《前回までのあらすじ、じゃありません》
最近、関東地方は天気のいい日が続いてありがたいこってすねぇ。
昨日はね、いつも通りに桜木町まで足をのばしたあと、下北沢に行ってお芝居を観てきましたよ。
下北沢ザ・スズナリ開場30周年記念公演 『うお傳説(でんせつ)』(演出・関美能留 作・山崎哲)
これはねぇ。ずえぇ~ったい!! に観たほうがいいよ。ただ、もうチケットが残っているかどうかわからないんですけど。
私が今年のはじめまで所属していた劇団と関わりのある公演だから薦めているんだろう、とはとらないでいただきたい! 純粋にそう感じたわけよ~。
TV とかDVD で観る演劇の「なんか足りない感」ってあると思うんですけど、私。
だから、この『うお傳説』は2011年11月の19~28日にしか観られないんですよ。下北沢を巻き込んだ大災害が起きたり、他ならぬあなたが今この瞬間にバタッと歩けない身体になっちゃったらもう二度と観られなくなるのよ!?
今は25日の昼間です。あと6回しかチャンスはありませんよ~。私はあさっての27日にも観に行くつもりです。
前回におすすめできなかったフラストレーションはここで発散! 伝説、やってるよ~。
さて、話題は思いっきり変わりまして、今日も今日とて「ぬらりひょんサーガ」でございます。
2007年に満を持してスタートした、21世紀仕様のアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』。
この内容が、「鬼太郎サーガ」史上初めて、ほんとうの意味での「原作マンガの枠から自由に飛翔した続編」だったということは前にふれましたが、具体的な新要素で私が注目したものは、「過去の歴史のつみかさね」と「ファミリーの巨大化」。
すべてのエピソードで言及されているわけではないのですが、1960年代から活動を始めた1954年生まれのゲゲゲの鬼太郎少年が少年の姿のままで21世紀の現代にいる(猫娘はちょっと成長している)という設定が強調されていたり、原作マンガのエピソードの数十年後に起きた後日談や続編があったり。
もしくは、『ポケットモンスター』のように子どもに親しみを持たせる妖怪たちがひしめき合う「妖怪横丁」や「妖怪四十七士」といったオリジナル設定も追加され、原作では鬼太郎によそよそしかった、それどころか、かつて1コマたりとも出演することの無かった妖怪までもが「鬼太郎ファミリー」に追加加入するという大盤振る舞いとなったのです。昔は、「鬼太郎ファミリー」といえばオックスフォード大学なみの超高倍率だったというのに……
そして、いよいよ本題にはいるのですが、そういった部分をモロに受けて21世紀の新しい姿を提示することとなったのが! 何を隠そう我らがぬらりひょん先生と、その一味だったというわけなのでございますよ! このアニメ第5期での「妖怪総大将ぬらりひょん」像こそが、『ぬらりひょんの孫』の大人気をへて現在にいたる、現時点での最終形態につながっているといっても過言ではないわけなのであります。
2007年4月に始まったアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』の中で、妖怪ぬらりひょんは今までのアニメ第3・4期以上に冷徹でカリスマ性に満ちた「日本悪者妖怪の親玉」になっています。その存在が作品にあたえる影響の大きさにもかつてないものがありました。
まず第5期を観て気になるのは、おなじみの「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲ~」で始まる主題歌(第5期は前半が泉谷しげる、後半がザ50回転ズによるカヴァー)とともに流れる華やかなOP 映像で、第1話からぬらりひょんが半分シルエットに隠れた横顔で出演! よく見ると、さらにその隣には蛇骨婆らしき老婆の影も! えっ、おばば悲願のレギュラー参加なる!?
意外にも、OP 映像にぬらりひょんが出てくるのはこれがシリーズ初なんですよ。要するにこれは、それまでを上回る重要度で、ぬらりひょん一味が物語全体にかかわってくることを意味しているのです。うをを。
そしてさらに、アニメ第5期で声優通算6代目のぬらりひょんを演じることとなったのは、かつてあの第3期で3代目ぬらりひょんを担当していた青野武(71歳)御大!! 再登板ときましたか~!
まさしく「ぬらりひょんといえば青野武」といったイメージも根強い、巻き舌まじりの「鬼太るゥオ!」ヴォイスがかえってきた。これには私も熱くなりましたねぇ~。
ただし、この驚異のキャスティングには、単に「ハマリ役の声優さんにまたやってもらった。」という安易なものだけではない、製作スタッフの重大な意図が込められてたように私は思えてなりません。
それは、「すでに過去、鬼太郎との激戦を繰り広げた経験のあるぬらりひょんの現在を描くため」だったのではないかと。
かつて、1980年代のアニメ第3期でぬらりひょんを演じていた青野さんは50歳前後だったのですが、21世紀の第5期に登板したころは70歳を過ぎておられました。
つまりこれは、名優・青野武の実年齢での時間の流れと壮年期での激戦の記憶を、そのまんま現在の「リアル続編路線」に投影させようとする大作戦だったのではないかと!! なんとおそれおおいことか。
確かに、それまでのアニメシリーズに登場したぬらりひょんは、「リセットリメイク」の方針にのっとって鬼太郎とは初対面の状態からそれぞれの闘いの歴史をつむいでいくというスタートの仕方をしていたのですが、この第5期では、ぬらりひょん一味がはじめから鬼太郎にそうとうな恨みをいだいて何度も抹殺をこころみているし、同時に鬼太郎ファミリーもそんな勢力があることをしっかり認識しているのです。こりゃあ「朝からグーグーグー」なんてやってらんねぇよ!
こういった感じで、アニメ第5期に登場するぬらりひょんは、具体的にその過去を回想するくだりこそないものの、第3・4期に相当するような「激闘の歴史」があったことを容易に想像させる新たなる21世紀のぬらりひょんとなっていたのです。
ということで、演じた青野武さんの実年齢のつみかさねとともに、キャラクターとしても歳月の重みを感じさせる第5期のぬらりひょんは、外見も内面も大きくそれまでのシリーズからリニューアルされたものとなっていました。
なんといっても、全体的に老けた。
まず、「小柄な老人」というイメージは引き続き継承されいるものの、今までは多少フォーマルでパリッとしたところもあった和服の上着「羽織」が、隠居した老人が縁側でお茶を飲んでいるときに着ているようなオフっぽい「袖なし羽織」に変わっていて、しかも常に杖をついている!
ただ、どうも杖のほうは相手を油断させるためのカモフラージュのようで、敵キャラらしく刀が仕込まれているし、短時間ならば激しい戦闘アクションを鬼太郎とこなすことも可能のようです。
さらに変わったのはその顔つきでして、「頭が大きい」といっても人間っぽい範囲での大きさだったそのはげ頭は、第5期ではあのハンス=ルドルフ=ギーガーの描く「エイリアン」かってくらいに後ろにミヨ~ンとのびた形状になっており、耳も妖怪らしく上の部分がとがっています。
そして、顔だちはいかにも狡猾そうな悪役顔であるものの、眉毛はゲジゲジに濃くなってシワのいかめしい頑固一徹なシブい雰囲気。
同じ悪役とは言っても、『画図百鬼夜行』の「ぬうりひょん」をモデルとした水木しげるの原作マンガやアニメ第4期での「ニヘラ~顔」はおろか、水木しげるのイラスト「ダークぬらりひょん」をもとにした第3期での青白い顔に眉毛のうすい「酷薄顔」ともだいぶ違ったものとなっているんですね。はっきり言って、水木しげるの味わいは1ミクロンもないアニメオリジナルのイメージとなっているのです。
「眉毛が濃い」という点では、『地獄先生ぬ~べ~』にゲスト出演した時のぬらりひょんに比較的近いような気もするのですが、それよりはもっと知的な感じがするし。
こんなに老けた老けたと言っていると、キャラクターとして弱くなっているのか? と心配になる方もおられるかと思うのですが、そこを充分にフォローしてあまりあるのが、新生ぬらりひょんご自身の格段に上がったリーダーシップと、それにつき従う一味の充実のラインナップなんですね!
かつてのアニメ第3・4期では、他の妖怪を平気でだましたり見捨てたりする人望のなさや、肝心のところでおバカキャラの朱の盤でさえイラッとくるような初歩的ミスをやらかして失敗してしまうツメの甘さのために、どうしても念願の「妖怪総大将」になれない器の小ささが露呈してしまっていたぬらりひょん。第3期で、バブル期のどさくさにまぎれて会社社長としての経営の才能を発揮していたところは良かったんですけど。
ところが、第5期のぬらりひょんにそういったコミカルな欠点はほとんどなく、鬼太郎への復讐のために冷静沈着に作戦を練る正真正銘の「ヒールキャラ」になっているんですねぇ。ダテに年はくっていません。
第5期のぬらりひょんの表情はなんというか、これまでの彼についてまわってきていた、「権勢欲」や「名声欲」や「金銭欲」や「性欲」といった欲望の気配が消えており、ただただストイックに鬼太郎を追い詰めるというクールさがあるんですよねぇ。そういう意味でも、同じ青野ぬらりひょんでありながら、第3期のころとはまるでおもむきの変わった「老成ぶり」が目立つんですなぁ。
そしてそんなクールでカッコイイぬらりひょんについてくる妖怪が、これまでのシリーズのように朱の盤ひとりという寂しさであるはずがなく、1話こっきりのゲストでなく、複数のエピソードにわたり準レギュラーとなって出演しているぬらりひょん一味の人数が最多(朱の盤・蛇骨婆・かまいたち・旧鼠・カニ坊主)となっていることも、アニメ第5期ならではの特色だったのです。にぎやかになったなぁ~オイ! ひとり、アパートの部屋で朝ごはんを「がさがさ」と食べていた日々のことを思い起こせば涙が出てきます。
こうして装いもあらたにリニューアルされたぬらりひょん一味が、第5期の中で鬼太郎ファミリーと本格的に激突するのは第8話『宿敵!ぬらりひょん』(2007年5月放送)からとなります。
ただし、実はすでにそれ以前の段階でぬらりひょんは暗躍を開始しており、第4話『男!一反もめん』と第7話『燃えろ!目玉おやじ』(どちらも2007年4月放送)でそれぞれ、海座頭・舟幽霊ペアと雪女・雪入道ペアを裏からあやつって暴れさせるいつもの黒幕ポジションについて鬼太郎の様子をリサーチしていました。
ここでの、本人は静観するのみで事態の経過は朱の盤(演・小西克幸)に逐一報告させるというスタイルは、操っている妖怪こそ違いますが、同時期にタイアップ連載されていたほしの竜一の『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪千物語』でのぬらりひょんのやり方と共通しているものがありますね。
ちなみにアニメ第5期での朱の盤は、キャラクター設定も衣装も今までのシリーズとほぼ変わっていないものの、顔つきがやや丸顔になってそれ以外の萌え~なキャラクターたちに若干歩み寄ったものとなっています。
しかし朱の盤、顔で人をビックリさせるだけが能のお前がかわいくなってどうする……ぬらりひょん先生のダメ出しが今にも聞こえてくるような気がします。
さぁ、ほしの版の『妖怪千物語』ではやっと姿をあらわしたかと思ったらさっさと天狗ポリスに捕まって強制退場させられてしまっていたぬらりひょん。肝心のアニメ第5期では一体どのような活躍を見せることとなるのであ~りましょうか!?
ダテに年とってはおらん。21世紀にますます加速する高齢化社会の真のヒーローはわしじゃ! いくぞ鬼太るゥオ!!
老練な経験と怨念の日々がついに花を咲かせるか、はたまたしょせんは年寄りの冷や水か?
新生ぬらりひょん一味、アニメ第5期を所せましと暴れ回る興奮の快進撃っぷりはまた次回のココロだ~。
最近、関東地方は天気のいい日が続いてありがたいこってすねぇ。
昨日はね、いつも通りに桜木町まで足をのばしたあと、下北沢に行ってお芝居を観てきましたよ。
下北沢ザ・スズナリ開場30周年記念公演 『うお傳説(でんせつ)』(演出・関美能留 作・山崎哲)
これはねぇ。ずえぇ~ったい!! に観たほうがいいよ。ただ、もうチケットが残っているかどうかわからないんですけど。
私が今年のはじめまで所属していた劇団と関わりのある公演だから薦めているんだろう、とはとらないでいただきたい! 純粋にそう感じたわけよ~。
TV とかDVD で観る演劇の「なんか足りない感」ってあると思うんですけど、私。
だから、この『うお傳説』は2011年11月の19~28日にしか観られないんですよ。下北沢を巻き込んだ大災害が起きたり、他ならぬあなたが今この瞬間にバタッと歩けない身体になっちゃったらもう二度と観られなくなるのよ!?
今は25日の昼間です。あと6回しかチャンスはありませんよ~。私はあさっての27日にも観に行くつもりです。
前回におすすめできなかったフラストレーションはここで発散! 伝説、やってるよ~。
さて、話題は思いっきり変わりまして、今日も今日とて「ぬらりひょんサーガ」でございます。
2007年に満を持してスタートした、21世紀仕様のアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』。
この内容が、「鬼太郎サーガ」史上初めて、ほんとうの意味での「原作マンガの枠から自由に飛翔した続編」だったということは前にふれましたが、具体的な新要素で私が注目したものは、「過去の歴史のつみかさね」と「ファミリーの巨大化」。
すべてのエピソードで言及されているわけではないのですが、1960年代から活動を始めた1954年生まれのゲゲゲの鬼太郎少年が少年の姿のままで21世紀の現代にいる(猫娘はちょっと成長している)という設定が強調されていたり、原作マンガのエピソードの数十年後に起きた後日談や続編があったり。
もしくは、『ポケットモンスター』のように子どもに親しみを持たせる妖怪たちがひしめき合う「妖怪横丁」や「妖怪四十七士」といったオリジナル設定も追加され、原作では鬼太郎によそよそしかった、それどころか、かつて1コマたりとも出演することの無かった妖怪までもが「鬼太郎ファミリー」に追加加入するという大盤振る舞いとなったのです。昔は、「鬼太郎ファミリー」といえばオックスフォード大学なみの超高倍率だったというのに……
そして、いよいよ本題にはいるのですが、そういった部分をモロに受けて21世紀の新しい姿を提示することとなったのが! 何を隠そう我らがぬらりひょん先生と、その一味だったというわけなのでございますよ! このアニメ第5期での「妖怪総大将ぬらりひょん」像こそが、『ぬらりひょんの孫』の大人気をへて現在にいたる、現時点での最終形態につながっているといっても過言ではないわけなのであります。
2007年4月に始まったアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』の中で、妖怪ぬらりひょんは今までのアニメ第3・4期以上に冷徹でカリスマ性に満ちた「日本悪者妖怪の親玉」になっています。その存在が作品にあたえる影響の大きさにもかつてないものがありました。
まず第5期を観て気になるのは、おなじみの「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲ~」で始まる主題歌(第5期は前半が泉谷しげる、後半がザ50回転ズによるカヴァー)とともに流れる華やかなOP 映像で、第1話からぬらりひょんが半分シルエットに隠れた横顔で出演! よく見ると、さらにその隣には蛇骨婆らしき老婆の影も! えっ、おばば悲願のレギュラー参加なる!?
意外にも、OP 映像にぬらりひょんが出てくるのはこれがシリーズ初なんですよ。要するにこれは、それまでを上回る重要度で、ぬらりひょん一味が物語全体にかかわってくることを意味しているのです。うをを。
そしてさらに、アニメ第5期で声優通算6代目のぬらりひょんを演じることとなったのは、かつてあの第3期で3代目ぬらりひょんを担当していた青野武(71歳)御大!! 再登板ときましたか~!
まさしく「ぬらりひょんといえば青野武」といったイメージも根強い、巻き舌まじりの「鬼太るゥオ!」ヴォイスがかえってきた。これには私も熱くなりましたねぇ~。
ただし、この驚異のキャスティングには、単に「ハマリ役の声優さんにまたやってもらった。」という安易なものだけではない、製作スタッフの重大な意図が込められてたように私は思えてなりません。
それは、「すでに過去、鬼太郎との激戦を繰り広げた経験のあるぬらりひょんの現在を描くため」だったのではないかと。
かつて、1980年代のアニメ第3期でぬらりひょんを演じていた青野さんは50歳前後だったのですが、21世紀の第5期に登板したころは70歳を過ぎておられました。
つまりこれは、名優・青野武の実年齢での時間の流れと壮年期での激戦の記憶を、そのまんま現在の「リアル続編路線」に投影させようとする大作戦だったのではないかと!! なんとおそれおおいことか。
確かに、それまでのアニメシリーズに登場したぬらりひょんは、「リセットリメイク」の方針にのっとって鬼太郎とは初対面の状態からそれぞれの闘いの歴史をつむいでいくというスタートの仕方をしていたのですが、この第5期では、ぬらりひょん一味がはじめから鬼太郎にそうとうな恨みをいだいて何度も抹殺をこころみているし、同時に鬼太郎ファミリーもそんな勢力があることをしっかり認識しているのです。こりゃあ「朝からグーグーグー」なんてやってらんねぇよ!
こういった感じで、アニメ第5期に登場するぬらりひょんは、具体的にその過去を回想するくだりこそないものの、第3・4期に相当するような「激闘の歴史」があったことを容易に想像させる新たなる21世紀のぬらりひょんとなっていたのです。
ということで、演じた青野武さんの実年齢のつみかさねとともに、キャラクターとしても歳月の重みを感じさせる第5期のぬらりひょんは、外見も内面も大きくそれまでのシリーズからリニューアルされたものとなっていました。
なんといっても、全体的に老けた。
まず、「小柄な老人」というイメージは引き続き継承されいるものの、今までは多少フォーマルでパリッとしたところもあった和服の上着「羽織」が、隠居した老人が縁側でお茶を飲んでいるときに着ているようなオフっぽい「袖なし羽織」に変わっていて、しかも常に杖をついている!
ただ、どうも杖のほうは相手を油断させるためのカモフラージュのようで、敵キャラらしく刀が仕込まれているし、短時間ならば激しい戦闘アクションを鬼太郎とこなすことも可能のようです。
さらに変わったのはその顔つきでして、「頭が大きい」といっても人間っぽい範囲での大きさだったそのはげ頭は、第5期ではあのハンス=ルドルフ=ギーガーの描く「エイリアン」かってくらいに後ろにミヨ~ンとのびた形状になっており、耳も妖怪らしく上の部分がとがっています。
そして、顔だちはいかにも狡猾そうな悪役顔であるものの、眉毛はゲジゲジに濃くなってシワのいかめしい頑固一徹なシブい雰囲気。
同じ悪役とは言っても、『画図百鬼夜行』の「ぬうりひょん」をモデルとした水木しげるの原作マンガやアニメ第4期での「ニヘラ~顔」はおろか、水木しげるのイラスト「ダークぬらりひょん」をもとにした第3期での青白い顔に眉毛のうすい「酷薄顔」ともだいぶ違ったものとなっているんですね。はっきり言って、水木しげるの味わいは1ミクロンもないアニメオリジナルのイメージとなっているのです。
「眉毛が濃い」という点では、『地獄先生ぬ~べ~』にゲスト出演した時のぬらりひょんに比較的近いような気もするのですが、それよりはもっと知的な感じがするし。
こんなに老けた老けたと言っていると、キャラクターとして弱くなっているのか? と心配になる方もおられるかと思うのですが、そこを充分にフォローしてあまりあるのが、新生ぬらりひょんご自身の格段に上がったリーダーシップと、それにつき従う一味の充実のラインナップなんですね!
かつてのアニメ第3・4期では、他の妖怪を平気でだましたり見捨てたりする人望のなさや、肝心のところでおバカキャラの朱の盤でさえイラッとくるような初歩的ミスをやらかして失敗してしまうツメの甘さのために、どうしても念願の「妖怪総大将」になれない器の小ささが露呈してしまっていたぬらりひょん。第3期で、バブル期のどさくさにまぎれて会社社長としての経営の才能を発揮していたところは良かったんですけど。
ところが、第5期のぬらりひょんにそういったコミカルな欠点はほとんどなく、鬼太郎への復讐のために冷静沈着に作戦を練る正真正銘の「ヒールキャラ」になっているんですねぇ。ダテに年はくっていません。
第5期のぬらりひょんの表情はなんというか、これまでの彼についてまわってきていた、「権勢欲」や「名声欲」や「金銭欲」や「性欲」といった欲望の気配が消えており、ただただストイックに鬼太郎を追い詰めるというクールさがあるんですよねぇ。そういう意味でも、同じ青野ぬらりひょんでありながら、第3期のころとはまるでおもむきの変わった「老成ぶり」が目立つんですなぁ。
そしてそんなクールでカッコイイぬらりひょんについてくる妖怪が、これまでのシリーズのように朱の盤ひとりという寂しさであるはずがなく、1話こっきりのゲストでなく、複数のエピソードにわたり準レギュラーとなって出演しているぬらりひょん一味の人数が最多(朱の盤・蛇骨婆・かまいたち・旧鼠・カニ坊主)となっていることも、アニメ第5期ならではの特色だったのです。にぎやかになったなぁ~オイ! ひとり、アパートの部屋で朝ごはんを「がさがさ」と食べていた日々のことを思い起こせば涙が出てきます。
こうして装いもあらたにリニューアルされたぬらりひょん一味が、第5期の中で鬼太郎ファミリーと本格的に激突するのは第8話『宿敵!ぬらりひょん』(2007年5月放送)からとなります。
ただし、実はすでにそれ以前の段階でぬらりひょんは暗躍を開始しており、第4話『男!一反もめん』と第7話『燃えろ!目玉おやじ』(どちらも2007年4月放送)でそれぞれ、海座頭・舟幽霊ペアと雪女・雪入道ペアを裏からあやつって暴れさせるいつもの黒幕ポジションについて鬼太郎の様子をリサーチしていました。
ここでの、本人は静観するのみで事態の経過は朱の盤(演・小西克幸)に逐一報告させるというスタイルは、操っている妖怪こそ違いますが、同時期にタイアップ連載されていたほしの竜一の『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪千物語』でのぬらりひょんのやり方と共通しているものがありますね。
ちなみにアニメ第5期での朱の盤は、キャラクター設定も衣装も今までのシリーズとほぼ変わっていないものの、顔つきがやや丸顔になってそれ以外の萌え~なキャラクターたちに若干歩み寄ったものとなっています。
しかし朱の盤、顔で人をビックリさせるだけが能のお前がかわいくなってどうする……ぬらりひょん先生のダメ出しが今にも聞こえてくるような気がします。
さぁ、ほしの版の『妖怪千物語』ではやっと姿をあらわしたかと思ったらさっさと天狗ポリスに捕まって強制退場させられてしまっていたぬらりひょん。肝心のアニメ第5期では一体どのような活躍を見せることとなるのであ~りましょうか!?
ダテに年とってはおらん。21世紀にますます加速する高齢化社会の真のヒーローはわしじゃ! いくぞ鬼太るゥオ!!
老練な経験と怨念の日々がついに花を咲かせるか、はたまたしょせんは年寄りの冷や水か?
新生ぬらりひょん一味、アニメ第5期を所せましと暴れ回る興奮の快進撃っぷりはまた次回のココロだ~。