長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『踊り場の花子』映像化記念!! 『世にも奇妙な物語』つながりの思い出あれこれ  空想トレイン通勤快速

2013年05月17日 16時37分34秒 | ホラー映画関係
 どうもこんにちは! そうだいでございます。

 もう、残りも一気にドカ~ンといっちゃいましょうか!! ちゃっちゃとちゃっちゃと GO☆


《あんまり観たことはないけど……海外のホラー系オムニバス or 1話完結形式ドラマシリーズあれこれ》

『ヒッチコック劇場』(1955~65年 アメリカ CBSテレビ・NBCテレビ 各話30~60分10シーズン全361話 モノクロ)
・アメリカで制作された1話完結形式のミステリードラマシリーズ。
・言わずと知れた「スリラー映画の神様」アルフレッド=ヒッチコック(1899~1980年)がストーリーテラーと一部エピソードの演出をつとめた。
・シリーズは1955~62年に『 ALFRED HITCHCOCK PRESENTS(ヒッチコック劇場)』というタイトルの30分番組で放送され(7シーズン全268話)、1962~65年は1時間枠の『 THE ALFRED HITCHCOCK HOUR(ヒッチコック・サスペンス)』(3シーズン全93話)に拡大された。
・レイ=ブラッドベリやロバート=ブロックといった有名な作家の小説も数多く映像化された。
・有名なテーマ曲はフランスのクラシック作曲家シャルル=グノー(1818~93年)の『マリオネットの葬送行進曲』(1872年)。
・ヒッチコック没後の1985~89年にリメイクシリーズ『新・ヒッチコック劇場』が制作され(各話30分4シーズン全80話)、ヒッチコックの出演部分は旧シリーズの映像をカラー処理して再利用された。
・シリーズは日本でも、シーズンごとに日本テレビ、フジテレビ、TBS 、テレビ東京の各局で放送された(全エピソードが放送されたわけではない)。

『トワイライト・ゾーン』(1959~64年 アメリカ CBSテレビ 各話30~60分5シーズン全156話 モノクロ)
・「♪ちゃらりら ちゃらりら……」のオープニング曲がとにかくインパクト絶大な、世界的知名度を誇る TVドラマシリーズ。
・アメリカで制作された1話完結形式の空想ドラマシリーズで、第4シーズンのみ1時間番組、それ以外のシーズンは30分番組。
・原題は『 THE TWILIGHT ZONE』だが、日本では『未知の世界』『ミステリー・ゾーン』『ミステリー』というタイトルでも放送されていた(日本テレビと TBS)。
・脚本家のロッド=サーリング(34~39歳)が製作と多くのエピソードの脚本をつとめ、全話でストーリーテラーも兼任した。
・エピソードの脚本はサーリングのほか、幽霊屋敷ものホラー映画の金字塔『ヘルハウス』(1973年)の原作と脚本でも有名な SFホラー作家のリチャード=マシスン(1926年~)も多くを手がけている。
・物語はエピソードによっては特殊造形の怪物も登場する SFよりの作風が多かったが、全体的に心理的な恐怖をあおる大人向けのスリラー演出を重視していた。
・たとえばマシスン脚本の『2万フィートの戦慄』なんかは、いくら特殊効果が古くさくても怖いものは怖いの!! まさに古典。
・シーズンによってエピソードの内容時間が30~60分に変化していた。
・1975年にサーリングは死去したが(享年50歳)、その後1983年6月にはスティーヴン=スピルバーグ(36歳)、ジョー=ダンテ(36歳)といった当時若手の人気映画監督4名が各話の監督をつとめた劇場版『トワイライト・ゾーン 超次元の体験』(4本オムニバス101分)が公開された。もちのろんで先述の『2万フィートの戦慄』もリメイクされている(担当監督はジョージ=ミラー)。
・劇場版のストーリーテラー(ナレーションのみ)は、『ロッキー』シリーズでおなじみの名優バージェス=メレディス(74歳)。
・1985~89年に第1リメイクシリーズ(各話30~45分1~3本オムニバス、3シーズン全65話 CBSテレビ カラー)、2002~03年に第2リメイクシリーズ(各話30分2本オムニバス、1シーズン全43話 放送はアメリカ UPNテレビ カラー)が制作されている。
・第2リメイクシリーズのストーリーテラーはハリウッドスターのフォレスト=ウィテカー(41歳)。

『世にも不思議な物語』(1959~61年 アメリカ ABCテレビ 各話30分3シーズン全97話 モノクロ)
・アメリカで制作された1話完結形式の空想ドラマシリーズ。
・原題は『 ONE STEP BEYOND(一歩先の世界)』で、自身も TV演出家だった俳優のジョン=ニューランド(1917~2000年)がストーリーテラーをつとめる。
・「本当に起こった不思議な出来事をドラマ化する」というふれこみで心霊現象や超常現象を多く扱っていた、『奇跡体験!アンビリバボー』の元祖のような番組。
・1978年には同じくジョン=ニューランドがストーリーテラーをつとめた続編 TVシリーズ『新・世にも不思議な物語』(全25話・カラー)が制作された(原題は『 THE NEXT STEP BEYOND』)。

『アウター・リミッツ』(1963~65年 アメリカ ABCテレビ 各話60分全49話 モノクロ)
・アメリカで制作された1話完結形式の SFドラマシリーズ。
・ヒッチコックの『サイコ』の脚本家としても有名なジョセフ=ステファノが製作・脚本をつとめる。
・毎回必ず特殊造形の宇宙人や怪物が登場する内容だが、作品自体は大人向けな作風。
・ストーリーテラーはいないが、番組冒頭の「これはあなたの TVの故障ではありません……」というナレーションが有名。
・原題は『 THE OUTER LIMITS』だが、日本では『ウルトラゾーン』というタイトルで放送されていた。
・『X-ファイル』と同じ20世紀フォックステレビで、1995~2002年にリメイクシリーズ『新・アウター・リミッツ』(各話45分7シーズン全152話)が制作されている。

『世にも怪奇な物語』(1968年5月公開 フランス・イタリア合作 122分 カラー)
・ロジェ=ヴァディム(『血と薔薇』)、ルイ=マル(『死刑台のエレベーター』)、フェデリコ=フェリーニ(『道』)がそれぞれ監督をつとめた超豪華ホラーオムニバス映画。
・内容は3話すべてがアメリカの大作家エドガー=アラン=ポオ(1809~49年)の短編幻想小説を映像化したものであり、ヴァディム監督の第1話『黒馬の哭く館』(主演・ジェーン=フォンダ)は『メッツェンガーシュタイン』(1832年)、マル監督の第2話『影を殺した男』(主演・アラン=ドロン)は『ウィリアム・ウィルソン』(1839年)、第3話『悪魔の首飾り』(主演・テレンス=スタンプ)は『悪魔に首を賭けるな』(1841年)を原作としている。
・第3話のみ、作品の舞台が「近未来」にアレンジされており、作中に登場する「少女」の描写法が非常にステキ。
・この映画が1990年代初頭に NHKで放送されたとき、そうだい少年はてっきり『世にも奇妙な物語』が放送されるものと思い込んでビデオを予約録画してしまい、あとで異様に古く耽美的な内容を観てひっくりかえった。

『四次元への招待』(1969~73年 アメリカ NBCテレビ 各話30~60分3シーズン全98話 モノクロ)
・アメリカで制作された1話完結形式の 空想オムニバスドラマシリーズ。
・第1~2シーズンの放送時間は60分だったが、第3シーズンの放送時間は30分になっている。
・放送1回ぶんの収録エピソード数は「1~4話」と不定だった。
・『トワイライト・ゾーン』のロッド=サーリング(44~48歳)が製作・脚本・ストーリーテラーをつとめている。
・原題は『 NIGHT GALLERY』。
・1969年11月に放送されたパイロット版は3作オムニバス(98分)で、第2話はスティーヴン=スピルバーグ(22歳の演出デビュー作!)が演出をつとめジョーン=クロフォード(64歳)が主演だった。

『スリラー劇場』(1973年 イギリス ITCテレビ 各話60分全43話)
・イギリスで制作された1話完結形式のホラードラマシリーズ。
・原題は『 THE THRILLER』で、ストーリーテラーは特にいなかったらしい。

『悪魔の手ざわり』(1973~74年 オーストラリア・ナインネットワークテレビ 各話30分全26話)
・オーストラリアで制作された1話完結形式のホラードラマシリーズ。
・心理的な恐怖の描写を重視したスリラーサスペンスが多かった。
・アメリカで制作されたため、オーストラリアよりもアメリカで活動する俳優が多く出演していた。
・原題は『 THE EVIL TOUCH』で、ストーリーテラーはイギリス人のハリウッド俳優アンソニー=クエイル(60歳)。
・日本では1982年以降、日本テレビの深夜帯でたびたび放送されていたらしい。

『オーソン・ウェルズ劇場』(1973~74年 アメリカ CBSテレビ 各話30分全29話)
・イギリスで制作されアメリカで放送された1話完結形式のホラーミステリードラマシリーズ。
・コナン=ドイル、オー・ヘンリ、モーパッサンといった古典から現代ミステリーまで、有名なホラー or ミステリー小説の短編をドラマ化したシリーズ。
・原題は『 ORSON WELLES GREAT MYSTERIES』で、ストーリーテラーは20世紀を代表する天才映像作家オーソン=ウェルズ(58歳)。
・日本では1977年1~6月にテレビ朝日の夜22時30分~23時枠で26話ぶんが放送され、日本版のスポンサーは当時ウェルズを CMに起用していたニッカウヰスキーだった。

『クリープショー』(1982年12月公開 アメリカ 120分)
・監督ジョージ=アンドリュー=ロメロ、脚本スティーヴン=キング、特殊効果トム=サヴィーニというものすごいホラーオムニバス映画。
・原題は『 CREEPSHOW(ゾクッとするショー)』。
・1949~54年にアメリカで大流行した、EC コミック社を代表とする安価なホラーコミック雑誌の作品世界の復権を目指すというコンセプト。
・ストーリーテラーはいないが、少年(演じるのはスティーヴン=キングの実の息子)が読んでいるホラーコミック雑誌の掲載作品5作が映像化されていくという形式。
・エド=ハリスやレスリー=ニールセンが各話に出演しているほか、第2話ではスティーヴン=キング本人が主演をつとめている。
・1987年の『クリープショー2』(3作オムニバス)にロメロ・キング・サヴィーニの3名は参加しているが、2006年の『クリープショー3』(5作オムニバス)には誰も参加していない。

『世にも不思議なアメージング・ストーリー』(1985~87年 アメリカ NBCテレビ 各話30分2シーズン全45話)
・アメリカで制作された1話完結形式の空想ドラマシリーズ。
・製作総指揮スティーヴン=スピルバーグ(38~40歳)、テーマ作曲ジョン=ウィリアムズで、スピルバーグ自身も一部エピソードの演出や原案をつとめた。
・原題は『 AMAZING STORIES』で、スピルバーグが少年時代に愛読したという世界初の SF小説専門雑誌『アメイジング・ストーリーズ』(1926~2005年刊行)の世界をイメージしているため、ホラーよりも SF要素のほうが強い。
・マーティン=スコッセッシやロバート=ゼメキスといった大物映画監督陣も演出に参加し、ケヴィン=コスナーやハーヴェイ=カイテルといったハリウッドスターたちも多く出演している(クリント=イーストウッドやダニー=デヴィートが演出を担当するエピソードもあった)。
・アメリカの有名な SFホラー作家のリチャード=マシスンが原作や脚本で参加しているエピソードも3作ある。
・第2シーズン第16話の『いじわる家族といたずらドッグ』は唯一のアニメ作品だったが、『ザ・シンプソンズ』のブラッド=バード(29歳)が演出・脚本をつとめ、ティム=バートン(28歳)がキャラクターデザインを担当した異色のブラックコメディだった(このエピソードのみ劇場公開され、のち1992年にスピンオフした TVシリーズが制作されている)。
・日本のみで、傑作3本をまとめた劇場版が公開されている(スピルバーグ演出エピソードももちろんあり)。

『ハリウッド・ナイトメア』(1989~96年 アメリカ HBOテレビ 各話30分7シーズン全93話、劇場版3作)
・アメリカで制作された1話完結形式のホラードラマシリーズ。
・原題は『 TALES FROM THE CRYPT(地下室の物語)』で、謎の館の地下蔵にいるミイラのような怪人「クリプトキーパー」がストーリーテラーとなっている。
・日本語版の番組タイトルが『ハリウッド・ナイトメア』の他に『ルシファー』『フィアーナイト』『ハリウッド・アドベンチャー』など統一されていない。
・1982年に公開されたホラーオムニバス映画『クリープショー』が範とした1949~54年に連載された ECコミック社のホラーコミック雑誌『 TALES FROM THE CRYPT』の掲載作品を原作としている。
・ウォルター=ヒル、ロバート=ゼメキスらが製作総指揮と数話のエピソード監督をつとめ、ブラッド=ピットやユアン=マクレガーといった錚々たるハリウッドスター陣が出演している(アーノルド=シュワルツェネッガーやトム=ハンクスが監督を担当したエピソードもある)。
・7シーズンの TVシリーズの他に、映画化された『デーモン・ナイト』(1995年)、『ボーデロ・オブ・ブラッド』(1996年)、『デス・ヴィレッジ』(2001年)の3作がある。
・テーマ曲の作曲はおなじみダニー=エルフマン。

『マスターズ・オブ・ホラー』(2005~07年 アメリカ・ショウタイムテレビ 各話60分2シーズン26話)
・アメリカで制作された1話完結形式のホラードラマシリーズ。
・トビー=フーパー、ダリオ=アルジェント、ジョン=カーペンターら世界的なホラー映画界の名匠が各話の監督をつとめるシリーズ。
・日本からは第1シーズンで三池崇史(最終第13話『インプリント ぼっけぇ、きょうてぇ』)、第2シーズンで鶴田法男(最終第13話『ドリーム・クルーズ』)が参加し、どちらも日本で TV放送時よりも内容を拡大したヴァージョンが劇場公開されている。
・三池監督の『インプリント』は岩井志麻子の短編小説『ぼっけぇ、きょうてぇ』、鶴田監督の『ドリーム・クルーズ』は鈴木光司の短編小説『夢の島クルーズ』が原作となっている。
・『インプリント』は残虐シーンのためにアメリカ本国では放送されず、日本では R-18指定として独立して劇場公開された。



《まとめてみた!! 世界のミステリー・ホラー系オムニバス or 1話完結形式ドラマシリーズの歴史年表》

1950年代
TV 『ヒッチコック劇場』(1955~65年 アメリカ CBSテレビ 各話30~60分10シーズン全361話 モノクロ)
・1955~62年は『 ALFRED HITCHCOCK PRESENTS(ヒッチコック劇場)』(30分番組7シーズン全268話)、1962~65年は『 THE ALFRED HITCHCOCK HOUR(ヒッチコック・サスペンス)』(1時間番組3シーズン全93話)

TV 『世にも不思議な物語』(1959~61年 アメリカ ABCテレビ 各話30分3シーズン全97話 モノクロ)
・原題は『 ONE STEP BEYOND(一歩先の世界)』で、「本当に起こった不思議な出来事をドラマ化する」というふれこみで心霊現象や超常現象を多く扱っていた、『奇跡体験!アンビリバボー』の元祖のような番組。

TV 『トワイライト・ゾーン』(1959~64年 アメリカ CBSテレビ 各話30~60分5シーズン全156話 モノクロ)
・原題は『 THE TWILIGHT ZONE』だが、日本では『未知の世界』『ミステリー・ゾーン』『ミステリー』というタイトルでも放送されていた(第4シーズンのみ1時間番組、それ以外のシーズンは30分番組)。

1960年代
TV 『アウター・リミッツ』(1963~65年 アメリカ ABCテレビ 各話60分全49話 モノクロ)
・原題は『 THE OUTER LIMITS』だが、日本では『ウルトラゾーン』というタイトルで放送されていた。

TV 『ウルトラQ』(1966年1~7月放送 TBS 各話30分全28話 モノクロ)
・TBS の毎週日曜日19時00~30分枠で放送された1話完結形式の空想特撮ドラマシリーズ。
・言わずと知れた日本特撮界の老舗・円谷プロの第1回制作シリーズで、次作『ウルトラマン』以降現在まで連綿と続く「ウルトラシリーズ」の第1作で、シリーズ監修は円谷英二(65歳)。

映画『世にも怪奇な物語』(1968年5月公開 フランス・イタリア合作 3本オムニバス122分 カラー)
・監督はロジェ=ヴァディム(40歳)、ルイ=マル(35歳)、フェデリコ=フェリーニ(48歳)。

TV 『四次元への招待』(1969~73年 アメリカ NBCテレビ 各話30~60分3シーズン全98話 モノクロ)
・原題は『 NIGHT GALLERY』で、第1~2シーズンの放送時間は60分だったが、第3シーズンの放送時間は30分になっている。

1970年代
TV 『恐怖劇場アンバランス』(1973年1~4月放送 フジテレビ 各話60分全13話 カラー)
・フジテレビの毎週月曜日深夜23時15~24時10分枠で放送された1話完結形式のホラー or ミステリードラマシリーズ。
・シリーズは当時、日本特撮界のエースこと円谷プロが『怪奇大作戦』(1968年9月~69年3月放送)に続く「大人向け空想ドラマ」として1969年7月~70年3月に制作していたものだったのだが、「ホラー描写が過激すぎてスポンサーが及び腰になる」という事態のために約3年間お蔵入りになっていた。

TV 『悪魔の手ざわり』(1973~74年 オーストラリア・ナインネットワークテレビ 各話30分全26話 カラー)
・原題は『 THE EVIL TOUCH』で、アメリカで制作されたためオーストラリアよりもアメリカで活動する俳優が多く出演していた。

TV 『オーソン・ウェルズ劇場』(1973~74年 アメリカ CBSテレビ 各話30分全29話)
・原題は『 ORSON WELLES GREAT MYSTERIES』で、ストーリーテラーは20世紀を代表する天才映像作家オーソン=ウェルズ(58歳)。

TV 『スリラー劇場』(1973年 イギリス ITCテレビ 各話60分全43話)
・原題は『 THE THRILLER』。

TV リメイクシリーズ『新・世にも不思議な物語』(1978年 アメリカ ABCテレビ 各話30分1シーズン全25話)
・前シリーズと同じくジョン=ニューランドがストーリーテラーをつとめた続編 TVシリーズ(原題は『 THE NEXT STEP BEYOND』)。

1980年代
映画『クリープショー』(1982年12月公開 アメリカ 5本オムニバス120分)
・原題は『 CREEPSHOW(ゾクッとするショー)』で、監督ジョージ=アンドリュー=ロメロ(42歳)、脚本スティーヴン=キング(35歳)、特殊効果トム=サヴィーニ(36歳)。

映画『トワイライト・ゾーン 超次元の体験』(1983年6月公開 4本オムニバス101分)
・監督はスティーヴン=スピルバーグ(36歳)、ジョー=ダンテ(36歳)、ジョージ=ミラー(38歳)、ジョン=ランディス(32歳)。

TV 『世にも不思議なアメージング・ストーリー』(1985~87年 アメリカ NBCテレビ 各話30分2シーズン全45話)
・原題は『 AMAZING STORIES』で、原案、製作総指揮、一部エピソードの演出をスティーヴン=スピルバーグ(38~40歳)がつとめた。

TV リメイクシリーズ『新・ヒッチコック劇場』(1985~89年 アメリカ NBCテレビ 各話30分4シーズン全80話)

TV リメイクシリーズ『トワイライト・ゾーン(第1リメイク)』(1985~89年 アメリカ CBSテレビ 各話30~45分3シーズン全65話)

TV 『ハリウッド・ナイトメア』(1989~96年 アメリカ HBOテレビ 各話30分7シーズン全93話、劇場版3作)
・原題は『 TALES FROM THE CRYPT(地下室の物語)』だが、日本語版の番組タイトルが『ハリウッド・ナイトメア』の他に『ルシファー』『フィアーナイト』『ハリウッド・アドベンチャー』などと統一されていない。
・ TVシリーズの他に、映画化された『デーモン・ナイト』(1995年)、『ボーデロ・オブ・ブラッド』(1996年)、『デス・ヴィレッジ』(2001年)の3作がある。

TV 『奇妙な出来事』(1989年10月~90年3月放送 フジテレビ 各話30分全20回)
・フジテレビの毎週月曜日深夜25時10~40分枠で放送された1話完結形式の空想ドラマシリーズで、1990年4月からレギュラー放送されることとなった『世にも奇妙な物語』の原型にあたる番組。

1990年代
TV 『世にも奇妙な物語』(1990年4月~ フジテレビ 3シーズン+スペシャルドラマシリーズ 各話15~30分全483話)
・1990年4月から放送が開始されている空想オムニバスドラマシリーズで、1990~92年に3シーズン連続ドラマ化された後は、毎年の春と秋にスペシャルドラマ枠で恒例に放送される人気長寿シリーズになっている。

映画『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』(1990年4月公開 監督・実相寺昭雄、脚本・佐々木守 106分)
・1966年に放送されたTV シリーズ『ウルトラQ』の初映画化作品だが、内容はキャラクター名を借りただけで、前作や他の「ウルトラシリーズ」との直接のつながりはない(ただし、 TVシリーズの一ノ谷博士の写真だけはサービス出演する)。
・内容はオムニバス形式ではなく、1本の長編作品。

マンガ『アウターゾーン』(1991年4~6月、12月~1994年4月連載 作・光原伸 全116話)
・天下のマンガ雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)で2期3年間にわたり連載された1話完結形式の空想SF ホラーマンガ(コミックス全15巻、コミック文庫版全10巻)。
・季刊ホラーマンガ雑誌『コミック特盛』(ホーム社)の2011年秋号(10月)から、約20年ぶりの新連載にして正式続編の『アウターゾーン リビジテッド』が開始されている(現在、コミックスは第1巻)。

オリジナルビデオ『ほんとにあった怖い話』(1991年7月~92年7月 各巻50~60分全3巻)
・ジャパンホームビデオから販売されたオムニバス形式のオリジナルビデオシリーズで、のちに1999年から現在までフジテレビで放送されることとなった人気シリーズ『ほんとにあった怖い話』の原型にあたる。
・全話の監督は鶴田法男(30~31歳)で、脚本は小中千昭(30~31歳)。

TV 『本当にあった怖い話』(1992年4~9月 テレビ朝日 各話30分全38話)
・テレビ朝日の毎週月曜日20~21時枠で放送された毎回2本立てオムニバス形式のホラードラマシリーズ。
・フジテレビの『世にも奇妙な物語』やオリジナルビデオ『ほんとにあった怖い話』シリーズの大ヒットを受けて制作されたシリーズだったが、それらや朝日ソノラマのホラーマンガ雑誌『ほんとにあった怖い話』とは直接の関連はない。

TV 『if もしも』(1993年4~9月放送 フジテレビ 各話60分全18回)
・1992年9月まで同局の同放送枠でレギュラー放送されていた『世にも奇妙な物語』の派生番組で、物語の途中で必ず主人公が「運命の分岐点」に遭遇し、選択されたハッピーエンドのパターンとバッドエンドのパターンとの2つが放送されるという特殊なドラマ内容。

TV 『学校の怪談』(1994年1~3月放送 関西テレビ 各話30分全11話、のちに2001年までスペシャルドラマ化)
・関西テレビ(フジテレビ系列)の毎週金曜日19時00~30分枠で放送された1話完結形式のホラードラマシリーズ。
・1994年にレギュラー放送された後は、1996~2001年に毎年1作ずつのペースでオムニバス形式のスペシャルドラマが制作された。
・黒沢清、清水崇、中田秀夫、鶴田法男、高橋洋といった日本ホラー映画界の立役者のほか、矢口史靖、片岡Kといった多彩な顔ぶれが制作に参加している。

TV リメイクシリーズ『新・アウター・リミッツ』(1995~2002年 アメリカ 20世紀フォックステレビ 各話45分7シーズン全152話)

TV 『いとしの未来ちゃん』(1997年4~6月放送 テレビ朝日 各話30分全11回、最終2話は前後編形式)
・テレビ朝日の毎週土曜日深夜23時28~58分枠で放送された1話完結形式の近未来空想ドラマシリーズ。
・全話の脚本と演出を TV演出家の片岡Kが務めており、近未来考証は小説家の渡辺浩弐が担当している。

TV 『幻想ミッドナイト』(1997年10~12月放送 テレビ朝日 各話30分全11回、最終回のみ60分スペシャル)
・テレビ朝日の毎週土曜日深夜24時40分~25時10分枠で放送された1話完結形式の空想ドラマシリーズ。
・全話にわたり筒井康隆、宮部みゆき、綾辻行人、京極夏彦ら人気作家の小説を原作としている。

TV 『怖い日曜日』(1999年7月~2000年11月放送 日本テレビ)
・日本テレビの毎週日曜日昼11時40分~12時枠で放送された実話投稿形式のホラーオムニバスドラマシリーズ。
・1999年いっぱいは10月から『怖い日曜日 新章』にタイトルを改めて放送が継続され、20001~6月の中断をはさんで7~11月は『怖い日曜日2000 』として放送された。
・番組制作時点では原作の実録怪談集『新耳袋』はまだ完結していなかったが、毎回5~10分のホラードラマが2~4作収録されている内容で、『新耳袋』のエピソードが全115話ぶん映像化された。

TV 『ほんとにあった怖い話』(1999年8月~ フジテレビ)
・1999~2003年にスペシャルドラマとして放送され、2004~05年に2シーズン連続ドラマ化された後は、毎年の夏にスペシャルドラマ枠で恒例に放送される人気シリーズになっている。
・オムニバス形式で放送されるエピソードはおもに各話5~30分の内容になっており、最新作の『夏の特別編2012』(8月放送)までに全159話のエピソードが制作されている。

2000年代
映画『世にも奇妙な物語 映画の特別編』(2000年11月公開 4本オムニバス120分)
・監督は落合正幸(42歳)、鈴木雅之(42歳)、星護(42歳)、小椋久雄(46歳)といった TVシリーズのベテラン陣で、タモリのストーリーテラー部分のドラマ脚本は三谷幸喜(39歳)が担当した。

TV リメイクシリーズ『トワイライト・ゾーン(第2リメイク)』(2002~03年 アメリカ UPNテレビ 各話30分1シーズン全43話)

TV 『怪談新耳袋』(2003年2月~ BS-TBS 9シーズン全111話)
・BS-TBS で2003年2月から不定期に放送されているホラーオムニバスドラマシリーズ。
・TV 放映版は毎シーズン1~3回で集中的に放送されており(最新第9シーズンは2010年5月放送)、劇場版は5作公開されている(2004年8月~2012年8月)。
・演出に清水崇、鶴田法男、雨宮慶太といった有名映画監督が参加しているほか、脚本家の高橋洋が演出を担当しているエピソードもある。

TV 『ウルトラQ倶楽部』(2003年10月~04年3月放送 TBSラジオ 各話20分全25話)
・TBS ラジオの毎週日曜日19時30分~20時に放送されていた30分番組で、前半は『ウルトラQ』(1966年)の直接の続編となる空想ラジオドラマ、後半は出演者や製作スタッフによるトークという構成になっていた。
・前作『ウルトラQ』に引き続き、およそ40年ぶりに万城目淳・戸川一平・江戸川由里子の3名がオリジナルキャストで出演していた。

オリジナルDVD 『ほんとうにあった怖い話』(2004年3月~ ブロードウェイ)
・オリジナルDVD の他に劇場版が3作制作されている(2004年3月公開の『ほんとうにあった怖い話 怨霊』、2010年10月公開の『ほんとうにあった怖い話 3D』、2012年10月公開の『ほんとうにあった怖い話 プレミアム』)。

TV 『ウルトラQ ダークファンタジー』(2004年4~9月放送 テレビ東京 各話30分全26話)
・テレビ東京で毎週火曜日深夜25時00~30分に放送された1話完結形式の空想特撮ドラマシリーズ。
・『ウルトラQ』(1966年)のタイトルを冠した2作目の TVシリーズとなるが、前作との直接の関係は説明されておらず、『ウルトラマン』以降の「ウルトラシリーズ」とも関連がない。
・映画監督の金子修介のほか、ホラー映画方面からは小中千昭、高橋洋、鶴田法男が制作に参加している。

TV 『マスターズ・オブ・ホラー』(2005~07年 アメリカ・ショウタイムテレビ 各話60分2シーズン26話)
・トビー=フーパー(62歳)、ダリオ=アルジェント(65歳)、ジョン=カーペンター(57歳)ら世界的なホラー映画界の名匠が各話の監督をつとめるシリーズで、日本からは第1シーズンで三池崇史(45歳)、第2シーズンで鶴田法男(45歳)が参加し、どちらも日本で TV放送時よりも内容を拡大したヴァージョンが劇場公開されている。

TV 『トリハダ 夜ふかしのあなたにゾクッとする話を』(2007年3月~12年9月 フジテレビ)
・6作の TVドラマ(2007~09年)と1作の劇場版(2012年9月公開)が制作されており、すべての演出・監督を TV演出家の三木康一郎がつとめている。
・同じ三木康一郎の演出で制作された日常ホラーオムニバスドラマとして、『カクセイ 恐怖に目覚める6つのストーリー』(2011年3月放送 主演・橋本愛)、『ドクロゲキ』シリーズ(2012年1~6月放送)、『ホラーアクシデンタル』(2013年2~3月放送 主演・三浦由衣)がある。エピソードの方向性は『トリハダ』シリーズとほぼいっしょ。

2010年代
『ネオ・ウルトラQ』(2013年1~3月放送 WOWWOW 各話30分全12話)
・WOWWOW で毎週土曜日21時00~30分に放送された1話完結形式の空想特撮ドラマシリーズ。
・『ウルトラQ』(1966年)のタイトルを冠した3作目の TVシリーズとなるが、前2作との関係は説明されておらず、『ウルトラマン』以降の「ウルトラシリーズ」とも関連がない。



 ……毎回毎回、長くってほんとに申し訳ないです、ハイ。

 そんじゃまた、な~んもか~んもひっくるめての雑感は、まったじっかい~っと。
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『踊り場の花子』映像化記念!! 『世にも奇妙な物語』つながりの思い出あれこれ  空想トレイン区間快速

2013年05月15日 18時46分57秒 | ホラー映画関係
 おぱびや~ん!! どうもこんばんは! そうだいでございまする~。

 うぷっ、今回はもう、資料の整理だけで字数が1万字をゆうに突破……もう、おなかいっぱいです!

 ということで、いろんな雑感はまた次回ということにいたしまして、今回はまとめだけで、おしまい!!
 これは……ホラー愛、なのか? いや、そんなに好きなわけでもないんですが、まじで……


《すべては『世にも奇妙な物語』に通ずる!? どこか似ているオムニバス or 1話完結形式ドラマシリーズ》

『ウルトラQ』(1966年1~7月放送 TBS 各話30分全28話 モノクロ)
・TBS の毎週日曜日19時00~30分枠で放送された1話完結形式の空想特撮ドラマシリーズ。
・言わずと知れた日本特撮界の老舗・円谷プロの第1回制作シリーズで、次作『ウルトラマン』以降現在まで連綿と続く「ウルトラシリーズ」の第1作。
・シリーズ監修は円谷英二。明確なメイン監督やメイン脚本家は決まっていなかったが、担当した本数でいえば本編演出は円谷一(英二の長男 1973年没)と野長瀬三摩地(のながせ さまじ)がそれぞれ7エピソードで最多、特殊技術監督は川上景司(11エピソード)、脚本は金城哲夫(12エピソード)が最多となっている。
・それまでは映画館でしか観られなかった特撮作品が TVで楽しめるという新機軸によって、本作は「番組平均視聴率32.4% 、視聴率30% を超えなかったエピソードは5回しかない」という大好評を博し、『ウルトラマン』制作のための大きな橋頭堡となった。
・「ウルトラシリーズ」の1作ではあるがウルトラ兄弟の出現する他シリーズとは一線を画し、あくまでも人間だけが超常現象や異星人の襲来に対峙するという内容になっている(ただし、地球人に事件解決の助言をする友好的な異星人は1作だけに登場する)。
・ストーリー上も他シリーズに直接つながる要素は見当たらないのだが、本作に出現する怪獣が他シリーズにも登場したり、作中の登場人物ののちの姿と思われるキャラクターがたまに登場したり、『ウルトラQ』という番組そのものへのオマージュを込めたエピソードは、後年のシリーズでたまに制作されている。
・エピソード内容は、航空会社パイロットの万城目淳(まんじょうめ じゅん 演・佐原健二 33歳)と助手の戸川一平(演・西條康彦 27歳)、2人の親友の新聞記者・江戸川由里子(演・桜井浩子 19歳)の3名が日常の世界を逸脱した怪事件に遭遇するというものがほぼ全てだが、まれに彼らが登場しないエピソードもある。
・エピソードによっては、怪事件の解決者として世界的科学者の一ノ谷博士(演・江川宇礼雄 63歳)が登場する(全28話中9話)。
・全28話中、巨大生物(怪獣)や特殊スーツ(着ぐるみ)を利用した怪生物が登場しないエピソードはたった3話しかないのだが、テーマ性の強い超科学 SF、宇宙侵略 SF、ホラー、サスペンスアクション、寓話などが目白押しになっているため、大人の鑑賞にも堪えうる作品クオリティを誇っている。
・基本的に1話完結形式だが、「冷凍怪獣ペギラ」と「隕石侵略ロボット・ガラモン」にまつわるエピソードがそれぞれ2話づつある。
・番組のストーリーテラーにあたる存在は、俳優の石坂浩二(24歳!)によるナレーション。
・実に印象的なテーマ曲の作曲は、『ウルトラQ』と後続の『ウルトラマン』のサウンドトラック全てを担当した宮内國郎(くにお 1932~2006年)。
・1990年4月には本作のリメイクとなる映画『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』(監督・実相寺昭雄、脚本・佐々木守 106分)が公開されたが、内容はキャラクター名を借りただけで直接のつながりはなくなっている(ただし、 TVシリーズの一ノ谷博士の写真だけはサービス出演する)。劇場版の万城目淳(演・柴俊夫 43歳)と戸川一平(演・風見しんご 27歳)と江戸川由里子(演・荻野目慶子 25歳)は全員、同じ TV局の番組製作スタッフに設定されている。TV シリーズの一ノ谷博士の後継者と推測できる劇場版の一ノ谷博士(演・中山仁 47歳)も登場するが、あんまり役には立たない。
・2011年には全エピソードをカラー化した映像ソフト商品が発売された。

『恐怖劇場アンバランス』(1973年1~4月放送 フジテレビ 各話60分全13話 カラー)
・フジテレビの毎週月曜日深夜23時15~24時10分枠で放送された1話完結形式のホラー or ミステリードラマシリーズ。
・シリーズは当時、日本特撮界のエースこと円谷プロが『怪奇大作戦』(1968年9月~69年3月放送)に続く「大人向け空想ドラマ」として1969年7月~70年3月に制作していたものだったのだが、「ホラー描写が過激すぎてスポンサーが及び腰になる」という事態のために約3年間お蔵入りになっていたという、いわくつきの作品。
・鈴木清順、藤田敏八、神代辰巳といった当時の日本映画界の新鋭が演出に参加し、俳優陣も唐十郎、蜷川幸雄(俳優として)、西村晃、梅津栄といった異色の顔ぶれが主演していた。
・番組制作の途中で「ホラー路線の縮小」が決定されたため、13エピソード中、制作後期の5話が松本清張、仁木悦子、西村京太郎ら有名ミステリー作家の原作を映像化した純然たる推理ドラマになっている(ただし、のちの放送順はホラー路線のものとシャッフルされている)。
・ストーリーテラーは人気放送作家でタレントの青島幸男(40歳)だったが、青島の出演部分は「番組内容をわかりやすく解説したい」という意図で放送決定時に撮り足された急な対処だった。
・なんだかよくわからないけどとにかく怖いテーマ曲の作曲は冨田勲。
・第12話『墓場からの呪いの手』(脚本・若槻文三)と最終第13話『蜘蛛の女』(脚本・滝沢真里)は、のちにテレビ朝日『土曜ワイド劇場』で2時間ホラードラマにリメイクされている。

『アウターゾーン』(1991年4~6月、12月~1994年4月連載 作・光原伸 全116話)
・天下のマンガ雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)で2期3年間にわたり連載された1話完結形式の空想SF ホラーマンガ(コミックス全15巻、コミック文庫版全10巻)。
・マンガ家の光原伸(1964年~)の初連載作品にして、日本「読後感がヘンなマンガ」史上に燦然と輝く金字塔。
・連載開始時に3ヶ月で終了することが決定していたが、思わぬ好評を得たために急遽「第2期」の連載が決まったという『ジャンプ』では異例の作品。
・作画はそれほどうまくないが、本場アメリカの空想オムニバスドラマも顔負けのプロットと驚愕のラストオチを毎回コンスタントに提供していた。
・ストーリーテラーは人間を超えた能力を持つ謎の美女ミザリィで、作品はほぼ毎回どこかでパンチラや裸などのお色気シーンが用意されていた。その節はどうもありがとうございました。
・ミザリィは自分の役割を「ストーカー」と称しているが、これは作者の光原伸がソヴィエトの伝説的映画監督アンドレイ=タルコフスキーの超傑作 SF映画『ストーカー』(1979年)で使用された「案内人」という意味あいから採用したものであり、日本では1996年ごろから一般的になった「つきまといトラブルの加害者」という意味は込められていない。
・エピソードはほぼ1話完結形式だが、内容によっては2~6話にわたって連続した中~長編エピソードもあり、特に「人間の魂が憑依した人形と刑事が活躍する」サスペンスアクション『マジック・ドール』シリーズは回をまたいで全15話にわたって連載された。
・マンガ展開の他には、連載終了後の1995年7月にアニメ脚本家の山田隆司による小説版(集英社)が刊行され、1995年10月にはフジテレビのホラードラマシリーズ『木曜の怪談』内で、第9話『血と爪』が独立した単発ドラマとして実写ドラマ化されている(タイトルは『午前0時の血』で主演は稲垣吾郎)。
・季刊ホラーマンガ雑誌『コミック特盛』(ホーム社)の2011年秋号(10月)から、約20年ぶりの新連載にして正式続編の『アウターゾーン リビジテッド』が開始されている(現在、コミックスは第1巻)。しし、知らなかった……

『ほんとにあった怖い話』(1991年7月~92年7月 オリジナルビデオ 各巻50~60分全3巻)
・ジャパンホームビデオから販売されたオムニバス形式のオリジナルビデオシリーズで、のちに1999年から現在までフジテレビで放送されることとなった人気シリーズ『ほんとにあった怖い話』の原型にあたる。
・朝日ソノラマで1987年から出版されていた隔月刊ホラーマンガ雑誌『ほんとにあった怖い話』を原作としており、この雑誌は現在も雑誌名と出版社を変えて存続している(隔月刊『 HONKOWA』朝日新聞出版)。
・各巻に15~20分の実話投稿形式のホラードラマが3~4話収録されている。
・全話の監督は鶴田法男(30~31歳)で、脚本は小中千昭(30~31歳)。
・予算の都合で有名タレントもほとんど出演せず、派手な特殊効果も投入できない制作状況だったが、のちに黒沢清や清水崇が発展させることになる恐怖演出や、第2巻第2話『霊のうごめく家』に象徴される、恐怖の対象の直接描写を避けて「不吉な雰囲気」の映像化を中心とする鶴田の作風が奏功してレンタルビデオ店で大ヒットし、1990年代後半以降の日本ホラー映画界躍進の原点となる記念碑的作品と称された。
・ビデオシリーズは全3巻で完結したが、7年後に鶴田監督の許諾と演出により、フジテレビで TVシリーズ版が制作されることとなった(ビデオ版エピソードのリメイクもある)。
・ストーリーテラーにあたる役柄はいない。

『本当にあった怖い話』(1992年4~9月 テレビ朝日 各話30分全38話)
・テレビ朝日の毎週月曜日20~21時枠で放送された毎回2本立てオムニバス形式のホラードラマシリーズ。
・フジテレビの『世にも奇妙な物語』やオリジナルビデオ『ほんとにあった怖い話』シリーズの大ヒットを受けて制作されたシリーズだったが、それらや朝日ソノラマのホラーマンガ雑誌『ほんとにあった怖い話』とは直接の関連はない。
・毎回、三浦友和、片平なぎさ、岩城滉一、桜田淳子といった豪華スターが主演し、脚本も高橋洋、橋本以蔵、長坂秀佳といった俊英が参加していたのだが、さほど話題にはならず終了した。
・のちに『リング』シリーズで知られることとなる映画監督・中田秀夫の初演出作品でもあった(第16・31・32話 うち2エピソードは高橋洋の脚本)。
・ストーリーテラーはタレントの愛川欽也(57歳)。

『学校の怪談』(1994年1~3月放送 関西テレビ 各話30分全11話、のちに2001年までスペシャルドラマ化)
・関西テレビ(フジテレビ系列)の毎週金曜日19時00~30分枠で放送された1話完結形式のホラードラマシリーズ。
・1994年にレギュラー放送された後は、1996~2001年に毎年1作ずつのペースでオムニバス形式のスペシャルドラマが制作された。
・スペシャルドラマは放送時間が不定だったが、2~4本立ての中編(20~30分前後)にいくつかの超短編が付属しているという構成。
・同時期に東宝が製作していたジュブナイルホラー映画『学校の怪談』シリーズ(1995~99年)とはなんの関連もない。
・当時の「学校の怪談」ブームにのっとった作品世界だったが必ずしも学校の校舎が舞台にはなっておらず、大人の教師が主人公だったり大学が舞台になったエピソードもある。
・黒沢清、清水崇、中田秀夫、鶴田法男、高橋洋といった日本ホラー映画界の立役者のほか、矢口史靖、片岡Kといった多彩な顔ぶれが制作に参加している。
・1998年9月に放送された『学校の怪談G』に収録された各話3分の超短編『片隅』『4444444444』(監督・清水崇)が清水監督の『呪怨』シリーズ(1999~2009年)の外伝になっていたり、昭和の吸血鬼ホラー映画『血を吸う』シリーズ(1970~74年)の山本迪夫(みちお 1933~2004年)監督の遺作となった学園吸血鬼ホラー『呪われた課外授業』が1999年3月の『学校の怪談 春のたたりスペシャル』に収録されていたりと、なにかと作品の話題性が高い。
・ストーリーテラーは1999年3月放送のスペシャルドラマまでは吉本新喜劇の池乃めだか(50~55歳)がつとめていたが、2000~01年の2作にはストーリーテラーはおらず、代わりに番組冒頭の超短編に共通して竹中直人(44~45歳)が主演している。

※1995年10月~97年9月のフジテレビ毎週木曜日19時30分~21時(1996年4月からは20~21時)の時間帯には、おもにジャニーズアイドルたちが主演するホラーオムニバスドラマ『木曜の怪談』シリーズが放送されていたのですが、この『木曜の怪談』は基本的に単発ではなく「全2~32話」にわたって放送される連続ミニドラマが毎回2~3本立てになっているという形式でしたので、今回の1話完結ドラマのくくりからは除外させていただきます(ただし4作だけ単発ドラマが制作されており、そのうちの1作が『アウターゾーン』唯一の映像化となる『午前0時の血』)。

『いとしの未来ちゃん』(1997年4~6月放送 テレビ朝日 各話30分全11回、最終2話は前後編形式)
・テレビ朝日の毎週土曜日深夜23時28~58分枠で放送された1話完結形式の近未来空想ドラマシリーズ。
・全話の脚本と演出を TV演出家の片岡Kが務めており、近未来考証は小説家の渡辺浩弐が担当している。
・全話のタイトルが『時計じかけのオレンジ』『太陽がいっぱい』『ニュー・シネマ・パラダイス』などと名作映画と同じものとなっており、内容もそれらをイメージしたテーマを扱っている。
・番組のストーリーテラーは「西暦2100年の世界の少女」で、少女が寝室の弟を寝かしつけるために「21世紀にあった昔話」を語り聞かせるという設定で各話のエピソードが始まる。
・ストーリーテラーではないが、ほぼ全話に共通して、当時活躍していたドラァグクイーンペアの「オナペッツ」が何らかの役柄でカメオ出演していた。

『幻想ミッドナイト』(1997年10~12月放送 テレビ朝日 各話30分全11回、最終回のみ60分スペシャル)
・テレビ朝日の毎週土曜日深夜24時40分~25時10分枠で放送された1話完結形式の空想ドラマシリーズ。
・全話にわたり筒井康隆、宮部みゆき、綾辻行人、京極夏彦ら人気作家の小説を原作としている。
・原作を採用した作家の人選が『世にも奇妙な物語』によく似ている。
・番組冒頭に特殊メイクを施したストーリーテラーのような人物が登場するが、セリフは全回共通だし特にたいしたことも言っていない。

『怖い日曜日』(1999年7月~2000年11月放送 日本テレビ)
・日本テレビの毎週日曜日昼11時40分~12時枠で放送された実話投稿形式のホラーオムニバスドラマシリーズ。
・1999年いっぱいは10月から『怖い日曜日 新章』にタイトルを改めて放送が継続され、20001~6月の中断をはさんで7~11月は『怖い日曜日2000 』として放送された。
・番組上は「実話投稿形式」になっているが、内容は怪談実話本『新耳袋』シリーズ(木原浩勝と中山市朗の共著 1990~2005年 角川文庫)を直接の原作としている。
・番組制作時点では『新耳袋』はまだ完結していなかったが、毎回5~10分のホラードラマが2~4作収録されている内容で、『新耳袋』のエピソードが全115話ぶん映像化された。
・『新耳袋』は2003年からも映像化シリーズが制作されている(『怪談新耳袋』 BS-TBS)が、それに先駆けて本作で映像化された名作エピソードは少なくない。
・放送時間帯も関係してか、ドラマは原作の内容をかなりわかりやすくアレンジしており、のちの『怪談新耳袋』にくらべても恐怖演出がだいぶソフトになっている。
・本作は多くのキャスティングがジャニーズJr.(当時)で占められており、「ホラーとジャニーズの合作」という意味では、『木曜の怪談』(1995~97年)とフジテレビ版『ほんとにあった怖い話』(1999年~)の過渡期に位置する作品になる。
・番組にはのちの KAT-TUN、 NEWS、関ジャニ∞、Kis-My-Ft2 などのグループメンバーとなるジャニーズアイドルや今井翼、生田斗馬らが主演しており、放送初期の1999年7~9月には結成される直前の嵐のメンバーも多く出演していた(結成後は出演せず)。
・番組のストーリーテラーは「百物語の会主宰」と称するジャニーズJr. から選抜された4名で、時期ごとに交代して横山裕(のちの関ジャニ∞)、生田斗馬、山下智久(のちの NEWS)、赤西仁&田中聖&亀梨和也(のちの KAT-TUN)らが演じていた。

『ほんとにあった怖い話』(フジテレビ)
・1999年8月から放送が開始されている実話投稿形式のホラーオムニバスドラマシリーズで、1999~2003年にスペシャルドラマとして放送され、2004~05年に2シーズン連続ドラマ化された後は、毎年の夏にスペシャルドラマ枠で恒例に放送される人気シリーズになっている。
・オムニバス形式で放送されるエピソードはおもに各話5~30分の内容になっており、最新作の『夏の特別編2012』(8月放送)までに全159話のエピソードが制作されている。
・オリジナルビデオ版の『ほんとにあった怖い話』(1991~92年)の TV版という位置づけになっているが、ドラマ部分に有名俳優やタレントが多く出演したり、ドラマを解説するバラエティ部分があったりと、番組の雰囲気はだいぶ違っている。
・エピソードはすべて、番組に投稿された実話体験に基づく内容とされており、有名俳優やタレントが自分の体験した恐怖体験の再現ドラマに本人役で主演するという形式のエピソードも制作されている(萩原流行、笑福亭笑瓶、袴田吉彦、中川翔子ら)。
・ほとんどのエピソードの演出をオリジナルビデオ版の鶴田法男が担当しており(脚本の小中千昭は TV版には参加せず)、映画監督の三宅隆太も演出・脚本を多く手がけている。
・オリジナルビデオ版のエピソードをリメイクした作品もある(4作)。
・番組はドラマ部分と、スタジオでドラマを解説したり投稿された心霊写真を鑑定したりするバラエティ部分「ほん怖クラブ」の2部に分かれており、バラエティ部分の司会をつとめている SMAPの稲垣吾郎(25歳~)がストーリーテラーにあたる。

『怪談新耳袋』(2003年2月~ BS-TBS 9シーズン全111話)
・BS-TBS で2003年2月から不定期に放送されているホラーオムニバスドラマシリーズ。
・TV 放映版は毎シーズン1~3回で集中的に放送されており(最新第9シーズンは2010年5月放送)、劇場版は5作公開されている(2004年8月~2012年8月)。
・怪談実話本『新耳袋』シリーズ(木原浩勝と中山市朗の共著 1990~2005年 角川文庫)を原作としている。
・TV 放映版は基本的に「1エピソード5分」という時間ルールになっているが、第6~8シーズン(2007年6月~09年7月)にあたる6エピソードは各話50分の中編に拡大されており、劇場版も10~90分前後と、短編から映画まるまる1本ぶんの長編までバラエティに富んでいる。
・TV シリーズ版では111エピソード、劇場版では11エピソードが映像化されている(計122話)。
・『新耳袋』は1999~2000年にも日本テレビで『怖い日曜日』シリーズとして映像化されていたが、本シリーズは恐怖演出の強調が重視されており、そのために原作と大幅に異なる内容にアレンジされているエピソードも多い。
・若手アイドルから実力派俳優まで、かなり多くの有名人が各エピソードに出演している。
・演出も清水崇、鶴田法男、雨宮慶太といった有名映画監督が参加しているほか、脚本家の高橋洋や俳優の佐野史郎、『新耳袋』の著者である木原浩勝や中山市朗が演出したエピソードもある。
・本作で10本以上のエピソードを演出している常連監督は吉田秋生(マンガ家じゃないよ)、佐々木浩久、井口昇、豊島圭介、三宅隆太の5名。
・番組のストーリーテラーにあたる存在はいない。
・同じタイトルを冠しているオリジナル DVD&劇場版シリーズに『怪談新耳袋 殴り込み!』シリーズ(2008年~)があるが、これは『新耳袋』をもとにしたギンティ小林のルポドキュメント本『現代百物語 新耳袋殴り込み』シリーズ(2007年~)を映像化した作品であるため、『怪談新耳袋』シリーズとの直接の関係はない。ただし、『新耳袋』の著者である木原浩勝と中山市朗はしょっちゅうコメント出演している。

『ウルトラQ倶楽部』(2003年10月~04年3月放送 TBSラジオ 各話20分全25話)
・TBS ラジオの毎週日曜日19時30分~20時に放送されていた30分番組で、前半は『ウルトラQ』(1966年)の直接の続編となる空想ラジオドラマ、後半は出演者や製作スタッフによるトークという構成になっていた。
・前作『ウルトラQ』に引き続き、およそ40年ぶりに万城目淳・戸川一平・江戸川由里子の3名がオリジナルキャストで出演していた(1990年4月公開の映画『星の伝説』にも3名は登場しているが、キャスティングや職業設定が変更されている)。
・『ウルトラQ』の直接の続編であると同時に、『ウルトラマン』以降の一連のウルトラシリーズとはまったく関連がない世界観となっている。
・番組のメイン脚本・演出をウルトラシリーズの重鎮・飯島敏宏(71歳 脚本家名は千束北男)がつとめ、映画『星の伝説』の監督・脚本タッグでもあった実相寺昭雄と佐々木守も多くのエピソードに参加している。
・明確に怪獣や怪生物といえる存在が出現するエピソードは全25話中10話ほどしかなく、全体的に前作『ウルトラQ』以上に空想SF に近い作品世界になっている。
・前作の第11話『1/8計画』や第17話『バルンガ』などの過去エピソードのリメイクと解釈できる作品があるほか、明確に第19話『2020年の挑戦』の続編と位置づけられる、宇宙人ケムール人の登場するエピソードが4話制作されている。
・他局の番組になるので直接の連動はなかったが、番組終了の翌週から始まった『ウルトラQ ダークファンタジー』(2004年4~9月放送 テレビ東京)にさきがけて「新世紀のウルトラQシリーズ」の先鞭をつける作品となった。

『ほんとうにあった怖い話』(2004年3月~ 映画&オリジナルDVD )
・通算60作を超える『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズ(1999年~)や『怪奇!アンビリーバブル』シリーズ(2004年~)で有名な映像制作会社「ブロードウェイ」の制作する、実話投稿形式のホラーオムニバスドラマシリーズ。
・『ほんとにあった!呪いのビデオ』は動画映像、『怪奇!アンビリーバブル』は心霊写真の投稿を扱っている形式だが、本作は投稿された実話をドラマで再現するという非常にオーソドックスな構成。
・当然ながら、ジャパンホームビデオやフジテレビの『ほんとにあった怖い話』ならびにテレビ朝日の『本当にあった怖い話』とはまったく関係がない。日本語ってふくざつ……
・1作につき、10~20分のホラードラマが4~5本収録されているというオムニバス形式で、ストーリーテラーはいない。
・エピソードの演出は山本清史や寺内康太郎といった若手映画監督が多く担当しており、有名俳優をほとんど起用せず予算も多くはかけていないと見られる作品が多い。
・オリジナルDVD の他に劇場版が3作制作されている(2004年3月公開の『ほんとうにあった怖い話 怨霊』、2010年10月公開の『ほんとうにあった怖い話 3D』、2012年10月公開の『ほんとうにあった怖い話 プレミアム』)。
・有名タレントが出演することは滅多にないのだが、なぜか2010~11年あたりには新垣里沙(モーニング娘。)や中島早貴(℃-ute)、三好絵梨香(もと美勇伝)、アップアップガールズ(仮)の仙石みなみやグラビアアイドルのとっきーといった、アップフロントグループ所属のアイドルが出演することが激増していた。

『ウルトラQ ダークファンタジー』(2004年4~9月放送 テレビ東京 各話30分全26話)
・テレビ東京で毎週火曜日深夜25時00~30分に放送された1話完結形式の空想特撮ドラマシリーズ。
・『ウルトラQ』(1966年)のタイトルを冠した2作目の TVシリーズとなるが、前作との直接の関係は説明されておらず、『ウルトラマン』以降の「ウルトラシリーズ」とも関連がない。
・シリーズ構成とメイン脚本は日本特撮界のベテラン作家・上原正三(67歳)がつとめ、脚本家陣はその他にも太田愛、小林雄次、村井さだゆきといった第一線の作家がそろった。担当エピソードが最も多かった演出家は八木毅と服部光則(それぞれ5作)で、本作では本編演出が特技監督を兼任した。
・映画監督の金子修介のほか、ホラー映画方面からは小中千昭、高橋洋、鶴田法男が制作に参加している。
・ほぼ同時期に制作されたラジオドラマの『ウルトラQ倶楽部』からは実相寺昭雄監督が参加していた(2作の演出を担当)。
・作品のレギュラー登場人物として、前作の主要3人組にあたるキャラクターは雑誌記者の坂本剛一(演・袴田吉彦 30歳)とフリーカメラマンの楠木涼(演・遠藤久美子 26歳)になっており、一ノ谷博士にあたる解決者は帝都大学工学部の渡来教授(演・草刈正雄 51歳)になっている。
・「ガラゴン」「カネゴンヌ」「レキューム人」といった、前作『ウルトラQ』に出現した怪獣・怪生物に酷似した存在は登場するが、前作とのストーリー上のつながりはなく、続編というよりもリメイクに近い関係になっている。
・ストーリー上も『ウルトラQ』の多くのエピソードのリメイクと解釈できる作品がある(全26話中5話)が、直接の続編は存在しない。
・明確に怪獣や怪生物といえる存在が出現するエピソードは全26話中8話ほどしかなく、全体的に『ウルトラQ』以上に空想SF に近い作品世界になっている。
・番組のストーリーテラーにあたる存在は、俳優の佐野史郎(49歳)によるナレーション。

『トリハダ 夜ふかしのあなたにゾクッとする話を』(2007年3月~12年9月 フジテレビ)
・フジテレビの深夜帯(午前0~3時)に不定期で放送された1時間のホラーオムニバスドラマシリーズで、1作につき5~10分程度のエピソードが5~7話収録されている。
・番組のコンセプトとして「心霊現象や超常現象でなく人間そのものの恐ろしさを描くホラードラマ」と定義されている。
・番組冒頭と各エピソードの間に一連のつながりを持つ超短編のサイドストーリーがさし込まれ、全話が終わったあとのエピローグでサイドストーリーも完結するという構成になっている。ただし、第2作『トリハダ2 ネック』(主演・佐津川愛美)のみスリラーサスペンス仕立ての長編ドラマになっている。
・番組のストーリーテラーは存在しないが、サイドストーリーの主演は必ず谷村美月(16~22歳)になっている。
・6作の TVドラマ(2007~09年)と1作の劇場版(2012年9月公開)が制作されており、すべての演出・監督を TV演出家の三木康一郎がつとめている。
・同じ三木康一郎の演出で制作された日常ホラーオムニバスドラマとして、『カクセイ 恐怖に目覚める6つのストーリー』(2011年3月放送 主演・橋本愛)、『ドクロゲキ』シリーズ(2012年1~6月放送)、『ホラーアクシデンタル』(2013年2~3月放送 主演・三浦由衣)がある。エピソードの方向性は『トリハダ』シリーズとほぼいっしょ。
・第5作『トリハダ5』(2009年3月放送)に出演した舞台女優の笹野鈴々音(りりね 24歳)が「怖すぎる」ということで評判になり、笹野はその後の劇場版と『ホラーアクシデンタル』にも出演している。とってもチャーミングな女優さんなんですけどね……

『ネオ・ウルトラQ』(2013年1~3月放送 WOWWOW 各話30分全12話)
・WOWWOW で毎週土曜日21時00~30分に放送された1話完結形式の空想特撮ドラマシリーズ。
・『ウルトラQ』(1966年)のタイトルを冠した3作目の TVシリーズとなるが、前2作との関係は説明されておらず、『ウルトラマン』以降の「ウルトラシリーズ」とも関連がない。
・前作の『ダークファンタジー』(2004年)とはリンクせず、第1作『ウルトラQ』のリメイクでない「セカンドシーズン」を標榜している。
・シリーズ構成にあたるスタッフはいないが、全話の脚本を映画脚本家のいながききよたか(36歳)が手がけており、演出は映画『ユメノ銀河』(1997年)の石井岳龍(旧名・聡互 56歳)と3名の若手映画監督が3話ずつ担当するという構成になっている。本作では本編演出が特技監督を兼任した。
・作品のレギュラー登場人物として、『ウルトラQ』の主要3人組にあたるキャラクターは超常現象研究家の南風原仁(はいばら じん 演・田辺誠一 44歳)と雑誌記者の渡良瀬絵美子(演・高梨臨 24歳)とバーマスターの白山正平(演・尾上寛之 27歳)になっており、一ノ谷博士にあたる解決者は南風原の恩師にあたる屋島教授(演・小説家の島田雅彦 51歳)になっている。
・ストーリー上も怪獣を含めたキャラクター上も前2作と直接つながる要素はなく、明確なリメイク作も続編も存在しない。
・全話に怪獣や怪生物といえる存在が出現するが、「ウルトラシリーズ」に登場するような巨大な怪獣ではない。
・番組のストーリーテラーにあたる存在は、舞台演出家の長塚圭史(38歳)によるナレーション。



 ほんじゃま、まったね~☆
 もう、むちゃくちゃ……いつもだけどね。
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『踊り場の花子』映像化記念!! 『世にも奇妙な物語』つながりの思い出あれこれ  空想トレイン各駅停車

2013年05月12日 11時21分46秒 | ホラー映画関係
 ハイど~もど~もこんにちは、そうだいでございます。今日もいいお天気ですねぇ。
 今日の私は日曜日らしくお休みをとって、これから東京に行く用事があります。のんびりさせていただいてますよ……

 でも、こういったていたらくでこの5月は、私の場合はゴールデンウィークからちょびっとズレた形でやけにのんびりした日々が続いているのですが、どうやらその反動も思いっきり作用して、明日から始まる週の後半からは、か~なり忙しいことになりそうです! ちょっと今までとは私の働く形態が変わってくるらしく、お休みの取り方がかなりきっちりしてくるんですね。どうなっちゃうんだろうなぁ……さまざまな不安をむらむらとはらみつつも、まずは今日の自由を満喫したいわたくしなのでした~。


 さてさて。本日のお題にしたいのは他でもない、ついおとつい! 夕べに放送されていたあるスペシャルドラマについてのあれこれでございます。
 みんな観たかナ~!?


『世にも奇妙な物語 2013春の特別編』(5月11日21時~23時10分放送 フジテレビ『土曜プレミアム』)
・空想オムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』シリーズの最新作であり、レギュラー放送終了(1992年9月)以後のスペシャルドラマ版としては第47作にあたる。
・今回の5作中、原作のある作品は『階段の花子』と3本目の『AIR ドクター』(主演・小栗旬)の2作で、『AIR ドクター』は小田扉の短編マンガ『もどき』(2007年)の映像化。

『階段の花子』(『2013春の特別編』の5本目、最後の作品 20分)
・辻村深月の短編小説『踊り場の花子』(2008年 短編集『ふちなしのかがみ』収録)の映像化作品。
・辻村深月作品の映像化としては、連続 TVドラマ『本日は大安なり』(2012年1~3月放送 NHK)、映画『ツナグ』(2012年10月公開 東宝)に続いての3作目となる。

おもなスタッフとキャスティング
演出 …… 木下 高男(52歳)
脚本 …… 高山 直也(?歳)
※ TVドラマ演出家の木下高男は『世にも奇妙な物語』の前身番組『奇妙な出来事』(1989年10月~90年3月放送)で演出家デビューしており、『世にも奇妙な物語』でも10作以上の演出を手がけている。
※脚本家の高山直也は1991年から現在まで『世にも奇妙な物語』のオリジナル脚本を20作以上手がけている常連作家であり、今回の『2013春の特別編』でも『階段の花子』の他に4本目の『不死身の夫』(主演・檀れい)のオリジナル脚本を担当している。

小学校教諭・相川英樹  …… 徳井 義実(チュートリアル 38歳)
相川の後輩・小谷チサ子 …… 大政 絢(22歳)


 はい、これでございます! 創業1990年!! もはやシリーズ25周年も夢ではなくなってきている老舗中の老舗、『世にも奇妙な物語』。この最新作の大トリに、我らがいとしの辻村深月先生の短編『踊り場の花子』が映像化されるというのですから、これを観ないわけにはいかないのでありました。

 昨年あたりから文学賞の受賞などでメディア露出の仕事が激増した辻村先生ですが、気がつけば単独単行本では短編集『鍵のない夢を見る』(2012年5月)いらい新作の刊行がない状態になっているという、単行本を首を長くして待っている私のようなファンにとってはかなりキビしい枯渇状態! もちろん小説の連載は旺盛におこなっており、そのあたりがそろそろ単行本になってもおかしくない頃合いなのですが……
 そんな中で出た次なる一手が『世にも奇妙な物語』とは! 見事に裏をかかれたというべきか、ついにこのときが来たか……と感動するべきか。

 実は個人的なことをいいますと、もうずいぶんと長いこと、『世にも奇妙な物語』とはご無沙汰になっていました。それこそ、私が物心がついたころからTV でやっていたシリーズなので、初期の連続ドラマ時代のスマートでおどろおどろしい毒気にすっかりとりこになってしまった私は、それ以来スペシャルドラマになってからも可能な限りビデオで録画して(これも死語になるのか!!)観ることにしていたのですが、大学を卒業したころ(2000年代前半)にはチェックするヒマがなくなり……満を持してというか、満を持しすぎて「なぜ今?」という雰囲気がただよってしまい、いまいちパッとしなかった劇場版も私は観ていません。映画にする意味がよくわかんないんだよなぁ、コンパクトさが売りのシリーズなのに!

 ところが、そんな私も「これは観なきゃ!」と思い立ってしまった、今回の『踊り場の花子』あらため『階段の花子』。それと、いいきっかけなんで、他の4作品も観てみたわけなんですが。

 いやぁ、おもしろいおもしろい! 健在じゃないですか、『世にも奇妙な物語』!!
 これは好みの問題なので人それぞれかとは思うのですが、私はこのシリーズでは「ハートウォーミング系」エピソードはいっさいいらないと感じている人間ですので、「恐怖・サスペンス系」が3話と「ヘン・お笑い系」が2話という今回の構成はとても良かったです。『AIR ドクター』は感動系なのかもしれませんが、設定がとにかくヘンなんで楽しみました。

 正直なところ、見始めたときは第1話の『呪web 』があまりにも、なんというか……設定はどっかのフジテレビ深夜のオムニバスドラマで谷村美月が出くわしていた災難の焼き直しみたいだったし、主演している女の人はバービー人形にさしかえてカメラの前に置いとくだけでももうちょっと演技力があるんじゃないかって思えるほどの大根だったしではなはだ不安なすべり出しだったのですが、むしろこのトップバッター選びがよかったですね! それ以降のエピソードでの役者さんがたの演技がもう、のきなみ光る、光る。関ジャニ∞の丸山隆平さんも絶妙な表情がおもしろかったし、小栗旬さんもやっぱりうまいし、檀れいさんが最後のシーンで見せた哄笑は、それはもうきれいにエピソードをオトしていたと感じました。実力派俳優の競演があってこその『世にも奇妙な物語』だということを、改めて思い知らされた今回の春スペシャルでしたね。

 肝心の『階段の花子』に入る前に余談なんですが、私が今回のスペシャルを通していちばんいいなと感じたのは、ドラマ本編でもなくタモリさんのパートでもなく、CM の提供クレジットの背景に流れている CGアニメーションでした。

 何もない空間の中に割れた鏡の破片が無数に舞い散っていて、その上をひらひらと飛んでいく、一匹の漆黒の蝶。しかし、蝶が通り過ぎるときに鏡にうつるのは、蝶ではなく点々と続いていく人間の革靴の足跡なのです……

 んん~、イイネ、イイネ!! このシリーズにおけるタモさんという存在の計り知れない奇妙さをまざまざと映像で思い知らされた思いでした。きれいに恐ろしい。もう、このCG アニメを作製した方に花マルあげちゃう、先生♡


 さて、そんなこんなで気を取りなおして問題の『階段の花子』なんでありますが。

 非常に、ひっじょ~にスタンダードな「怖い話」になっていました。ただ、その怖さの本質が多少、原作よりもホラーよりになっていたような。原作小説『踊り場の花子』の怖さはもっとミステリーっぽいものだという印象があるんですよね。ミステリー小説の物語の中で、「いちばん怖い思いをする人」って、誰なんでしょうかねぇ? フフフ……

 辻村深月先生の短編小説『踊り場の花子』(2008年8月発表)は、先生の短編キャリアに限定して見れば比較的初期の作品にあたるものです。
 というのも、先生のデビューは2004年なのですが、それからしばらくは長編小説の発表に重点を置いた活動がしばらく続き、いっぽうで短編小説は年に1~2作くらいという状況が続いたものの、2008年になってから、なにかふっきれたかのように旺盛に多くの短編小説を世に出していくようになったからです。そういった長編と短編の流れが、ゆくゆくは映画化もされた連作小説集『ツナグ』(2010年)に結実していくわけなのですが、それはまたのちのお話。

 ただし、私の観る限り、この『踊り場の花子』はどことなくその他の辻村作品とは一定の距離をおいた雰囲気の作品になっており、その救いようのないラストは意外なほどにドライな印象を読む者に与えます。明確に「転落」のクライマックスが用意されているんですね。
 これは、登場するキャラクターのほぼ全員に血が通っているというか、その結末は人それぞれであるにしても、その物語に描かれている「以外の」人生をすべからく愛をもって創造しているという、作者の「産みの苦しみ」を色濃く感じさせる辻村ワールドの中では異色の存在なのではないのでしょうか。

 『踊り場の花子』に似た読後感を私が得たものとしては、長編でいえば『 V.T.R.』(2010年)や『水底フェスタ』(2011年)がまっさきに頭に浮かぶのですが、短編でいうのならば、やはり『踊り場の花子』も収録されている短編集『ふちなしのかがみ』(角川文庫)の、他の諸作ということになります。すべてが怖いだけというわけじゃないんですが、文庫版のカバー紹介が語っているように、『ふちなしのかがみ』は底冷えのする「怪談」がつまっている辻村流『世にも奇妙な物語』になっていたわけだったんですね。したがって、その中の作品が本家に採用されるのも、至極当然なことだったのです。どっちかというと、『踊り場の花子』よりも『八月の天変地異』のほうが映像化されそうな要素に満ちているのですが、それはおそらく『世にも奇妙な物語』ではない形で実現するんじゃないのでしょうか。『八月の天変地異』の路線はやっぱり、『ぼくのメジャースプーン』(2006年)あたりから始まって『サクラ咲く』(2012年)に続く辻村ワールドの重要な1ジャンルになっていますよね。
 ちなみに言いますと、私が『ふちなしのかがみ』の中でいちばん好きなのは、『おとうさん、したいがあるよ』(2007年12月発表)です。好きなんだよな~、こういう「わけわかんないけど、とりあえず平和。」な感じ。

 さて、そんなわけで『踊り場の花子』は、辻村作品の中でも特に「ホラーっぽい」短編になっているのですが、それは決して「ホラー小説である。」というわけではないんです。
 つまり、小説の世界では確かに大筋で言えばホラーと断言してもさしつかえのない、「階段の花子さん」という明らかに人智を超えた存在が登場するのですが、それが物語の中に出現する「起因」と、物語の主人公が強くこだわることになる花子さんの「法則」というものが、非常にミステリー風に理路整然と構成されているといった点において、これはどうも、単に「人が人でないものに襲われる」という筋立てだけのホラーとはだいぶ毛色の違った雰囲気に仕上がっているのです。
 要するに、花子さんが出現を決意した「動機」のようなものがかなり人間的に描写されていて、まるでそのたたずまいが、真犯人の犯罪を暴き立てる「名探偵」のようにも見えてしまうんですね。名探偵の中でも特に底意地の悪い、逃げ場のない論法を用意周到に仕込んだ上で、そ知らぬ顔で「あぁ~、どうも~。」なんて片手をあげながら犯人に笑顔で近づく刑事コロンボとか古畑任三郎のタイプですよね。ヤだね~!!

 ところが! 『踊り場の花子』を映像化した今回の『階段の花子』は、そこらへんの要素をけっこう大胆にカットして、その分だけホラーの濃度を上げた作品に仕上がっていました。これはもう、実際にご覧になったみなさんならそう感じられたかと思うのですが、花子さんが非常に典型的な「人間性の薄い災厄みたいな存在」になっていましたよね。名探偵じゃなくて「笑ゥせぇるすまん」になっていたわけなのです。ドーン!! 辻村先生が敬愛するのはたしかF先生のはずなんですが、ここで隠しようのない「ブラックA 先生」が出てきちゃった! まいったねぇコリャ。

 ただ、そこを指して私は『階段の花子』は『踊り場の花子』の改悪である、と言うつもりはありません。『階段の花子』が『世にも奇妙な物語』の「非ハートウォーミング系」アンカーだった以上、何よりも恐怖の描写を優先させたその脚本はまったく正しい判断だったと思います。
 その恐怖演出にしても、まぁ肝心カナメの「花子さん」はどうしてもベッタベタな『ちびまる子ちゃん』みたいな格好になってしまうのは仕方ないとしても、そのぶんクライマックスに行くまでの「息詰まる空気感」や「じょじょに日常から離れていく感覚」、そして何よりも、最後のカットで見せる絶叫にいたるまでの2人の出演者のかけあいを丁寧に作りあげていくウェルメイドな作品づくりがとっても良かったですね。さすがは『世にも奇妙な物語』でもベテランの演出&脚本タッグ! 無理な背伸びをしない安心の完成度でした。

 『階段の花子』はほぼ2人芝居に近い、夏休みでひとけのない小学校の校舎を舞台とした「密室劇」であるのですが、主演した徳井さんと大政さんは、どちらも実にいい演技をされていたと思います。
 徳井さんは関西弁でセリフをしゃべっていたのですが、ふつうに標準語だった『踊り場の花子』の教師とはまた違ったラフな空気を作っており、だんだんと低下していく物語の温度を如実にわかりやすくする機能を果たしていたと思います。そうそう、「恐怖の対象」を怖くする予算がないのならば、「恐怖に出遭った人のリアクション」に力を入れればいいのよ! 映画『シャイニング』のシェリー=デュヴァルの法則ですよ。あれはニコルソンのほうも充分に怖かったけど。

 いっぽうで大政絢さんのほうはと言いますと、これがまた、いかにも大学生らしい若さを残した、というか、「あどけない」と言ってもさしつかえない「もちもちした」セリフのしゃべりかたが実に効果的だったと思います。ホントにねぇ、セリフの代わりに「もちもち、もちもち……」としゃべり続けていてもすぐには気がつかなさそうな、すごく不思議な口はこびなんですよ、この方! 演技力というよりも、ここで演じた役にご本人のパーソナリティが見事にトッピングされた、という意味でお見事なキャスティングだったと思います。私のつたない言い方ではなんとも「もちもち」としか言いようがないのですが、こういうしゃべり方をかつてどこかで確かに聴いたことがあると思っていたら、そうそう、1976年版の映画『犬神家の一族』で犬神小夜子の役を演じていた女優の川口晶さん! この方もしゃべり方が「もちもち」していて、それゆえにキャラクターの性格とのギャップがいい感じでしたね~。


 ともあれ、こんな感じでおおむね『踊り場の花子』に忠実な流れを追っていながらも、実に『世にも奇妙な物語』らしいアレンジが施されていた『階段の花子』だったのですが、原作と比較してみて具体的にどこがどう違うのか? そこを考えてみるのも実に楽しい知的探索になるかと思います。長編小説と長編映画よりもよっぽど距離の近い短編とショートドラマという関係なので、ものすごくわかりやすいですね。

 例えば、「物語の2人が校舎の中を巡回する教室の順番と順路が違う」、「花子さんが小学生の青井さゆりに貸したアイテムが違う」、「作中での携帯電話のくだりが長くなり、花子さんの出現が強調されている」といったあたりがわかりやすいのですが、やはり無視できないのは、両者の「タイトルが違う」。ここでしょう。
 原作『踊り場の花子』の中でも、花子さんが小学校に現れるという怪談の呼び名は「階段の花子さん」になっています。それなのになぜ、小説のタイトルはわざわざ「踊り場」という風に変えられているのか……『階段の花子』にしたほうがストレートでいいのに。

 これはつまり、「階段にいるらしい花子さん」という、自分がある程度の距離のある安全圏にいる視点からの描写ではなく、「自分が今まさに階段の中にいて、その踊り場に花子さんが出現してしまっている」という引き返しようのない状況のただ中にいる視点、つまりはクライマックスの主人公が見た「最期の風景」にいる花子さんを描写しているからこその『踊り場の花子』なんですよ! つまり、花子さんがうわさの対象なんじゃなくて、実際に目の前にいるという、その恐怖なんですね。おお、怖い!!

 情報を選別してなるべく簡潔に要約する TVドラマと、言葉の一つ一つにより多くの情報を凝縮させる小説。はからずも、タイトルの時点から両者の関係はまったく異なる世界のものになっていたというわけだったんですな。おもしろいなぁ~ホントに! どちらも、いいお仕事を見せていただきました。感謝感激、雨、忍者!!


 しゃてしゃて。こういった感じで今回は、昨日に放送されたスペシャルに限定した話題にしておさめても良かったわけなのですが。

 いや~、火がついちゃったねぇ、私の中の「ヘンなオムニバスドラマ熱」が!! 他人様にとってはど~でもいい~。
 せっかく、現在の日本を代表する『世にも奇妙な物語』の悠久の歴史に、我らが辻村深月先生が名を連ねることにあいなったのでありますから、これはもう、ひといきに『世にも奇妙な物語』、さらにはそれをも含めた「奇妙な味わいのオムニバス or 一話完結形式ショートドラマ」の歴史というものを紐解いてみようじゃあ~りませんか!! ということで。

 ヘンなドラマの歴史。それはまさしく、他ならぬ私そうだい自身の、この『長岡京エイリアン』の発祥の源でもある「ヘンな妄想」が生み出されるにあたってのルーツでもあるわけなのであります。好きでしたからね~、子どものころから。

 ということで、ここからは何回か続ける長期企画といたしまして、海外も含めた古今東西の「世にも奇妙な」ショートドラマの歴史と、それにからめた私の個人的な思い出をぶつぶつとつぶやいていきたいと思います。なんという唯我独尊で非生産的でウロボロス的でユープケッチャ的なブログなんだぁ~!! ま、今さら何を驚くことがあるんでしょうか。

 そんなこんなで行ってみようか。まずは『世にも奇妙な物語』まわりを、ざっと。


『世にも奇妙な物語』(フジテレビ)
・1990年4月から放送が開始されている空想オムニバスドラマシリーズで、1990~92年に3シーズン連続ドラマ化された後は、毎年の春と秋にスペシャルドラマ枠で恒例に放送される人気長寿シリーズになっている。
・オムニバス形式で放送されるエピソードはおもに各話15~30分の内容になっており、最新作の『2013春の特別編』までに映画版、ラジオドラマ版、番組編成の都合で未放送になっている回もあわせて全483話(放送の冒頭やエピソード間をつなぐ超短編のアバンストーリーは除く)のエピソードが制作されている。
・エピソードの多くは番組のために作られたオリジナル脚本だが、先行する国内外の小説やマンガ、落語、昔話、名作映画を原作とするエピソードも132話制作されており(全話の27% にあたる)、前身番組『奇妙な出来事』のエピソードのリメイクや、フジテレビの人気番組とのコラボレーション作もある。
・番組のストーリーテラーはタモリ(44歳から現在まで)で、最初期の放送では1990年7月のヨット事故に遭う以前の、レイバンサングラスに髪型は真ん中分けオールバックという全盛期の勇姿をおがむことができる。

映像化された主な小説家  …… 筒井康隆、星新一、阿刀田高、渡辺浩弐、清水義範、東野圭吾、京極夏彦、朱川湊人、ウィリアム=ウィマーク=ジェイコブズ、サキ など
映像化された主なマンガ家 …… 手塚治虫、西岸良平、諸星大二郎、藤野美奈子 など


《『世にも奇妙な物語』と直接の関係があるドラマ番組》

『奇妙な出来事』(1989年10月~90年3月放送 フジテレビ 各話30分全20回)
・フジテレビの毎週月曜日深夜25時10~40分枠で放送された1話完結形式の空想ドラマシリーズで、1990年4月から同局の毎週木曜日20~21時枠でレギュラー放送されることとなった『世にも奇妙な物語』の原型にあたる番組。
・TV 演出家の落合正幸、星護、脚本家の戸田山雅司といった、のちに『世にも奇妙な物語』の常連スタッフとなる面々が制作に参加している。
・4作のエピソードがのちに『世にも奇妙な物語』でリメイクされている(うち1作は番組編成の都合により未放送)。
・番組のストーリーテラーは俳優の斉木しげる(39~40歳)。

『if もしも』(1993年4~9月放送 フジテレビ 各話60分全18回)
・フジテレビの毎週木曜日20時~21時枠で放送された1話完結形式の空想ドラマシリーズで、1992年9月まで同局の同放送枠でレギュラー放送されていた『世にも奇妙な物語』の派生番組。
・各回1エピソードだが、物語の途中で必ず主人公が「運命の分岐点」に遭遇し、選択されたハッピーエンドのパターンとバッドエンドのパターンとの2つが放送されるという特殊なドラマ内容。
・TV 演出家の落合正幸、星護、脚本家の戸田山雅司といった『世にも奇妙な物語』の常連スタッフのほか、のちに映画監督として有名になる堤幸彦や本広克行も参加している。
・第16話『打ち上げ花火、下から見るか? 上から見るか?』(1993年8月放送)は翌1994年に独立して劇場公開され、脚本・演出を担当した岩井俊二(30歳)にとっての映画デビュー作となった。
・ストーリーテラーは『世にも奇妙な物語』に続いてのタモリ(47~48歳)。



 なるほどね~。
 ほんじゃま、雑感はまた! 今日はここまでにいたしとうございます~。
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呪い、反転、タイムマシン。  三条会 『三人姉妹』 観てちょ~

2013年05月10日 23時46分45秒 | ふつうじゃない映画
 じゃんぐるぽっけ~じゃんぐるぽっけ~、じゃんぐるぽっけ~!! どうもこんばんは、そうだいでございます~。みなさま、今日も一日お疲れさまでした! 東京と千葉は夜になってから雨が降ってきちゃいましたねぇ。この流れで、明日はずっとしとしと天気? ここ連日きびしい日射しが続いていたんで久しぶりのおしめりはうれしいですけど、土日に限っての雨はちょ~っとお断りですね!


 それで今日、下北沢の劇場「ザ・スズナリ」に行って三条会のお芝居を観てきたわけなんですけども。

 なにが「それで」なのかよくわからないかとは思うんですが、そのあたりの経緯を話すヒマもないくらいに声を大にして申し上げたい。
 「これは観たほうがいい!!」と。


三条会公演 『三人姉妹』(演出・関 美能留、作・アントン=チェーホフ)5月9~13日 東京 下北沢ザ・スズナリにて


 今が5月10日も終わろうかという深夜ですからね、あと「3日」の「5回公演」しかないんですよ、このお芝居は! こんなのもう、「目撃」としかいいようのないチャンスの少なさです。可能なお方は是非とも目撃してください! こんな『信長の野望』シリーズでいう「四国一条家」みたいな超零細ブログでワヤワヤわめいてみたところで、いかほどの効果があるのかはまったく心もとないのですが、それでもこう言わずにはいられないわけなのです。目撃してください!!


 ロシア帝国の文豪であり、稀代の名戯曲家でもあったアントン=チェーホフ(1860~1904年)の世界的に有名な「4大悲劇戯曲」の第3作にあたる『三人姉妹』は、1901年1月の初演という、まさに「20世紀文学のトップバッター」ともいうべきプレッシャーバリバリのタイミングで世に出たのですが、その位置にまったく負けていない内容を兼ね備えた名作であると、私は今回の三条会公演を観ながら思いを改めました。
 「思いを改めた」っていうのは、10年以上昔の大学生時代に私もこの『三人姉妹』は新潮文庫のやつを読んだことはあったのですが、そのときは「セリフが長くてなにが起きてるんだかさっぱりわかんない! ひたすら眠いよ~。」という感想しか残らなかったからなんです……青かった。やっぱり戯曲は「台本」なんですから、舞台の上で役者が演じているかたちを楽しむのがいちばんですよね。

 チェーホフの「4大悲劇戯曲」は『かもめ』(1896年初演)、『ワーニャ伯父さん』(1899年初演)、『三人姉妹』、『桜の園』(1904年初演)の4作なのですが、チェーホフは『桜の園』の初演の半年後に結核で亡くなっている(享年44歳)ため、これらは彼の文学のエッセンスが集約されたものになっている……のだそうです。
 「のだそうです。」という腰砕けな言い方になってしまうのは、私も4作すべてを知っているわけではないからでありまして。ましてや、それと比較するべきその他のチェーホフ作品もあんまり読んでません! 『かもめ』と『桜の園』と『タバコの害毒について』(1886年)は好きです。
 あ、そういえば、『桜の園』はたしか、映画『ツナグ』の劇中の高校演劇部で橋本愛さんの主演で上演されていましたね。おい、それいつか、ほんとにどっかでやってくれや! 300%ほめ言葉のつもりで言いますけど、橋本愛さんには謹んで「顔面凶器」というキャッチフレーズを献上したいです。
 さらにそういえば、明日フジテレビの土曜プレミアム枠(21:00~23:10)で放送される『世にも奇妙な物語 2013春の特別編』で、辻村深月先生の短編『踊り場の花子』がドラマ化されるそうですね。私も楽しみです! TVねぇけど。

 いいかげん脱線が過ぎましたので、『ツナグ』の原作版で高校演劇部が上演した舞台が『桜の園』でなくて三島由紀夫の『鹿鳴館』(1956年11月初演)だったという事実を経由して本線の三条会に戻ることにいたしましょう。だから好きなのよねぇ。

 そういった感じで、私はチェーホフ文学の特色がどうとか、そこから見た『三人姉妹』のポジションがどうとかぬかせる人間ではないので、ほんとに単純に今日観た三条会の『三人姉妹』から感じとったことだけを元手にいろんなことを言っていきます。舞台化された『三人姉妹』を観るのも今回が初めてというていたらくなんでありまして……間違った解釈をしていたのだとしても、それは私個人の責任に帰する「真剣な曲解」ですので、ひとつあわれみのまなざしをもって見のがしてください。


 三条会の『三人姉妹』は戯曲の流れどおりに物語が展開していき、おそらく出演者がもともとの「14人」から「9人+α」にしぼられていることにともなって施されたと思われるセリフやシーンのカットはあるものの、発生する出来事はだいたい戯曲に準拠したものとなっています。

 ただし、1954年の訳文だというのにまったく色あせていない名翻訳家・神西清(じんざい きよし 1903~57年)のセリフをほぼ忠実に語る役者陣とはまったく対照的に、舞台上にあるもの全てが「いったん解体されている」のが、やっぱり三条会ならではの真摯な取り組み方であり醍醐味だと思うんですよね。まるで何もないような空間から、役者が「与えられた言葉」で何かを創造していくわけで、そのクリーチャーが果たして、原作と同じ骨格を持っていながらどのくらい原作と違ったものになっているのか? そっくりの双子? よく似た親子? 似ても似つかないきょうだい? オリジナルとリミックス? ゴジラとメカゴジラ?

 今回の『三人姉妹』では、開演時の舞台には13脚の椅子と1脚のキャタツくらいしか物が置かれていない状況で、舞台装置としても、舞台の客席よりの前半分と奥半分とを分ける透明なガラス状の壁しかありません。その透明な壁には木の枠が縦横に走っていて、壁というよりも12枚の大きな窓の集まりのように見えるのですが、それがシーンごとの照明の変化によって、ときに舞台前半分の役者を鏡のように反射する効果を出しているのが妙に印象的でした。

 とにかくシンプル! そんな舞台であるのですが、だからこそ、役者のセリフとその身のこなしからいろんなことを連想し、その連想を DVDのオーディオコメンタリーのように副音声で流しながら観るのが、今のところの私なりの三条会のお芝居の楽しみ方です。こういう「集中」のしかたでもいいじゃないかと。
 そして、そういった「脳内散歩」を楽しむことがそのまんま、その時点での自分の「娯楽のたのしみかた」の根っこみたいな部分をを想像するきっかけになるわけなんですよね。これはそんじょそこらのエンタメじゃあ味わえない域の楽しさですよ……ディズニーランドにはたぶん、ない。

 「鏡」というのならば、この『三人姉妹』の物語やその結末も、観る人によってだいぶその解釈が変わってくるものなんじゃないかと感じましたね。おそらく、ある人が観たら「甘い理想を持ったある名家が現実にまみれて没落していく悲劇」となるでしょうし、その一方で「いろいろな種類の人間のうまくいかない人生を皮肉ったブラックユーモアたっぷりの喜劇」とながめる人もいるでしょう。そしてその結末ののち、三人姉妹のいるプローゾロフ一家がどうなるのか? 物語の大筋どおりのバッドエンドとなるのか、ラストシーンで手に手を取って立ち上がった三人姉妹の決心から人生の一発逆転が生まれるのか? どちらを予想するかで、三人姉妹の長女オーリガ(演・大倉マヤ)が語ったスケールの大きすぎるセリフの味わいもだいぶ変わってくると思うんです。

 原作の筋書きでは、『三人姉妹』のラストシーンは三人の決意のセリフに合わせるかのように、外からは雄々しい軍楽隊の音楽が聞こえてくるという、一家の復活を前向きに鼓舞するかのような原作者なりの演出が加えられています。

 ところが、三条会版のラストシーンは「音楽が流れてきて三人が語る」という点ではまったく同じであるものの、その様相は「ある一家の物語の結末」という枠におさまりきっていない大爆発をとげたものになっている、と私は観ました。これはおそらく、三人、特に長女オーリガのセリフに、ホームドラマの登場人物の言うことにしては異常に距離感のある、どちらかというと「原作者の人生観・世界観」のようなものが配合されていることへの三条会一流の「ストレートな解釈」だったのではないのでしょうか。そしてその結果、三条会版の『三人姉妹』はロシア帝国のいち地方都市の家庭劇を超え、20世紀文学の代表的悲劇を超え、2013年を生きてこの劇場にやってきた会場の人々の目の前に到着するという、当たり前のことながらも他の舞台では滅多に見られない「時をかけるお芝居」になっていたわけなのです。このスケールとスピード感覚は、いいね!!

 とは言いましても、今回の舞台を観ていて、少なくとも私は「速さから来る爽快感」を感じることは特にありませんでした。そういった見ていてわかりやすいおもしろさではなく、全編にわたって役者陣が意図的に「観る者の集中力がギリギリ離れない限度のゆるいスピード」で物語を進めていく一点勝負! その迷いのなさにあたしゃあビックラこいちゃったわけなんです。
 出てくる名前も「トゥーゼンバフ」とか「チェブトイキン」とか耳慣れないものばっかりだし、「火事」とか「戦争」とか「決闘」といった物語中の出来事もスペクタクル映画のように再現されるわけではないので、役者の語りの実力だけが武器になるというこの状況で、あえてじっくり! そして、それに見事にこたえる、役者陣の緊張感に裏打ちされた魅力!!

 このへんは、今年3月に私が岡山市で観た同じ関さん演出のお芝居『月の鏡にうつる聲』とはまったく好対照を成すもので、一般の方々が役者として参加した『月の……』が短距離走のバトンリレーのような疾走感に満ちていたのにたいし、今回の『三人姉妹』はまさに選手全員の能力を知り尽くした監督が采配をとる箱根駅伝のような長距離走をイメージしました。その要求にこたえられるだけの実力を役者が持っているから初めて成立する話であり、そういう意味でも三条会の「ガチンコの本公演」を目の当たりにした思いでしたねぇ。

 みなさんすごいんですが、私は特に、三人姉妹の生活に大きな影響を与えることになる、大都会からやって来たヴェルシーニン中佐役の山本芳郎さん(劇団山の手事情社 客演)の尋常でないセリフの「聞かせ力」に瞠目してしまいました。

 山本芳郎さんの演じるヴェルシーニン中佐という人物は、ロシアの副首都(1712~1918年の首都はサンクトペテルブルク)であり、13世紀以来の長い歴史を持つ人口100万都市でもあったモスクワから三人姉妹のいる地方都市(人口10万ほど)にやってきた、紳士的で知的魅力にあふれたインテリでアーバンでソフィスティケイトされた伊達男であるのですが、そのいっぽうでは、モスクワにそ~と~厄介な家庭のいざこざを置いてきぼりにしながら、三人姉妹の前では理想的な社会論や道徳観を哲学のベースに乗せて語りまくるスーパー口ばっかし人間でもあるという二面性をかかえたものすごいキャラクターになっています。劇中でも、他の登場人物たちにというよりはモロ観客席のほうを向いて、数分にわたるやたら長い語りを投げかけてくる不気味な魅力に満ちた人物でありながらも、言ってることの内容はコンビニとかで1リットル100円という驚きの価格で販売されている乳酸菌飲料「コーラスウォーター」よりもうっすい理想論の繰り返しで、その口から出る「未来の世界のあるべき姿」も、『三人姉妹』の初演から実に110年以上の時が経過している現在の観客の全員から「ねーよ!!」と総ツッコミを浴びてしまいかねない甘ったるいものになっています。

 でも、そんな聞く価値もないような文句の数々も、山本芳郎さんという筋金入りの俳優の身体と声を通せば、あ~ら不思議。なんの打算も悪意もない、本人が心の底からそうだと信じている、というか、もし現実がそうでなかったのだとしてもそうであるようにせねばならないのだと強く信じている何かを胸にいだいた上での「真情あふるる軽薄さ」になってしまうんですから、じっくり最初っから最後まで聞き入っちゃうんですよね! 軽くて重い! 浅くて深い!! まっくらくら~いクラ~イ♪

 このヴェルシーニン中佐の妄言と、それに聞き惚れて自分たちの妄想を広げる三人姉妹との相関関係は、はた目から見れば非常におめでたくて残念なものに見えてしまいます。しかし、その渦中にいる人々にとって、案外それはお互いをだます意図さえも存在していない「真実の思い」同士の真剣勝負なのであり、それは劇中のかなりいいポイントで中盤にタイムリーに流れてくる「ある超有名アーティストの楽曲」ともかなりリンクしたものになっていると感じました。それは非常に甘ったるいささやきに満ちた歌ではあるんですが、何百年たとうが何千年たとうが、おそらく人間誰しもが通過する恋の季節をうたったものであり、歴史や教育の積み重ねで取り払えるわけがない「業」をピンポイントでおさえた名曲です。そして、その業があるから人は人なんだよなぁ……と、しみじみ痛感。

 さて、このヴェルシーニン中佐と三人姉妹にかぎらず、この物語に登場する人物たちのマンツーマンの関係はすべからく「そんなはずじゃなかったのに……」というかおりの強くただようものになっており、例えば第1幕の終盤でめでたく結ばれたプローゾロフ家の若き当主アンドレイ(三人姉妹の男きょうだい 演・榊原毅)とその恋人ナターシャ(演・山本晃子 劇団百景社 客演)は、その直後の第2幕のとっかかりから価値観のどうしようもない違いと倦怠期に見舞われているというミもフタもない時間の経過が提示されてしまっています。つまり、作品の中で見られる世間と個人、家族同士、恋人同士、夫と妻、親友同士、恋がたき同士、そして、「そうだったはずの自分」と「実際の自分」というすべての対比において、観客の苦笑をさそう何らかの皮肉な現実が用意周到に突きつけられているわけで、そういった戯曲が発表から1世紀以上たった今でもこうやって時間と国境を越えて上演されているのですから、この『三人姉妹』には時空を超えた「全人類あるあるネタ」ともいうべき恐るべき「呪い」がかけられている、というより仕方ありません。まさしく、文学の魔術師チェーホフ一世一代のミラクルイリュージョンとしか言いようがありませんね。

 さぁ、そんな強力な呪いのかけられた『三人姉妹』に、果たして三条会はどう挑んでいったのでしょうか?

 私がそれを考える上で最も重大なヒントになると見たのは、今回の公演の「上演時間約2時間」という情報でした。
 ここ最近の三条会の公演の上演時間は「1時間から1時間半」という場合が多かったのですが、それに比べて『三人姉妹』のおよそ2時間はちょっとだけ長くなっています。ただし、これはある程度のカットがあった上での2時間であるわけですから、「この台本をやったら自然にこういう上演時間になった。」というような消極的な成り行きによるものでないことはあきらかで、それはつまり、何らかの思惑があっていつもよりもちょっとボリュームアップな2時間にしたという積極的な「設計」があった、ということになるのです。

 そんなことをモヤモヤ考えながら開演にのぞんだ私だったのですが、内容を最後まで観て、そんな私の疑問はいっぺんに氷解しました。
 あぁ、これ、ひとつの2時間のお芝居なんじゃなくて、1時間半の『三人姉妹』ロケットと30分の「三条会」ロケットとで二段構えになってる公演なんだ!

 つまり、私もケータイや夜光の腕時計を使って上演中に精確にはかったわけではないので体感時間でしか言えないのですが、この三条会版の『三人姉妹』は、舞台上にいる9名の集まりが原作で言うプローゾロフ一家の周辺に起こる出来事をおっていく内容の立体化を1時間半かけて進める大部分から、ある舞台転換をへて大きく「反転」し、あたかも役者陣が『三人姉妹』の世界を跳び越えて現在の劇場へ出てきたかのような無重力感のある残り30分間の最終第4幕をもって完成となるのです。そして、そんな中で流れ出す最後の音楽と、三姉妹の決意をこめたセリフ。

 反転といえば、今回の三条会の『三人姉妹』は反転をもって原作を照射するといったネガポジの効果がいろんなところで見られて、まずなんといっても、タイトルにもなっているプローゾロフ家の三姉妹の存在が、同じきょうだいであるはずなのに男性であるということでそこから除外されている長男アンドレイの視点から強調されていく序盤もそうですし、前半分と奥半分で2つに分割されている舞台で交互に展開していく物語も、もう片面で起きている出来事の反転の繰り返しでできあがっているとも解釈できる部分があります。プローゾロフ家に近い登場人物の服装や舞台全体がのきなみ単調な色彩になっているのに対して、そこに距離感をおいているヴェルシーニン中佐(&彼の登場専用ドア)と長男の嫁ナターシャが極端に色鮮やかな衣装に身を包んでいるのもわかりやすい対比ですし、そんな登場人物全員が、「役者の身体を持っていない」舞台上のチェブトイキン軍医の「声なき声」に常に耳をそばだてているのも、不在が存在に大きな影響を与えている反転の作用だと思います。

 こんな感じで、確かに舞台上に展開される物語は、俳優の声と身体以外には補足がないゆえに一見とっつきにくいものがあるのかもしれませんが、ものを観る視点を固有名詞の多い俳優のセリフの文面ではなく、それぞれの俳優のセリフの言い方や身のこなしにおけば、三条会の『三人姉妹』ほど明確に物語の本筋をおさえた『三人姉妹』はありません。「俳優が何を言っているのか」ではなく、「どんな俳優が言っているのか」に注目すれば、チェーホフ一流の言葉の綾に左右されない、セリフに反転されたキャラクターの「本音」が見えてくるはずなのです。そこが見えたらもうオッケーなの!

 そんなこんなをへてのクライマックス。三条会版ならではの音楽とともに語られた長女オーリガの最後のセリフのあと、無音となった舞台上では「ある登場人物」がひとりだけある動作をおこなって、この『三人姉妹』は幕を閉じます。
 本来の戯曲ではもうちょっと時間がずれていたはずのこの人物の動きが、オーリガの「ホームドラマのキャラクターらしからぬ」超時代的な皮肉、つまりはこの『三人姉妹』におけるチェーホフ最後にして最大の呪いの後に置かれているということは、そのまま、それに対する三条会からの返事ということになるでしょう。それほど突飛なものでもない動作なのですが、それはまさに1世紀モノの呪いを正々堂々と背負った重みのあるものであり、それだけの時間を超えて初演の1901年という過去から現代の下北沢までやってきた三条会製の「タイムマシン」から降り立った乗組員の、未来へ向けての確実な歩みでもあるわけなのです。まさしく「古典から未来の話をする」という今回の公演のコンセプトを体現するエンディングであるわけなのですが、その動きを引き受けた登場人物があの人であるというところに、現在『三人姉妹』の発表時期のチェーホフと同年齢の41歳だという演出家・関美能留の「まなざし」があるような気がいたしました。
 ずいぶんと気が早い話ですが、その人物のおもむいた先にある「次なる物語」をはやく観たいとも思ってしまいました。どんな新世界があるんだろうかねェ~!?

 先人の古典を死なせたままでなく、そこにこめられた呪いを正々堂々と血のかよったものに復活させた上で勝負をいどむ。そんな三条会のしごくまっとうな、それでいてよその演劇では滅多に見られない闘い方をあらためて堪能した、今回の『三人姉妹』だったのでありました。

 これを観て、「あまり大きな起伏がない」とか「セリフが長い」とか「大爆笑できるわかりやすいシーンがない」とかってグチをこぼすようじゃあ、まだまだあまちゃんよね。それはブラックコーヒーを「超にがい!」と批判するようなもんですよ。あったりめぇだっつうの!! 『三人姉妹』をかんたんに観られるものに分解してど~するんだっての。ンなもんなんにも残んないし、それだったら別の人の戯曲をやったほうがよっぽどいいわけですよ。

 いつもどおりの真摯な態度で原作の呪いにいどむ三条会の、超高性能タイムマシンが展開するめくるめく反転の時間旅行を、みなさまもぜひともお楽しみくださ~い! 私はあと最低1回は観に行きますよ~。チャンスは決して多くないぞ!


 他にも言いたいポイントは山ほどあるんですが、こんな長い文章をいったい誰が読むんだということで、涙をのんで今日はここまで!!
 天気はあんまりよろしくないようですが、観てちょ~、観てちょ~☆
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ゴールデンウィークはコスプレの方々を横目にお手伝いとかやってました

2013年05月07日 22時30分28秒 | 日記
 じゃがじゃがじゃんじゃん~。どうもこんばんは、そうだいでございます~。みなさま、今日も一日お疲れさまでございました!
 いや~、最近の千葉はとにかく好天が続いておりますね。多少風が強めな日も多かったですが、ゴールデンウィークにはうってつけの日々になったのではないのでしょうか。
 みなさま、今年のゴールデンウィークはどう過ごされましたか? 旅行とか帰省とか城めぐりとか、いろんなイベントで日本中が大移動するにぎやかな連休になりましたかねぇ。

 かくいう私はと言いますと。まぁ、基本はお仕事よね~。あいも変わらず。
 ゴールデンウィークの影響がなかったわけでもないんですが、私の今やっているお仕事は、連休だからといってそれに乗っかってまるっと休業できるというものでもありません。
 休業はできないんですが、ゴールデンウィークのおかげで仕事はだいぶ軽くなるんですね。まぁ、私の担当は軽くなるというよりも「仕事の内容が変わる」と言うほうが正しいんですが、とにかく職場はだいぶのんびりした時間の流れ方になるんです。
 こんな春のぽかぽかした日々に、のんびりした時間進行……思わず眠くなってしまうシチュエーションではあるのですが、そこをそうさせてくれないのがお仕事、ということで! 気を引き締めてやんないとね~。

 そんなわけで、ゴールデンウィーク中の私は、あの1~3月の喧騒がウソのような心身ともに余裕のある日程をすごしており、連休まではムリだとしても、適度にお休みもいただけるぜいたくをさせてもらっていました。


 そういった中でだったのですが、私はどういうわけか、仕事先で大変お世話になっている方の息子さんが主宰しているボランティア団体の活動のお手伝いに2日間だけ参加するという体験をしました。おれがボランティア! ホントにどういうわけ!?

 その息子さんは、私より10歳は若い元気ハツラツな青年なのですが、休日を利用して千葉県内のいろんな場所でボランティア活動に取り組んだり、無償のイベントの主催をしたりしているそうなんですよ。たいしたバイタリティですよね~。それなのに、ご本人はびっくりするくらいに物腰の柔らかな優しい人でね。

 彼からのお手伝いのお誘いはちょっと前からもらっていたのですが、このゴールデンウィークになって私のスケジュールに空きができたため、やっと参加させてもらうことになりました。ボランティアって、一体なにをすればいいんですかね……

 私が活動に参加した最初の日は先月4月の末。この日は、JR千葉駅から歩いて5分ほどの場所にある千葉中央公園で行われた中高生中心のブラスバンドフェスティバルと、そのすぐ近くの千葉銀座通りで開催されたフリーマーケットの運営のお手伝いをする、というものでした。
 時間は朝8時集合の夕方5時半解散ということでちょっと長めだったのですが、簡単な交通規制とお店の見回り、会場での誘導やゴミ拾いといった本当のお手伝いだけだったので、いろんな人の流れを楽しみながら余裕をもって参加させていただくことができました。

 私は、いつもはそういうイベントは完全にスルーして立ち止まることもない人間だったんですけど、その舞台裏にまわって運営に参加してみると、やっぱりおもしろいんですよね~! フリーマーケットの空きスペースでは和太鼓の生演奏があったり、大道芸人さんが芸をやってたりしてね。特に私が興味深くずっと観ていたのは、ちょっとした路地みたいな場所で、人に目立たないようにこっそり芸の確認をしている芸人さんの下準備! プロだから本番で失敗しないのは当たり前なんですが(失敗しないっていうか、「失敗を失敗に見せない」テクニックなのよね)、そのために入念にチェックしている素の姿のほうがずっとおもしろかったりして。風が強いからアレはやめとこう、みたいな表情がはっきり見て取れるんですよ。そこが観られたのが良かったですわ。ヤな客だね~!

 中高生のブラスバンド演奏もちゃんと立ち止まって聴いてみれば、やっぱりいいんですよ。こっちも私なりに実にいやらしい楽しみ方になってしまうのですが、そのとき演奏しているステージのグループよりも、客席の外側にスタンバって演奏を眺めている他のグループのほうがおもしろいんだなぁ! 自分たちの演奏が終わって余裕でノッている集まり、次の出番なので緊張している集まり、自分と同じ楽器を演奏している他校の生徒を評価する視線……このフェスティバルは公式試合ではないので全体的になごやかな雰囲気だったのですが、それでも「あぁ、うちの高校の吹奏学部も中身は体育会系だったなぁ。」と思い出してしまう空気がありました。なつかしいね~。

 結局、その日のイベントは大きなトラブルもなく無事に終わり、私のボランティア体験初日はかなりスムースに幕を閉じたのでありました。いい日だったね~。


 その約1週間後の5月5日「子どもの日」。私はふたたび息子さんの誘いを受けて、前回と同じ千葉中央公園で開催されたイベントのお手伝いに参加することとなりました。この日も天気はいちじるしく良かった! 日焼けしたした~。
 今回のイベントは5月の2~6日に5日連続で行われた『第10回・食楽ICHIBA 音と飲食のコラボレーション2013』の一環で、連日常設ステージで上演される音楽ライヴと、公園内に設置された20あまりもの数の食べ物屋台とがいっしょになった大規模なものになっていました。息子さんのボランティア団体はイベント前日の5月1日から最終日までずっと運営をサポートしていたのですが、私はそのうちの5日だけに参加させていただくことになりました。1日だけでごめんね~! みなさん、ホントにご苦労さまでございます。

 さて、そういうわけで私がお手伝いに行った5月5日のライヴのテーマはこちら。


「アニソンパーティ ZETSUANI SONIC 2013」


 アニソンなんですよ……他の日程は、地元千葉で活動するバンドの生演奏とかブレイクダンスバトル大会とかだったんですけど、私が行った日に限ってアニソンなんですよ! 誓って言いますが、私がこの日だけしか参加できなかったのは仕事の都合によるものであって、この日をねらって私のほうが選択したわけでは決してありません。私も当日に現場に行って初めてこのお題を知らされたわけだったのですが……まぁ、そうなる運命にはなるわなぁ、こんなブログを3年ちかくもやってたら。

 案の定、午前11時にスタートする予定だったアニソンライヴステージの周辺には、すでにそのためのリハーサル打ち合わせが開始された10時ごろには選ばれし異形の徒たちがどこからともなくじわりじわりと参集するようになり、なにやらただ事でない一日になりそうな不穏な空気をかもし出してきました。天気はすこぶるいいのに、私の眼にはぶあつい暗雲がたちこめるさまがありありと見える!!
 どぎつい蛍光ピンクの衣装、鮮やかなブルーのかつら、むくつけき巨体、思わず心配になってしまうほどのヤセッポキ、スカートを堂々とはいているおじさん、ネコっぽいしっぽを堂々とはやしている娘さん! おぉ、百鬼夜行とはこのことか……おそろしなんどもおろかなり!!

 この静かに燃え立つ様相に、運営している人たちにも若干のひるみが広がっていたのですが、私のテンションはいやがうえにも高まっていました。まぁ働いているからそこに参加はできないけど、見てくれ、あの「今日に賭ける眼の真剣さ」を! みなさん、もちろん笑顔になってはいるんですけど、ふざけた顔をしてる人は誰一人いないのね! この日のためにこつこつ真面目に生きてきたって感じなんですよ~。しっかりと常識の備わったヲタクさんがたですね。

 予定の開始時間になると、ステージ上ではいくつかの中断をはさみつつも、日が暮れるまで大音量でのアニソンのDJ イベントが続いていくこととなり、ステージと客席のあいだにある6~7m ほどの幅のスペースでは入れ替わり立ち替わり狂乱のヲタ芸を見せる人々がひしめきあう活況を呈していました。
 「同じ阿呆なら踊らにゃソンソン」ですよねぇ……しみじみしながら見つめてしまいました。

 とはいえ、当日はステージと同時に串モノとかカキ氷とかわたアメとかお酒とかいった普通の屋台も開いていたので、公園を訪れた常時200名ほどのお客さんのほとんどは一般の家族連れさんだったのですが、そういえば私も迷子になりかけて泣きじゃくっていた子どもの世話とかしてたのよ!? ステージを注視しつつもちゃんと仕事はしてたワケよ~。

 でも、今回ほんとに痛感したんですけど、私はもうアニメ好きだとか言っちゃあいけないね。もう流れてる曲もなんのアニメに使われたやつなのかぜんっぜんわかんないし、コスプレの元ネタもわかんないのばっか! ついてけないですわ……
 そんな中でも、かろうじて元ネタがわかるコスプレさんがたまにいらっしゃるとミョ~にうれしくなってしまうのですが、ああいうのって、もともとのキャラクターが深い関係にある同士の面識のないコスプレさんが偶然に同じ会場にいると、かなり不思議な空気が流れるよね! 数メートルしか離れていないのにいっさい会話を交わさない鏡音リン・レンとか、すれ違ってもまったく無反応の坂田銀時と高杉晋助とか。
 それでも、同じコスプレをしている初対面の人同士が互いに写真を撮りあっている様子などは実にほほえましいものがありました。こういう交流が人の縁を広げるのよね~。
 だいたい私の見立てでは、女性の『テニプリ』コスプレと男性の『まど☆マギ』コスプレが比較的多めだったでしょうか。え? そうそう、正真正銘のおじさまがたが魔法少女とかキュゥべえの扮装に身をつつんでるわけ。そりゃあ3~4歳のちびっこたちも「眉をひそめる」という大人な対応に徹しますよね。

 そういえば、よく見ると同じコスプレさんでも、全身の関節をガックンガックン言わせて腰も砕けよとばかりに踊り狂う人たちと、踊りには参加しないけど誰かに声をかけてもらうのを待ちながら会場内を回遊する人たちといった感じで種族がはっきりわかれているのがわかったのがとても興味深かったです。だめだめ、ちゃんと攻めていかなきゃダメよ。その格好をして今さらなにを臆病になることがあるんだ! と言ってさしあげたいね~。

 それにしても、夏みたいに暑い中、律儀にコスプレしてこういうイベントに参加する皆さんは、もうほんっとに真面目! アニソンDJ のあいまには、あんまり聞いたことのないアイドルグループとかお笑い芸人のライヴもさしはさまれていたのですが、みんな休憩もせずにしっかりステージ前で声援をかけてつきあってくれるのよね~。もう私以上のボランティア精神にあふれている紳士淑女ばっかりよ! アンタら、えらい!!
 そんなね~、初めて見たようなアイドルグループに唐突に「今日で解散しま~っす☆」とかって宣言されても、普通だったらポカ~ンってなるだけだと思うんですけど、みんなちゃーんと「ええぇ~っ!?」って絶叫してくれるしね。最高のお客さんですよ、しみじみ。

 あの、こんなことばっかり言ってると私がぜんぜん働いてなかったように伝わるかも知れないんですけど、ちゃんとテーブルの移動とかゴミ拾いとか、やることはやってたつもりなんです。ただそのくらい、ひたすら音楽が流れるだけの10時間は長かった、ってことなのよね……
 この日もやっぱり、大したトラブルも起きずにきわめて平和的にイベントは進行していきましたしねぇ。ちょっと熱中症の人も出かねないものすごい陽気だったのですが、特に踊ってるみなさんは的確すぎるほどに水分をとって夜まで完走されていました。場慣れしてるなぁ~!

 ともかく、こういった問題のない進行だったために私ものんびりとステージ周辺を眺めていられたのですが、そうやって見ていてびっくりするのが、おそらく自作ではなくて出来合いの商品だったと思われるコスプレ衣装の多さね! ちょっと有名になったタイトルとか有名なキャラクターのものだったら、もう何でも売ってるんでしょうね~。かなりよくできた、だがしかし、布地の質感あたりから量産モノっぽいにおいのする衣装がほとんどだったんですよ! 素人目に見た印象だけなのでご本人がたに確認をとったわけではなかったのですが、なんちゅうか、光を反射するテカり具合がいかにもパーティーグッズ品質っていうか。今回のイベントでいちばん注目をあびていたのは『ドラゴンボール』のフリーザ最終形態のコスプレさんだったと思うんですけど、それでもちゃんと販売されてる衣装なんですからねぇ。そういえば、そのフリーザさんが会場にまぎれこんでいた虫を「そっ。」と手に包んで植え込みにのがしていた絵には心を奪われてしまいました。とってもいい人じゃねぇかァア!!

 いろんなコスプレがありましたけど、一般服と比較してみていちばん違和感が出るのが、案外『けいおん!』とか『とある科学の超電磁砲』とかの「ふつうっぽい学生服コスプレ」なのは新発見でした。要するに、本物をすぐにイメージしやすい上で、本物にくらべて圧倒的に布地がうっすいんですよね。スカートとか、1ヶ月くらい通学しただけでおしりテッカテカのすそボッロボロ状態になりそうにピラピラしてるわけです。こういうところから、本物の学生服の軍服を遡源とする頑丈さがわかるんですよねぇ。私も現役当時は毎日イヤイヤ着ていたわけだったんですけど、学生服の素晴らしさは着なくなってからやっと理解できるようになるんですなぁ。ほんとうに大事なものはなんでもそうヨ……

 いっぽう、だいたい3分きざみくらいで絶えず入れ替わるアニソンのほうに耳をやってみますと、これはもう私の知らない楽曲のほうが圧倒的に多かったのですが、盛り上がりの瞬間風速のものすごさで言うと、これはやっぱり私でも知っている『プリキュア』『スーパー戦隊もの』『仮面ライダーウィザード』『ドラゴンボール』『けいおん!』といったあたりが鉄板でしたね~。そのへんの曲がかかると、なつかしの『人気者でいこう!』の「早大門のコーナー」のごとき急変ぶりで、それまで会場のほうぼうで焼きそばを食べたりラムネを飲んだりしてくつろいでいたギャラリーまでもがステージ前に殺到するというありさま! 特に日曜日系の曲は、それまでほとんど無反応だったお子さん層までもがすべからくピョンピョンはねまわるキラーコンテンツになっているため、子どもの日にはうってつけの最終兵器になっていました。厳密にはアニソンじゃないものもまじってるわけなんですが、そこはそれ、盛り上がってるんだからいいじゃないかと!

 でもまぁ、お仕事のひとつとして会場を訪れていた高年齢のお客さんにアンケートをとってみたら、「もっと子どもがうれしがる曲も流してほしいわねぇ。」という声もあったので、そのほとんどは「大きなお友だち」が狂喜乱舞するラインナップだったということで。だいたい、OP とかED に使われたから流すったって、超有名なポルノグラフィティとかアジカンとかのふつうの Jポップも多かったですしね。

 余談ですが、1990年代に青春を通過した私から見て「時の流れ」というものを痛感してしまったのは、楽曲もコスプレも「エヴァンゲリオン系」はいっさいなかった、ということでした。いくらなんでも『残酷な天使のテーゼ』はくるでしょ! とたかをくくっていたのですが、最後まで流れなかったね。単純に DJイベントにあわないってことなんですかねぇ。前回のブラバン大会では演奏されてたんですけど。
 それとももしかして、エバンさんは「10代には大人気で20~30代にはそうでもない」という「太宰治コンテンツ」になりつつあるのかしら!? なんにせよ、『新劇場版』シリーズはどうかわかりませんが、『新世紀』のほうはホコリをうっすらかぶる時代になったのよねぇ。いいんじゃないですか!? それだけ世情が明るくなったってことですよ。

 『るろうに剣心』の『そばかす』くらいが、イベントでかかった最古の楽曲でしたかね。しみじみ我が身のオッサンになったことに感じ入る一日となりました。

 その後、日が暮れたあたりからボチボチ後片付けの作業も本格化することとなったのですが、屋台でお酒を販売していたこともあって夜はまぁ~盛り上がる盛り上がる。さすがに「荒れる」というところまでいく人はあまりいなかったのですが、個人的には、缶ビールを持って目がまっかっかに充血したドレッドヘアの黒人男性(身長190cm くらい、筋肉質)がフ~ラフ~ラと私に近づいてきて、ジェスチャーで「いっしょにあそこの女をナンパしようぜ。おまえ男だろ!?」とからんできたのには心底まいっちゃいましたねぇ! こんな典型的な外国人さん、いる!? ってくらいにイメージどおりのお祭り男だったんですよ。もちのろんでやんわり断ったんですけど、しし、死ぬかと思った……あの、マンガみたいなゴリゴリ体格(でも、意外とお肉はやわらかい)! 間違っても黒人さんと戦争はするもんじゃないですね。またひとつ勉強になりました。

 そんでまぁ~、アニソンイベントの終了後は、時間的に余裕のある会場に来たみなさんといっしょにあたりのゴミを拾ったりテーブルを片付けたり、食べ残しを集めて捨てたりして、予定時間内に5月5日のイベントはとどこおりなく終わりました。

 こういうときにはっきり目に見えてわかるのが「後片付けにたいする世代間の取り組み方の違い」で、ギリギリまであんなにハチャメチャに踊りまくっていたヲタクのみなさんでも、後片付けは極力ちゃんと協力してくれるんです。中には他人の置いてったゴミを私たちといっしょに捨ててくれる人もいらっしゃったりしてねぇ。「イベントに参加したからには、片付けも。」という意識には本当に頭が下がりました。

 それに対して、も~気持ちいいくらいにゴミ残しまくり、食べかけ置きっぱなしで片付け開始前に完全撤収していくのが、いわゆる「団塊の世代」のみなさまがたなのね!! 笑っちゃったもんね、完全に屋台で買ったものじゃない近所のスーパーのさしみセットとかが会場のテーブルにドデーンとほっぽかれてるんだから。もちろん、そのとなりの紙コップには山盛りにつっ込まれたタバコの吸殻ですよ。
 まぁ、それを世代全体の特徴と決めつけるのはあまりにも乱暴な話だとは思うのですが、これってデリカシーの問題っていうよりは、「教育」とか「経験則」の違いのような気がするんですよね。たぶんそのへんの世代の人たちの多くは、参加したイベントのゴミを、出した自分たちで片付けるという作業をあんまりしなくていい人生をあゆんできたんじゃないんでしょうか。それだけ当時の日本がおおらかだったんでしょう。片付ける人たちは自分たちの他にちゃんといて当たり前という、「なんで俺たちがゴミを捨てなきゃなんないの? 主催してるのおまえらだろ?」という考え方がごくごく自然に身にしみこんでいる人が多すぎるような気がするんだなぁ。

 でも、今の日本はそういう時代じゃないんですよ……お互いにお互いを気づかった上でバカ騒ぎをする分別が必要な世の中なんです。何をしてもいいという優遇が許される場所なんか、公共のイベントじゃあどこにもないんですよ。「自分の出したゴミはなるべく自分で片付ける」なんてことは、もはや紙に書いて貼りだす必要さえもない常識になっているんです。
 そこらへんを、あの人たちは理解して……くれないだろうなぁ。その前に寿命がくるでしょうね。まぁおめでたいことで。

 やっぱり、良識のない一般人じゃなくて良識のある変態を目指したいね、私も。飲みのこしのあらゆる液体をドボドボ入れて真っ黒に染まったバケツの中身をながめながら、しみじみ痛感いたしました。


 こんなわけで、今年のゴールデンウィークはいつもとはちょっと違った立ち位置からお祭りを楽しんだ私だったのですが、やっぱりイベントはおもしろいわ! 暑いのに、なんでわざわざ人がウジャウジャひしめいている場所に行かなきゃならんのだ!? とかっていう考えはうっちゃって、これから夏にかけてもなるべくいろんな「外」に行ってみたいと思いを改めた、今回のボランティアお手伝いだったのでありましたァ~ん。


 私がもしコスプレするとしたら……やっぱ厳島神社蔵の「紺糸威大鎧(こんいとおどしおおよろい)」コスプレかなぁ~。からだ鍛え直さないといけないねコリャ。
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