2015年のブログです
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村上春樹さんの『職業としての小説家』を読んでいたら,村上さんの小説も読みたくなり,本棚の上に積み上げていた文庫本の『羊をめぐる冒険』を読みました。
約10年ぶりくらいで,5回目くらいの再読です。
しかし,とっても新鮮でした。
あらすじや表現がうろ覚えになっていたというせいもあるのかもしれませんが,ドキドキ,ワクワクしながら読み通しました。
文体というか,文章がやはり新鮮です。
こんな文章は村上さんくらいでしょう。
個人的には,樋口有介さんの文章が少し近い気もしますが,これだけ深く,重い内容を,これだけ軽やかな文章で表せるのは,やはり村上ワールドだと思います。
今回,気づいたのは(今頃になって気づくのは少しはずかしいのですが…),底流に大きく流れているのは,戦争と権力に反対するというテーマ。
戦争,国家,権力,仕事などといった大きなテーマと,個人,恋愛,性といった深いテーマが,重層的,多面的,そして,総体的に扱われているところが魅力の源泉のような気がします。
それを頭だけではなく,こころ全体に感じることを大切にして描いているので,いつまでも,誰にでも,新鮮に読まれるのではないかと思います。
またいつかじっくりと読んで,こころを豊かにしたいと思いました。 (2015 記)
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2017年秋の追記です
本日のお昼にこの記事の何回目かの更新をしましたところ、夕方、BSのテレビ番組でなんと、羊をめぐる冒険、の番組をやっておりました。
こういう偶然はたまにあるのですが、本当にうれしいものです(ユングはこれを意味のある偶然といっています)。
今日は前編で、来週に後編があるとのことなのですが、来週は学会で名古屋に行っていて、見れるかどうか…。
本当にうれしいびっくりですが、ここからが、遊びごごろの大切なところかもしれません。
いかに柔軟に、楽しく、ゆとりを持っていけるのか、遊びごころの真価(?)が問われそうです。 (2017.10 記)
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さらに追記です
なんと、結局、後編放映の日は、じーじにしてはめずらしく真面目に学会で勉強をして、テレビは見れませんでした。
いい場組だったので、再放送を楽しみにしています。
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2019年6月の追記です
4年ぶりに再読をしました。
一番最初に感じたのは、村上さんの文章が「若い」ということ。
「若い」文章とは何か?と聞かれると、うまく答えられませんが、なんだか「若い」です。
じーじが年を取ったせいで、そういうことを感じるのかもしれません。
今回、印象に残ったことは、欲望、権力、戦争、そして、友情。欲望と権力の際限のなさ、戦争と権力の怖さ、それに対抗できるものの一つとしての友情。
そういったことを考えながら、感じながら、味わいながら、物語として読んでいました。
少しはこころが豊かになったでしょうか。それは今日からのじーじの歩みが語ることになるのでしょう。 (2019.6 記)
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2021年1月の追記です
河合隼雄さんが『青春の夢と遊び』の中で本書について述べていることをすっかり忘れていました(河合さん、ごめんなさい)。
河合さんのご指摘はとても鋭く、印象的です。 (2021.1 記)