長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

今さらですが……  『ぬらりひょんの孫』にささげるバラード  毎度おなじみ資料編 Part Ⅱ!!

2013年09月20日 12時30分40秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
 どうもこにゃにゃちは!! そうだいでございまする~。
 あ~んそれじゃあもう、四の五の言わずにちゃっちゃとまとめちゃいましょうかい!


マンガ『ぬらりひょんの孫』について(2011年以降のいろいろ、つづき)

重要なキャラクターたち

奥州遠野一家
赤河童(あかがっぱ)
声優 …… 宮内 敦士(42歳)
 奥州遠野一家の総大将。奥州妖怪を統率する巨大な顔の河童。ぬらりひょんとは古い付き合い。

かまいたちイタク
声優 …… 岸尾 だいすけ(37歳)
 バンダナを頭に巻いた青年の姿をしている。昼は小さなイタチになってしまうが、こちらが本来の姿らしい。6本の鎌を使い、あらゆるものを薙ぎ払う。また、自分の意志で両腕に大鎌を備えた人間大のイタチの姿になることもできる。頑固で無愛想だが責任感は強く、仲間思い。
 遠野におけるリクオの修行で、指導係に抜擢された。遠野の仲間以外の妖怪は基本的に信用しておらず、リクオと張り合うことが多い。プライドも高く、首無と一時険悪な仲だったが、京都編でリクオや首無の実力を次第に認めるようになった。
 京都編の後から半年間、東京の奴良組本家に出向いてリクオの修行を手伝っていた。その後、百物語組の鎮圧に協力、青森県の恐山へも同行する。葵螺旋城には土蜘蛛と共にいち早く駆けつけ、戦った。
 晴明戦後は、遠野一家の次期総大将となる。

天邪鬼淡島(あわしま)
声優 …… 柚木 涼香(37歳)
 さばさばした性格の好青年。夜は肉体が女性になるが、基本的に男として振舞う。鬼神の父と天女の母を持ち、鬼神の破壊力と天女の包容力の両極をあわせ持つ。「淡島」の名は『古事記』にあるイザナギとイザナミの第二子「あはしま」に由来している。

河童雨造(あめぞう)
声優 …… 水島 大宙(35歳) 
 マイペースでお気楽な性格。遠野を出たことはないようだが、何かと外部のことに詳しい物知りで、奴良組の首無のファン。
 人間らしい姿をしている奴良組の河童と違ってトカゲのような風貌で、時折「ケケケ」という奇声をあげる。

雪女冷麗(レイラ)
声優 …… 豊口 めぐみ(33歳)
 ピンク色の髪をお団子に結っている。落ち着いた性格で敵に厳しく味方に優しい。

座敷童子紫(ゆかり)
声優 …… 折笠 富美子(36歳)
 可愛らしい童女の姿をしているが毒舌。「運を引き込む」妖怪で、遠野の妖怪からは全幅の信頼を寄せられている。リクオ達が恐山に向かう際に同行し、イタクをサポートした。

江戸百物語組
山ン本五郎左衛門(さんもと ごろうざえもん)
 百物語組の組長。「魔王」とも呼ばれる巨大な妖怪。
 もともとは江戸時代の人間で、材木問屋の大富商だった。生前から自らが創作した怪談を広めることで、人々の恐怖心「畏(おそれ)」を自身の所有する「百鬼の茶釜」に集めることを愉しみとしていた。その釜から作られた毒茶を江戸幕府の要人に飲ませて国家を支配しようと企み、さらに世の中の畏を吸収することで、生きながらにして神仏になろうとしていた。野望達成の目前で鯉伴に追い詰められ、いったんは死亡する。しかし、奴良組への激しい恨みから、自身が百物語の第百話「奴良組を滅ぼすまで決して滅びない妖怪」魔王・山ン本五郎左衛門に変貌した。またこの時、飛び散った彼の肉体から、圓潮や鏖地蔵ら多数の大幹部妖怪が生まれている。鏖地蔵によると、山ン本は百の妖怪に分かれているという。
 その姿は、肉体は朽ち果て頭部は髑髏となり、口からは内臓がはみ出している。この肉体に山ン本としての意識はなく、ただ畏を求めて徘徊する妖怪でしかなかった。人間としての山ン本の魂は常に地獄に居るが、山ン本の「脳」である三ツ目八面を通じて、他の妖怪たちに指示を出している。
 江戸時代に鯉伴と黒田坊の共闘によって倒されたかに見えたが、彼の身体から分裂した妖怪たちは再び集結し、百物語組と名乗って暗躍するようになる。以後300年にわたり力を蓄え、復活と奴良組への復讐を企てていた。その後、安倍晴明と結託して鯉伴を殺害し、現代では奴良組に三ツ目八面として潜伏していた。四国八十八鬼夜行の組長・玉章に「魔王の小槌」を与えて奴良組を襲わせ、さらに鏖地蔵を使って京妖怪連合を利用し、晴明を地獄から完全に復活させるなど、物語中の全ての事件の裏で暗躍していた。
※現代では、山ン本の「口」「耳」「腕」「骨」「面の皮」「鼻」「脳」である7人の大幹部がいる。

圓潮(えんちょう)
 百物語組の大幹部で、山ン本の「口」。真っ黒な瞳が特徴的な和装に短髪の男。山ン本亡き後の百物語組のリーダー格。
 柔和な笑顔と独特の語り口調で人を惹きこみ、心を捕える言霊使い。普段は噺家として活動している。柳田が集めてきた怪談を語る役目を担い、数多くの都市伝説を生み出してきた。
 山ン本の復活を前に、百物語組の妖怪が東京中の人間を襲うことで、その恐怖心や憎悪を奴良組に向けさせようと企んだ。
 しかし実は、安倍晴明の再誕を語る者となるために百物語組を利用していた。その後、復活した山ン本に吸収されかかるが、安倍有行に助けられた。その後は御門院一族のもとに身を寄せていたが、敗戦後に柳田に刺殺された。

柳田(やなぎだ)
 百物語組の大幹部で、山ン本の「耳」。キツネ目の青年で、左耳に山ン本の「鼻」である鈴を付けている。この「鼻」は、怪談や妖怪を匂いで追うことができる。
 江戸時代から生前の山ン本の側近として仕えてきた妖怪。その忠誠心を山ン本に買われ、引き続き怪談を集める「耳」としての役割を与えられた。以降、怪談、都市伝説の類を聞き集める役割を担い、圓潮や鏡斎に提供している。山ン本を裏切った黒田坊を強く憎んでいる。
 百物語組抗争の終結後はいずこかへと姿をくらました。その後、葵城の地下道で圓潮を後ろから刺殺し、今後も山ン本復活のため怪談を集め続けることを誓う。

鏡斎(きょうさい)
 百物語組の大幹部で、山ン本の「腕」。和装に髪を後ろで結った色黒の青年。「狂画師(きょうえし)」の異名を持つ。
 人や妖怪が朽ち果てる様、殺し合う様を「芸術」と呼び、それを描写することに陶酔する。
 怪談を画に描いて本物の妖怪を生みだす力を持つ。柳田が聞き、圓潮が語り、鏡斎が生むという関係である。描く対象を全て妖怪に変貌させることができ、人間も妖怪にすることができる。造った妖怪たちをけしかけたり、筆を用いた妖術を操る間接的な戦闘を得意とする。
 百物語組抗争では、多くの少女や無機物を妖怪に変えてリクオを襲わせた。さらに「九相図」を用いてリクオの肉体を消滅させようとするが、リクオの強力な畏に呑まれて斬り伏せられ、ビルの屋上から転落していった。
※九相図(くそうず)
 人が死んで滅びてゆく様を描いた九枚からなる画図。対象者の血を混ぜた墨で描くことで、その者を徐々に腐らせていく強力な呪術。全ての画が完成した時、相手は腐りきって消滅する。

三ツ目八面(みつめやづら)
 百物語の大幹部で、山ン本の「脳」。表向きは奴良組系妖怪組織「三ツ目党」の党主。
 その正体は、頭蓋骨の上半分から脳がはみ出したような頭部を持っており、山ン本自身の意識や感覚を宿している。身体の各部位の妖怪たちに意識がつながっていて、妖怪が倒されると彼自身も痛みを感じる。
 百物語組を動かす鍵として、圓潮に利用されていた。圓潮に裏切られて瀕死の重傷を負うが、最期の力で「百鬼の茶釜」に集められた畏を吸収し、魔王・山ン本五郎左衛門として復活を果たした。百物語組の妖怪たちを吸収しながら奴良組本家を襲撃するが、最後はリクオに一刀両断されて滅びた。

雷電(らいでん)
 百物語組幹部で山ン本の「骨」。筋骨隆々の肉体を持った、若い巨漢。
 普段は快活な性格だが、幹部中でも最も好戦的であり、どんな相手も叩き潰し粉々にする。だが物覚えは悪く、圓潮の作戦や自分の能力もあまり覚えていなかった。
 巨大なコンクリートを指で弾き飛ばす怪力と、物理攻撃をものともしない頑丈な骨の身体を持つ。巨大な木槌を持っているが、戦闘は基本的に素手で行う。
 百物語組抗争では、幹部クラスの一番手としてリクオと戦うが、修行を積み新たな力を手に入れたリクオに斬られ、身体が粉々に爆ぜた。

珠三郎(たまさぶろう)
 百物語組幹部で山ン本の「面の皮」。中性的な顔立ちをしている。人を欺いて惑わし、その心をズタズタに引き裂くことを好む。人質をとったり部下を身代わりにするなど卑劣な性格の持ち主。
 液状になった「面の皮」を使って相手の姿を複写し、それを被ることで擬態する。戦闘時は歌舞伎役者のような姿をしていることから、「狂役者(きょうやくしゃ)」の異名を持つ。
 百物語組抗争では奴良組の毛倡妓(けじょうろう)になりすまし、奴良組の本家に潜入してリクオの母・若菜に襲いかかるが、首無に阻まれて敗北した。奴良組の妖怪に捕らえられるが、復活した山ン本に吸収される形で消滅した。

黒田坊(くろたぼう)
声優 …… 鳥海 浩輔(38歳)
 現在はリクオの側近の一人。黒い袈裟をまとい笠をかぶる旅僧の姿をしている。
 奴良組の青田坊とは仲が良く、出入りの際には常に勝負を競っている「もう一人の突撃隊長」。美形で女性に人気があるが、人間、妖怪を問わず女性関係においてトラブルを起こすことが多く、天邪鬼淡島からは「エロ田坊」というあだ名で呼ばれる。基本的に人間には無関心であるが、情には厚い。
 手にしている錫杖以外にも、法衣の中に200種類以上の暗器(暗殺用の武器)を仕込み、連続攻撃や隙を突いた不意討ちなど多彩な技を持つ。
 元々は戦乱や飢饉の中、野盗や野武士に苦しめられる子どもたちの恐怖心が、「自分たちを護ってくれる存在」として創造した正義の妖怪だったが、山ン本の「百鬼の茶釜」によって操られ、百物語組の幹部として暗殺を担当していた。江戸時代に鯉伴とも交戦している。山ン本から生まれた妖怪たちが子どもを襲っているところを救出したことで自我を取り戻し、鯉伴と盃を交わし共闘して山ン本を倒した。その後奴良組に入る。
 リクオが正式に跡目候補となってからは、人間のビジネスマンに擬態して登下校の護衛に回ることになった。後にリクオとも七分三分の盃を交わした。リクオの三代目襲名と同時に、青田坊共々、幹部に昇格した。

滝夜叉姫(たきやしゃひめ)
 鏡斎がリクオの友人・鳥居夏実を妖怪に変えたもの。モデルは平安期に存在し、父親である大怨霊・平将門(たいらのまさかど ?~940年)の無念を晴らすため魔道に堕ちた将門の長女(本名・五月姫)。般若の面のような顔を持ち、巨大な薙刀を武器とする。
 鏡斎に操られるままにリクオに攻撃を仕掛けるが、リクオの刀によって妖怪としての肉体のみを斬られ、核となった鳥居は解放された。

青行燈(あおあんどん)
 巨大な鎧武者の姿をした妖怪。百物語組の切り札にして、圓潮の語る怪談の最終話。
 「百鬼の茶釜」に集められた、東京中の人間の恐怖心や憎悪を原動力として動く妖怪マシン。離れた相手にはビームで攻撃する。また、口腔内に隠された茶釜を破壊しない限り、無限に再生し続ける身体を持つ。
 リクオ、氷麗、イタクを相手に圧倒的な力を見せつけるが、茶釜を破壊され、リクオによって頭部を真っ二つにされて倒れた。

水戸 光圀(みと みつくに 1628~1701年)
 権中納言、前水戸藩主。江戸幕府初代征夷大将軍・徳川家康の孫で、「水戸黄門」こと徳川光圀その人。ぬらりひょんの茶飲み友達であり囲碁友達。ぬらりひょんが居城の水戸城に忍び込んだ時に知り合ったという。
 山ン本の百物語完成を阻止するための鯉伴の作戦に協力した。事件の後、毒茶取り締まりの中心的役割を担った。

柳沢 吉保(やなぎさわ よしやす 1658~1714年)
 江戸幕府大老格兼将軍側用人(老中に就任したことはない)、左近衛権少将、武蔵国川越藩主。山ン本の毒茶を飲み、「覇者の味」の中毒に侵された。百物語組の壊滅後、畏に飢えて数々の悪行を働いたが、光圀に成敗された。

花開院家
蘆屋 道満(あしや どうまん ?~?)
声優 …… 高岡 瓶々(47歳)
 花開院家の開祖である播磨国出身の陰陽師。平安時代前期に安倍晴明とライバル関係にあった。

花開院 秀元(けいかいん ひでもと)
声優 …… 緑川 光(43歳)
 戦国時代後期から江戸時代初期にかけて活躍した花開院家十三代目当主。異能の陰陽師と言われた天才で、兄の是光(これみつ)を差し置いて当主になった。
 才能、実力ともに高いが性格は飄々として子供っぽい。陰陽師だが妖怪への態度は馴れ馴れしいほどに好意的で、ぬらりひょんとは顔馴染みで、酒を飲み交わす程の仲となっていた。妖刀「祢々切丸」や京の「慶長の螺旋封印」を創った。なお、彼自身は羽衣狐の呪いを受けていないため長命だった。
 現代では「破軍」で召喚された先神(花開院家の歴代当主)の一人として登場。他の先神とは異なり、ほぼ生前の姿のままで登場した(花開院竜二は霊力が高いためではないかと推測している)。花開院家や奴良組に助言し、普段の態度とはうって変わって優秀な指揮能力を見せる。

花開院 ゆら(けいかいん ゆら)
声優 …… 前田 愛(36歳)
 花開院本家の陰陽師。次期当主候補であるが現在は修行中の身であり、修行の為に奴良組の本拠地である東京の浮世絵町の中学校に転校してきた。おっとりとした性格だが、感情の起伏が激しい面もある。
 陰陽師としてのプライドが高く、悪い妖怪は全て滅するという信念を持つ。花開院家の陰陽師の中でも特に並外れた精神力の持ち主で、式神を使役し妖怪を滅する能力についてはぬらりひょんも驚愕する才能の持ち主。一度に複数の式神を使役できるなど、修行中の身でも陰陽師としては優秀な方らしいが、肝心要の所で失敗をすることがある。
 京都から兄の花開院竜二らが来た事により、リクオの正体を知る。氷麗とは妖怪であると分かってからは反発しあっているが、人間に危害を加えないからか、リクオ同様に退治しようとは考えていないようで、共闘したこともある。京都編の後は、京都の中学校へ転校していった。
 御門院一族による清浄が始まる直前に復活した土蜘蛛にさらわれ、無理やり道案内をさせられる。2度にわたって御門院水蛭子と交戦し、土蜘蛛やリクオを援護した。
 のちに28代目花開院家当主に就任した。

花開院 竜二(けいかいん りゅうじ)
声優 …… 小西 克幸(38歳)
 花開院本家の陰陽師で、ゆらの実兄。高校3年生。
 ゆらと同様に「久しぶりに本家から才ある者が出た。」と高く評価される実力者で、周囲からは秋房と共に当主候補と目されていた。知識、経験共に誰よりも優れているとされるが、本人は「自分の才能はゆらや魔魅流には及ばない。」と語っている。発想、アイディア、知識量によって左右される結界に興味を持ち、幼いころは御門院天海に憧れていた。
 陰陽師を「白(正義)」、妖怪を完全な「黒(悪)」とみなし、妖怪を徹底的に滅するという思想に傾倒している。また、リクオや秋房といった中立的な「灰色」の存在もあまり快く思っていない。刃向かうものは妹ですら容赦しない冷徹さを持つ。ゆらをよく騙したりからかったりしており、彼女には邪険に扱われる事が多い。しかしゆらの才能は認めており、兄として彼女のサポートも行う。背が低いことを気にしていて、話題に出した者は酷い目に遭わせる。
 常に携帯している竹筒に入れた液体の式神を操る。嘘と真実を織り交ぜた巧みな話術で言霊を操り、敵を惑わせる戦法を得意とする。
 都市伝説の発信源が東京であることを突き止め、百物語組との抗争で奴良組に協力する。その後もリクオ達に同行する。清浄で天海と交戦し敗北するも、東京で葵螺旋城の謎を解きリベンジを果たす。
 ゆらが28代目となってからは彼女の補佐に徹しており、現在は、呪いの商品を生み出す「闇の狩人」たちを追っている。

花開院 秀元(けいかいん ひでもと)
声優 …… 秋元 羊介(67歳)
 花開院家二十七代目当主。現代の当主であり、竜二とゆらの祖父にあたる。十三代目当主と同名。
 しょうけらとその一軍に本家を襲撃された際、花開院家の精鋭と共に戦うが、敵わず倒された。しょうけらが倒され、他の妖怪たちが撤退した後、ゆらに花開院家の未来を託して死亡する。

花開院 魔魅流(けいかいん まみる)
声優 …… 野島 健児(35歳)
 花開院分家の陰陽師。最近本家に養子入りした。竜二に従って行動を共にしている。高校生。
 ロボットのように感情を表さない。禁忌を犯して体内に式神「雷獣」を宿している。妖怪を絶対悪とみなし、容赦ない攻撃を繰り出す。陰陽術の才能はゆら以上らしく、雷獣から得られる雷の力を操る。水を操る竜二と連携攻撃を行うこともある。

花開院 秋房(けいかいん あきふさ)
声優 …… 森久保 祥太郎(37歳)
 妖刀制作の名門である花開院分家「八十流(やそりゅう)」の次男。第一の封印「弐條城」の守護者。
 幼い頃から才能を見せ、次期当主になると自他共に疑わなかったが、破軍を使うゆらに対抗心を抱いていた。「不敗の槍」と呼ばれる妖槍「騎億(きおく)」を操る。自らの陰陽術に対し絶対的な信念を持つが、本来は穏やかな性格である。
 京都の鹿金寺で破戸や雅次と共に羽衣狐と対峙するが、ゆらに対するコンプレックスを鏖地蔵につけ込まれて憑依されてしまった。京妖怪と共に相剋寺を襲撃するが、花開院ゆらにより解放された。その後、本家にてしょうけらと交戦し追い詰められるが、青田坊に助けられ、彼と共闘して京妖怪を退けた。
 京都での戦いが終わった後、安倍晴明に砕かれてしまった「祢々切丸」を、恐山の最も畏の強い場所で刀を鍛えなおしていた。その間、御門院泰世の協力を受けていたが、リクオ達が山に入ってきたことで変貌した彼に襲われる。しかし、駆けつけてきたリクオに新生した祢々切丸を託し、それを退けた。晴明戦では、晴明の天文操作から人々を守るために4振りの結界剣を使用した。

花開院 破戸(けいかいん ぱと)
声優 …… 真田 アサミ(33歳)
 花開院分家「愛華流(あいかりゅう)」の陰陽師。第二の封印「相剋寺」の守護者。自らが創り出した式神を操り、「創造式神使い」とあだ名される。小柄で自由気ままな性格。常に空中に浮いているが、仕組みは不明。
 鹿金寺で秋房、雅次と共に羽衣狐と対峙するが勝負にならず、その後は雅次と共に京妖怪連合の人質にされてしまう。事件が終結した後に救助された。

花開院 雅次(けいかいん まさつぐ)
声優 …… 野島 裕史(38歳)
 結界術を得意とする花開院分家「福寿流(ふくじゅりゅう)」の陰陽師。第三の封印「鹿金寺」の守護者。眼鏡をかけており、冷静な性格。
 鹿金寺で秋房、破戸と共に羽衣狐と対峙するが、がしゃどくろによって結界を破られてしまった。

花開院 灰吾(けいかいん はいご)
声優 …… 稲田 徹(39歳)
 花開院分家「井戸呂流(いどろりゅう)」の陰陽師。第五の封印「清永寺」の守護者。43歳。
 結界を狙う京妖怪に対し、「陽力投与即神剤(ようりきとうよそくしんざい)」を飲み、肉体を異常に強化して戦おうとしたが、羽衣狐に瞬殺された。

御門院家
安倍 晴明(あべのせいめい 921~1005年)
声優 …… 小山力也(46歳)
 御門院家の始祖。鵺(ぬえ)とも呼ばれる羽衣狐の「やや子」。鵺の出産は、羽衣狐を始めとして、京妖怪すべての悲願とされている。
 千年前の京の闇を支配した陰陽師。京の都で蘆屋道満と互角と評される程の名高い陰陽師だったが、その裏では平安京の妖怪を統べる主として、人と妖の共存を目指していた。京の「光と闇の共存」という秩序を永遠に保つため、死という運命から逃れるべく反魂の術の完成を目指していた。そのために母である羽衣狐の胎内に還り転生するという方法を導き出すが、その矢先に母を人間に殺された。このために、人への怒りと憎しみから「闇が光の上に立つ世界」へと傾倒していき、いつしか妖怪「鵺」と呼ばれるようになる。自身の復活のために羽衣狐の遺骸に秘術を施したうえで、彼女の死から40年後に死亡した。
 死後も地獄で自らの復活を画策し続ける。現代になって、羽衣狐出産の障害となる鯉伴を抹殺するために魔王・山ン本五郎左衛門と手を組む。反魂の術で鯉伴の死んだ妻・山吹乙女を蘇らせ、彼女を羽衣狐の依代としてあてがった。
 力を蓄えた羽衣狐の手により、羽衣狐の敗北の直後に現代に復活、母を地獄へと葬り、自ら現世を闇で支配することを誓った。土蜘蛛を軽くあしらい、リクオの「祢々切丸」を造作もなく破壊する圧倒的な強さを見せつけるが、自身の肉体がまだ現世に適応していなかったため、地獄へ一時撤退した。祢々切丸によって負わされた傷のため、復活が遅れている。
 御門院一族の清浄後、地獄から鬼の眷属を従えて東京の葵螺旋城に降り立つ。そこで復活した羽衣狐と再会するも対立。最後は、羽衣狐を鬼纏ったリクオの一撃を受けて消滅した。

安倍 吉平(あべのよしひら 954~1027年)
 御門院家二代目当主。安倍晴明の長男。
 父・晴明の不在中、不老の肉体を得て千年もの間、御門院家を纏めてきた男。陰陽術の基本であり最終目標たる「天候制御」の術を操る。羽衣狐の血を4分の1引いており、リクオと同じ妖怪と人間のクォーターであるため、多尾の狐のような姿に変化できる。
 人でも妖でもない自分の血を呪い、清浄を果たすことを運命として受け入れ、父の作る世を見届けることを目的として生きていた。最後は葵螺旋城離宮でリクオと戦い敗北、人と妖との架け橋となるという言葉を父に伝えるようリクオに頼んだ。

安倍 雄呂血(あべのおろち)
 御門院家三代目当主。在位期間は1185~1333年。
 ローブのような衣をまとった長身の女性。「この世で最も偉大な式神使い」を自称し、強力な式神を何体も同時に操ることができる。
 清浄では式神「雄呂血(八岐大蛇)」を操り、御門院一族を援護する。その後、鬼の眷属と共に奴良組本家を襲撃するが、ぬらりひょんに敗北する。

安倍 有行(あべのありゆき)
 御門院家四代目当主。在位期間は1334~92年。
 小柄な少年の姿をしている。常に笑みを浮かべており、とらえ所の無い性格をしている。南北朝時代の当主で、2つの都(京と吉野)を守るために、鏡を使って同時に式神を飛ばせる「暗闇鏡」を編み出した。幼い姿は、若くして当主になった才能の証である。
 百物語組抗争の黒幕で、圓潮が花開院竜二に追いつめられた際に駆け付け、彼の窮地を救っている。
 葵螺旋城では、隠神刑部狸・玉章と対峙。暗闇鏡の中に彼を連れ込んで追い詰めるが、晴明が滅んだことで肉体が崩壊して消滅した。
※史実でも、晴明のひ孫に当たる四代目に「安倍有行」がいたが、平安時代の人物であり、『ぬらりひょんの孫』の有行との関連は特に見られない。

御門院 泰長(ごかどいん やすなが)
 御門院家五代目当主。在位期間は1393~1476年。安倍有行の実子。
 晴明の復活のためだけに存在する一族の方針に疑問を抱き、一族の姓を「御門院」へ変える。朝廷の一機関という陰陽寮の本来の役目に戻ろうとしたが、父親を始めとする一族の心を変えることはできず、失意のうちに一族を去る。隠棲した地に「半妖の里」を造った。
※史実でも、安倍有行の実子である五代目に「安倍泰長」がいたが、平安時代の人物であり、『ぬらりひょんの孫』の泰長との関連は特に見られない。
※ちなみに、御門院家のモデルとなった「土御門(つちみかど)家」が安倍姓から改姓したのは、室町幕府第3代征夷大将軍・足利義満に重用された十四代目の安倍有世(1327~1405年)が、歴代で初めて「公卿」に昇進したことがきっかけとなっている(ただし、有世自身が生前に「土御門」姓を名乗ることはなかった)。

御門院 心結心結(ごかどいん ゆいゆい)
 御門院家六代目当主。在位期間は1477~1568年。
 ゴスロリ風の格好をした女性。吸引器をつけた熊のぬいぐるみを使い、相手を傀儡のように操る能力を持つ。
 清浄では山陰地方を担当。岡山県の妖怪を壊滅させたほか、隠神刑部狸・玉章の命を狙った。葵螺旋城では最初にリクオ達を迎え撃つ。奴良組の面々や九十九夜行を手玉に取って戦いを優位に進めるが、駆けつけた首無に圧倒され、さらに青田坊と黒田坊の加勢もあって敗北した。
※御門院家のモデルとなった土御門家は、応仁大乱(1467~77年)の戦火を避けて、江戸時代初期まで若狭国(福井県南部)に移住していた。

御門院 天海(ごかどいん てんかい 1536~1643年)
 御門院家七代目当主。在位期間は1569~1643年。
 表向きは天台宗の高僧で江戸幕府初代征夷大将軍・徳川家康の側近でもあった天海僧正として知られていた人物。宇宙服のような不気味なマスクを付け、頭には縁の広い笠をかぶっている。徳川幕府を裏から支配していた。花開院竜二が理想の陰陽師として憧れるほどの実力者。しかし老いてから当主となった(呪術「泰山府君祭」の習得が遅かった)ため、醜く老いた自分の素顔を嫌っており、顔を見た者は敵味方関係なく皆殺しにする。
 結界術を得意とし、螺旋状の結界陣を張って入り込んだ者の自由を奪う。その範囲は日本全国に及ぶほど広大。鏖地蔵によれば、江戸幕府三百年の治世は、天海が施した「螺旋封印」(花開院秀元のものと同型)によるものだという。罠にかけたり騙し討ちをしたりと卑怯な手段で敵に襲いかかる。
 京都を襲撃し、京妖怪や竜二らを相手にその力を見せ付けるが、羽衣狐に返り討ちにされ撤退した。後に葵螺旋城に乗り込んできた竜二らと直接対決。竜二の式神・水龍により葵螺旋城の結界を破られ、自身もそれに呑まれて死亡した。
※当然ながら、史実の安倍晴明と天海僧正とのあいだに直接の関係はない。

御門院 泰忠(ごかどいん やすただ)
 御門院家八代目当主。在位期間は1644~1852年。
 モアイ像のような非常に大きい顔を持つ男。方角の禁忌を利用した領域型秘術「方違え(かたたがえ)」を操り、妖怪を滅する能力を持つ。
 清浄では中部地方を担当。青田坊、黒田坊を相手に善戦するが敗れた。
※史実でも、安倍晴明から数えて八代目の子孫に「安倍泰忠」(泰長のひ孫で有弘の祖父)がいたが、鎌倉時代の人物であり、『ぬらりひょんの孫』の泰忠との関連は特に見られない。

御門院 水蛭子(ごかどいん ひるこ)
 御門院家九代目当主。在位期間は1853~67年。
 ドレッドヘアのような長髪を後ろで束ねた少年。性格は短気かつ好戦的。壮絶な修行の結果、右腕が「水」、左腕が「火」に包まれ、右脚が「金」、左脚が「土」、頭部が「木」と、五行で構成された身体を手に入れた。相性の悪いもの同士の性質を組み合わせ、爆発的な破壊力を生み出す攻撃を放つ。自称「御門院家最強」で、江戸幕末期を生き抜いたその実力は他の当主たちからも認められている。
 清浄では九州地方を担当し、九十九夜行をほぼ壊滅に追い込んだ。土蜘蛛を返り討ちにし、さらに九十九夜行の生き残りの抹殺を図るが、リクオらによって阻止される。死闘を繰り広げるものの、最後は「祢々切丸」によって延命の術を断ち切られてしまい、肉体が朽ち果てて崩れ落ちた。
 「水蛭子」の名は『古事記』にあるイザナギとイザナミの第一子「ひるこ」に由来している。

御門院 有弘(ごかどいん ありひろ)
 御門院家十代目当主。在位期間は1868~1926年。
 口髭を蓄えた長髪の男性。多重式神使いで、鷹型の式神を無数に召喚することができる。式神は攻撃だけでなく探索にも使える。
 水蛭子らと共に九州地方の清浄を担当。獺祭と対決するが、彼の炎に式神もろとも焼き尽くされ、死亡する。
※史実でも、安倍晴明から数えて十代目の子孫に「安倍有弘」がいたが、鎌倉時代の人物であり、『ぬらりひょんの孫』の有弘との関連は特に見られない。

御門院 長親(ごかどいん ながちか)
 御門院家十一代目当主。在位期間は1927~45年。
 長い髪を後ろで束ねた若い男。生まれながらに弱視で、周囲2.5メートル以内のものしか見えない。自らの周囲を妖刀「仏及羅(ぶぎゅら)」で薙ぎ払うことで結界を作り、そこに入り込んだもの全てを滅する「結界眼」を持つ。
 水蛭子らと共に九州地方の清浄を担当。隠神刑部狸・玉章と対決するが、敗れて死亡。その後、死体が心結心結に操られ再び玉章を襲うが、獺祭によって焼き尽くされた。
 有弘、長親の両名が他の当主に比べてあっけなく敗れた理由について、心結心結や玉章は「妖の闇が薄れた平穏な時代を治めていたため」と述べている。
※史実でも、安倍晴明から数えて十一代目の子孫に「安倍長親」(有弘の実子)がいたが、鎌倉時代の人物であり、『ぬらりひょんの孫』の長親との関連は特に見られない。

御門院 泰世(ごかどいん たいせい)
 御門院家の一族。青森の恐山にいる修験者。妖刀作りの名手であり、八十秋房を指導していた。晴明に忠誠を誓う厳格な人物。頭髪の色がなぜかショッキングピンク。
 恐山に侵入したリクオ一行を襲い、さらには秋房を「祢々切丸」もろとも始末しようとするが、完成した祢々切丸により敗北した。
※史実でも、安倍晴明から数えて十二代目の子孫に「安倍泰世」(やすよ 長親の実子で有世の祖父)がいたが、鎌倉時代の人物であり、『ぬらりひょんの孫』の泰世との関連は特に見られない。
※作中では、長親以降の当主(十二代目以降)については明言されておらず詳細は不明だが、名前のモデルとなった安倍氏系図から推測しても、この御門院泰世が十二代目当主(在位期間は1946~2012年?)に限りなく近い存在だった可能性が高い。



 う~ん……よく完結したね、これ。いや、完結してはいないんだろうなぁ。
 欲張りすぎなんですよ……なにはなくとも欲張りすぎなんですよ!!

 そんなこんなで、詳しいつれづれは、まったじっかい~!
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今さらですが……  『ぬらりひょんの孫』にささげるバラード  毎度おなじみ資料編 Part Ⅰ!?

2013年09月18日 22時19分14秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
マンガ『ぬらりひょんの孫』について(2011年以降のいろいろ)


連載雑誌『週刊少年ジャンプ』2008年4月~2012年8月、『季刊少年ジャンプNEXT!』2012年8~12月
ジャンプコミックス全25巻、全210話

 妖怪の総大将ぬらりひょんの血を継ぐ少年を主人公とする怪奇ファンタジーマンガ。現代の日本を舞台に、百鬼夜行が激突する任侠妖怪の世界を描く。登場する妖怪に関する参考文献として、鳥山石燕『画図百鬼夜行』シリーズ(1776~84年)、竹原春泉『絵本百物語』(1841年)、河鍋暁斎『暁斎百鬼画談』(1889年)の3作が示されている。
 『季刊赤マルジャンプ』2006年春号に掲載された後、『週刊少年ジャンプ』2007年35号(9月)に読み切り掲載、第32回金未来杯を受賞した。『週刊少年ジャンプ』で2008年15号より連載開始、2012年30号連載終了。その後、2012年の『季刊少年ジャンプNEXT!』に完結編『葵螺旋城・最終決戦編』が3号連続掲載され、完結した。単行本は累計1100万部を発行している。2013年8月に、スマートフォンアプリ専用増刊号『ジャンプLIVE』にて番外編『ぬらりひょんの孫・外伝 花開院夜話・眼球蒐集鬼』を連載した(全3話)。
 2010年7~12月に TVアニメシリーズ第1期が、2011年7~12月に第2期『千年魔京』が放送された(ともに東京MX テレビなど)。また2011年11月にはXbox 360とプレイステーション3で対戦アクションゲーム『ぬらりひょんの孫 百鬼繚乱大戦』発売された(コナミデジタルエンタテインメント)。


「京都編」(コミックス第10~16巻)
 東北地方・遠野の妖怪を味方につけ帰還したリクオは、奴良組の面々と共に京都へ進撃する。京妖怪連合の侵攻に対し、花開院(けいかいん)家の陰陽師たちは守勢に回っていた。リクオたちは花開院家と共同戦線を張り、伝説の妖怪「鵺(ぬえ)」を復活させんとする羽衣狐(はごろもぎつね 九尾狐)と対決する。

「対百物語組編」(第16~21巻)
 京都での戦いを終え、リクオは奴良組三代目総大将を襲名。来たるべき鵺との戦いに備え、奴良組は力を蓄えていた。そんな中、百物語組が姿を表し、先代の二代目総大将・鯉伴(りはん)との因縁が明らかになっていく。

「対御門院家編」(第22~25巻)
 百物語組との抗争を経て、安倍晴明の子孫である陰陽師一族・御門院(ごかどいん)家の存在が明らかになる。彼らは、晴明の生み出した秘術により不老の肉体を手に入れていた。晴明の完全復活を前に、妖怪を粛清せんとする御門院家に対し、リクオは日本全国の妖怪たちと同盟を組み立ち向かおうとする。


京妖怪連合
 奴良組のような任侠妖怪の組織ではなく、京都に巣食う妖怪達の総称。千年前から安倍晴明に付き従う妖怪たちを中心として、晴明の実母・羽衣狐を主君に置く。晴明を復活させ闇の世界を作るという宿願を果たすために連合している。京都の弐条城を新たな居城とする。構成妖怪は約900匹。妖怪としては怨念や怨霊といった、「陰」に属する妖(あやかし)がほとんどで、「陽」に属する奴良組の妖怪とは対を成す関係にある。

奥州遠野一家(おうしゅうとおのいっか)
 東北地方の武闘派妖怪の総元締。本拠地は遠野の里(岩手県遠野市)で、妖怪世界においては「妖怪忍者の里」として知られている。構成妖怪は96匹。畏(おそれ)を強化する技に磨きをかけ、多くの戦士を生んだ。全国の組織に人材を派遣しているが、中立・独立の立場が強いため、どの妖怪組織とも盃を交わすことはほぼない。

江戸百物語組(えどひゃくものがたりぐみ)
 江戸時代に魔王・山ン本五郎左衛門(さんもと ごろうざえもん)によって作られた妖怪の組織。怪談を集め、百物語によって新たな妖怪を生み出し、勢力を拡大していった。
 元禄年間(1688~1704年)に鯉伴によって山ン本は地獄に追放されたが、山ン本の肉体から生まれた妖怪たちが中心となり、奴良組と江戸の覇権を争った。明治時代以降、抗争は途絶えていたようで、奴良組からは滅んだものとみなされていた。しかし京都の戦いから半年後、奴良組を滅ぼすべく、再び抗争を仕掛けてくる。
 幹部は口(圓潮)、耳(柳田)、腕(鏡斎)、骨(雷電)、面の皮(珠三郎)、脳(三ツ目八面)、鼻(柳田の耳飾り)の7名で構成される。
※魔王の小槌(まおうのこづち)
 山ン本の心臓が変化した魔刀。斬りつけた妖怪の畏を奪い、吸収する能力を持つ。

瀬戸悪鬼組(せとあっきぐみ)
 中国地方の妖怪組織。構成妖怪約3000匹。
※方相氏(ほうそうし)
 瀬戸悪鬼組の若頭。共闘を呼び掛けるリクオの要請を一時は断るが、岡山県の妖怪が御門院一族によって壊滅したことを受けて協力を申し出る。
 後にはリクオの快気祝いにも顔を出していた。

天下布武組(てんかふぶぐみ)
 岐阜県の妖怪組織。構成妖怪約700匹。

酒呑愚連隊(さけのみぐれんたい)
 山口県を拠点とする妖怪組織。構成妖怪約500匹。
※獺祭(だっさい)
 酒呑愚連隊の若頭。かわうその妖怪。リクオに賛同し、九州の御門院一族討伐に向かう。
 常に酒を飲んでいる。酔っ払っている間は酔拳のように敵の攻撃を回避したり、口から火を吹くことができる。九州では安倍有弘をくだし、葵螺旋城では隠神刑部狸・玉章の窮地を救った。
 後にはリクオの快気祝いにも顔を出していた。

九十九夜行(つくもやこう)
 九州地方の妖怪組織。熊襲(くまそ)妖怪を抱える西日本の最大勢力。御門院一族の妖怪清浄の第一の対象となり、壊滅的な打撃を受ける。
※仰慕窟(ぎょうほがいわや)
 高千穂峡(宮崎県北部)の奥地にある、土蜘蛛一族の隠れ里。御門院一族の清浄から生き延びた者たちが逃れている。

東海道五十三鬼夜行(とうかいどうごじゅうさんきやこう)
 東海地方の妖怪組織。構成妖怪約1500匹。
※百目(ひゃくめ)
 東海道五十三鬼夜行に所属する妖怪。一つの目で見たものを他の目を通して見ることができるため、情報の共有に役立つ。

花開院家(けいかいんけ)
 京都府京都市に本家を置く、妖怪退治を専門とする陰陽師の一族。安倍晴明のライヴァルだったという平安時代の伝説の陰陽師・蘆屋道満を始祖とする「蘆屋家直系京守護陰陽師」。構成陰陽師数は約3000名。数多くの分家がある。
 400年前の羽衣狐の呪いにより、十三代目以降、本家の男子は必ず早世してしまう。そのため、常に分家の優秀な者を養子として本家に迎え入れている。最も才のある者が当主となる。花開院家の過去の歴代当主を式神として呼び出す術「破軍」を扱える者は、陰陽師の中でも別格とされる。
※おもな分家……八十流(やそりゅう)、愛華流(あいかりゅう)、福寿流(ふくじゅりゅう)、井戸呂流(いどろりゅう)

慶長の螺旋封印(けいちょうのらせんふういん)
 慶長年間(1596~1615年)に花開院家十三代目当主・秀元が施した、京を守る排魔の封印。京の都千年の怨念が通う重大な地脈を塞ぐ、らせん型の強力な結界陣。8ヶ所の寺社・城郭に封印の杭を施し、強力な妖を封じ込めて「栓」とすることで、妖が京都に侵入するのを400年間防いできた。各封印は花開院家の陰陽師達が代々守ってきた。
 妖怪は封印の杭に触れることができないため、京妖怪連合の中で唯一人間の肉体を持つ羽衣狐のみが杭を抜くことができる。現代になってから羽衣狐により全ての封印が解かれ、京は魔都に戻った。
第一の封印「弐條城(にじょうじょう)」
 守護者は八十秋房。全ての封印が解かれたのち、京妖怪積年の怨念の生んだ巨大な天守閣が現れ、京妖怪連合の拠点となる。
※鵺ヶ池(ぬえがいけ)
 弐條城の地下にある池。封印で解き放たれた京の怨念が流れ込む。羽衣狐が最初に鵺を産んだ地。
※覚(さとり)、鬼一口(おにひとくち)
 サトリは人の心を読む妖怪。鬼一口は巨体の鬼で、首の皮一枚で繋がるほどに上顎と下顎を大きく開け、あらゆるものを飲み込んでしまう。
 平安時代から安倍晴明の配下だった。400年前に珱姫を大坂城に連れ去った。現代にも生存して活動している。
 弐條城の大手門でリクオたちの侵攻を阻むが、花開院ゆらの猛攻を受け、最後は共にリクオに倒された。
第二の封印「相剋寺(そうこくじ)」
 守護者は愛華破戸(ぱと)。土蜘蛛が封じられていた。
第三の封印「鹿金寺(ろくきんじ)」
 守護者は福寿雅次。
第四の封印「西方願寺(にしほうがんじ)」
 守護者は布(ひさ 生死不明)。
※がしゃどくろ
 京妖怪大幹部。巨大な骸骨の妖怪。第四の封印「西方願寺」に封印されていた。
 陰陽師の結界を易々と破ることができる強力な妖怪。羽衣狐を乗せて京を蹂躙した。
第五の封印「清永寺(せいえいじ)」
 守護者は井戸呂灰吾。
第六の封印「龍炎寺(りゅうえんじ)」
 守護者は豪羅(死亡)。のちに花開院ゆらにより再封印された。
※陰摩羅鬼(おんもらき)
 茨木童子の部下。死霊の集合体。カラスのような姿をしていて、集団で活動する。
 羽衣狐に捧げる生き肝を集めるため、第六の封印「龍炎寺」にて修学旅行生に襲いかかるが、首無によって全滅させられた。
第七の封印「柱離宮(はしらりきゅう)」
 守護者は是人(死亡)。再封印された。
第八の封印「伏目稲荷神社(ふしめいなりじんじゃ)」
 守護者は秀爾(死亡)。羽衣狐が封印を解いた後、二十七面千手百足(にじゅうななめんせんじゅむかで)が守護していた。
※二十七面千手百足
 千手観音のような姿をした、無数の顔と腕を持つ妖怪。口からはムカデが顔を覗かせる。
 無数の腕に矛や斧、短刀などを持ち、無数の鳥居を経由して相手を攻撃する。
 天邪鬼淡島に倒され、花開院竜二に封印された。

御門院家(ごかどいんけ)
 平安時代の大陰陽師・安倍晴明(921~1005年)の子孫。古えより時の権力者の元で日本の中枢を守り、暗躍してきた陰陽師一族。「鵺」こと晴明の復活する場所を守るために存在し続けてきた。晴明の復活と妖怪清浄を目的とし、表舞台に現れる。
 秘術「泰山府君祭」により延命した歴代の当主が幹部を務める。古い当主は白装をまとって「安倍」姓を名乗り、5代目を境に新しい当主は黒装をまとって「御門院」と名乗っている。当主の交代は大きな歴史の変動期に起こっている。歴代当主は単身で大妖怪に匹敵する実力を誇る。
 復活した晴明の消滅と共に消え去った。
※葵螺旋城(あおいらせんじょう)
 東京の葵城と共に御門院天海が上空に建造した「鵺の城」。二重螺旋構造からなる強力な結界が施され、人間には発見することすら容易ではない。最終決戦を前に、花開院竜二の手で封印が破られ、その姿を現した。
※半妖の里(はんようのさと)
 御門院家第5代当主・御門院泰長が隠棲した地に創られた里。のちに人の世でも妖の世でも住みにくい半妖たちが住み着くようになった。


OVA
コミックス第24巻(2012年12月発売)、および第25巻(2013年3月発売)の限定版に同梱されていた OVA。
監督 …… 福田 道生(アニメ第2期の監督を担当)
脚本 …… 子安 秀明(アニメ第2期のシリーズ構成を担当)
アニメーション制作 …… スタジオディーン
第24巻『零・涙・雪(コボルルナミダノユキトナリ)』(24分)※二代目総大将・奴良鯉伴と雪女雪麗が主人公のサイドストーリー
第25巻『奴良組事始』(24分)※ぬらりひょんが奴良組を結成する経緯を描いたサイドストーリー


重要なキャラクターたち

三ツ目八面(みつめやづら)
 奴良組系組織「三ツ目党(千葉県が拠点、構成妖怪316匹)」の党主。
 実は四国八十八鬼夜行の組長・玉章(たまずき)に「魔王の小槌」を与え、奴良組との抗争を招いた張本人。正体は魔王・山ン本五郎左衛門の脳である。
※モデルとなった妖怪「三目八面(みつめはちめん)」は、高知県高知市にいたとされる三つ目に八つの頭を持つ巨大な蛇で、八岐大蛇に類似した妖怪だったという。

夜雀(よすずめ)
 四国八十八鬼夜行の幹部クラス「七人同行」の一人で組長・玉章の側近だが、実は魔王・山ン本五郎左衛門のはなった密偵でもあった。
 しかしそのさらなる正体は、陰陽師・安倍有行の式神。
 頭部に狐文字が書かれた布を巻いた、女の姿をした鳥の妖怪。武器は薙刀。
 四国八十八鬼夜行の敗戦後、「魔王の小槌」を三ツ目八面(山ン本の脳)に返還した。
 その後は京妖怪連合の大幹部を装っていた鏖地蔵(みなごろしじぞう)に仕え、弐条城に乗り込んできたぬらりひょんと鴉天狗を襲った。百物語組との抗争で初めて主人・安倍有行について姿を現し、葵螺旋城では玉章と対峙する。

羽衣狐(はごろもぎつね)
声優 …… 能登 麻美子(31歳)
 京妖怪連合を統べる狐の大妖怪。「信太(しのだ)の狐・葛の葉」であり「九尾の狐」。かつて魑魅魍魎の主と呼ばれた大妖怪であり、花開院家の宿敵であると同時に、奴良組にとってはリクオの父親である二代目総大将・鯉伴を殺した仇敵。
 「転生妖怪」と呼ばれる特殊な妖怪。乱世に現れ、幼年期の人間を依代(よりしろ)にして世に溢れる負の感情を吸収しながら成長する。肉体は通常の人間である為に、肉体が滅びれば次の依代を求めて彷徨う。転生を重ねれば重ねるほど妖力はより強大になり、転生する度に巨大な狐の尾が一本増える。実子・安倍晴明をふたたび出産することを悲願としている。
 千年前の平安時代から存在していたが、この時代に、安倍保名という人間の貴族との間に実子・晴明をもうけた。「羽衣狐の体内から再び生まれる」ことで反魂(はんごん)の術を完全なものにしようとする晴明の申し出を受け入れるが、儀式の直前に人間に討たれた。しかし反魂の術を達成せんとする晴明の法術により、晴明の死の40年後に転生妖怪として復活した。
 400年前に、淀殿(浅井茶々)として7度目の転生を果たし、豊臣秀頼の母親として秀吉亡き後の豊臣家を支配した。大坂城でのぬらりひょんとの激戦の中、妖刀「祢々切丸(ねねきりまる)」で斬りつけられ、さらに花開院秀元の援護もあって敗北。2人に一族の血筋を絶やす呪いをかけていったんは死亡した。
 現代では、安倍晴明の反魂の術によって復活した山吹乙女(鯉伴の亡妻)の肉体を得て、大企業の経営者一族の令嬢として生活している。リボン以外は全て黒一色のセーラー服に身を包み、男女を問わず魅了する魔性の力を手に入れており、人間の生き肝の採取も容易に行っている。
 慶長の螺旋封印を次々と破っていき、第一の封印「弐條城」地下の鵺ヶ池で晴明を出産した。晴明を封印しようとした花開院竜二を退けリクオと対決。一時は圧倒するが、肉体に残っていた山吹乙女の魂が覚醒して混乱し、花開院ゆらの援護を受けたリクオに反撃されて敗北した。その直後に復活した晴明にすがるが、その晴明の手によって地獄に落とされた。
 その後はぬらりひょんの手により、「母性」の妖怪として半妖の里で復活する。葵螺旋城で晴明と再会して対立。リクオに力を貸した。晴明戦の後は、リクオを半妖の里へと連れていく。リクオ復活後は、狂骨たち京妖怪の残党と共に、いずこかへと消える。

鏖地蔵(みなごろしじぞう)
声優 …… 茶風林(49歳)
 京妖怪連合の大幹部。羽衣狐の側近で参謀的存在。
 実は魔王・山ン本五郎左衛門の左目から生まれた妖怪。長い頭の老人の妖怪で、額に巨大な一つ目があり、本来の両目は常に閉じられている。山ン本の完全復活を目論んで安倍晴明と手を組み、現世を支配しようとしていた。
 催眠能力を持つ目玉を使って人間に乗り移り、その身体を自在に操ることができる。粉々に吹き飛ばされても復活する再生能力も持つ。
 京妖怪の記憶を操作して、鞍馬山の大天狗が本来いるべき大幹部の立場にいた。弐条城で夜雀から「魔王の小槌」を受け取り晴明に手渡したが、直後にリクオの「祢々切丸」に貫かれ消滅した。

狂骨(先代)
 400年前の京妖怪大幹部。千年前より羽衣狐母子に仕えていた。顔の片側を包帯で隠した槍の使い手。
 大坂城では奴良組の鴉天狗と交戦した。その後の消息は不明で、現代には登場していない。
狂骨(娘)
声優 …… 日笠 陽子(26歳)
 京妖怪連合の大幹部。幼い少女の姿をした妖怪。主君である羽衣狐を姉と呼び慕っている。
 がしゃどくろと共に行動することが多い。羽衣狐によると先代の父親よりも有能らしい。
 京都編では花開院家の陰陽師を殺害したり、弐条城に侵入したぬらりひょんを追い詰めたりと随所で活躍する。終盤では雪女氷麗(つらら)と対決した。羽衣狐の敗戦後は山吹乙女の肉体を回収し、京妖怪の残党をまとめ上げ撤退した。のちに京都が御門院天海による清浄を受けた際には、京妖怪を率いて花開院家と共闘した。葵螺旋城では晴明に顔の半分を消し飛ばされるものの、後に半妖の里で復活する。

土蜘蛛(つちぐも)
声優 …… 小杉 十郎太(53歳)
 京妖怪連合大幹部。復活する安倍晴明と戦うことのみを目的として、京妖怪連合に手を貸している。般若の面の様な顔をした、六本腕の巨人。
 九州地方の妖怪組織・九十九夜行の首領の弟だが、強敵を求めて九州を出た。太古から存在する妖怪で、人・妖怪はおろか神仏ですら喰らい尽すと言われる。羽衣狐には、彼が大坂城にいれば400年前の敗戦はあり得なかったと評される。花開院秀元ですら、彼を封印するにとどめていた。身体を真っ二つにされても全く動じない驚異的な生命力を持つ。
 400年前から京都の相剋寺に封印されていた。解放された後、リクオと対決して撤退、晴明が復活するまで潜伏していた。弐条城では晴明を封印しようとする花開院竜二を妨害し、復活に貢献する。その後晴明と対決するが、軽くあしらわれ地獄に落とされかけた。
 半年後に弐條城から復活し、療養のために花開院ゆらを連れて九州の阿蘇へと向かい、そこで御門院一族の水蛭子と対決する。雄呂血を圧倒するが、右半身を失い行動不能になる。その後、仰慕窟で水蛭子と再戦するが、大地の力を借りて九十九夜行の生き残りを守りぬいた。温泉で肉体を完治させ、かまいたちイタクと共に東京の葵螺旋城に駆けつけた。

鬼童丸(きどうまる)
声優 …… 黒田 崇矢(46歳)
 京妖怪連合の大幹部。千年前より羽衣狐母子に仕えていた。鬼族の頭領。強面の中年男性の姿をした妖怪。400年前には奴良組の狒々と交戦した。
 酒呑童子の実子で、人間の女性との間に生まれた半妖怪。安倍晴明を親のかたきと狙っていたが、逆に彼の配下となった。
 400年前に晴明の復活を妨害した奴良組や花開院家を強く憎み、遠野でリクオを殺そうとした。剣術に長けている。
 弐條城に乗り込んできたリクオの最初の相手となって敗北するが、晴明が復活する時間を稼いだ。羽衣狐の敗戦後は、晴明に従った。

茨木童子(いばらきどうじ)
声優 …… 津田 健次郎(40歳)
 京妖怪連合の大幹部。千年前より羽衣狐母子に仕えていた。かつての主君・酒呑童子(しゅてんどうじ)の遺骸を吸収した左半面を卒塔婆で隠している。400年前には奴良組の雪女雪麗(せつら)と交戦していた。
 口が悪くかなり短気で好戦的な性格であり、現在の主君である羽衣狐にもタメ口をきく。酒呑童子の顔部分は普段は卒塔婆によって隠されているが、妖力が上がるとこの卒塔婆が外れ、真の力を発揮する。
 平安時代に鬼の総大将である酒呑童子に従い、彼を親と慕っていた。しかしのちに、彼を討伐した安倍晴明の配下にくだる。その際に酒呑童子の亡骸を切り刻んで自分の左半面に埋め、そこを酒呑童子の墓場にした。
 京都編では龍炎寺にて首無・毛倡妓のタッグを相手にし、顔の卒塔婆を外してこれを圧倒するが、増援の出現により撤退した。その後、弐条城で再び首無と対決する。羽衣狐の敗北後は晴明に従った。最終決戦で、奴良組の猩影に倒される。

しょうけら
声優 …… 斎賀 みつき(38歳)
 京妖怪連合の幹部。人間を断罪する虫の妖怪。普段は十字架のネックレスを身に付けた青年の姿をしている。
 その言動はナルシスティックであり、それを嫌う茨木童子とは仲が悪い。
 戦闘の際にはネックレスを変化させた巨大な槍を武器に戦う。400年前には奴良組の木魚達磨と戦った。
 京妖怪の大軍を率いて花開院本家を襲撃し、大きな損害を与えた。たまたまそこに居合わせた青田坊と交戦して敗北した。その後の生死・動向は不明。

白蔵主(はくぞうす)
 京都の鞍馬山上空を守護する京妖怪連合の門番。僧衣を身にまとった妖狐。
 巨大な三又の槍「荼枳尼(だきに)」を武器に持つ。
 羽衣狐の敗北後は、狂骨らと共に去った。
火間虫入道(ひまむしにゅうどう)
 白蔵主の部下。全身に縞模様があり、自由自在に首を伸ばすことができる。
 降伏した白蔵主に代わって奴良組の宝船を破壊しようとするが、かまいたちイタクの鎌で切り裂かれた。

鞍馬山の大天狗(鞍馬山魔王大僧正)
 400年前の京妖怪大幹部。鞍馬山に棲む大天狗。奴良組の牛鬼とは旧知の仲。
 現代では、他の幹部たちの記憶が改変されて彼のいた地位に鏖地蔵がいるため、羽衣狐の配下ではない。自分を追放した京妖怪連合に復讐しようとして牛鬼と結託し、リクオの修行の師となった。
凱郎太(がいろうた)
 400年前の京妖怪幹部。京の羅城門に千年棲んでいた鬼。巨大な金棒を振り回して攻撃する。ぬらりひょんに一刀両断にされた。
塗り壁
 400年前に登場した京妖怪。ぬらりひょんに斬られた。



 どっほほ~いい!! こんだけの文量になったのに、資料編がまだ終わらないぃいい~。

 でも、細部にわたるまで、妖しいモノ好きには無視できないキーワードが本当にいっぱいなんですよね、『ぬらりひょんの孫』って。ショートカットするわけには行かないおいしい要素のオンパレード!
 そりゃあ、伏線全部回収できないまんま終わるわ……「欲張りすぎ」とは、まさしくこのことよ。

 っつうことで、「資料編の」続きはまた次回!

 本文はいつになったら始められんの……? あの「ぬらりひょんサーガ」の楽しい悪夢、ふたたび!?
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電撃発表!! そうだい日本武道館(客として)2デイズ決定

2013年09月15日 10時14分03秒 | すきなひとたち
16周年モーニング娘。ツアー追加公演は日本武道館
 (日テレ NEWS 24 2013年9月14日付け記事などより)

 10人組アイドルグループのモーニング娘。が結成記念日を迎えた9月14日、東京・ベルサール渋谷ガーデンで誕生16周年記念イベント『私たちが、今のモーニング娘。です。17年目も、さあ、いこうか。』を開催し、1600名のファンが集まった。

 オリコンウイークリーチャートで1位に輝いた54thシングル『わがまま 気のまま 愛のジョーク/愛の軍団』や、今月25日発売予定のセルフカヴァーベストアルバム『 The Best! Updated モーニング娘。』の収録曲『恋愛レボリューション21 updated 』など4曲を披露。
 リーダーの道重さゆみ(24歳)は、無事16周年を迎えられたことを「応援してくださっている皆さまのおかげです。」と語り、メンバー全員で頭を下げた。

 この日は、1997年9月14日にオーディションバラエティ番組『 ASAYAN』(テレビ東京)で「モーニング娘。」というグループ名が発表されてから16回目の誕生日。これまでの歴代メンバーは、すでに累計34名。
 現メンバー10名体制になって初の54thシングルは、52nd『 Help me!!』、53rd『ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない』に続く年間3作目の首位で、3作連続シングル首位達成も11年半ぶりとなった。
 道重は「この勢いに乗って21日から始まる『モーニング娘。コンサートツアー2013秋 CHANCE!』も頑張っていきたい。」と気を引き締め、11月24日の神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール公演も「即時完売しました~! 本当にありがとうございました。」と感謝の気持ちを述べた。

 この日はプロデューサーのつんく♂(44歳)からうれしい「プレゼント」も届いた。
 MC の途中で大きなバースデーケーキが届けられ、メンバーは大喜び。道重は「16年の歴史のなかに11年在籍させていただいていますが、私はたくさんのいろいろなモーニング娘。を経験してきました。」とこれまでを振り返り、「それぞれの時代のメンバーが頑張ったからこその、今のモーニング娘。だと思っています。今までの先輩方に感謝しています。」と深く頭を下げた。そして「これからも感謝の気持ちを忘れず、愛を持って今のモーニング娘。を届けたいと思います。」とリーダーらしく意気込みを語った。

 そして突如、つんく♂の録音ボイスが会場に流れ、秋のコンサートツアーの追加公演が、11月28日に東京・日本武道館で行われることを発表。つんく♂の「熱い熱い、楽しい楽しい、素晴らしいライブを成功させていただきたい。」という言葉に、メンバーは感激のハグ。道重は「ツアーの最終日に日本武道館でできることに喜びを感じています。メンバーの卒業ライヴは武道館で行ってきましたが、これからは、毎回、毎回、ツアーの最終日は日本武道館や横浜アリーナでできるような、大きいグループになっていきたい。」と野望を掲げた。



 ……さぁ、困ったぞ……

 いつものおめでとう記事かと思ってニコニコしながら読んでいって、「やっぱり武道館か! 誰も卒業しなくても行きますよ、行きますよ~♪」と勝手に意気込んで、「そんで、武道館はいつ? いつ?」と思ってみたらば。

 11月28日って、あなた……Berryz工房姐さんの日本武道館初コンサートの前日じゃあないっすか!!

 え、えぇ~……不肖そうだい、2日連続の日本武道館コンサート通いでございますか!? 28・29と九段下に大集合? カフェ「武道」に通い詰め? どっちかが「2014年の」11月のスケジュールでない限りは、こんな過酷な荒行が待っておるわけなのです。

 いや、ほんとは困ってはいないんですけどね。困ってる場合じゃないんです。一も二も無く「どっちも行く!!」。この一点張りですよね。


 それにしても、今現在もかっつかつの生活状態ではあるのですが、私もずいぶんと文化的な日々を送ることができるようになってきたものです。つい先日までの経済事情だったら、確実にどちらかのコンサートはあきらめなきゃいけないことになってましたからね。
 にしても! 今までにも増して!! 精魂を込めて働かなければなりません。2日連続でお休みをいただいてしまうのも実に心苦しいですし、職場のみなさまにも、クライアントのみなみなさまにも、感謝と誠意を尽くしてお給金をかせがせていただきたいと!!

 私も、いつかは「コンサートで5~6万使ったった!」とかのたまうことができるようになるのか……って、なんないですね、きっと。まだまだね、コンサート会場でポスターとか DVDを購入する意味っていうのが今ひとつ理解できないんですよね。これはファン度の問題じゃなくて、もって生まれたケチケチ気質の問題ですからね……たぶん、いつまでたってもTシャツとかサイリュウムどまりだとは思うんですけど。

 とにもかくにも、わたくし生涯初の「2日連続コンサート」でございます。11月下旬まで、ともかく体調を万全に整えて生き延びていくようにいたしましょう。去年の11月って、実はびっくりするほど身体の調子が最悪だったんですよね……気をつけねば。
 あと、先日の℃-uteコンサートの直後、帰り道に腰がしんどかったのなんのって。朝目覚めたら身体がぜんぜん動かなくてBerryz工房のほうに行けなかった、ということだけは避けましょう。

 経済、体力、いろんな懸念ポイントはあるんですが、もうひとつ、モーニング娘。のほうのコンサートで当日券がちゃんと購入できるのかどうかもはなはだ不安ですね。当初最終日の予定だったパシフィコ横浜に行く人だって、たぶん武道館に行くんでしょう!? 怖いなぁ! 今度こそ門前払いになるかも知れんぞ。
 それに、なんだかんだいってもBerryz工房さんだって1日こっきりのコンサートなんですからね。少なくとも、℃-uteさんの2デイズのような余裕のあるチケット状況は期待できないでしょう。

 大変だねぇ~、でも、大変であればあるほど、燃えるよねぇ~!! まぁ、がんばりましょう。


 それにしても、すごいです、モーニング娘。。すごいです、ハロー!プロジェクト。
 2013年、キてます。でも、これが頂上になってはいけません。もっといけます。

 そこらへんをうらなうという意味で、私が今ひじょ~に気にしていることが2点ありまして、1点はちかぢかリリースされるという『 The Best! Updated モーニング娘。』の内容。そしてもう1点は、11月28日の日本武道館コンサートでメンバー人事上の「なんらかの重大発表」があるんじゃなかろうか、ということです。

 『 The Best! Updated モーニング娘。』はね、まず新曲ぞろいのフルアルバムじゃなくて「新曲とカヴァーをあわせたベストアルバム」になってるっていう、いつものハロー!プロジェクトふうの曲構成になっているのがまず気になるんですが、まぁとにかく聴いてみて! 聴いてみてから感じたことをまたつづっていきたいと思います。もはや激動の平成史の歴史的史料といっても過言ではない名曲の数々がどのくらいアップデートされてるのか、実に楽しみですね~。私の大好きな「あのへん」がまるで入っていないのは、どう解釈すればいいのだろうか……アップデートする必要がないってことよね! 都合よく解釈していきましょう。

 もうひとつはもう、ホンットに気になりますね……一言でいうのならば、「リーダー、早まるな!!」ってことなんです。
 そんなことは完全に杞憂だとは思うんですが、今のこのタイミングで卒業したら勝ち逃げというか、かなりいい状態で、発つ鳥あとをにごさずみたいなキレイな形になっちゃいますからね。
 いや、それだけはぜっっっったいにやめてくだされ!! なんのサプライズもない、完全無欠のパフォーマンスオンリーの武道館コンサートにしていただきたいと!

 道重リーダーにかぎらず、誰にでもいつかは来る別れなのでしょうが……しばらくはなしにしてほしいねぇ~。いつもそう思います。


 ところで、そういったハロー!プロジェクトのみなさまの動向とはトンと縁のない、我が『長岡京エイリアン』のほうでの話なのですが、私は人と人との「縁」が生み出す、なんとも説明できない不思議なつながりみたいなものを信じています。ある事象とある事象とでは直接の関連はまるでないのですが、どっちかがまわりだすと、なぜか関係がないはずのもう片方もまわりだしてくる、みたいな理屈のわからないピタゴラスイッチみたいなもんですね。
 そういうのを「運気」というんでしょうかねぇ……ともかく、「運がよくない時はなにをやっても無駄」とか、「調子のいい時は他のあれこれもなんだかいい感じ」とかっていうサイクルがくるくるまわってる感じなんですよね。

 んでま、最近もそういう流れで、うちでハロプロ関連の記事にある方からコメントをよくいただくようになってからというものの、℃-ute武道館やら今回のモーニング娘。武道館決定!やらで、そっち方面のニュースで大忙しになっちゃったってわけ。

 ということは、コメントをくださったあなたさま、他の人はどう言おうが、少なくとも私にとっては、モーニング娘。の秋の日本武道館コンサートを呼び込んできてくれたのも、したがってここ最近の私の生きる原動力をつくってくれたのも、あなたのおかげだっていうことなんですよ。余人がいくら「意味がわからない!」と言おうとも、私の中ではそういう理屈で筋が通っているんです。


 ありがとう。ほんとうにありがとう。


 そちらも、なるべく無理をせずに、頭のネジのふっとんだブログを続けていってくださいませ。
 世の中は、なにがどうあっても「続けたもん勝ち」「リタイアしなかったもん勝ち」だと思います。

 まるで山田かまちが大好きな中高生のように生き急いだ更新頻度かとお見受けしておりますが、まぁおたがいに休み休み! がんばっていきまっしょい~。
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見わたす限りの美しさ、死臭ふんぷんたる  ~映画『風立ちぬ』~  ようやく本文

2013年09月12日 23時31分52秒 | ふつうじゃない映画
 ヘヘヘイどうもこんばんは、そうだいでございますよ~。みなさま、今日はいったいどんな日になりましたか?
 いや~、ここ数日で、関東はずいぶんと朝夜が涼しくなりました。っていうか、むしろ寒くなっちゃった?
 最近なんだか、毛布1枚で寝ていたら、夜明けに寒さで目覚めるっていうパターンが続いてるんですよね……早起きしなきゃいけないから都合がいいんですが、いつかカゼひいちゃうだろうなぁ。布団を引っぱりだすタイミングも近いですかね。


 さてさて、今回は約1週間前に観た話題の大ヒット映画『風立ちぬ』の感想みたいなもの、でございます。もうさ、観終わって1週間もたっちゃったら、いかな天下のスタジオジブリ作品といへども、じょじょ~に印象も薄れてきちゃうわけですよ……相変わらず忙しいお仕事とか℃-uteの日本武道館コンサートとかで文章にするのがだいぶ遅れてしまいましたが、いい加減にちゃっちゃとまとめてしまいたいと思います。

 と言っても、これほど感想を記すのに気が引ける映画もないんですよね……だって、公開からすでに2ヶ月近くになるんですよ!? もうさんざんっぱら、いろんな方々がレビューをあげてるわけでしょ? もう、「おもしろかったです。」だけでいいんじゃなかろうか、とも思っちゃうんですが……まぁ、どうやら宮崎駿監督にとっての最後の長編作品になるんだそうですし、いちおうながら我が『長岡京エイリアン』でも、礼を尽くして感想を述べさせていただくことにいたしましょ。


 なんといってもこの『風立ちぬ』は、今までの宮崎作品とは違って、明確に「過去に実在した日本のある時代」を舞台にした作品になっています。もちろん『となりのトトロ』(1988年)も『崖の上のポニョ』(2008年)も日本の現実にありそうな、あるいはあったであろう風景を起点にした作品ではあったのでしょうが、具体的に「いつごろのどこ」という部分がクローズアップされることはなく、時代背景のようなものが物語に深くかかわってくるといったことはありませんでした。『もののけ姫』(1997年)もいちおうは中世日本の史劇であるんでしょうが、具体的な固有名称は出ないかオリジナルな仮称に書き換えられていましたからね。「アサノ公方」って、堀越公方とか古河公方あたりがモデルなんでしょうか……劇中に登場してきてほしかったー!!

 それに対して、今回の『風立ちぬ』は関東大震災(1923年)や、直接描写はされていないものの太平洋戦争(1941~45年)にいたるまでの日本の社会情勢といったあたりが陰に陽に主人公の半生に大きな影響を与えています。というか、時代の奔流の中を主人公がどうやって生き抜いていくのか、という固定カメラ視点こそが『風立ちぬ』の主軸になっていました。
 そういう意味では、どの宮崎作品よりも、高畑勲監督の『火垂るの墓』(1988年)がもっとも近いジブリ作品になりそうなんですが、そこはそれ、『風立ちぬ』の主人公は観客も当惑してしまうような頻度で自らの妄想の世界に翼をはばたかせていき、現実の昭和史と、いかにもジブリらしい幻想的な世界とを自由に行き来する作品になっております。

 つまり、『風立ちぬ』は確かに、「現実の時代と主人公のかかわり」といった観点からみれば、宮崎作品で言うのならば、同じ掲載誌で原作が連載されていた20世紀前半のイタリアを舞台とした空賊ロマン『紅の豚』(1992年)に通じるような、史実を重視した路線の最新作ではあったのですが、それと同時に、確実に『千と千尋の神隠し』(2001年)や『ハウルの動く城』(2005年)といった、脚本あってなきがごとしのムチャクチャファンタジーを通過した宮崎監督でなければ創出することのできない、虚実のあわいがわざと曖昧になった最近の路線の延長線上の作品でもあったわけなのです。
 なにを今さらといった感じの後付けになりますが、こう観れば、『風立ちぬ』は宮崎監督のいくつかあった路線が見事に集結した「ラストにふさわしい」作品であった、ということになるんですよね。っていうか、長編映画としてのていをなすか破綻するか、ギリギリ最後の部分で結実した「しぼりにしぼった雑巾のラスト一滴」みたいなものだったのではなかろうかと! ずいぶんときれいな雑巾水なわけなんですが。

 私はね、個人的にいちばん大好きなジブリ作品が『紅の豚』だったんですよ。2番目は『宮崎駿の雑想ノート』(1995~96年 ニッポン放送)ですね。ジブリじゃないけど。

 そんなもんですから、序盤でさっそく怪しいイタリア人が出てきたときから「来るぞ来るぞ~。」という予感がしてたまらなくて、クライマックスで、いずことも知れない草原のかなたに『紅の豚』に直結する「ある光景」が見えた時には、「やっぱり来たー!」と、何度目かの涙を流してしまいました。やっぱり、そういうせつない物語なんですよね。根底にあるのは。


 話は変わりますが、『風立ちぬ』は序盤からラストにいたるまで、ひたすら美しい風景が描き続けられていく物語になっています。今までのように登場人物がありえない筋力アクションを展開させて跳んだりはねたりするというシーンはごくごく最小限に抑えられて、むしろ静かに会話するキャラクターたちの背景や持ち物にこそ、作画の魂が込められているといったふぜいがありました。

 しかし、それら美しい風景、キャラクターたちの美しい立ち姿が隠している、世界のもう一方の顔の血なまぐささといったら、もう……そのことを考えると、恐ろしくて見ていられないやら、哀しくて泣けてくるやら。もうたまらない説得力に満ちているんですね。
 少年時代の二郎の故郷(史実に基づけば群馬県藤岡市)の田園風景、上野から見た関東大震災の惨状、東京帝国大学の学び舎や愛知県名古屋市の三菱航空機(1934年からは三菱重工業)工場での日々、ドイツの厳寒、長野県軽井沢町のさわやかな夏、高地療養施設の荒涼とした風景、二郎の試験機から見わたす桜舞い散る春、そして、果てしない草原と青空が広がる二郎の「夢」の世界。

 美しい。ひたすら美しい映像の連続です。あの10万5千名もの犠牲者を出したという関東大震災までもが、リアルながらも遠めに見た一面の炎を描写するだけにとどめており、それでいながらも、倒壊する神社や不気味に鳴動する大地などといった実に的確な映像センスが冴え渡る演出になっていて、ショッキングさを巧みに取り除きつつ恐怖と不安を確実に伝えるという離れ業を、いとも簡単にやってのけていました。もう、脱帽なんてもんじゃないっすね……

 物語の前半の関東大震災は、青春時代の二郎の「偶然の出逢い」のきっかけとして通過していくのですが、物語後半の悲劇をいろどることとなる軍国主義体制の拡大は、最終的には大日本帝国海軍零式艦上戦闘機(ゼロ戦)にいたるまでの数々の名戦闘機を設計したという実績をもって、二郎の生涯に大きな影をおとしていくこととなります。純粋に夢を追い求めることを望み、それを現実の世界に創出することが本当にできた天才がたどり着いた成果が、無数の犠牲者を生み出してしまった大戦争の一翼であったとは……あまりにも哀しすぎる結論ですよね。

 しかし、『風立ちぬ』はそういった二郎の夢の行く末を最後まで語ることはせずに、史実の上では、1935年2月に行われた九試単座戦闘機の試作一号機の飛行試験の成功(二郎、若干31歳!)までで一巻の終わりとしています。
 思えば、2枚の主翼がいったん下に曲がってから上にはね上がっているという、とっても印象的でカッチョいいデザイン「逆ガル翼」は、実はこの一号機のみにしか採用されておらず、同年の6月に初飛行した試作二号機、そしてそれが実戦投入された九六式艦上戦闘機(ゼロ戦の先代機にあたる)では普通のまっすぐな主翼になっていました。
 つまり、飛行機の設計者としての二郎を主眼にとらえながらも、「実戦に投入された戦闘機の設計者」としての二郎の業績とは実に巧妙に距離をおいていた、ということになるわけです。う~ん、うまい!

 そういったわけで、宮崎監督は徹底的に悲惨な時代に悲惨な実績を背負うことになったある天才の半生を、非常に繊細なバランス感覚をもって「ギリギリ美しく」描いていたわけなのでした。
 だからこそ、そういった映像の中で唯一、直接的とも言える描写法で鮮烈にえがかれていたあのシーンでの「鮮血の赤さ」が、もんのすごく強烈なインパクトをもって、観る者の胸に突き刺さってくるんですよね。ホントに、『風立ちぬ』を観ていると、私がいかに宮崎駿という天才のたなごころでいいように転がされている「いいお客さん」なのかが自分でもよくわかってきて、映画はもう文句の言いようもなく最高なんですけど、ものすご~く癪です! キィ~くやしい!!


 ただ、この映画を観ていてちょっと気になってしまうのが、「ヒロインのどこからどこまでが本物で、どこからどこまでが二郎の中のヒロイン」なのか? ってことなんですよね。

 考えてみれば、喀血して倒れるヒロインのあのシーンだって、二郎がその報にふれた瞬間に連想したイメージだとも解釈できるカット構成になっていました。
 もちろん、ラストシーンで満面の笑みをたたえて二郎に手を振っていたヒロインも、ヒロイン本人というよりは、無意識のうちに二郎が「自分に都合のいいように生み出した」彼女だった可能性は濃厚なわけで、どちらかというと、この『風立ちぬ』に登場したヒロインは、実際にそういう人がいたというよりは、二郎という「働きもん」のために神様か宮崎監督がつかわした「理想的な恋人」という印象が強いんですよね。ともかく、都合がいい! 都合がいい上に「美しいままで去ってくれる」というんですから、嫁さんらしい仕事はしていないわけなんですが、永遠のヒロインになりおおせてくれるというわけなんです。


 う~む。そう考えてみると、『風立ちぬ』のこの「里見菜穂子」という人物って……魅力、ある?


 こうなっちゃうと映画『風立ちぬ』というフィクション作品の半分ほどを否定することになっちゃうんですが、立派に伴侶として夫の仕事をサポートして、劇中の頃にはすでにお子さんも産まれていたという、堀越二郎さんの実際の奥様をアニメに登場させたほうがよっぽど魅力的だし、よっぽど「ジブリのヒロイン」っぽいような気がするんですが……

 どうなんでしょうね。無論のこと、『風立ちぬ』は今現在も大絶賛の嵐の中でロングラン上映中なわけなんですが、この原作小説どおりに「古典的な、あまりに古典的な」人間らしくないヒロインって、歓迎されてるんですかね? これはぜひとも、女性に意見を聞いてみたいですよねぇ。私そうだいはまごうことなき男性(おっさん)であるわけなんですが、私は男でも、ヒロインのあの生き方には全然ピンときませんでした。ピンときませんよ、そんなもん。だって、そもそも「生きてない」んですもんね。
 まぁ、別にヒロインの造形だけにぶつくさ言うつもりはないんですが、周囲の女性キャラクターも、他の面では活き活きとしていても、ヒロインに関しては一様に涙を流すだけで個性がなくなっちゃうし。

 古い! 実に古いんですよ。でも、かつて『風の谷のナウシカ』(1982~94年)で徹底的に闘うバトルヒロインを、『もののけ姫』にいたってはヒロインで野獣という究極の女性キャラを存分に動かしまくっていた宮崎監督が、なぜあえてこのヒロインにスポットライトを与えたのでありましょうか。闘わないにしても、これまでのジブリ作品のヒロインにはのきなみ「母性」か「自立性」のどっちかが与えられていたような気がするのですが、菜穂子はおもしろいように全ての要素が欠落していますよね。自分で車を運転して逃走をこころみていただけ、『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)のクラリス姫のほうがよほど体育会系ですよ。

 わからない……宮崎監督が行き着いた最後の長編作品のヒロインにしては、その存在があまりにも希薄でとっぴょうしもないのです。
 結局、夢を追う男が必要とするものは、そういう「自分を滅してくれる女性」ということなんでしょうか。でも、そんな人、いる? よしんばいるとしても、そんな人、近くにいて楽しいのかしら?
 まぁ、私は恋愛経験が絶無にひとしい、草食系男子にさえも相手にされずに日陰にはり付いて汲々としている「ゼニゴケ男子」なので、男女のあわいのあれこれについてはなんの発言権もないわけなんですが、どんなにおじいちゃんになっても、そういう女性にあこがれちゃうもんなんですかねぇ……男って。

 二郎と菜穂子との、雪がちらほら舞い散る中でひっそりと執り行われる結婚の儀式のはかなさは、もう言いようもなく美しいわけなのですが、その美しさがかえって浮き彫りにしてしまう「近い未来の菜穂子の死」。
 物語中盤のジブリ史上に残る名シーンであるわけなのですが、この「直接えがいていないのに裏で悲劇を色濃く予兆させる」という手法。ラストシーンに登場して、美しく弧を描きながら天空に昇っていくゼロ戦の編隊にも通じる味わいがありましたよね。

 里見菜穂子、死ぬために生き、その死ゆえに美しかった女性。私はちょっと~、好きじゃない。


 またまた、とりとめもなく話題が変わりますが、私は今回の『風立ちぬ』、なにが感動したって、声優陣の熱演の数々に大いに感動いたしました。

 今回わたくし、家に TVがないこともあってなんの前情報もなしに『風立ちぬ』を観に行きまして、パンフレットも買わなかったので、具体的に誰がどの役の声を担当しているのかを全く知らずに本編上映にのぞみました。あ、二郎の声が誰かはさすがにネットニュースで知ってましたね……

 そういう状態で観てみての感想なんですが、二郎役の庵野秀明さん、カプローニ伯爵役の野村萬斎、そして、二郎の信頼できる上司・黒川役を演じた西村雅彦さんの演技に感動しちゃいましたよねぇ、やたらと!!

 まず先に言っておきたいのですが、私自身はスタジオジブリの「声優に俳優を起用」主義はあまり好きではありません。どうやら宮崎監督は、現在活躍している声優さんたちの「存在感のなさ」や「演技の軽さ」を指摘して敬遠しているのだそうですが、そんなことは一般の俳優さんがただって同じことなんじゃないの? と思えて仕方がないからです。
 声優だって俳優だって、誰もが絶賛する飛びぬけた才能もあれば、箸にも棒にもひっかからないカスだってあるんじゃないですか? だとしたら、別にそれを選ぶのに声優だけをつまはじきにする必要なんかないはずだと思うんです。
 でも、これってジブリ作品だけに限らない興行的な問題も大きいんでしょうね……押井守監督の『スカイ・クロラ』(2008年)とか細田守監督の『時をかける少女』(2006年)以降の長編3作も、基本的に重要な役は声優さんじゃなかったし。

 んで、特に『もののけ姫』以降はプロの声優さんが活躍することがほとんどなくなったジブリ作品だったのですが、私にとっては「良くも悪くもない」というか、少なくとも宮崎監督の言うほどの効果を持ったキャスティングは別になかったような気がしていたんです。印象に残ったのは『となりのトトロ』の糸井重里さんと『もののけ姫』とかの美輪明宏さんぐらいかなぁ……あとは基本的に「あ、緊張してるんだなぁ。」って感じの声の硬さしか伝わってこないのがほとんどで。
 今回の『風立ちぬ』だって、はっきり言って菜穂子とか本庄とか菜穂子の親父とか黒川の奥さんといった面々の声は、上手ではあっても記憶に残っておりません。その自然さが監督のねらいなんでしょうかね……そんなんどうでもいいんですけど。

 そんな中での、庵野、野村、西村! このお3方は実に素晴らしかったですね。宮崎監督の言いたかった感じはこんなもんなのかと、やっとわかった気がしました。まさしく、たった一言で十二分に伝わってくる存在感。

 口さがないネット上の評判では、庵野秀明さんの主役起用を「話題づくりだけ」とか「素人まるだしの棒読み地獄」などとガタガタ言っているようなのですが、なんのなんの、あの声をさして素人と評しているあんたの耳が素人なの! もっとよく聴いてごらんなさい。

 庵野秀明という人物の声を宮崎監督が欲した本当の理由とは、その声質などという表層の問題ではなくして、誰だったら『風立ちぬ』における主人公の「夢に鋭敏で、現実に鈍感な天才」という部分に命を与えられるのか。その答えが庵野さんにあったからだと思うんです。
 でも、いくら宮崎監督の知る庵野さんがそうなのだったとしても、そういった監督の意思をちゃんと理解して、その上で演技者としてその要求にこたえられるテクニックを庵野さんが有していなければ元も子もありません。その点、庵野さんは実にうまい俳優でもあったわけなのです。だからこその、この超絶ヒット!

 私が庵野さんの演技について感服した局面はその出演シーンすべてにあったのですが、その中でもしいて挙げたいのは「菜穂子と軽井沢の湧水ポイントでの会話」と、「ラストシーンでのカプローニ伯爵との会話」、この2シーンでの二郎のセリフの絶妙さです。

 湧水ポイントでは、それまでも軽井沢で何度か会っていた菜穂子とあらためて会話をして、かつて自分と菜穂子が関東大震災やらすっ飛んだ帽子やらで面識があったことにやっと気がついた二郎が、

「あぁ~、あのときの!」

 と、やっと気がつく発言があるのですが、そのときの間の抜けた声の絶妙すぎるポンスケ感といったら、もう! ヒョロヒョロした声の割にはけっこう男らしい言動が板についていて、仕事もバリバリこなす二郎だからこそ、このシーンでの鈍感さがいいんですよね。
 私だったら、関東大震災みたいな大災害でご婦人にあんな手助けをしたら末代までの自慢話にしてしまうに違いないのですが、物語の中で二郎の印象に残ったのは、むしろ菜穂子の付き人を務めていたねえやさんの方だったらしく、そういったすれ違いがものすご~く二郎の魅力を高めていますよね。やっぱり、どっかズレてるのね。

 もうひとつのラストシーンでのセリフというのは、夢の世界で怪人カプローニ伯爵に「君の10年はどうだったかね。力を尽くしたかね?」とたずねられたときにこたえた、

「はい……終わりはズタズタでしたが。」

 という一言でした。
 このときの、セリフに込められた無念さ、悔しさ、悲しみ!! なんの誇張もなく、これを語った庵野さんのかすれかかった声の演技には度肝を抜かれてしまいました。
 大した役者だ……その一言で、大量の若い血によってあがなわれなければならなかったゼロ戦の呪われた運命を語りつくしている。このセリフがあったからこそ、久石譲のものすごくいいフレーズにのって飛びたっていくゼロ戦の編隊と、手を振る操縦者たちのシルエットが猛烈に涙をさそうわけなのです。
 庵野秀明、恐るべし!
 何年か前に、池袋の新文芸坐のトークイベントで間近に本物の庵野さんを見たことがありましたが、好きなことの話をするときにこれほど明瞭に通る声を持っているなんて、どんだけピュアな人なんだ!? と感じ入っていました。でも、ピュアであると同時に、ほんとにいろんなことを経験したお人でもあるのよねぇ。ごちそうさまでした。

 とまぁ、まず庵野さんの話だけをしましたが、カプローニ伯爵という正体不明のキャラクターを演じた野村萬斎の「うさんくささ」も最高でしたね~。さすがは伝統に裏打ちされたうさんくささを生業とする狂言方能楽師!
 とにもかくにも、その年齢設定のよくわからない若々しく自由奔放なエネルギーがすばらしいのですが(実際の伯爵は二郎より17歳年長です)、適度に知的で適度にテキトーな伯爵をこれ以上ない魅力満載で楽しく演じていたと思います。
 それにしても、よりにもよって4歳のときに初舞台を踏んで半世紀近く芸能人生をあゆんできた萬斎さんに、

「創造的人生の持ち時間は10年だ。」

 というセリフをしゃべらせるって、宮崎監督はいったいなにを考えてるんだろうか。だって、たぶんこれからも死ぬまで狂言やってくんだぜ、この人!?
 まぁ、創造的人生=活動期間とは言ってないので、「さっさと引退したほうがいい」というわけではないのでしょうが、萬斎さんはこのセリフについてどう感じたんでしょうかね。うらやましいかもね、そう断言できる監督の「老い方」が。

 萬斎さんについてはそこまでにしておきまして、実はこの『風立ちぬ』を観たときにいちばん感心したのが、残る西村雅彦さんの演じた黒川というキャラクターの味わい深さでしたよ、ええ。
 最初、西村さんだと知らずに物語を観ていたときには誰が演じているのかわからなかったのですが、

「なんか、ちょうどムスカ大佐をやってたときの寺田農さんにものすごく似ている声なんだけど、さすがに本人じゃないよなぁ、若いし……もしかして、西村雅彦さん? いやいや、まさか……でも、もし西村さんだったら、日本の俳優界の未来も明るいよなぁ。」

 とかなんとか思いながら観ていまして、エンドロールで西村さんの名前を確認してビックリ!
 西村さん、いい年齢の重ね方をしておられますねぇ! 私個人の感想といたしましては、今回の黒川という人物は、実に『風の谷のナウシカ』におけるクロトワ(演・家弓家正)以来に大好きな男性サブキャラクターとして記憶されることとなりました。
 あれは……ツンデレとは言わないんでしょうけど、苛烈に指導しながらも二郎を実に正当に評価し信頼する見事な上司のたたずまいには激しく感動いたしました。ああいうのをカッコイイ大人っていうのよねぇ! 心の底からあこがれます、ああいう人。


 あぁ、また今回もこんくらいの文量になっちまったかい!

 ということで、まず「初回に観た」直後の印象の羅列としてはこのくらいにとどめておきたいのですが、おそらくこの『風立ちぬ』、何度観ても観るたびになんらかの発見ができる深みのある長編作品になっていますし、同時に、それを観る自分の「歳のとり方」にしたがっても、印象が大きく変わってくるものになるはずです。

 私、ジブリ作品のソフト商品を実際に購入したのは『もののけ姫』の VHSビデオだけなんですけど(それも成り行き上の購入で特に好きというわけではありませんでした)、この『風立ちぬ』は家に置いときたくなる一品になるかも知れませんね。なんか、いい! 久石譲のフレーズもよかったし。


 ああっ、音楽! 音楽といえば、エンドロールで流れた荒井由実の『ひこうき雲』!! これのこと言うの忘れてたわ! これについても感じたことがあってね。

 でも……ま、いっか!! もうたいがい長くなったし。やめときましょ。


 もしかしたら、も1回観に行くかも? 『風立ちぬ』、いい映画でしたよ~いっと。
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ま~っさらぴんの晴天でした!!  『℃-ute 日本武道館初コンサート Queen of J-POP 』

2013年09月09日 23時13分45秒 | すきなひとたち
 あ~今日も楽しかった!! お仕事のあった方々も TEAM ℃-uteのみなみなさまも、大変にお疲れさまでございました~。そうだいでございます。
 けっこう疲れたね……でも、楽しんじゃったんだから仕方がない! いいステージでしたね、ホントに。


『℃-ute 日本武道館コンサート2013 Queen of J-POP たどり着いた女戦士』(9月9・10日 東京・九段下)


 いや~、晴れた晴れた。真夏なみにアツい太陽が照り輝くとんでもない青空! それでも、ときに吹く風がここちよかったり赤とんぼがちらほら飛んでいたりと、確実に季節の移り変わりを感じさせる時間もありましたが……まぁ~蚊がうざったいうざったい。そりゃ1万を超える人間がわんさとやってくるんだから、最後のかせぎどきなのはわかるけれども。
 てっきり大雨だと思ったんだけどなぁ~。昨日もけっこう夜半まで千葉では強い雨が降ったりしてて。
 でも、やっぱりこういう吉日は晴天がいちばんですよね。ほんとに良かった。とってもいい日になりました。


 現時点においてはもちろんのこと、半世紀以上続く戦後の日本女性アイドル史の中でも、群を抜いた「容姿・歌唱・ダンス・トーク・人柄」のバランスの高さを保ち続けている超絶グループ「℃-ute(きゅーと)」! 彼女たちが結成8周年にして初の日本武道館ソロコンサートを挙行するという報が今年4月に流れたとき、全米とか列島はどうだかわからないけど、少なくとも私は震撼しました。これは、私がもし9月に生きていとしたのならば、行かないわけにはいかないだろうと!!

 そして、なんだかんだやっているうちに、9月はあっという間に来てしまいました……ついにこの日がやってきた。
 いったい、彼女たちは悲願の地でどんなファーストステージを見せてくれるのだろうか。とってもうれしいしテンションが上がるんだけど、そんな奇跡的な瞬間に立ち会う権利を持つことができた五体満足の自分の身体に「よくぞここまで(おめおめと)生きてきた!」と声をかけてやりたいし、その幸福なひとときがたった2日間、2回の公演だけで通り過ぎて行ってしまい、「初!」という感覚がもう二度と帰ってこない過去のものになってしまうということを考えると、なんともいえない寂しさが観てもいない段階ですでに胸に去来したり。
 とにかく、気分がものす~っごく複雑なんですね! こんな気持ちは、自分がわずかな所領を拝借して奉公している「本貫地」ことモーニング娘。の日本武道館コンサートでもなかなか味わえないものですよ。やっぱり、これが「結成メンバーだけが残っているグループ(かつての増減こそあれ)」の歴史の重みなんでしょうねぇ。ほんとにしみじみ、おめでとうございますと御礼をのべさせていただきたいです。


 そんなこんなでせまってきた9月の9・10日だったのですが、まず、その2デイズのうちの「どっちの公演に行くのか?」という問題にぶち当たったとき、私の場合は迷わず「初日の9日」という選択肢に決しました。まぁ、ここで「2日間とも行くに決まってんだろ!」と威勢よく切り出せるような時間的余裕と経済的基盤は、現在のわたくしめにはないわけでして……

 なんで一般的に「℃-ute(9、10)の日」として長年親しまれている9月10日でなく、あくまでも「追加公演」という扱いになっている9月9日のほうを選んだのかといいますと、そりゃ~もうあーた、「初日だから!」。これにつきます。
 事務所さまも、よくぞまぁこんなに素晴らしいスケジュールを組んでくださいました。確かにこれまでずっと大事にされてきた記念日は9月10日なんですが、これからの TEAM ℃-uteのみなさんにとっては、初めて日本武道館公演を実現させた9日も新しい記念日になっていくわけなんですね。こりゃあもう、どっちに行ったほうがいいとか甲乙つけるなんてムリ!

 そして、無論のこと℃-uteというグループはエンタテインメント界のプロ中のプロであるわけですから、回によって気合いの入り方が違うとか、通常公演と最終日とで力の入れ方が違うなどということはまずありえないはずです。
 そういう意味では突き詰めればどの回を観たっていい、ということになるはずなんですが、やはり表面上同じプログラムだったとしても、プロフェッショナルの電子計算機のごとき怜悧さの裏には、必ず「生身の5人」の隠しようのないよろこびというものが、「初めての日」には垣間見えるはずなのだ! 観ることが可能である以上、私はなによりも、その躍動をこの目で確かめたかったわけだったんですね。

 そして、私のその選択は、おそらくは大正解だったのだ……10日のほうを観たわけじゃないから断言はできないんですが、少なくとも、私の観たいものはしかと見届けることができました!!


 お話は9月9日の前日から始まりますが、この日8日、チケットオデッセーのホームページでずっと「発売中」の表示になっていた9日ぶんの残りチケット情報が「完売」になりました。10日のほうはほぼ販売開始と同時にソールドアウトになってましたね。
 つまり、裏を返せば今回の℃-ute日本武道館初コンサートは、2デイズ公演になったことでチケット状況はかなり余裕のあるものになっていました。9日を観たいんだったら、さっさと予約をして比較的観やすい座席を早めにゲットすることもできていたわけなんです。

 しかし! 私は、前売りチケットがあたかも新幹線の御手洗いの水のように一瞬にして「しゅごっ」と消失してしまういつものモーニング娘。のコンサートと同様に、あくまでも「当日券」を購入して会場に入ることにしました。当日券である以上、あんまりいいお席は期待できないわけなんですけど。
 これはね~、前の日本武道館観戦記のときにもいいましたけど、やっぱりドキドキしながら当日券の販売開始を待つ、あの感覚に味を占めちゃったんですよね!
 観やすい座席よりも、どうしても私は、当日にまず武道館の大階段の上でコンサート記念グッズの発売ブースの開場を今や遅しと待つ数百人の長蛇の列にまじるところから会場のテンションを肌身で感じていき、グッズを買ったあとに武道館のいかにも老舗っぽい昭和の雰囲気ただようカフェ「武道」で昼食をとってから、当日券待ちの列に加わってやっとチケットを買うという、この一連の非効率的なスケジュールが生み出す「イベント感」をとっちゃうんだよなぁ!!
 つまり、どうやら私はアイドルグループのファンと同じくらい、50% -50% の割合で「日本武道館コンサートのファン」でもあるようなんですね。江戸城田安門 LOVE! 早く2014年4月になって、修復工事おわんないかナ~♡

 本当に私はコンサートを観ることができるのだろうか!? このへんのハラハラドキドキを噛みしめながら会場前のファンの混み具合の変化を眺めるのは本当に格別なお祭り感が満載です。これよねぇ~! これだから、ファンクラブに入ったり電話予約とかインターネット予約とかでちゃっちゃとチケットを取るのは二の足を踏んじゃうんだよなぁ。
 思い起こせば、今回の℃-uteと同じく日本武道館2デイズ公演だったためかチケットの先行予約をやっていて、私にとって初めての武道館体験だったので、それに乗って早めにチケットを買っちゃった2011年のモーニング娘。第6代リーダー高橋愛さんの卒業コンサートは、確かにステージど真ん前のいい席で観られて文句の言いようもなかったんだけど、開場時間に来てスムースに公演を観ちゃうっていうのが、なんだか物足りない感じもしたりしてて。

 そんなこんなで、今回のスケジュールはこんな流れになりました。


10:00
 JR 総武線と地下鉄東西線を使ったいつもの経路で九段下駅を降りて日本武道館に到着。
 コンサート記念グッズの販売開始待ちの列にならぶが、この時点ですでに200人ほどの精鋭TEAM ℃-uteのみなさんが集結していた。99.9% ほどの割合で男性。

10:30
 記念グッズのブースが開き、販売が開始される。少しずつ動き出す長蛇の列。
 列の前半で購入を終えた方が次々と後半の仲間の方に戦果を報告し、「6万使った」とか「11万使った」とかいう、私にとっては天文学的数字な金額が耳に飛び込んできて、内心であらためて「お仕事、明日からもがんばってネ!」との思いを強める。

12:00
 ならんで2時間後に自分の番がまわってきて、岡井千聖さんのソロTシャツセットと、グリーン(岡井さんカラー)とブルー(中島早貴さんカラー)のサイリュウムを1本ずつ購入することに成功。もちろん5千円もかかっていない。そんなもんで充分っすよ!
 グッズ販売の並び時間は、今までのモーニング娘。で体験してきた「3~4時間」にくらべて短かったのだが、やっぱり長いもんは長いね……

12:30
 グッズ購入後に、いつものように北西大階段を登った左手にあるカフェテラス「武道」で昼食をとる。
 ここのカレーライスはレトロな味わいで大好きなのだが、「1000円」はやっぱ高すぎなんじゃないの……と思いながらおいしくいただく。
 カウンターからふと外をながめた時に、記念グッズ販売ブースの購入者列がほぼ解消されているのを見て愕然とする。それじゃ、のんびりお昼すぎに来たほうがならび疲れずに済んだとでも言うのか……いいんだいいんだ、この徒労こそがお祭りよ!! 苦いブラックコーヒーをぐいと飲みくだす。

13:30
 食後に江戸城北ノ丸を出て本丸公園へ散策に行こうとしたのだが、月曜日だったために本丸は開放されておらず、仕方なく北ノ丸近辺をほっつき歩く。
 この段階で、どうやら雨が降ることはなさそうだということを身体でまざまざと実感する。あっちい……ジャケット着てくるんじゃなかった。

14:50
 今回の当日券販売時刻は、今までのモーニング娘。のときよりも遅い15時30分だったのだが、念のためにこのあたりから当日券窓口の近辺に張り込んでおく。
 しかし、あまり当日券待ちの人々で列ができるという状況にはならず、比較的のんびりした空気の中で10人前後のそれらしい人たちがそわそわしているという微笑ましい雰囲気になっていた。子ども連れのお母さん、アンタはエラい!! 実に素晴らしい教育です。

15:36
 予定通りに30分に当日券の販売が開始され、私は5~6番目というかつてない早さでお目当てのチケットを購入する。そのため、なんとか立ち見席ではなく一般席をゲットすることができた。2~3時間の立ちっぱはやっぱりキツそうだったから助かった。
 んが……座席番号は「2階スタンド 西X列」。
 X……? Xって、あの、アルファベットの Aから数えて「24番目」のやつ? ってことは、あなた……
 もともと近さで期待はしてなかった! してなかったけど……自然に遠い目になってしまった。準備は万端だ。

16:00
 夕方17時30分の開場を待って、北ノ丸公園の池の近くでぼんやりする。
 周辺には同じ理由でぼんやりしているピンクやレッドのTシャツ姿の集まりが多く、一言も言葉を交わしていないのに不思議な一体感はあるし、オッサンだらけなのに色彩がなんだかファニーな広場になっていた。いつもながら、徐々にテンションが上がっていく人々と変わりのない自然の景色との対比が、嵐の前という何かが起こる空気をいやがおうにも感じさせる。それにしても、晴れてホントに良かった。

17:30
 予定の時間になっても開場されないようで、武道館付近は尋常でない人の数でごったがえす。
 実はこの時間になるまで、不遜にも内心で「モーニング娘。よりも静かか?」「やっぱ男のファンが多いな~。」などと感じていたのだが、開場時間になるとあっという間にとてつもない人数が集結し、ところどころで「うおぉ~い」という鬨の声があがり、いっぽうで短時間のうちに若い女性ファンの割合がギュギュギュンと急上昇している事実(最終的には全体の3割弱くらい?)に直面し、思いを改めるとともに感動する。2デイズ公演の初日でこれだけの人数と熱量が集まるんだから、℃-uteはやっぱりキてる!!

17:45
 やっと開場し、総勢1万をゆうに超えるTEAM ℃-uteのみなさんが武道館に入っていく。
 武道館コンサートはなにがいいって、やっぱり微妙にもやがかかった程度にスモークがたかれてるのがいいのよね! それが「間違いなく日常でないスペシャルな空間に来たぞ!」っていう切りかえになるから。
 私の座席の両隣は、片方がお若くて美しい女性で、もう片方がいかにも純朴そうな大学生らしい青年。公演を楽しむ上でなんの支障も無い。ラッキー☆

18:15
 いつものように、ステージ奥の大画面でアップフロントグループ所属オールスターによる『愛は勝つ』のミュージックビデオが流れ、その後にハロー!プロジェクトの新人アイドルグループ「 Juice=Juice(ジュースジュース)」によるオープニングアクト1曲が披露され、いよいよ開演!

 ……とまぁ、こういった感じになりまして。

 いやぁ、実際に座席を探してみたらビックラこきまして。「X席」って、最後列じゃねぇかァア!!
 もう、文句なしにステージからいっちゃん遠い座席でありんした。後ろにだぁれもいないという、位置的には最上の眺めのいいとこでしたけれども、大画面を見ずにはメンバーの表情がまったく読み取れないという。決して「米つぶ」じゃあないんですけどね……

 列にほとんど並ばずにかなり早く獲得したといっても、やはり当日券となるとこのくらいが関の山なのかと、ふとステージ付近に目をやりますと、当日券を購入した時の私の今までの「定位置」になっていたステージわきの「北西・北東スタンド席」が、まるごと黒幕を張って閉鎖されていました。いや、ステージの真横でも、目の前にでっかい音響設備があってもいいからもうちょっとばかし近くに行かせていただきたかったんですが……
 そんな恨み節をいだきつつ、「やっぱり2デイズになると、最終日じゃない回を全席お客さんで埋めるのは厳しいのかな。今の℃-uteなんだから、もっと強気でいっても大丈夫だと思うんだけど。」なんてことも開演前につらつら考えていたのですが、開演してからその考えを大きく修正させるような事実にも思い至ったりしまして。

 つまり、℃-uteの日本武道館コンサートが客席をステージ横に配置しなかった、つまりは180°以上展開しなかったということは、集客の問題じゃなくてグループの戦法を熟知した演出上の問題。そして、私が今回、ステージから見ていちばん遠くの座席をゲットしたのは大大、だぁ~い正解だったのでした!! いや、ほんと。

 客席の演出については、要するにグループが5名なんですから、モーニング娘。のように10人くらいのメンバーが各自縦横無尽に走り回って広角度の座席にパフォーマンスを見せるというよりは、ステージ中央にしっかり陣取って照準を前面の客席にさだめ、お客さんの視点を一点に集中させる戦略で攻めていったほうが効果的だという選択があったのではないかと思われます。やっぱり日本武道館の大舞台は広かった!

 もうひとつの、客席が最後列でよかったという理由は、もうこれは……実際にあの位置であのステージを体感してもらうのがいちばんなんですが、ほんとにあの日本武道館初コンサートというステージは、℃-uteの5名も当然のことながら、彼女たちを心からの祝福で迎える1万人以上のTEAM ℃-uteの応援もコミコミになって「ひとつの作品」になっていたと思うんです。
 いつものようにテンション上げ上げの色とりどりなサイリュウムの振りや、「オイ! オイ!」という男女入り混じった会場いっぱいの声援もさることながら、℃-uteの入魂のアカペラ歌唱に聴き入るときの水をうったような静寂や、それが終わったときにしみじみと広がる拍手のあたたかさ、メンバーのMC を聴くうちに自然に遠くや近くから聴こえてくる嗚咽のさんざめき。
 決してしめっぽいシーンばかりではなかったんですが、基本的にひたすら明るいステージの連続の中ででも、ところどころでメンバーがうれし泣きを必死にこらえながら感謝の言葉を元気に口にするたびに、同じ「悲願成就」のひとときを過ごしているファンのみなさまにはこたえられない感動があったのでしょう。うん、これぞまさしくTEAM ℃-ute。

 そんなわけで、全員がひとつになった光景をもれなく視界におさめることができた私の「2階スタンド最後列」は最高でした!
 そういえば、私のとなりの青年が、誰のソロTシャツを着るでもなく、サイリュウムの1本も買うでもなく、普段着で何も持っていない両手をせいいっぱいに振り回しながらメンバーを応援していましたよ。
 まぁ、ただ単にグッズを買う主義じゃないってだけの人かもしれないんだけど、もしかしたら、なけなしのチケット代だけをにぎりしめて今日のこの日に駆けつけてきたのかもね。よかったな青年! ポスターとか DVDマガジンを買った人だけがファンってわけじゃないんだ。なぁ!


 さて、ここまでさんざん字数をついやしてきて、やっとこさここから肝心のコンサートの内容についての話になってくるんですが、最初のJuice=Juiceによるオープニングアクト! すでにここから、いろいろと感じさせられるものがありました。
 骨折という大ケガで満足なパフォーマンスができず、それでも舞台に立つしかないアイドルという世界の厳しさの、ほんの片鱗を垣間見た思いがしました。宮本佳林さん14歳、なんという修羅の道ゆきか……メジャーデビュー直前という大事な時期だし、誰かが休んでも他のメンバーで切り抜けられるという経験もないというのはよくわかるんですが、なんとも痛々しかったねぇ。しかし、あの状況で100% 笑顔でオープニングアクトを見事に演じきった根性は間違いなくプロ級! がんばっていただきたいです。

 そんな艱難辛苦のアイドル稼業を11年も続けてきた天才5人組、グループ結成9年目にしてついに日本武道館の大舞台にならび立つ!!

 ステージ奥の大画面で展開されるオープニング映像は、カメラが℃-ute歴代シングル26枚のジャケットがならぶ白い階段を駆け上がっていくという視点のもので、その頂点にはメンバー5名の黒いシルエットが。
 そして、そのシルエットが画面いっぱいになった瞬間に、映像が今現在の5名のアップの表情を5面マルチスクリーンで映すものに切り替わり、大音量で鉄板『Kiss me 愛してる』(2011年)のイントロがスタート!!

 いや~もう、ここだけでごちそうさまですよ。三つ指ついて「けっこうなお手前でございました。」と頭を下げざるをえません。

 この最初の最初のカットでの、生の5名の活き活きとした表情の輝き、明るさ、美しさ。すごいです。「あっ、こりゃあ史上最高のステージになるな。」と瞬時に悟らせる説得力ね。

 前半は『Kiss me 愛してる』に続いて『★憧れ My STAR★』(2009年)、そのあとで誰もが待ち望んでいた岡井さんによる「ライヴハウス武道館へようこそ!!」の辞。あたしゃもう、ここまででおなかいっぱいです。
 前半戦はハロプロ研修生選抜メンバー5名による『YES!しあわせ』(2006年 もともとは2000年の T&Cボンバーの楽曲を℃-uteがカヴァーしたもの)歌唱の間の衣装替えまで、次シングルになる予定の新曲の初披露や9月4日にリリースされたばかりのニューアルバム『8 Queen of J-POP 』からの楽曲、そして最近の名曲『悲しきヘブン』『悲しき雨降り』などの息をもつかせぬつるべ打ち。「悲しき」とかって言っておきなから、コンサートで唄われれば大盛り上がり必至の曲が続くんだからまいっちゃいました。

 中盤は先ほどにも触れた『 One's LIFE』(2009年)の完全アカペラ歌唱から『僕らの輝き』(2007年)のアコースティックヴァージョン、そして最新のバラード『たどり着いた女戦士』と『この街』の日本武道館ヴァージョンと。非常にしっとりした時間がしばし流れました。
 このコンサートは、タイトルの通りに今月リリースされたニューアルバムの収録楽曲を前面に押し出してはいるのですが、ここで魂を込めて唄いあげられた『 One's LIFE』や『僕らの輝き』のように、今日の日本武道館にいたるまでの長い道のりや、かつて所属していたメンバーのおもかげを強く意識させる名曲が随所に配されていました。なんと心憎い選曲か……完全に泣かせにかかってますね、これ。


 ところが、今回のコンサートの本当の妙味は、そんなしっとりした時間をぶった切るかのように、

「♪つっちゃかっちゃら ちゃっちゃらっ、ちゃっちゃかっ ちゃらっちゃっ」

 という軽すぎる『あなたなしでは生きてゆけない』(2004年)のイントロとともに、異常な腰の低さでアリーナ席にBerryz工房の7名さまが乱入して、5コの特大クラッカーで5名の初武道館コンサートを祝福するひと幕が差し込まれるという、この絶妙すぎる温度差にあったのではないのでしょうか。

 いや~、Berryz工房はやっぱりすごいです。涙で重くなりがちだった会場の空気が、一瞬にしてモンゴルのステップ気候なみにカラッと乾ききりましたからね。ほんとにいいなぁ~、この軽さ。こういう好対照な戦友がいる℃-uteは本当に恵まれているなぁ、と感じ入りました。
 このステージでは嗣永さんと、我らが『 Berryzステーション1422』の徳永・熊井ペアが板についた必死さで11月29日の自分たちの日本武道館初コンサートを宣伝していたのですが、行くに決まってるじゃないっすか……今からその日がとっても楽しみになるラフな時間でしたね。
 そんな全然びっくりしないサプライズをはさんで、Berryz工房は℃-uteとベリキュー楽曲の歌唱、そして自身の次シングル予定の新曲を披露して退場していったのですが、いつものことながら、私が愛してやまない菅谷梨沙子さんの、 MCでの目立たなさと歌唱での無双っぷりの落差にはさらに磨きがかかっていましたね。最初、金髪ロングヘアのかつらをのっけたお地蔵さんが後ろにつっ立ってんのかと思っちゃったよ! そしたら菅谷さんなんだものなぁ。


 そしてそこからは、後半戦からアンコールにいたるまで、『まっさらブルージーンズ・2012年ヴァージョン』、『都会っ子 純情・2012年ヴァージョン』、『 Danceでバコーン!』(2010年)、『アダムとイブのジレンマ』(2013年)、そしてもはや校歌斉唱に近い感覚の定番曲と化した『 JUMP』(2007年)などなど……まさに怒涛のひととき。めくるめく2時間30分の興奮はあっという間に過ぎ去っていきました。

 いやぁ、至福でした。
 同じことを何度も言うようなんですが、家のスピーカーから流れてくるのをいくら聴いていてもピンときていなかった曲が、コンサート会場で全身を動かしながら聴いているとびっくりするくらいにいい曲だなと感じてしまうことが私は毎回あって、今回は『悲しき雨降り』と『アダムとイブのジレンマ』がどんだけ気合いの入っている名曲コンボなんだろうかと感動してしまいました。あと、私の中ではこの日本武道館コンサートで初めて、萩原舞さんがセリフを務める『都会っ子 純情』が旧ヴァージョンにならぶしっくり感を持ってきたような気がしました。っていうか、この日の舞さんは仕上がってたよねぇ!

 でも、そんなこと言ったら5名全員が仕上がってたし、もっと言えば来場したTEAM ℃-ute全員が仕上がってました。とにかく理想的なコンサートだったような、そんな感じでしたねぇ。

 これまで何回かコンサートに客として参加して、そのたびに実感するんですけど、本物の生の舞台って、スモークとか巨大クラッカーとか天井から降ってくる風船とか、TV 画面のフィルターを通したらベッタベタにしか見えない演出にこそ、やたらと感動しちゃうんですよね。まごうことなき人の力で一面に輝き揺れるサイリュウムの波とか、ほんとに最高なんですよ。自分も参加してるし!
 しかも、他でもないプロ中のプロの℃-uteなんですからねぇ。無駄にお金のかかったステージ美術とか演出はいらないわけですよ! その点で言えば、わずかに『まっさらブルージーンズ』のときの全身電飾衣装でのダンスだけに不満というか、「そんなのいらないから、℃-uteの素の良さを見せてちょうだい!」という思いが残りました。そりゃあハデハデで盛り上がったんですけど、ああいうのはたぶん、精確な振り付けで観る者を魅了するだけのテクニックの足りないグループが、ごまかしのためにやる演出のたぐいだと思うんですよ。℃-uteの実力を信頼するのならば、ああいう人目を引くだけのアイデアはまったく不要のはずかと!


 他にも、メンバー各人の魅力などについて語りたいことは山ほどあるんですが、字数もいい加減にかさんできたので、まぁなにはなくとも「最高だったよぉおおおお」という結論をもって、今回の日本武道館観戦記をしめたいと思います。

 ただし、最高ではありましたが、「日本武道館サイズならばもっとこんなことができるだろう!」という課題も生まれたでしょうし、ニューアルバム中心の選曲だったので、「あの名曲をまだやってないじゃないか!」という感覚も残ったことでしょう。
 つまり、1日や2日じゃあ、まだまだ天下の℃-ute様は日本武道館をやり尽くしているわけがないと!! そういうわけなのです。


 誰も卒業しないし、つんく♂さんが登壇してなんのサプライズ発表をすることもなかった。それなのにこんなに楽しさいっぱいな公演だったし、これからも、このステキな5人組の活躍は変わらず観続けていけるんだという、この「まだまだ続いていくことの幸せ」、ね。
 ついつい当たり前のように思っちゃうんですけど、感謝しつつ大切にしなきゃいけません。いなくなってから懐かしむなんてクソ喰らえ! でございます。

 ℃-ute。5人ならんでステージに立つ勇姿がもっとも美しく、頭に「元」とつくのがもっとも似合わないグループ!!

 来年、再来年と、℃-uteと日本武道館の激突が引き続いて繰り広げられていくことを、心から祈っておりますぞ~!
 ……あ~、腰がいてぇ。
コメント (4)
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