懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

羽生&コストルナヤ、2連勝 【フィギュアGPS NHK杯】

2019-11-24 16:50:31 | Weblog
羽生&コストルナヤ、大方の予想通りの順当勝ち。2連勝でファイナル出場決定!実力って。

(競馬で言えば銀行馬券で勝てるレースみたいな。対し今日のジャパンカップは、主役不在の混戦。)以下ちょっとコメント。

【羽生結弦選手】
「origin」、本当に、いい曲で、感じ入る。これって、この作品、本当は、哲学的な要素を孕むものなのだろうし(本人がどれほど自覚してるかは知らないけど)、フィギュアスケートでは、珍しい内容を持っている、と思いもした。

既に五輪金メダル2つ取って、競技選手としては、ある意味、頂点を極めた人が、原点に帰って、自分がスケートをなぜやるのか、みたいなことを思ったというようなことみたいだから。

もう金メダル2つ取って、この上、何の為に滑るのか?

去年は、原点に立ち返って、スケートに熱中した少年時代のアイドルだった、プルシェンコとジョニー・ウィアーの名作から想を得た、彼らへのオマージュみたいな作品を滑った。スケートが楽しかった頃の、自分が好きだった世界。

結局、今年は、何のために滑るのか?について、NHK杯のエキシでのインタビューでは、ファンの人たちの期待に応えたい、みたいなことを言っていた。(そういうタイプのスターもいるわよね。)

そういうのは、本人の自由だから、今後、別に変ってもいいと、私は思う。(変わらないかもしれないけど。)

そういう結論よりも、大事なのは、この「origin」は、頂点に立った成功者が、これからどうしようか、と自分を振り返る、自分とは何者なのか、何の為に苦行を押して滑るのか、金メダル2つ取ったのに続けるのか?、自分にとって本当に一番大切なものは何か、自分の真の望みは何か?欲しいものは何か?…等々、といったこと、なんていうのか、哲学的ともいえる問いを内包しているものだということ。

音楽が素晴らしいと思うのと同時に、改めて、こういう選択をした、羽生の知性と感性、その深さの魅力みたいなものを、ちょっと感じたので。

フィギュアスケートでは、あまり認識されてないけど、作品の内容も、本当は大事な要素だと、自分は思う。

・もう一つ、音楽について。
同じ曲なのに、プルシェンコが滑った時と、羽生が滑るのとでは、自分主観では、曲が少し違って聞こえる、と思った。どちらもとても魅力的で好きだけど。

プルシェンコのそれは、王者の滑りそのもので、特に弦楽器の響きとプルさんの足さばきっていうのか、素早くたたみかける様にリズムを刻み、メロディーを奏でる、あの足技のコラボ具合から伝わる、ニジンスキーという伝説的な芸術家に触発されたプルシェンコの芸術性と混然一体の技術に、ただただ圧倒される感じ。(うろ覚え)

羽生が滑ると、やはり弦の響きが心に、脳髄に染み渡るように感じるけれど、もの悲しい感じ、メランコリックな気分を誘う。

プルシェンコの時は、もの悲しいと感じた事は、自分はなかった。

羽生の滑りを見ながら、様々な事を想起させられるような、ちょっと、何かを振り返るような気分になったりする。心を掻き立てられる、凄く良い曲だと、いつも思う。

~途中で切ります。時間ある時に、また書けたら書くかな? とりあえず、他の選手の話をちょっとだけ。~

コストルナヤ選手
凄く自分に自信のありそうな、動揺しにくい性格の女の子なのかなと思うけど。彼女をNHK杯に送り、ロシア杯に最強トゥルソワを配したのは、大正解だったかも?と思った。

アウェーでも、この強さ。あの性格は、試合で強いなと思った。高く跳べた時の3Aは、長く宙に浮いていて、好き。軽さもある。

瞳の色が薄く、アップの顔が、映像映えする。(ついでに、エキシでステッキ持って出てきたので、それなら、あの髪型・容姿なら、シルクハットも似合うかも?と思った。)

対し、紀平の3Aやジャンプの欠点は、ジャンプの高さが低いと前に書いたけど、それとリンクして、滞空時間があんま長くない、って、致命的な欠点がある。

ザギトワ選手のエキシ】人が生まれて死ぬまでを表現して、最後に小さな花が咲く、というもの。死は無ではなく、また、新たな命となって生まれてくる、みたいな。(彼女が、恩師が亡くなって考えた事が、そのまま表現されていたと思う。その意味で内容的に、大変素晴らしかった。)感動した。
(もちろん、SPはきれいさに目の保養だったし、FSはいい出来で、TV映えも。)

山本草太選手の佇まいとか表現とか】
SP「エデンの東」。しばし,足をとめて、見ていたくなる。実は時間なくて、見るのやめようと思ったけど。とどまった。
ジャンプミスはあっても捨つるに惜しい、何か、みていたくなる雰囲気はあって、持って生まれたものに恵まれている、っていうのか。エデンの東、の音楽がとても良くて、しかも、山本選手に、凄くあってるように見えた。(前は、町田樹元選手の、五輪あたりでやってた演目のような気がするが、今は、山本選手が一番しっくりくるかな、と思ってみた。)人徳っていうのか、そういうのもちょっと感じるし。

ノーブル、と思ったんだけど。ベストな形容思いつかないのだけど、優雅さ、品があるとか、清潔感があるとか、なんていうのか、すがすがしさっていうのか、特別、クラシックバレエを重点的に習ったとかでもなくて、持って生まれたもの、或いは育った環境とかで、自然に培われた良さみたいのが、ある人なんではないのかな?と思った。で、技術的には、いい出来でもなかったようで、もう、こういうのは、ジャッジ的な事じゃなくて、主観で、好きとか嫌いの問題で、自分らは、この人のスケートの世界が、好きなんだと思った。フィギュアには、いいか、悪いかを判定する面があるけど、そういう、点を突けることがすべてでもなくて。好き嫌い、っていうのも、最終的にはあるって開き直りも必要なのが、フィギュアスケート。

ところが、FSでは気を吐き、順位を上げた。
二度の骨折、足首、3度手術してるとか、だっけ、エキシで言ってたような気がする。そんなことまで分らずに、FSを見た。

表現的に、良かったと思う。曲も良いし、内容にも、編曲も凄くあってた。
思うに任せない所で多少苦しい思いをしているくだりの表現なども含めて、悪い意味でのオーバーアクトにもならず、内面性のある表現はしっかり感じ取れるけど、全て何か、きれいさがあるっていうか、苦悶の感情表現をしても品性がある。

骨折とか、手術とかの影響か、全てしなやかにやわらかく全身を使いこなす動きではなくても、怪我に苦しみ、頑張って復帰した人の身体を使っての動き、何か、今使える身体なりのきれいさ、っていうのか、そういう山本選手なりの、きれいな動きになっていて、自分的には何となく怪我の影響は感じていたので、そういう所も、むしろ戦績っていうか、いい意味での、表現的な重みみたいな所にもつながっていて、品のある動きのきれいさって、見かけのきれいさでもあるけど、その中に、山本選手の、諦めずに前向きに努力した、心ばえのうつくしさみたいなものも感じた。

今回の試合は良かったけど、怪我とかのケアも大事なので、無理しすぎず、自分の幸せを考えて生きて、これからも素敵な山本草太さんであり続けていてくれたら嬉しいと思った。(私は羽生のファンなので、そんなに熱心に追ってみてる方ではないのだけど。とてもいいものを持ってる選手だと思いました。)

【NHK杯以外も含めて、ジャンプの飛形のこと】
ロシアの男子と女子の、4回転の飛形とかの違いが面白い。
それに性格の違いも。男子は年齢相応。女子はしっかりしてて、試合では大人なメンタル。

島田高志郎選手】
SP;好きになった女性が病気になってしまった、というお話。
この衣装好きかも、と思ったのと、テーマ、作品の内容選びが、青春期の男性らしくて、納得というか、好感が持てるのと。(自分の心の世界から見て、しっくりくるものをやっているんだと思うので。)

感情表現、感情の高まりを全身から表出させようとすると、そこでツイズルの所?かなんかで転倒になって、感情表現の方は良くても、心を込めて演じようとする時に、技術をミスせず行うのは、感情表現しないより難しいというか、その辺のバランスコントロールの難しさを思った。
いい演技だったと思う。

FSも、やっぱり恋愛の事を題材にしてて、フィギュア男子では珍しいけど、年ごろの、青春期の男性の普遍的な感性を表現してる所、たぶん、そういう愛とかの世界が、心の世界にあるからできる事なのだろうし、長身、小顔、長い手脚と感受性豊かそうな資質、現代の若者っぽいセンスの良さを感じさせるステージングで、昔の日本人とかなり違う感じ。メンタルも、いい意味で今風。

これからの活躍の期待される逸材、なのだろうけど、山本選手と島田選手、二人とも、女子の日本人選手より、表現力に長けていて、自然に演じられてしまうようで、この辺も好感を持った。

今回、羽生選手とともに、日本の男子3選手、それぞれ、作品の内容がしっかりあって、内容が良くて本人にあっていることも、目を引いた。

【エキシビションの最初にサプライズ】
なんと、本田武史&ペア解説者の方が(お名前ど忘れした)現役の頃のHNK杯エキシで即席ペアを組んで、観客を沸かせた映像を流していて、油断してて録画できなかった。面白かったけど、最初にやるとは。今の選手はこんなのやらないけど、見てる方には、こういう企画は面白い。

それと私はバレエファンなこともあって、ジュニアとかの上手な選手が出ていたが、
吉田・西山ペア (ジュニア)の、 「ドン・キホーテ」。凄く良かった!あの振付で、シニアもやってほしい位、ドン・キホーテの世界をよく伝える振付、編曲で。こういうのが観たい。バレエの「ドン・キ」の世界そのもので楽しかった。

他、男子3位のカナダの選手のFS「シンドラーのリスト」あたりも良かったし。ついでに、NHK杯は、シングルだけじゃなく、ペアとアイスダンスやってくれるのも良かった。

【表彰式の月桂樹】
渡された月桂樹の冠を頭にかぶってお辞儀をすると、落ちてしまうのか、羽生選手がしばらく手に持っていて、女子金メダルのコストルナヤ選手は要領よくそれを頭に斜め気味に被ってて、それを見たのか、羽生選手が、同じように被りなおしていたような気がした。

長いので、以下自粛。雑で失敬。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする