「石棺」に覆われたチェルノブイリ原発4号機=2006年3月
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解体・撤去至難の業・東電福島第1廃炉へ
東京電力の勝俣恒久会長が30日の記者会見で、福島第1原発を廃炉にすると表明した。だが、多くの放射性物質を含む原発の解体、撤去はただでも多くの資金と手間がかかる上、格納容器や燃料の損傷、海水の注入を繰り返した福島原発の炉の撤去は、通常とは比べものにならないほど困難なものになる。<処理費用890億円> 日本初の商業用原発として1998年に約32年の運転を終えた東海発電所。2001年3月に使用済み燃料の取り出しが完了し、同年12月から廃止手続きが始まった。
配管内を薬品で洗った後、10年程度は放射性物質の減少を待つために貯蔵。設備の解体は、その後、放射性物質が飛散しないよう注意しながら行われる。
原子炉の解体は11年度から始まり、17年度に終了、最終的には20年度までに作業を終える予定だ。処理費用は約890億円で、さらに廃棄物の処理費用が加わる。
東京工業大の沢田哲生助教は福島第1原発の場合、「冷却するのに、短くて3年、長いと10年かかる。燃料も圧力容器も、あの場所から動かせず、ひたすら冷やす」と話す。崩壊熱が落ち着いて初めて、やっと次のステップに移ることができるという。解体に着手するまでには、長い時間がかかるのは確実だ。
さらに、1、3、4号機の原子炉建屋は水素爆発で壊れ、燃料をつり上げるクレーンは使えそうにない。「中の燃料は崩れているため、取り出すのは至難の業。しばらくそのまま置いておくしかない。将来的に圧力容器ごと地中に埋設することもあり得るかもしれないが、これも難しい」と沢田助教。
九州大大学院の吉岡斉教授も「燃料の取り出しも難しく可能かどうか分からない」と指摘する。「米スリーマイルアイランド原発事故(79年)では、圧力容器のふたを開けるのに5年、内容物を取り出すのにさらに5年の時間を要した。福島では廃炉には20年かそれ以上のスパンで考えないといけないのではないか」と言う。<「石棺」には批判> スリーマイルアイランド原発では原子炉圧力容器の底に燃料が溶け落ちたため、汚染の除去と燃料の撤去に10年以上を費やした。費用も680億円と膨大で、廃止完了までにあと25年かかるとされる。
会見で勝俣会長は、爆発事故を起こした旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号機を覆った鉄板やコンクリートの「石棺」と呼ばれる構造物のようにすることも「一つの方策」と発言した。

石棺は放射性物質などの拡散を防ぐため、事故後半年ほどで建設された。だが老朽化が問題に。現在、新たな覆いをつくる工事が始まっているが、数百億円の資金調達に難儀しているのが現状で、解体撤去までは、まだ50年以上はかかりそうだという。
ある原子力の専門家は「周辺環境への影響などを考えると、コンクリートで埋めてしまうような作業で終わらせるべきではない。時間をかけてでも炉を冷やし、燃料を取り出してから、初めて原子炉を処分すべきだろう」と、石棺による安易な「コンクリート詰め案」にくぎを刺した。2011年04月01日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110401t63005.htm


解体・撤去至難の業・東電福島第1廃炉へ
東京電力の勝俣恒久会長が30日の記者会見で、福島第1原発を廃炉にすると表明した。だが、多くの放射性物質を含む原発の解体、撤去はただでも多くの資金と手間がかかる上、格納容器や燃料の損傷、海水の注入を繰り返した福島原発の炉の撤去は、通常とは比べものにならないほど困難なものになる。<処理費用890億円> 日本初の商業用原発として1998年に約32年の運転を終えた東海発電所。2001年3月に使用済み燃料の取り出しが完了し、同年12月から廃止手続きが始まった。
配管内を薬品で洗った後、10年程度は放射性物質の減少を待つために貯蔵。設備の解体は、その後、放射性物質が飛散しないよう注意しながら行われる。
原子炉の解体は11年度から始まり、17年度に終了、最終的には20年度までに作業を終える予定だ。処理費用は約890億円で、さらに廃棄物の処理費用が加わる。
東京工業大の沢田哲生助教は福島第1原発の場合、「冷却するのに、短くて3年、長いと10年かかる。燃料も圧力容器も、あの場所から動かせず、ひたすら冷やす」と話す。崩壊熱が落ち着いて初めて、やっと次のステップに移ることができるという。解体に着手するまでには、長い時間がかかるのは確実だ。
さらに、1、3、4号機の原子炉建屋は水素爆発で壊れ、燃料をつり上げるクレーンは使えそうにない。「中の燃料は崩れているため、取り出すのは至難の業。しばらくそのまま置いておくしかない。将来的に圧力容器ごと地中に埋設することもあり得るかもしれないが、これも難しい」と沢田助教。
九州大大学院の吉岡斉教授も「燃料の取り出しも難しく可能かどうか分からない」と指摘する。「米スリーマイルアイランド原発事故(79年)では、圧力容器のふたを開けるのに5年、内容物を取り出すのにさらに5年の時間を要した。福島では廃炉には20年かそれ以上のスパンで考えないといけないのではないか」と言う。<「石棺」には批判> スリーマイルアイランド原発では原子炉圧力容器の底に燃料が溶け落ちたため、汚染の除去と燃料の撤去に10年以上を費やした。費用も680億円と膨大で、廃止完了までにあと25年かかるとされる。
会見で勝俣会長は、爆発事故を起こした旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号機を覆った鉄板やコンクリートの「石棺」と呼ばれる構造物のようにすることも「一つの方策」と発言した。

石棺は放射性物質などの拡散を防ぐため、事故後半年ほどで建設された。だが老朽化が問題に。現在、新たな覆いをつくる工事が始まっているが、数百億円の資金調達に難儀しているのが現状で、解体撤去までは、まだ50年以上はかかりそうだという。
ある原子力の専門家は「周辺環境への影響などを考えると、コンクリートで埋めてしまうような作業で終わらせるべきではない。時間をかけてでも炉を冷やし、燃料を取り出してから、初めて原子炉を処分すべきだろう」と、石棺による安易な「コンクリート詰め案」にくぎを刺した。2011年04月01日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110401t63005.htm