2022年7月のブログです
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シーナさんの『おれたちを齧(かじ)るな-わしらは怪しい雑魚釣り隊』(2022・小学館文庫)を読む。
この本も夏休みにゆっくり読もうと楽しみにしていた本。
旭川の本屋さんで購入。
大人気シリーズ第7弾、とあって、文庫本はだいたい読んでいるつもりだったが、もうそんなに出ているんだ、と改めてびっくりする。
本の帯に、ブリだってボラだって出世するのに、どうしておれたちはいつまでも賢くならないのだろうか…、とあるが、シーナさんとその仲間たちの釣りとキャンプとお酒の旅はいつ読んでもおかしい。
みんな社会人としてはなかなかの仕事をしている人たちばかりだが、シーナさんと遊ぶ時には子どものように無邪気になるところが面白い。
たとえば、海仁さん。
シーナさんが昔、初めて小笠原に旅行をした時に、編集者として同行した若者。
酒を呑まず、笑わせるのに苦労するという真面目で博学な編集者だが、その後、怪しい雑魚釣り隊に加入、エースとして活躍する。
ところが、大物を釣りあげると興奮をして怪我を頻発するという癖があることが判明、そういう次第を綴るシーナさんの筆が優しい。
そして、ドレイのみなさん。
今の世にドレイ(?)が存在するというところに、この集団の特異さと面白さがある。
下手をするとユーモアを解さない人たちに非難されかねない前近代的制度だが、このドレイのみなさんたちへのシーナさんのさり気ない優しさがまたいい。
毎回、同じようなできごとが続くが、しかし、変化も確かにあり、ここら辺がこのシリーズの魅力なのかもしれない。
どこを読んでも決して飽きない面白さがあるというのは、やはりシーナさんの才能なのだろうと思う。
電車の中で読むには少し危険な本だが、ずっと続いていってほしいと思う。 (2022.7 記)