懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

労力

2019-07-01 16:55:01 | バレエ
(本題に入る前に。ミハイロフスキーバレエの公演で、ナチョ・ドゥアト版の「眠り」全幕上演に当たって、ルジマートフがカラボス役で出る、ってでてた。だけでは「???」と思うばかりだったけど。宣伝用の舞台写真の、カラボスと周囲が、メイクとか、センスがあって、これなら見てもいいかな??って、自分的には、ちょっと思った。舞台は振付だけでなく、メーク、衣装、微調整も大事。)

(時に、(皆もう知ってると思うが)吉田都引退興行の「バレエの饗宴」を8月にやるのは、既に完売だと。

たぶんTV中継やってくれるかな?っと。)


さて、本日の本題。
春にやった公演のTV放送の録画、そろそろ消そうか?と思って、さっとみたら、ついつい引き付けられて、見てしまい・・。

結局消せなかった。

「NHKバレエの饗宴2019年」。


つい見てしまったのは、途中からの録画になった、東京シティ・バレエ団 『Octet』。

割いた労力が伝わる、好舞台。

ウヴェ・ショルツの振付(照明や衣装も、全部この人が担当みたい)が、優れてたこともあるのだろうけど。

それだけではなく、こういうストーリーの無いバレエの場合、やってる側が相当一生懸命やらないと、なんとなく、そんなに見たいと思わずに終わってしまう。やっぱり、この東京シティバレエ団のに限らないんだけど、「消そうと思ったのについ、見てしまう」ような視聴者心理に陥るのは、上演してる人たちが、この作品に、集中してかなり労力を割いてる、見えない部分が引き起こしてる結果なのだろうと思った。

この頃、TVで放送されるものは、ジャンル問わず、そんなにエネルギー割かれてない物も多い。同じTVという媒体だったから、ごく私的には、このバレエ公演の中継の番組は、例外的で目立ったのだと悟った。

振付は、ちょっとバランシンの一部の作品に似てるかな?と思ったけど。振付家のユニークな創意を、活かすのはダンサーたち、と、バレエ団の指導側。見ていて面白い振付を、よく訓練されたダンサーたちの集合体が、印象に残り、品もある舞台にしていた、としか書けなくって、具体的に上手く書けないんだけど。しいて言えば音楽との絡み具合も良かったとか、それは思った。

(全体的に、井田勝大氏の指揮も良かったんじゃないかと思う)

・自分的に残念だったのは、カーテンコールの東京バレエ団「セレナーデ」。最初に登場したので、途中からの録画では、完全に見逃しで。
で、カーテンコールだけでも、彼らの創造した「セレナーデ」の世界、登場でさぁ~っと舞台の空気を精霊たちの様な清涼感で包んでいて、何となく、カーテンコールから、どんな舞台だったのか、気配が伝わってきた。

東京バレエ団と言ったら、以前はベジャールとか男性バレエとか、或いはグランドバレエも印象に残ってて、自分的には、東バの「セレナーデ」って、逆に思いつかなくて、ちょっと新鮮だった、かも。(たぶん近年、女性のバレエの方も、力入れてて、レベル上がってる状況なのだろうと思ったり。)

・最後の演目:牧阿佐美バレエ団「ドン・キホーテ」第3幕。

このバレエ団は、この種の古典バレエの上演に、長い歴史を誇ってると思うのだけど、そういうバックボーン、一朝一夕では絶対出せない、舞台全体を支配する安定感、秩序感が全体を覆っていて、凄く安心して楽しめる印象だった。

例えば、ミミックやファンタンゴの衣装とかも。(これ以上を望めばあると思うけど。予算かかるし、この位やってくれると見栄え的に嬉しい、というレベル)

最初目立つところで、男女二人のボレロ。

このバレエ団のボレロの女性舞踊手で、忘れられないダンサーがいて、そういう傑出したキャラクテールが代々踊りついで、現在に至っているのかしら?と感慨深く見た。

扇の振り方、長いスカートの捌き方。(スカートのすそを振ってラインを波立たせたりするのも、踊りの一部になってるみたいで。

こういうのは、そういえば、ダンチェンコ「白鳥」の第三幕のスペインの踊りなんかも、そういう傾向があるなと思ったり。)

ボレロの女:田切眞純美さんが仇っぽい役、キトリ役:阿部裕恵さんが、キャリアはありそうなんだけど、日本人っぽい、かわいい系というか、ファニーフェイスのお顔立ちだったりで、全体に、キャスト、適材適所感あり。

ボレロの男女・田切/石田さんと、主役の男女・阿部裕恵/清瀧千晴さん、それぞれ、呼吸とか目線の合わせとか、パートナーリングも、このバレエ団に詳しくない私から見ると、安定感があって好感が持てた。

キトリの友達:日髙有梨さん、中川 郁さん、二人が二人とも、出てきた時からよく鍛えられた身体を感じさせるバレリーナ姿で、ああ、上手そうな人が出てきたな、という印象。それぞれ、魅力的なヴァリアシオンで、このポジション、二人が二人ともいい、というのはちょっと贅沢感があった。

わりと、女性を立てるバレエ団みたいで、バジル役の清瀧さんは、ペア部分はダンスールノーブル然としていて、ソロで気を吐く爽快なジャンプ。プリマの安倍さん。個人的には、ラストのグランフェッテ・アントールナンで、あれあれ?何回ダブル入れるの?みたいな感じ。カウントしなかったけど。すごくたくさん入れてて楽しく見た。

突出した技術だけでなく、全体的に、群舞との合い方とか、グランドバレエの全体の秩序感を守った、見るに楽しい舞台づくりになっていることが、一番印象に残った。ドン・キホーテ役に、昔TVドラマにも出ていた保坂アントン慶。カーテンコール慣れてる感じが頼もしかった。(一方で、他バレエ団の人で、カーテンコールの出はけでまごついてる人がいたので。)

(そういえば、これ以上の回数って、バレエ漫画「スワン」っていうので、主人公のライバルの一人のロシア少女が、32回転、全部ダブルでやる(笑)ってのがあったっけ。

脱線すると、別のバレエ漫画「アラベスク」で、主人公が32回転で、130度以上だったか、脚を90度より上に上げて回転するっていうシーンがあったんだけど、これは漫画だけど、実際に、2000年代だったか、ロシアのオクサーナ・クジメンコというバレリーナが、32回転で、脚を凄い高い位置に上げて、綺麗に廻りきった!という、物凄い技術を見た事がある。たまには、事実は漫画を超える?!)

散漫感想、ご容赦。私は日本のバレエ団に全く詳しくないので、出てるバレエ団のファン層から見たら、「全然違う!」と思う感想かもしれませんが、通りすがりの一視聴者感想なので、笑って通り過ぎて下さい。


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