TVのコマーシャルで、「白鳥の湖」公演の宣伝を見て、行きたい気もしたけれど、やっぱり巣ごもり生活なので。
(こんな調子なので、イベント関係者は来てくれるお客さんを大事にした方がいいと思った。
何となくずっと守りに入って、イベントもGO TO EATとかも何もなく、半年以上が過ぎている。)
そのコマーシャルをきっかけに白鳥の湖が見たいなと思って、ネット検索したらセルゲイ・ポルーニンの「白鳥の湖」公演映像が2つ。
一つはノボシビリスクバレエのだったかな、セルゲイエフ版みたいな感じの振付
もう一つはダンチェンコのブルメイステル版で、金髪のナタリア・ソーモワ(マリインカのソーモワとは別の人)主演。
白鳥中毒だったのか、どちらも面白く見た。
前者は、3幕の振付は普通だけど、プリマとのアダージョの情感が、後者よりたっぷり。
後者は、やっぱりブルメイステル版はいい!!!と感動。
さらに、先だって61歳の若さで訃報が届いた、パリオペラ座のアンファンテリブル、パトリック・デュポンが同バレエ団の芸術監督だった当時のゴキゲンな舞台、ブルメイステル版「白鳥の湖」を見て、(オペラ座を解雇されたP.デュポンだったけど、その割には、彼の死を悼んで、バレエ団HPで、その幾つかの踊りの動画集と、彼の手がけた「白鳥」全幕映像も期間限定で流してた。)
ブルメイステル版「白鳥の湖」、
本家のダンチェンコと、分家のパリオペラ座。
パリオペラ座のアカデミズム、管弦楽団の素晴らしすぎる演奏と毛利氏衣装の独創の中で、同じ振付もずいぶん雰囲気が違って見えて、2つ見ると、この名版の奥深さが嬉しい。
1幕が特に良かった。道化の動きが、よく訓練された身体がチャイコ名曲に乗り、縦横に動いて目の栄養。基礎のしっかりしたパリオペラ座の手にかかると、同じブルメイステル版でも、何だかボリショイのグリゴローヴィチ振付を見ているような錯覚があった。
バレエ教師が良くて、基礎がしっかりしていることは、この二つのバレエ団の共通項で。
ダンチェンコは本家の良さ満載。アンサンブルが特に3幕の迷宮シーン(観客が悪魔舞踊団と名付けたシーン)、音楽の意図を最も正確に伝える振付として実現している所が素晴らしく、おいしすぎる、自分的には何度見ても飽きない。
それと、やっぱり2幕とかの白鳥姫と王子の白いバレエは、ダンチェの方が全然正統的に、青年と乙女のロマンチックな様子をクラシックバレエでやってる良さを味わえる。(二人の情感は、さらに上述のノヴォシビリスクバレエのプリマの方が、ポルーニンの王子とラブラブで面白い)、
と自分は思うけど。
パリオペラ座は、白鳥黒鳥がマリクロード・ピエトラガラで、(きっとデュポンの気に入りで、ヌレエフは彼女を白いプリマとしては認めようとしなかったみたいで、つい、ヌレエフの気に入りのシルヴィ・ギエムのことも思い出していた。)
出演者、脇に、王子の友人でニコラ・ル・リッシュ(やっぱり定番の滞空時間のある大きなジャンプがさらにバレエを盛り上げる)とか、モニク・ルディエールっぽい人がいたり、アニエスもいたかな。
パリオペラ座のオールドファンが喜ぶかも、なキャスト。3幕のナポリかなんかの衣装がカラフルで、パリコレクションをバスティーユでしました、みたいな面白さもある。ロシアとフランスで文化が違うので、2つのバレエ団で1つの版が上演されると、文化の違いも面白く見られる。
ダンサーとしてだけでなく、名振付を引っ張ってきてパリオペラ座ならではの良さを加味して上演にこぎつけた、芸術監督としてのP.デュポンの手腕、格調高いチャイコのグランドバレエの監督においても、P.デュポンがここまでやれるというものを示していて、数ある実績の中で、これが今回の訃報にまつわる追悼でのweb公開の動画に選ばれて、自分的にはとても良かったと思った。
ソロや他の演目で見たデュポンとは少し別の良さを見られた。(この全幕は、90年代にも自分は見ていたけど、すっかり記憶のかなた)
(ザハロワ主演のミラノ・スカラ座のブルメイルテル版「白鳥」もDVDはあった。あちらは1回位しか合わせてないときいたような気がするけれど。(今の時代で見ると、ザハロワの最高の踊りでなくても、映像が残ってるだけ有難いかも。若い時のザハロワの美貌美肢体も見られるし。相手も人気ダンサー。DVD出るのが羨ましい)
パリオペラ座のはDVDが出ていて(今は入手できるか未確認。在庫なし)、当時は、こんな成果の影に、デュポンが上層部との軋轢を抱える苦労もしながら、芸術監督として走り続けていたことなど知らず、その成果だけを享受していた。自分はパリオペラ座のファンじゃないし、あまりそこの内部事情は知らず、バレエ友達から昔、ボリショイとパリオペラ座には上層部に魑魅魍魎がいる、と聞いてただけだった。
デュポンのその後とか、人生の明暗については、今回の訃報で、チャコットwebマガジンの記事に割と細かく出ていた。
(パリオペラ座の批評でよく出る、渡辺真弓氏も、NBSのwebマガジンでデュポンの死を悼んでいて併読するといいかも)
華々しい成功に彩られた前半生と、暗転の後半生。ただ、晩年も後進を育てる時は陽気な人みたいだったけど。
ところで私事だが、昔、詩人で劇団主催者の故・寺山修司の通夜と葬式に行ったとき、通り一遍のしつらえでないこと、棺が独創的で美しくて感心したりとか、やはりそこは芸術家のイベントなので、アートな雰囲気で目を見開かれた事がある。
後はプリンスがなくなった時、渋谷の映画館で彼の映画を上映してたけど。
アーティストの葬送とか、見送り方は、それなりのものが見合う。
ごく私的には、華やかな「パリオペラ座のブルメイステル版」のステージと素晴らしい管弦楽団によるチャイコの演奏は、かつてバレエ界を席巻した寵児・パトリック・デュポンを見送るのに相応しい音楽&舞台となっていた。
悲しい気持ちよりも、明るい気持ちで見送りたい人もいる。
かつて寺山修司が亡くなった時、これからも好きでいることに変わりないので、通夜と葬式は行っても、あまり悲しい気持ちに溺れるというでなく、故人に感謝を心で伝えて、これからも好きでいるし追い続けると心で思い直す総括の儀式のようになっていた。
パトリック・デュポンは特に好きなダンサーではなかったけれど、面白い事や美味しいものが大好きそうな陽性の個性が印象に残り、暗く悲しいトーンは彼に似つかわしく思えなかった。
「白鳥」第3幕の華やかなファンファーレのような曲で見送りたくなる、そんなダンサーだった。
パリオペラの放蕩息子、天国に帰還。
合掌。
あれ?セルゲイ・ポルーニンの白鳥の話が抜けてしまった。
そのうちブルメイルテル版「白鳥」の話を、書けるかなあ?
東京バレエ団でも上演したし、あと、一部アイデアを使ってたのが、牧阿佐美版「白鳥」(新国立劇場ので、今回吉田監督就任により廃版みたい)と、Kバレエの熊川版だったと記憶している。
散漫失敬。(私はパリオペラ座のファンでは全くなく、このバレエ団に詳しい方でもないので、間違いあったらすいません。)
何でこんなにあせっているのかというと、フィギュアスケート世界選手権、コロナが心配だけど、やっぱりやるみたいで、24日夜は、この頃思い入れ入ってるアレクサンドラ・トゥルソワ選手が、たぶん出るみたいなので、・・・。
世界選手権は順位よりも、無事で大会終わって、っていう気持ちが強い。(コロナでやらないかと思ってたけど、やるらしい。)
「白鳥の湖」に感動しすぎてスイッチ切替が大変。
by巣ごもり舞台鑑賞
(こんな調子なので、イベント関係者は来てくれるお客さんを大事にした方がいいと思った。
何となくずっと守りに入って、イベントもGO TO EATとかも何もなく、半年以上が過ぎている。)
そのコマーシャルをきっかけに白鳥の湖が見たいなと思って、ネット検索したらセルゲイ・ポルーニンの「白鳥の湖」公演映像が2つ。
一つはノボシビリスクバレエのだったかな、セルゲイエフ版みたいな感じの振付
もう一つはダンチェンコのブルメイステル版で、金髪のナタリア・ソーモワ(マリインカのソーモワとは別の人)主演。
白鳥中毒だったのか、どちらも面白く見た。
前者は、3幕の振付は普通だけど、プリマとのアダージョの情感が、後者よりたっぷり。
後者は、やっぱりブルメイステル版はいい!!!と感動。
さらに、先だって61歳の若さで訃報が届いた、パリオペラ座のアンファンテリブル、パトリック・デュポンが同バレエ団の芸術監督だった当時のゴキゲンな舞台、ブルメイステル版「白鳥の湖」を見て、(オペラ座を解雇されたP.デュポンだったけど、その割には、彼の死を悼んで、バレエ団HPで、その幾つかの踊りの動画集と、彼の手がけた「白鳥」全幕映像も期間限定で流してた。)
ブルメイステル版「白鳥の湖」、
本家のダンチェンコと、分家のパリオペラ座。
パリオペラ座のアカデミズム、管弦楽団の素晴らしすぎる演奏と毛利氏衣装の独創の中で、同じ振付もずいぶん雰囲気が違って見えて、2つ見ると、この名版の奥深さが嬉しい。
1幕が特に良かった。道化の動きが、よく訓練された身体がチャイコ名曲に乗り、縦横に動いて目の栄養。基礎のしっかりしたパリオペラ座の手にかかると、同じブルメイステル版でも、何だかボリショイのグリゴローヴィチ振付を見ているような錯覚があった。
バレエ教師が良くて、基礎がしっかりしていることは、この二つのバレエ団の共通項で。
ダンチェンコは本家の良さ満載。アンサンブルが特に3幕の迷宮シーン(観客が悪魔舞踊団と名付けたシーン)、音楽の意図を最も正確に伝える振付として実現している所が素晴らしく、おいしすぎる、自分的には何度見ても飽きない。
それと、やっぱり2幕とかの白鳥姫と王子の白いバレエは、ダンチェの方が全然正統的に、青年と乙女のロマンチックな様子をクラシックバレエでやってる良さを味わえる。(二人の情感は、さらに上述のノヴォシビリスクバレエのプリマの方が、ポルーニンの王子とラブラブで面白い)、
と自分は思うけど。
パリオペラ座は、白鳥黒鳥がマリクロード・ピエトラガラで、(きっとデュポンの気に入りで、ヌレエフは彼女を白いプリマとしては認めようとしなかったみたいで、つい、ヌレエフの気に入りのシルヴィ・ギエムのことも思い出していた。)
出演者、脇に、王子の友人でニコラ・ル・リッシュ(やっぱり定番の滞空時間のある大きなジャンプがさらにバレエを盛り上げる)とか、モニク・ルディエールっぽい人がいたり、アニエスもいたかな。
パリオペラ座のオールドファンが喜ぶかも、なキャスト。3幕のナポリかなんかの衣装がカラフルで、パリコレクションをバスティーユでしました、みたいな面白さもある。ロシアとフランスで文化が違うので、2つのバレエ団で1つの版が上演されると、文化の違いも面白く見られる。
ダンサーとしてだけでなく、名振付を引っ張ってきてパリオペラ座ならではの良さを加味して上演にこぎつけた、芸術監督としてのP.デュポンの手腕、格調高いチャイコのグランドバレエの監督においても、P.デュポンがここまでやれるというものを示していて、数ある実績の中で、これが今回の訃報にまつわる追悼でのweb公開の動画に選ばれて、自分的にはとても良かったと思った。
ソロや他の演目で見たデュポンとは少し別の良さを見られた。(この全幕は、90年代にも自分は見ていたけど、すっかり記憶のかなた)
(ザハロワ主演のミラノ・スカラ座のブルメイルテル版「白鳥」もDVDはあった。あちらは1回位しか合わせてないときいたような気がするけれど。(今の時代で見ると、ザハロワの最高の踊りでなくても、映像が残ってるだけ有難いかも。若い時のザハロワの美貌美肢体も見られるし。相手も人気ダンサー。DVD出るのが羨ましい)
パリオペラ座のはDVDが出ていて(今は入手できるか未確認。在庫なし)、当時は、こんな成果の影に、デュポンが上層部との軋轢を抱える苦労もしながら、芸術監督として走り続けていたことなど知らず、その成果だけを享受していた。自分はパリオペラ座のファンじゃないし、あまりそこの内部事情は知らず、バレエ友達から昔、ボリショイとパリオペラ座には上層部に魑魅魍魎がいる、と聞いてただけだった。
デュポンのその後とか、人生の明暗については、今回の訃報で、チャコットwebマガジンの記事に割と細かく出ていた。
(パリオペラ座の批評でよく出る、渡辺真弓氏も、NBSのwebマガジンでデュポンの死を悼んでいて併読するといいかも)
華々しい成功に彩られた前半生と、暗転の後半生。ただ、晩年も後進を育てる時は陽気な人みたいだったけど。
ところで私事だが、昔、詩人で劇団主催者の故・寺山修司の通夜と葬式に行ったとき、通り一遍のしつらえでないこと、棺が独創的で美しくて感心したりとか、やはりそこは芸術家のイベントなので、アートな雰囲気で目を見開かれた事がある。
後はプリンスがなくなった時、渋谷の映画館で彼の映画を上映してたけど。
アーティストの葬送とか、見送り方は、それなりのものが見合う。
ごく私的には、華やかな「パリオペラ座のブルメイステル版」のステージと素晴らしい管弦楽団によるチャイコの演奏は、かつてバレエ界を席巻した寵児・パトリック・デュポンを見送るのに相応しい音楽&舞台となっていた。
悲しい気持ちよりも、明るい気持ちで見送りたい人もいる。
かつて寺山修司が亡くなった時、これからも好きでいることに変わりないので、通夜と葬式は行っても、あまり悲しい気持ちに溺れるというでなく、故人に感謝を心で伝えて、これからも好きでいるし追い続けると心で思い直す総括の儀式のようになっていた。
パトリック・デュポンは特に好きなダンサーではなかったけれど、面白い事や美味しいものが大好きそうな陽性の個性が印象に残り、暗く悲しいトーンは彼に似つかわしく思えなかった。
「白鳥」第3幕の華やかなファンファーレのような曲で見送りたくなる、そんなダンサーだった。
パリオペラの放蕩息子、天国に帰還。
合掌。
あれ?セルゲイ・ポルーニンの白鳥の話が抜けてしまった。
そのうちブルメイルテル版「白鳥」の話を、書けるかなあ?
東京バレエ団でも上演したし、あと、一部アイデアを使ってたのが、牧阿佐美版「白鳥」(新国立劇場ので、今回吉田監督就任により廃版みたい)と、Kバレエの熊川版だったと記憶している。
散漫失敬。(私はパリオペラ座のファンでは全くなく、このバレエ団に詳しい方でもないので、間違いあったらすいません。)
何でこんなにあせっているのかというと、フィギュアスケート世界選手権、コロナが心配だけど、やっぱりやるみたいで、24日夜は、この頃思い入れ入ってるアレクサンドラ・トゥルソワ選手が、たぶん出るみたいなので、・・・。
世界選手権は順位よりも、無事で大会終わって、っていう気持ちが強い。(コロナでやらないかと思ってたけど、やるらしい。)
「白鳥の湖」に感動しすぎてスイッチ切替が大変。
by巣ごもり舞台鑑賞