今年(2023年)わが母校「津幡小学校」が、創立150年を迎える。
同校では「150周年記念事業」の計画が進行中。
昨年、その節目を側面からサポートしようと卒業生有志による応援団が発足。
僕「りくすけ」も末席に加わり、何度か会合を重ねてきた。
(※今投稿カテゴリー「大西山の丘辺に立てば。」に分類)
年が変わり、いよいよ実務が本格始動。
詳細は次回に譲るが、本日(2023/01/21)応援団長が経営するお店、
お酒とサラダ館の「岩井屋」にお邪魔して打ち合わせをした。
こちらは町の中心部「四ツ角」にあるギフト専門店。
御中元、お歳暮・手土産・出産や結婚の内祝など、各種贈答品を取り扱っているが、
昭和53年頃までは造り酒屋を営んでいて、
今訪問の機会に、往時の面影を垣間見ることができた。
↑酒を硝子瓶に詰める以前、量り売り用の一升・五合徳利。
背後には酒造りの様子を撮った写真パネル。
↑木の板を円筒状に組み合わせ、竹の箍(たが)をはめた結樽(ゆいだる)。
一升瓶100本分≒一石はありそうな大きさ。
輪島塗の漆器を展示するショーケースに転用。
↑造り酒屋営業当時、店先に掲げてあった暖簾。
「清酒 兼六」には、個人的に少々思い入れがある。
幼い頃のお使いで、生家近くの酒販店で「兼六」を買い求めた。
その店は「角打ち」を楽しむ赤ら顔のオジサンたちがたむろしていて、
顔を出すとよくからかわれたものだ。
未成年への酒類販売が御法度の今と比べれば隔世の感アリ。
また「兼六」のロゴを貼ったラベルを見かけなくなり久しいと思っていたが、
昭和36年~60年まで岩井屋酒造をはじめ、
6つの蔵が共同で製造販売していた銘柄と伺い納得した。
↑岩井屋酒造のヒット商品「桒酒」(桑酒)の看板。
桑の樹皮や根を濃く煎じ、その汁を加えて醸造した薬酒は、
黄金色でハーブのような香りが立ち、甘みがあったという。
呑んでみたかった。
↑「兼六」以前、岩井屋酒造の主銘柄「喜久鑑(きくかがみ)」のラベルと袋。
ラベルに描かれた赤い髪のキャラクターは、
酒を好んだ中国の伝説上の霊獣「猩々(しょうじょう)」。
日本では酒の精霊として知られる。
能楽では、酒売りを営む孝行者と出会った猩々が、
ともに酒を飲み交わしながら舞踊り、酒が湧き出る壺を与えたところ、
その家は末長く栄えたという演目が有名だ。
--- 結びに「松尾芭蕉」の句を掲載。
初春まづ 酒に梅売る 匂ひかな
(しょしゅんまず さけにうめうる においかな)
初春の梅とお酒の匂いが交じり合い馥郁(ふくいく)と漂うこの里で、
私は今なんともいえない豊かな気分になっています。
「芭蕉」さん、酒の句が少なくない。
案外、呑兵衛だったのかもしれない。
梅には早い寒中ながら、酒造りのエピソードを拝聴し、
津幡の歴史が香る豊かで充実したひと時を過ごせた。