2003年、ホセ・クーラは、イタリアのヴェローナのアレーナで、ヴェルディの椿姫に出演しました。主人公のヴィオレッタは、アンジェラ・ゲオルギュー。
クーラが、アンジェラ・ゲオルギューと共演したのは、たぶん、これが唯一の舞台ではないかと思います(間違っていたらごめんなさい)。
この2003年の夏、クーラは、ヴェローナのアレーナで、6~7月にトゥーランドットのカラフ、7月にカルメンのドン・ジョセ(ホセ)にも出演、そして7月31日がこの、椿姫のガラ公演でした。 → この時のトゥーランドットの舞台は、クーラのカラフデビューでもあり、以前に紹介しています。
セミ・ステージ公演だったようで、クーラはインタビューで、つぎのように語っていました。
Q、アレーナは壮大なセットが適しているのか、それともセミ・ステージ公演でも観客の興味を引くことは可能だろうか?
クーラ 「ひとつのことが、その他の可能性を排除するわけではない。より大きなスペースは、それをふさわしく埋めることを求める。アレーナの舞台のレイアウトは伝統の一部であり、それはアレーナの視覚的な習慣の一部になっている。観客も、音楽のためだけでなく、壮大なパフォーマンスと関連するすべてのためにアレーナに来る。
そういう壮大さと花火を欠く時には、舞台は他の何かで満たされなければならない。それはカリスマ(人々を惹きつける魅力と能力)だ。カリスマ性のあるアーティストであれば、アレーナの空っぽのステージにあがり、パフォーマンスを行うことが可能だ。」
アンジェラとクーラ、2人とも、まさに“カリスマ的”な魅力をそなえたアーティストですね。この椿姫は、2人の力量と存在感をぞんぶんに見せた舞台だったことでしょう。
しかし、これも正規のDVDやCDはありません。YouTubeに同じ方がかなり多くの場面をアップしていますので、そこからいくつか紹介したいと思います。
どうやらゲオルギューのファンの方のようで、アルフレードのアリアなど、クーラファンとしては見逃したくない場面が、残念ながら抜けています。一方、ここでは紹介していませんが、アルフレードの父ジェルモンの有名なアリアなどがアップされています。
La Traviata (Verdi)
Arena di Verona July 31, 2003
Angela Gheorghiu = Violetta
Jose Cura = Alfredo
Ambrogio Maestri = Giorgio Germont
Orchesta e colo dell Arena di Verona
Daniel Oren = conductor
***************************************************************************************************************************
〈第1幕〉
ヴィオレッタが主催する華やかなパーティがはじまり、ホセ・クーラ演じるアルフレードが登場する。
Angela Gheorghiu - La Traviata - Arena di Verona 2003 - part 1
「乾杯の歌」 有名なデュエットと合唱
Angela Gheorghiu - La Traviata: Brindisi - Arena di Verona 2003 - part 2
華やかな生活の影で病気に苦しむヴィオレッタに、愛を打ちあけるアルフレード
Angela Gheorghiu - La Traviata - Arena di Verona 2003 - part 3
ヴィオレッタから一輪の花を贈られ、再会を約束する
Angela Gheorghiu - La Traviata - Arena di Verona 2003 - part 4
アルフレードの真剣な態度に、本当の愛を感じつつ、私は自由に花から花へと生きる、と自らの境遇を自嘲気味に歌うヴィオレッタ。
背後のアレーナの階段状の高い部分から、クーラが回想の中のアルフレードを歌う。
Angela Gheorghiu - La Traviata: E strano... Sempre libera - Arena di Verona 2003 - part 5
〈第2幕〉
第6場 一緒に暮らし、幸福をかみしめる2人。しかしアルフレードの父に身を引くよう言われ、悩み動揺するヴィオレッタ。何も知らないアルフレードが慰めるが、ヴィオレッタは無理に笑顔をつくりながらさりげなく別れを告げる
Angela Gheorghiu - La Traviata: Amami, Alfredo - Arena di Verona 2003 - part 9
第13、14場 別れた2人がパリのサロンで再会、事情をしらないアルフレードは、ヴィオレッタに心変わりを詰問し、大勢の前で罵る。
Angela Gheorghiu - La Traviata: finale act II - Arena di Verona 2003 - part 10
〈第3幕〉
病がすすみ、持ち物も売りつくして貧しさのなか、死が近いヴィオレッタ。真実を知ったアルフレードが駆け込んでくる。
二重唱「パリを離れて」
Angela Gheorghiu - La Traviata: Parigi, o cara - Arena di Verona 2003 - part 13
ラスト
再会を喜び教会にお礼に行こうというヴィオレッタ、着替えをしようとするが、もうその体力もない。自分の肖像の入ったロケットをとりだし、将来アルフレードが結婚する相手に贈り物として渡してほしいと願う。アルフレード、駆け付けた医師、アルフレードの父に見守られながら息絶えるヴィオレッタ。
Angela Gheorghiu - La Traviata: finale - Arena di Verona 2003 - part 14
歌唱の実力だけでなく、立ち姿も美しく、華やかなヴィオレッタにぴったりなゲオルギュー、そしてクーラの熱演、とても素敵な舞台だったと思います。
この舞台とは違いますが、クーラがアルフレードを歌った2000年のパリでの椿姫が、DVDやブルーレイで再リリースされることになっています。
ヴィオレッタは、エテリ・グヴァザーヴァ。他の公演と3作セットで、日本では11月22日発売予定、その情報については、こちらのページで紹介しています。