の演技は、自然。だが最初から大人の熱愛で、私のこの作品の理解(1幕の姫はもっとうぶ)とは異なった。とりあえず微笑ましい。嘘がなく安定した演技。ただ、はっとするような新鮮な演技ではない為、私は、ずっと表情を追う見方はせず。

(プリマと観客の呼吸)
要所要所を心得た拍手。満席ではないがいい雰囲気。いいお客さんが入り、1幕の途中で、今日の成功がほぼ見えた。途中でアラシュのソロがひとしきり入り、終わってお辞儀をすると、拍手。もう一回お辞儀すると、また、さざ波のように小さな拍手が入り、絶妙な呼吸。プリマのレべランスと、お客様の拍手で、いちいち挨拶してるみたい。かわいらしい。

(照明)アラシュの1幕チュチュは、ボディ:淡いブルーに、白スカート。これが、明るい照明から、やや暗めの幻想的な青い照明に変わると、私の席からは、プリマの衣装が全身白に変わったように見え、色の魔法みたいで素敵だった。(1階前方席では、こう見えないかも。)

<2幕以降は、次回に続く>

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