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テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(告知編)2019年 ホセ・クーラ指揮、プッチーニのオペラ「修道女アンジェリカ」

2019-04-18 | オペラの指揮

 

 

 

ホセ・クーラの次の公演は、指揮者としてのコンサート。2019年4月27日、ポーランドでプッチーニのオペラ「修道女アンジェリカ」と、ポーランドの作曲家ルドミル・ルジツキの交響詩「アンヘリ」を指揮します。

このコンサートは、ポーランドのソプラノ、アーダ・サーリの名を冠した国際声楽フェスティバルの開幕を飾る特別コンサートで、翌日から14か国、81人がエントリーする声楽コンクールが開始されます。2年に1回開催されるこのフェスティバル、クーラは2015年にも同じ開幕公演に出演して、グスタフ・マーラーの交響曲第2番「復活」を指揮しています。

 →2015年 クーラによるマーラー「復活」の指揮を紹介した記事

「修道女アンジェルカ」はプッチーニの3部作(「外套」、「修道女アンジェリカ」、「ジャンニ・スキッキ」)のひとつですが、今回は「アンジェリカ」単独で、コンサート形式の上演のようです。出演者は、前回のコンクールで最終選考に残った若い歌手ということです。

会場は、ポーランドのルスワビツェにあるペンデレツキ音楽センター。ペンデレツキとクーラの関係については少し前の記事で紹介しましたのでご覧いただければ幸いです。

今回は、公演の概要とあわせて、事前の報道記事にクーラの短いインタビューが掲載されていましたので、そこから抜粋して紹介したいと思います。

 

 


 

●フェスティバルのポスター

  

●クーラの公演概要

April 27, 2019  Saturday hours 19:00

The European Center for Music Krzysztof Penderecki

Sister Angelica - Adriana Ferfecka (soprano) 
Aunt Księżna - Małgorzata Walewska (mezzo-soprano) 
Priors - Anna Lubańska (mezzo-soprano) 
Sitter Novice - Kinga Borowska (mezzo-soprano) 
Superior Novice - Agata Schmidt (mezzo-soprano) 
Sister Genowefa - Sylwia Olszyńska (soprano) 
sister Osmina - Monika Buczkowska (soprano) 
Sister Dolcin - Hanna Okońska (soprano) 
Sister Nurse - Jadwiga Postrożna (mezzo-soprano) 
Sisters Żebracze - Magdalena Czarnecka ,Barbara Grzybek (sopranos) 
Sisters Novice - Magdalena Pikuła , Dobromiła Lebiecka (soprano, mezzo-soprano) 
Sisters Świecie - Aleksandra Krzywdzińska , Ewa Kalwasińska (soprano, mezzo-soprano) 

Beethoven Academy Orchestra 
Polish Radio Choir 
Katowice Singers' Ensemble CAMERATA SILESIA 
Maria Piotrowska-Bogalecka  - choir preparation 
Anna Szostak  - band preparation 
JOSÉ CURA  - conductor

 

 

  


 

 

 ≪ホセ・クーラ、再びアーダ・サーリ・フェスティバルに≫

 

彼のキャリアの中で初めて、ホセ・クーラは、アーダ・サーリ・フェスティバルでオペラ「修道女アンジェリカ」のコンサートバージョンを指揮する。イベントはアーダ・サーリ国際声楽アートフェスティバルを開幕する。インタビューのなかで有名なテノールは、プッチーニの作品の官能性、親密さと血について話す。

 

Q、まもなく国際声楽アートフェスティバルで2度目の指揮をとる。ポーランドについて、どんな思い出が?

A(クーラ)、 前回、2015年12月にベートーヴェン・アカデミー・オーケストラを指揮した。
私は風邪をひいていて発熱のまま公演を行ったため、苦しかった記憶があるが、それは素晴らしいパフォーマンスだった。幸い、ミュージシャンは素晴らしく、病気の指揮者でさえもサポートする用意ができていた。
しかし、この優れたオーケストラとの最初のコラボレーション、マーラーの「交響曲第2番」の演奏は、私の指揮者のキャリアの中でも、今でも、最も満足できた瞬間のままだ。

 

Q、あなたの人生は歌うことと指揮に分けられる。 あなたをより喜ばせるものは?

A、私は自分の人生を分野で分けることについて話すのではなくて、その継続的な充実について話したいと思う。
今、30年以上たった後に再び作曲を始めたが、私は今、自分のルーツに戻ったと感じている。
オペラスターの生活は、特に素晴しい場合、おそらく非常にエキサイティングだが、同時に知的な意味では貧弱になることもありうる...他の分野に興味を持って、それらに対しても積極的でなければ。

 

Q、あなたはプッチーニのオペラを指揮した経験があるが、オペラ「修道女アンジェリカ」は初めて?

A、「蝶々夫人」( "Madama Buttefly")、「トスカ」( "Tosca")、「西部の娘」( "Fanciulla del West")のオペラを指揮し、「ラ・ボエーム」("La Bohème")、「トゥーランドット」( "Turandot")、「西部の娘」を演出した。しかし「修道女アンジェリカ」("Suor Angelica")は今回が最初だ。

 

Q、この作曲家(プッチーニ)との出会い、どう感じるのかを指揮者として説明すると?

A、プッチーニをうまく指揮することを許さないのは、主に官能性を強調することによって、彼の音楽の内部にある哀愁を伝えることに集中できないということだ。
指揮者は、親密で個人的な状況を示すことを恐れてはならない。強い感情に対処する能力がなければ、プッチーニを指揮するのは不可能だ。血、汗、恐怖、ヒロイズム、感受性、エロチシズム、泥くささ・・関連する、これらすべての感情は、基本的な意味においてだけでなく、心理的に深い言葉で表現されている。

 

Q、今後2019/2020シーズンでは、あなたはウィーン国立歌劇場の舞台で 「サムソンとデリラ」でサムソンの役に戻る。それはあなたの最大の創造物だと信じられている。再びこの役に直面することを嬉しく思う?

A、私はいつもサムソンの皮膚の中に入りこむ準備ができている。時の経過と、若い頃には理解していなかった人生のさまざまな側面の理解によって、私はサムソン、オテロ(ヴェルディ「オテロ」)、カニオ(レオンカヴァッロ「道化師」)、グライムズ(ブリテン「ピーター・グライムズ」)などのキャラクターの本質を捉えることができた。それが非常に深くなったので、それらを演奏することは、もはや単なる喜びではなくなり、真の努力を要することにもなっている。

「operalovers.pl」

 


 

「修道女アンジェリカ」は登場人物がすべて女声のオペラ。もちろんクーラはこれまで出演したことはなく(テノールの出番はないので当然)、指揮も今回が初めての挑戦だそうです。出演者は前回のコンクールの最終選考に残った人ということですから、若くて実力のある歌手がそろっていることでしょう。クーラは、オペラのドラマを大切にし、コンサート形式でも常に演技をつけて歌い演じています。なので、今回、指揮をするにあたっても、音楽面とともにドラマと感情をいかに表現するかを重視して行うのではないでしょうか。そういう面では、若手歌手にとって、とても重要で貴重な成長の機会になるのではなかいと思います。

会場となるペンデレツキ音楽センターは、単なる音楽ホールではなく、総合的な音楽教育のための機関のようです。CDなどの録音でも使われるようで、素晴らしい環境、素晴らしい設備が整っています。そのなかにある大ホールがコンサート会場です。

前回のマーラーの指揮の時には、全編の動画をクーラがホセ・クーラTVにアップしてくれました。その後、クーラはそのサイトを閉鎖してしまい、とても残念です。勝手にコピーしてアップするなどの行為が横行したためのようです。現在、クーラはiTunesなどを通じた音楽配信事業を始めていますが、今後、何らかの形で(CDや有料配信など含め)こうしたコンサートの様子も視聴できるようにしてほしいと思います。前回の記事でも紹介しましたが、音楽配信、とりわけストリーミングは、ほとんどアーティストの収入にはならないとクーラが指摘していました。何らかの形でアーティストの苦労に報いるシステム、遠くてコンサートには行けないけれど、視聴して応援できる仕組みが欲しいと切に思います。

 

*ペンデレツキ音楽センターのHPより


 

 

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