人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2016年 ホセ・クーラ ドレスデンのゼンパー・オーパーにデビュー / Jose Cura debut at Semper Oper Dresden

2016-11-20 | オペラの舞台ートスカ



ホセ・クーラは今年(2016年)10月に、ドイツ・ドレスデンのゼンパー・オーパー(ドレスデン歌劇場)にハウスデビューしました。

すでに3月のザルツブルク復活祭音楽祭2016のオテロに、キャンセルしたヨハン・ボータ(当時、病気闘病中でその後、残念ながら死去)の代役として出演して、指揮者のクリスティアン・ティーレマンと、ティーレマンと率いるシュターツカペレ・ドレスデンとは共演しています。 → 紹介したブログの記事

ただし今回の指揮者は、ティーレマンではなく、パトリック・ランゲ。
演目はプッチーニのトスカで、クーラが長年歌い続けているカヴァラドッシでした。
 → クーラのカヴァラドッシへの思い、作品解釈については、「ホセ・クーラの“ヴィットリア!”と通行証の謎」で紹介しています。

クーラのFBに掲載された告知。


Tosca (Giacomo Puccini)
2016/10/23, 26, 30
MUSICAL DIRECTOR= Patrick Lange , STAGING= Johannes Schaaf
FLORIA TOSCA= Amanda Echalaz
MARIO CAVARADOSSI= José Cura
BARON SCARPIA= Andrzej Dobber
Staatskapelle Dresden




10/23の初日を前に、クーラはフェイスブックに窓から見える景色を紹介し(上の写真)、こんなコメントを寄せていました。

「ドレスデンはひどい天候だ。雨が降り、寒く(5℃)、湿度は90%。この美しい街を楽しむために出かけることはできない。 この1週間のために借りたアパートメントの部屋に座って、窓からフラウエン教会(聖母教会)の鐘楼を見ることができる――鐘が鳴るたびに、私の部屋の窓が震える。それぐらい近い。」

ドイツの秋の寒さがちょっとこたえたのか、少し寂しそうな印象の投稿ですが、外国へのツアーには、ほとんど必ず妻のシルヴィアさんが同行されているようなので、別に、1人侘びしく仮住まい(笑)・・というわけではないと思われます。またいつもパワフルなクーラ、この日はパソコンのファイルの整理をしたといって、ブタペストのコンサートの動画をフェイスブックにアップしてくれました。

その時にアップされた動画 2015年、ブダペストでのコンサートで、様々なジャンルのアーティストと共演して歌ったジョン・レノンのイマジン。
クーラの動画ページにリンクします。



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さて、ドレスデンでのトスカですが、動画や録音などは残念ながらネットにもアップされていませんが、劇場のHPやクーラのFBで舞台の写真が掲載されていましたので、紹介します。

●第1幕
貴族で画家のカヴァラドッシ、教会で依頼された聖母マリアの絵を描きながら、恋人トスカの美しさを歌う。アリア「妙なる調和」のシーン。


逃亡してきた共和主義者のアンジェロッティが、カヴァラドッシのいる教会に現れる。アンジェロッティの理想に共鳴しているカヴァラドッシは彼を匿うことにする。


そこに現れたカヴァラドッシの恋人、歌姫トスカ。トスカが、信心深く、嫉妬しがちな女性であるため、アンジェロッティのことを隠して、トスカをなだめ、できるだけ早く帰そうとする。トスカへの愛をささやく二重唱。




●第2幕 
警察長官に捕まり、拷問にかけられるカヴァラドッシ。しかし彼は黙秘をつらぬき、激しく痛めつけられる。


トスカは彼の姿にいたたまれず隠れ家の場所を白状してしまう。


そこにナポレオン軍勝利の一報が入り、カヴァラドッシは力をふりしぼって立ち上がり「勝利を!」と叫ぶ。


憲兵を振り切り、スカルピアにつめよるカヴァラドッシ。


●第3幕
スカルピアと取引して逃亡のための通行証を手に入れ、さらにスカルピアを刺殺したトスカ。自由への逃亡を夢見るが、約束ではカヴァラドッシの処刑は空砲のはずが、それはスカルピアの罠で、彼は銃殺される。トスカも絶望し、高い城壁のうえから身を投げる。




●カーテンコール
クーラの熱演に、たいへん観客の反応も熱く、好評だったとのことです。


現地で観賞した方がツイッターで流してくださったカーテンコールの様子を。観客の大きな歓声、ブラボーの声が聞えます。
shochiさんのツイートにリンクしています。↓


●レビュー

プロダクション自体が初演ではなかったため、レビューは多くありませんでしたが、非常に良評価でした。

「プッチーニの音楽と歌手の説得力のある演奏によって、明らかにドラマティックに増強された。」
「ホセ・クーラはエモーショナルに有名な星は光りぬを歌った。」
「音楽的に、パフォーマンスは非常に良好で、ホセ・クーラがりードする2人の主役は、深い経験をもたらした。長く熱狂的な拍手は、観客の大満足を証明した。」
(「OperaPlus」)

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クーラは今年12月5日で54歳になります。白髪も増え、体型も中年らしく体重も増えましたが、歌唱と演技、ドラマの解釈を深め、若い時よりもますます役柄の表現力を高めていると思います。
カヴァラドッシは、クーラにとって、心から共感でき、感情移入できる役柄のひとつだそうです。理想のためにたたかい、死ぬ――理想主義者で、社会に対する関心の高いクーラにとっては、オペラのテノールの役柄のなかでは、数少ない説得力のある魅力的な人物なのだと思います。
クーラのカヴァラドッシは、2000年の舞台がDVDにもなっていますが、私としてはぜひ生の舞台で観賞したいと強く願っている役柄のひとつです。

最後におまけで、最近のクーラのカヴァラドッシの歌を。
何度もこのブログで紹介していますが、2014年ハノーファーでの野外オペラより。どれも魅力的な歌唱です。
「妙なる調和」
Jose Cura "Recondita armonia" Tosca


第1幕の二重唱
Jose Cura 2014 Tosca Act 1 duo


「星は光りぬ」
Jose Cura "E lucevan le stelle"



クーラのファンページに掲載されたカーテンコールの時の写真。サンドラ・オットさん撮影。by Sandra Ott




*画像は、劇場のHP、クーラのFB、ファンサイトなどからお借りしました。
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