「地方創生」を一斉にタレ流す大メディアの“政府PR報道”
週末20日の大手紙の1面トップ記事は「地方創生」の目玉政策が大見出しだった。<地方で若者雇用30万人 20年までに 人口減歯止め>(毎日)<東京から転出3万人増 政府20年目標 一極集中を是正>(読売)いずれも、まもなく政府が閣議決定する予定の地方創生の「総合戦略」についての記事。5年後の2020年までに若者の雇用を10万人単位で増やし、地方への移住を進めるというバラ色計画だ。ただ、「30万人」「3万人」と数字だけは仰々しいものの、その方策は「ベンチャー企業や地域の中核企業、海外からの投資の支援」「農林水産業で新たに5万人の若者を就業」などのお題目ばかりで具体性も現実性も乏しい。「全容が判明」「27日にも閣議決定する」という書きっぷりからして、政府発表前のリークにホイホイ乗っかった“チョーチン記事”なのは明らかだ。それにしても、大新聞はよくもこんな見え見えの政府PRをやったものだ。
■地方に30万人雇用は絵に描いた餅
生まれ故郷の親元近くで暮らし、結婚し、子育てしたいという地方出身の若者は少なくない。それができないのは、地方に働く場所がないからで、こうした課題はこれまで語りつくされてきた。企業の地方移転を促す優遇税制や助成金を創設するというが、一過性のバラマキで、企業は地方へ進出を決めるのか。「地方の企業というと、地銀や信用金庫、農協など“半官半民”が中心。一般の民間企業はどんどん減っています。大企業は人件費の安い海外へ行ってしまい、日本国内で生産するメリットがない。そんな中で、税制優遇するからと言われても、そう簡単に地方に工場やオフィスを構えるわけがありません。現実に20社でも30社でも地方進出する具体的な企業名のリストでも出してもらわなければ、説得力はありません。30万人の雇用創出なんて絵に描いた餅ですよ」(立教大教授・郭洋春氏=経済学)
大手紙は画餅だと承知の上で政府にお付き合いしているのだろう。これでは安倍政権の広報宣伝機関も同然だ。「大メディアは政府の情報をただタレ流すのではなく、どうして独自に検証しないのでしょう。例えば、経団連会長に<この政策で地方に進出するのか>とコメントを求めたっていい。これまでも安倍首相は威勢のいい数字を並べたててきましたが、言いっぱなしで終わっています。だいたい、アベノミクスで都会と地方の格差が広がり、地方の産業は、ますます衰退しているのです。2年もやって成果の出ていないアベノミクスをやめる方が先決でしょう」(郭洋春氏)地方創生の「総合戦略」をまとめるなら、非現実な政策よりも「安倍退陣」の方がよっぽど効果がある。
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