【定例朝街宣】阪急上新庄駅 2025.1.20(月)大石あきこ(れいわ新選組・大阪5区)
東京都議会の自民党会派が、パーティー券収入の一部を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、東京地検特捜部が会計担当職員を政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で略式起訴した。自民党国会議員の派閥裏金事件と同様の構図。「政治とカネ」を巡る党内の腐敗が地方に拡散していることをうかがわせる。不正の根を絶つには組織の在り方を根本から見直さねばなるまい。
特捜部によると、会派の政治団体「都議会自由民主党」が2019年と22年に開いた2回のパーティーで、収支報告書に未記載の収入約3500万円、支出約2800万円があった。
会派では、都議が「パーティー券50枚(計100万円)」のノルマを超えて販売した場合、100枚までは全額、101枚以降は半額を都議側の収入にする慣習だった。都議側の収支報告書にも記載がなく、裏金となっていた。
関与した都議は約20人に上り、パーティー収入の約2割が裏金化されていたことになる。
経理や収支報告書作成などの実務を担っていた会計担当職員の立件は当然だ。
一方で、裏金を手にした都議の刑事責任は問われなかった。虚偽記入の金額が立件水準に満たなかったためとされるが、政治的、道義的責任は極めて重い。
記者会見で都議会自民党は「裏金議員」の名を伏せた。不当であり、早々に公表すべきだ。議員側も自ら使途などを説明し、出処進退を明らかにせねばなるまい。
都議会自民党の政治団体は解散するという。しかし、長年の組織的不正が明るみに出た以上、会派としての政治活動や行政監視はこれまで通りにはできまい。会派も解散して出直し、今夏の都議選で有権者の審判を仰ぐべきである。
パーティー券収入の一部を収支報告書に記載せずに裏金化する手口は、自民党の国会議員や都議だけでなく、ほかの地方議会にも広がっているのではないか、と疑われて当然だ。党本部が主導して全国の地方組織を調査し、結果を速やかに公表すべきだ。
同時に、自民党には政治腐敗の温床と指摘されてきた企業・団体献金の廃止も受け入れるよう求めたい。政治資金改革に後ろ向きでは、都議選だけでなく、参院選でも厳しい結果が待ち受けていると覚悟すべきである。
<汚染の現場から>前編
発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を含む汚染水が外部に流出したとして、米軍横田基地(東京都福生市など)に国や自治体が、PFAS問題では初めて立ち入りし、20日で1カ月。その後、具体的な動きはなく、本格的な調査を求める声が強まる。東京・多摩地域の地下水汚染は基地が原因なのか—。原因究明に向けた課題と、先行する他県の米軍施設周辺の汚染の現場を探った。(松島京太)
発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を含む汚染水が外部に流出したとして、米軍横田基地(東京都福生市など)に国や自治体が、PFAS問題では初めて立ち入りし、20日で1カ月。その後、具体的な動きはなく、本格的な調査を求める声が強まる。東京・多摩地域の地下水汚染は基地が原因なのか—。原因究明に向けた課題と、先行する他県の米軍施設周辺の汚染の現場を探った。(松島京太)
◆日米地位協定により日本側が自由に調査活動できない
「撮影禁止。録音禁止。ここで見たものと聞いたことは、日米両政府の合意がなければ公表できません」。米軍横田基地の第5ゲート前で昨年12月20日朝、防衛省職員が20人ほどの自治体職員に、くぎを刺した。
8月のPFAS汚染水の流出事故後、自治体などが要請を続け、日本側の横田基地への立ち入りがようやく実現した。国や都、周辺自治体の関係者が基地内で米軍から説明を受けたが、防衛省職員の忠告は、日米地位協定により日本側が自由に調査活動できないことを物語っていた。
2024年8月のPFAS漏出事故 昨年8月30日、米軍横田基地内の消火訓練エリアにある貯水池のPFAS汚染水約4万7000リットルが豪雨の影響で漏出。一部が雨水溝に流れ込み、基地外へと流出した可能性が高いと米軍が初めて認めた。横田基地では2023年までにPFASの漏出事故が8件発生しているが、米側は基地外への流出を認めていない。
米軍が案内したのは、基地内北東部の消火訓練場と漏出元とされる貯水池。米軍関係者によると、貯水池には消火訓練で使われたPFAS成分が含まれる水がためられていた。2023年11月時点の米軍の調査では貯水池の水から、国の暫定指針値の約32倍に当たる1リットル当たり1620ナノグラムのPFASが検出された。
◆「進展は一切ない。何の意味があるのか」
立ち入りで米軍は「汚染水の一部は焼却処分した」と説明。自治体職員からは「本当に処分したのか」「なぜ残っている水の濃度を測定しないのか」と質問が相次いだ。米軍側から明確な回答はなく、滞在時間は1時間ほどにとどまった。基地関係者が振り返る。「話を聞いて帰っただけで、子どもの遠足みたいだ」
今後、地位協定に基づく環境補足協定による公式の調査として、貯水池のPFAS濃度を測定することになっている。ただ具体的な日程や手法は不透明なまま。ある自治体担当者は「進展は一切ない。しかも水の濃度を測るだけで、何の意味があるのか」と語る。
8月の漏出以外にも、基地周辺への汚染の原因と疑われることがある。消火訓練での散布だ。東京新聞が入手した米軍の2008年の訓練記録写真では、複数の消防車両が出動し、広範囲に泡消火剤がまかれる様子が写っていた。泡が場内のアスファルトをはみ出して土部分に到達したり、アスファルトの切れ目に染み込んだりしている状態も確認できた。
◆「日本側は米軍に詳しく確認する必要がある」
2009年に作成された訓練関係の内部文書によると、訓練では通常、消火剤を散布した後、訓練場の洗浄や消火剤の回収などはせず、そのままにしている運用が記載されている。
横田基地広報部は「現在の訓練では泡消火剤を使用していない」などとし、事実関係や消火訓練の実施期間について回答を避ける。PFASに詳しい京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)は「消火訓練も土壌を通じて地下水に影響を及ぼした可能性がある。使用期間や頻度などを日本側は米軍に詳しく確認する必要がある」と指摘する。