12月も半ば近くに差し掛かってきた。
今年の師走は新型コロナの影響もあってか、
例年のように浮き立つ雰囲気や追い立てられる気持ちに欠ける気がする。
拙ブログをご覧の皆様は、いかがお過ごしだろうか?
先日、夜分に「津幡町文化会館シグナス」を訪れる機会があり、
ロビーのクリスマスツリーが目に留まった。

薄暗いロビーにあって、カラー豆球を明滅させながら佇んでいる。
ゆっくりとクリスマスツリーを眺めたのはいつ以来か。
しばし、幼い頃に過ごしたクリスマスの情景を思い出しながら鑑賞した。
ツリー近くに、町で出土した発掘品展示が行われているのを見つけ、
改めて、明るい日中に来てみようと思い立つ。
そして、本日再訪してみてたところ、意外にもそこは喧騒の只中にあった。

駐車場は混み合い、正面出入り口から続く長い行列。
「プレミアム商品券」の販売らしい。

館内に設置された販売窓口とは別に、彼方此方(あちこち)で人垣。
会話から推測するに、少々揉めているようだ。
今回は「密を避けよう」と考え、先着順で整理券を配布するルールを採用。
しかし「整理券の配布開始時間」や「配布枚数」が案内されてなかった。
また(役場工事中もあって)販売場所が一ヶ所になり、人が集中した。
こうした要因が混乱を招いたと考えられる。
--- 仕切りは的確が肝心だ。
--- 買う方も穏やかが大切。
次回があるなら、双方教訓として活かして欲しいと思う。
さて、僕は小競り合いを尻目に展示スペースへ。
横幅3~4メートル見当のガラス内に並ぶのは、
「発掘された木製品~よみがえる津幡町の井戸~」
(※以下、赤文字/解説プレートより抜粋編集)

津幡町所在の加茂遺跡・北中条遺跡では多くの木製品が出土。
木製品は通常腐食してしまうが、水漬けで酸欠状態にあると残存する場合がある。
この木製品の木の細胞の中にある水分を特殊な薬品に置き換え、
形と質感を保ったまま、保存することができ、
貴重な歴史遺産を後世に伝えることが可能になった。

上掲画像は、蒸篭組み(せいろぐみ)と呼ばれる方法で組まれた井戸の一部。
切り込みを入れた長方形の板を交互に噛ませて積み上げた構造をしている。
丁寧に加工した横板を複雑に組み合わせることによって強度を高める
高度な技術が用いられていると言える。
(北中条遺跡、平安時代・約1,100年前)

他には、弥生時代の武具「盾」も出土。
全国的にも出土例が少なく、県内では10例ほどが知られるのみ。
約1センチ間隔で穴が開けられていることから皮などを貼って紐で綴じ、
装飾と補強を施したと考えられる。
盾にしては薄手で実用性に乏しく、表面に朱塗りの痕跡があり、
儀礼用の可能性もある。
(北中条遺跡、弥生時代・約1,800年前)
--- とまあ、解説を読みながら眺めていると実に様々な想像が膨らむ。
井戸から水を汲み上げる平安期の庶民。
祭事に朱い盾を持ち、舞い踊る男。
わが町の先達たちは、どんな暮らしを営んでいたのだろうか?
物言わぬ遺物は雄弁に往時を語り、
失われた過去へ誘って(いざなって)くれた。