2020年10月のブログです
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南木佳士さんの短編集『落葉小僧』(1996・文春文庫)を再読しました。
この本も本棚を眺めていたら、読んで、読んで、という感じで並んでいて、つい読んでしまいました。
おそらく20数年ぶりです。
当然(?)、中身は忘れていて、またまた新鮮な気持ちで(?)、読めました。
南木さんはじーじの大好きな作家さんのお一人で、芥川賞を受賞した『ダイヤモンドダスト』以来、ずっと追いかけてきている小説家です。
『阿弥陀堂だより』『冬物語』『医学生』その他もろもろ、いい小説だね、うまいなあ、とうなる小説が多いです。
本書もすてきな短編小説が並んでいますが、じーじが今回、気に入ったのが、表題にもなっている「落葉小僧」とその続編の「金印」。
いずれも信州の田舎の村で開業医をしている男性が主人公ですが、なかなかいい味を出しています。
こんないい小説を長く再読しなかったのは、若い時にはわからなかったところがあったのかもしれませんが、それにしてもおそまつな読者です(南木さん、ごめんなさい)。
二作とも、あるいは、他の小説も、決して明るい小説ではなく、おとなの生きることの辛さや痛み、哀しみなどが描かれていますが、淡々とある種の諦観とともに書かれていて、後味は悪くありません。
おとなの小説なので、若い人には少しわかりにくいところがあるかもしれませんが、中年以降の読者にはわかるのではないでしょうか。
たぶん、長く生きるとは、そういうことなのかもしれません。
しかし、何度読んでも色あせない深さがあります。
今度は早めにまた再読をしたいと思います。 (2020. 10 記)
その後暫く病気だったようです。
お顔も知らないのに、仲間という感じがします。
今後ともいろいろと教えてください。