中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

サプリメント

2008-05-30 09:00:55 | 身辺雑記
 かかりつけの医院にこのようなポスターがあった。日本医師会が作成したものだ。


 診察を受けた時に先生に尋ねてみると、1つの例を話してくれた。血圧が上がった患者があって特に原因が分からなかったが、いろいろ質問しているうちに、あるサプリメントを服用していることが分かった。それで飲むのを止めさせると血圧は正常になったそうだ。サプリメントや栄養補助食品は何でも良くないということではないが、こういうこともあるようですとのことだったが、日本医師会が注意を促しているのだから、他にも事例はあるのだろう。まあ、お菓子と思えばいいのでしょうなと先生は付け加えた。菓子にしても過ぎたるは及ばざるが如しということなのだろう。

 サプリメントや栄養補助食品の通販の広告は、テレビや新聞紙上で盛んである。多くは中高年に出てくる、高血圧、糖尿と、関節痛などの症状やダイエットに関するものが多い。テレビで見ていると、頻繁にCMが入り、チャンネルによってはインフォメーションと称して15分くらいも続くのがある。たいていは、まずどのような症状に効くかを述べる。分子レベルの動画で「効き目の仕組み」を解説する。片仮名やアルファベットを組み合わせた「有効成分」の名を言う。時には医学博士や大学教授の肩書きの人物が解説する。そして何人かの使用体験者が、いかに症状が改善されて良くなったかを語る。これは化粧品の場合も似たり寄ったりだ。

 この体験者の談話がどうも胡散臭さを感じさせる。○○県の○○さん(○○歳)などとあって、いかにも実際の使用者のようなのだが、素人の割には表情豊かで滑らかな口調が多い。時にはいささか芝居がかってもいる。そしてここが面白いのだが、画面の隅に必ず小さくて読みにくい、ほとんどが白い文字で「個人の感想であり、効果や効能を示す(保証する)ものではありません」、「個人の感想であり、効果には個人差があります」などの注意書きが示される。「これこれの症状に効きます」と謳っておいて、それを証明するかのようなことを言わせながら「効果、効能を示すものではありません」もなかろうと思うのだが、そう書かなければ薬事法に抵触するのだそうだ。それは分かるのだが、画面に近づいて目を凝らさなければ見えないような文字で書くのは、生命保険の約款に重要なことは見逃すような小さい文字になっているのと同じようで、いかにも小賢しく、こずるいという感じがする。

 特によく目にするのは関節痛に関するものだが、医師に言わせると今の段階では確たる治療法はないそうだ。じっさい医師に関節痛を訴えても薬は処方してもらえないらしい。そいうところへ、いかにもすばらしい効果があると謳い、体験者まで出されると、悩んでいるものはつい購入してしまうことになるのだろう。詐欺とまでは行かないが、一応眉に唾をつける必要もありそうだ。

 実は偉そうなことを言ったが、私もCMに釣られて関節痛を改善するというサプリメントを2ヶ月間飲んできた。なるほど「効果、効能を示すものではありません」と言っていたとおり効果はないようだ。あるいは個人差のためかもしれないと自嘲している。関節が痛くなってからサプリメントを飲むよりも、ブログ友の北海道のSさんや隣の市の0さんのように根気よくウォーキングを欠かさなかったらと、悔やんでも後の祭りである。

 サプリメントや栄養補助食品の流行はご他聞にもれず米国かららしい。米国人は栄養過多で、容易ならない肥満者が多いようだが、日常の食生活が放漫で、それをいくらサプリメントで補っても無意味だろう。日本でのサプリメントや栄養補助食品の流行の根源には、過度とも言ってもよいくらいの健康指向と、飽食傾向があるのかも知れない。