気の向くまま足の向くまま

できうるかぎり人のためになることを発信していきたいと思っています。

犬と暮らして

2015-10-03 14:25:04 | 日記

犬と暮らしていると思うこと感じることがいろいろある。
いつもながら思うのは、犬の気持ちは常に飼い主とともにあるということ。

 それはうれしいのだが、同時に怖くもある。
なぜなら、それだけ犬の幸不幸の責任がすべて自分にかかっているということに、いまさらながら気づかされるからだ。

 僕が家にいるときは、ほぼずっとといっていいほど僕のそばにいて膝の上に乗るか、そうでないときは体の一部を常に僕に触れていようとする。
僕が疲れて横になっていても、僕の腕を枕にしたり、必ず添い寝をして自分の背中を僕にくっつけてくる。

 椅子に座って食事をしているときは、椅子のすぐ下に座るか腹ばいになっている。
犬が好きな人にとってはそれがうれしいのだが、同時に、もし自分がいなくなったらどうするのだろう…とおもうと、怖くなるのだ。

 特につらいのが、家を出かけるときである。
腹ばいになって頭を床につけじっと僕を見る。これは、寂しい、おいていかないで、という犬のポーズだと僕は解釈している。
普段どれだけ僕にべったりなのかわかっているので、このときが一番つらい。

 そういうことを思うとき、飼い主に捨てられた犬はどれだけつらいか…その現実の残酷さは想像を越えている。
だからもし、今の子と別れる時が来た後、別の子を迎えるときはペットショップで買ってくるのではなく、捨てられた犬を引き取ろう…と思っている。

 犬というのはやはり高い知能を持っているので、なにもいわなくても感情が目の色に現れるし、様々なポーズでその時の気持ちを表現する。人間と全く同じである。
そういう動物と暮らしてるとやはり、特別な絆が生まれる。

 犬や猫だけが自分とこの世を結びつける絆となっている人も少なくはないに違いない。
どんなに追い詰められても死ねないと思う、この子をみとるまでは。この飼い主に対する犬の思いの強さというものを思うとき、一人残していくわけにはいかないと思う。
 
 子犬のころの愛くるしさ、成長していく姿を見るときの驚きと喜び、そして、中年から老年、そして…最後の別れのおそらくは耐え難いと思うほどの悲しみ、これらをすべて自分の胸で受け止めてこそ、飼い主として、いや、この世の同伴者として、責任を全うしたといえるのだ

 人間の夫婦でさえ、一生涯一緒にいるとは限らない。相手に耐えられないという限界が来て、現実に分かれてしまうこともある。現在その離婚率は3組に1組らしい。
しかし、飼い主と犬、猫だけは、生涯連れ添う。
 仮にどうしてもやむを得ない理由で別れなければならなくなったとしても、心ある飼い主であれば、必ず次の引き取り先を探してから分かれるだろう。

 そして、別れた後も、その子のことはずっと思い続けるに違いない。
そういうことを思うとき、犬というのはなんと人間にとって特別な存在であるか…と思わざるを得ない。

 自分のたった一つのしぐさ、声色、態度、そのすべてにどれだけ強い影響を受けているか。
依存度が強ければ強いほど、それに応じて影響もつよくなるはずだ。そのことを片時も忘れてはいけない。

 また、いつも思うのは、犬の寿命である。
当然ながら飼い主よりも短いのが普通だ。通常、人間の4分の1、ということは、犬にとっての1日は人間にとっては4日の価値を持つ。
 今日ぐらいいいや、明日に伸ばそう、と思うときがよくあるし実際雨の降っているときの散歩はおっくうで、伸ばしてしまうときもある。
でも、そんなとき、あぁ、俺にとってはたった1日だけど、この子にとっては4日分の楽しみを奪ったのだな、と思わなければならない…

 ぼくが引退した盲導犬のチャリティーコンサートに毎年出かけるのは、犬に対するこの思い入れがあるからである。
「犬のチャリティーに金を使うぐらいなら、人間に使いたい」と友達に言われたこともあるが、僕から言わせると(人間様には大変申し訳ないが)「人間に使うくらいなら犬に使いたい」(失礼)と思うのだ。
ただそうはいっても、人間のほうに対する献金もちゃんと毎月してはいる。

 人間はどんなに立派な医者でも、看護師でも、ヘルパーさんでも、無償では何もしないだろう。やっている間に無償でもいい、と思うほどの愛が通うことがあるにしても。
親や夫、妻を介護している配偶者や子供でさえ、そのうちの何十%かは虐待をしているという統計もある。
 ところが犬は、犬が人間に与える『想い』は、無償の思いである。何の見返りも期待しない『想い』である。そこになんの残酷さも、冷酷さもない。
これに報いるに、やはり犬に対する思い入れのほうが強くなるのは、少なくとも僕にとっては当たり前である。

コメント
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