2021年8月のブログです
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またまた樋口有介さんを読んでしまいました。
本棚の横に積んであった『風少女』(1993・文春文庫)。
だいぶ前の本です。
年寄りのじーじがご紹介するのは少し恥ずかしかったのですが、とても面白かったので、ついパソコンに向かってしまいました。
このところ有介ワールドにはまってしまっていて、ずっと読んでいるのですが、さすがに感想文を書けるのは、限られます。
おそらくは、単に面白いだけでなく、生きることの切なさや哀しみが感じられるからではないかと思うのですが、そういう分析はなかなか難しいです。
主人公は男子大学生。
あらすじは例によって詳しくは書きませんが、昔のガールフレンドが亡くなり、なぜかその妹と一緒に亡くなった事情や周辺をさぐることになります。
若い人には若いなりの悩みや苦しみ、嫉妬やねたみが出てきて、なかなかたいへんです。
そこのところを、ちょっとしたユーモラスな語り口で包み込む樋口さんの筆はとてもいいです。
苦しい人生も、少しのユーモアの力で、なんとか進めそうな感じ。
真面目一方ではなく、不真面目の力、遊びの力を感じます。
このあたりの感じ、うまく伝えるのが難しいですが、よかったら読んでみてください。
年取ったじーじでも、生きていることは悪くはないな、と思えるような、少しだけ元気をもらえる小説です。 (2021.8 記)